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ユビキタス時代を拓く〜いつでも高速ネットワーク |
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| 要約1 ユビキタス社会の目標 |
安田浩氏の「ユビキタス+ブロードバンドの時代をどう創造して行くか」という問題提起に答える形で、議論は大きく盛り上がった。
最初にユビキタス社会の目標が話題になり、中野潔氏が「自分が使う言語、視力、聴力などをを携帯機器に覚えさせておくと、それに合わせて種々の通知を伝えてくれる、バリアフリーの生活ナビゲーターになって欲しい」と提言、これには築地達郎氏が「『世界最先端のバリアフリー社会を生み出すために高度IT化を目指すのだ』という『目的』を、社会全体で共有したいものだと思う」などと応じるなど、参道の意見が相次いだ。関根千佳氏もサンフランシスコの実例を紹介し、「『何を』『どこで』『どのように』受け取るかが、ユビキタスネットワークの議論では必要」と述べた。
この話題では、高齢化社会を迎える日本でバリアフリーのIT機器が普及すれば、ITで他国に先行できるという意見が多く、市川明彦氏は「音声入出力、アニメ・動画入出力、多原語翻訳機能を磨き、パソコン、キーボード、英語の不要な状況を作ることに政府は投資をするべきで、これにより米国優位を脱し、途上国の人たちにも、貢献できる」と述べた。
ユビキタス時代の「光と影」で様々な意見が飛び交い、松本功氏は電子機器の普及が生活の「個室化」を極端に進めていることを懸念し、「21世紀には、地域のコミュニティが再生して欲しい」と述べた。加納貞彦氏はスコットランドの自治の復活などを例に松本氏に賛成し、「各地域が自分たちのこれからのビジョンを描くのが大切」とした。
高木寛氏は「ユビキタス時代には、現在とは比較にならないアクセス量になる。個人認証も頻繁に行われる。ユビキタス・ネットが普及する前に、電子認証やプライバシーの問題を検討すべき」と警鐘を鳴らした。
一方、村上輝康氏は、「近い将来、動画を介したコミュニケーションが支配的になり、実名性のコミュニティになっていく。これは進化と言えるが、一方、現在の文字主体の匿名コミュニケーションの利点がなくなって、コミュニティ自体ができにくくなるのではないか」という問題を提起した。
会議の終盤で市川明彦氏は、「音声入出力、アニメ・動画入出力、多言語翻訳機能を磨き、キーボード、英語の不要な情報機器の開発に政府は投資すべきだ」と述べた。これに関根千佳氏は「日本から『使いやすいIT』をもっと研究・発信しないと永遠に日本はIT先進国家になれない。高齢国家となる日本にとっては先行するチャンスのはず」と同意を述べた。

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| 要約2 IMT−2000の評価 |
今春にもサービスが始まる第3世代の携帯電話「IMT-2000」については厳しい指摘が続いた。
関口和一氏はiモードの最新機種を話題に、「ほとんどがお遊びの内容、もう少しビジネスや生活に必要なツールに使うべき」とコメントした。本谷知彦氏は「仕様書を見るとグラフィカルに訴求するコンテンツを作りやすそう」と原因を指摘した。
本荘修二氏は、携帯アプリがエンターテインメント系にシフトするのは、キャリアがトラフィックの最大化を狙うからだ、と分析した上で、IMT-2000では「(料金)負担力のあるビジネス用途を開拓するのが不可避」と指摘した。藤原洋氏もIMT-2000に関して「携帯電話の延長線ではなく、モバイルコンピューティングのユーザー層を開拓する必要がある」と同様の指摘をした。
IMT-2000の時代には、海外旅行中でも携帯電話が利用できることなどが期待されているが、それについて、寺崎明氏は、「グローバリゼーションが鍵」とした。また旧郵政省で、移動系と光ファイバーがシームレスにつながる必要があると考え、10Mbps級のMMACを第4世代の携帯電話と位置付けていると披露した。これに対して、池田信夫氏は第4世代携帯電話が存在するかどうか疑わしいと疑問を投げかけた。
英国在住の加納貞彦氏は欧米ではGSMがどこでも使え、日本だけ使えない状況を例示して、「日本、日本と言わないで、もう少し世界に通じる普遍的な言葉で自分達が考えていること、やりたいことを情報発信した方が、仲間作りに役立つし、結局は狙っているものを得る早道だと思う」とIMT−2000のグローバル化に忠告した。
池田氏の発言を受けて、藤原洋氏は第4世代携帯電話が無線LANの広域版になり、現在のサービス事業者とは事業主体が変わる可能性を指摘した。
江崎浩氏は池田氏の「第4世代携帯電話が存在するかどうか疑わしい」、藤原氏の「第4世代は無線LANに近くなる」という発言を受け、「移動体通信、Nomadic(いろいろな場所から接続するが接続中に激しい移動はしない)、ユビキタスの3つを一緒に議論するのはいけない」と述べ、異なる技術、異なるビジネス構造になると述べた。
森川博之氏はポストIMT−2000の姿として、セルラー、無線LAN、光アクセスなどユーザーの環境に合わせて適切なアクセス手段を自在に使い分けられる世界、と予測。このような時代には事業者間構造がどうなるかが興味深く、オープン、水平分散構造にならざるを得ないのでは、とした。
富沢木実氏は、以下の質問をした。 a)動画像などが携帯電話で送信可能になると、肖像権・アニメなどの知的所有権処理が複雑になるので、一括管理の仕組みが必要になる、 b)IMT-2000のグローバル化について日本のやり方が通用するかどうか心配、 c)藤原氏発言を受け、第4世代携帯電話のプレーヤーが変わるという意味の質問、
c)について、藤原洋氏は、第4世代の用途は携帯電話でなくモバイル&ユビキタスで音声からブロードバンドに移行し、電波の再割当が起こるーーと説明した。池田信夫氏は「『世代』を意識する頃には、その技術は終わっている」として第4世代ということに疑問を呈した。藤原洋氏は、「役所が『音頭を取る』には乗らない方がよい」とした池田発言に対し、ブロードバンドとユビキタスは「実体とテクノロジーの果たす役割が明確」として期待を表明した。

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| 要約3 サービスのオープン化の議論 |
村田初穂氏が、「欧州は多数の国があるので、機関や業界の間の調整に手慣れている」として、SIMカードを取り外して、他社の端末に取り替えるのが簡単、ローミングが可能ーーなどの利便性や、仮想携帯電話会社のサービスを紹介し、次世代携帯電話のサービスについて「豊かなサービスを容易に始められる環境を提供できるか」と問いを発した。
これに呼応するように、前川徹氏は、「機器とサービスの提供が分離されれば、機器メーカーはより自由な発想で機器を設計・開発できるだろうし、通信事業者はより公正な環境で競争を強いられることになる。それは消費者には望ましいことではないか」とオープン化の問題を提起した。
これには富沢木実氏が、「ゲーム機もそうだが、ハードの機能が限られているなかで、魅力的なコンテンツを作り込むには、クローズドな仕組みを取らざるを得ないのかもしれない」と疑問を呈した。
これに対して、勝屋信昭氏が、「発展段階はクローズド、徐々にオープン化していく」との見方を示した。一方、池田信夫氏は、「プレステが任天堂に勝ったのもオープンなライセンス政策」としてプラットフォーム競争をすべきだと論じた。
ここで池田氏が「NCCは、役所に泣きつく前になぜ自前でオープンなサービスをしないのか」と述べたことに対し、富沢木実氏は、「(公式サイトの制限などで)コンテンツ・プロバイダーの生殺与奪をドコモが握っていることへのオープン化がテーマ」と論点のズレを指摘した。また富沢氏は勝屋氏の意見を受けて「クローズドかオープンかは発展段階によるというのは、期待も込めて賛成」とした。
池田信夫氏は「プラットフォームを独占しようとする者は敗れるというのが鉄則」として、iモードが閉鎖的なのは、NCC(新電電)がドコモを打倒するチャンスだとした。
江崎浩氏は富沢氏のクローズド擁護の発言に細かく反論し、ゲーム機は「機器側の思惑」でクローズドだったし、ハードの制約は、PDAでの実態を見ても、クローズドにする理由にはならないーーと企業の姿勢の問題だとした。本荘修二氏も、キャリアのオープン化が必要とした。
池田信夫氏は、オープン化問題での政府の役割として、周波数オークションなどで新規参入の障害を除去すべきだーーとした。

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| 要約4 ブロードバンドを巡る議論 |
ブロードバンドに関しては、「何がブロードバンドか」という定義をめぐる議論があり、後半では敷設に関しての議論があった。
高嵜祐輔氏は、「ブロードバンドの基本論点を確認したい」と、ブロードバンド常時接続双方向――の3つをあげ、ブロードバンドは数百Kbps以上か、と問うた。高嵜氏の発言を受けて、米国在住の小池良次氏は、ブロードバンドとしては映像が安定して送れる45Mbpsが必要、とした。また藤原洋氏は、実効的に数百Kbpsで、リアルタイムの放送品質は無理、とした。
藤原洋氏はブロードバンドを、常時接続・ベストエフォート数百k−1Mbpsから、帯域保証5−10Mbpsまで3段階に考え、IMT−2000はブロードバンドとは呼べない可能性が高いーーと指摘した。またモバイルの限界を補完するためにNomadic技術とのハイブリッドなどが重要と述べた。
村上輝康氏は韓国でADSLが急速に普及している現状を紹介した。さらに同氏はユビキタス・ネットワークを情報機器とコンテンツ全体の姿を問うITパラダイムだと考えるべきだ、として、当面の問題と2005年頃に実現すべきネットワークを峻別すべき、とした。また同氏は江崎氏に対し、当面は常接、ブロードバンド、モバイルは利用者の財布を巡って競合すればよい、とした。同氏は、補足として「多様なシナリオを持った多様な事業者がオープンに競い合える事が大事」とした。
ブロードバンド論争には、岸上順一氏が、「何もネットワークに過大な性能を求めなくても、ローカルにある大容量で低価格のディスクに必要なものを適当な時間に適当な帯域で貯めておけば実現できる」と新しい切り口を提示した。
関根千佳氏は、使い手の側からの意見として、以下のように述べた。
将来の、しかし今でも欲しい環境の、Visionはこのようになるでしょうか? 1.常時接続・高速ブロードバンドのインフラが最低1つは家まで来ていて 2.それは家庭内のあらゆる情報アプライアンス(器具)につながっていて 3.パーソナライズされた端末で制御・情報受発信が可能
櫻井豊氏は、小池氏の45Mbps必要論に対して、オンデマンド系にCnotents Delivery Network技術、同報系にマルチキャスト技術があるとした。小池良次氏はこれに答えて、一般的に(米国では)300Kbps以上を確保するのは難しい、という現状を紹介した。櫻井豊氏は「ここらで誰かが本当のブロードバンドを見せてあげる必要がある」として、東京の賃貸集合住宅から始めるアイデアを示した。
また櫻井豊氏は帯域幅を100kbps、300k、1M、4Mに分け、それぞれの用途を示した。さらに同氏は、岸上順一氏の大容量ディスクを使う方法(CDN)について、もっと真剣に取り組むべき、とした。山本雄大氏も、岸上順一氏の意見に同意し、「真のブロードバンド時代は、ストリーミング+蓄積型の混在が現実的」だとした。
会議の後半で、線路の敷設の問題が議論された。
関口和一氏が、「高速バックボーンの敷設に関する政府と民間の役割」の議論を求めたことに、池田信夫氏は、「問題はアクセス系のコストが高く、広帯域にふさわしいコンテンツがないこと。『デジタル・デバイド解消』と称して、田舎に無駄な光ファイバーを公共事業で引くのは、整備新幹線と同じ」と、議論の価値がないとした。
これには山本雄大氏が、「デジタルデバイドも重要な課題。公共事業でブロードバンドが利用できるインフラを用意してもいいのでは」と反論した。
池田信夫氏は、高速バックボーンより、「線路敷設権」がインフラ整備の障害になっているとして、電柱の認可手続きを簡素化して「電柱ビッグバン」を政府がすべきだ、とした。
司会の坪田知己が、情報産業労連の田中氏の、「加入者宅までの最後の4分の1マイルの高速ネットを整備するのは民間か行政か」という意見投稿を紹介、これに中野潔氏は「特別法で特定企業に義務付ける」というアイデアを出した。一方で、藤原洋氏は、規制緩和と自由競争で整備すべきとした上で、「通信業者間の人事交流を活発にして、競争を促進すること」などを提案した。
これに対して、池田信夫氏(発言【210】【213】)は、特定企業への義務づけには反対し、市場での競争を貫くことが大事だとして、「政令指定都市までは民間で光ファイバー化、人口が少ない地域は無線インターネットが適している」と述べた。

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| 要約5 電波オークションをめぐる議論 |
富沢木実氏が「電波入札での高値仕入れで、企業の経営は破綻しないのか」と述べたことから電波オークションに関する議論が盛り上がった。安延申氏は「需要予測を誤った落札者」は破綻するかもしれないが、これを引き継ぐ者への売却価格はリーズナブルな価格になるーーと応じた。
寺崎明氏は米国での電波オークションの背景に「免許権の取得の個別交渉の煩わしさや金額交渉のつりあげ等を想定すると、オークションの方が楽で透明だという背景があった」と指摘した。
池田信夫氏は、電波波料の仕組みについて、「(携帯電話の)周波数を有効利用すればするほどコストがかかる」と指摘、その用途も「アナ・アナ変換」の補助金に流用されると、「前近代的な規制」を厳しく糾弾した。寺崎明氏はそれに答えて、「放送のデジタル化が完成すれば、アナログ分の周波数の空きができる。それを携帯電話に使うことも否定されない」と反論した。
それに対し、池田信夫氏は、「最もありそうなのは、今の米国のように、両方ふさいだままデジタル放送が立ち往生することだ」と述べ、「空いているUHF帯をオークションにかけたらどうか。電波の有効な利用法は、役所でなく市場(消費者)が決めるべき」と述べた。
寺崎明氏は、IMT−2000に関してオークションの是非の議論があったことを述べ、その歳入をどう使うかを含め、真剣な議論が必要、とした。中川晋一氏はデジタル放送の伝播遅延が2秒前後あるとして、そのツケを払わねばならないかもしれない、とデジタル放送の隠れた問題を示した。
山下鐵五郎氏は規制当局のあり方として「いかなる体制であっても、政治的や商業的な圧力に影響されず、利用者の便益を目的に行動していることが肝要」と、英国の先進事例を挙げた。

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| 要約6 知的財産権の新しい仕組み |
昨年は米国でナップスターがブームになり、著作権を無視して音楽データが交換されることにどう対処すべきかが議論の的になった。
松武秀樹氏は「現状は窃盗と同じ。大きな問題なのは、リスナー間の『音楽はタダだ』という意識の発生」と述べ、「アーティスト、音楽制作事業者の利益なくして、健全な音楽文化はありえない」と危機感を訴えた。
議論は作り手と利用者の連携をどう作るかという問題へ進み、杉井鏡生氏は「これまで見る立場だけだった人が作る立場にもなり得るというのも、インターネット時代の重要なポイント。作る人と見る人のコラボレーションの中で、新たな社会的な創作活動の文化がつくり出されれる可能性は高いと思う」と述べた。
さらに杉井鏡生氏は「そうした社会が進んでいくときには、知的所有権の枠組みも、いまの形だけでスムーズにいくのかどうか考える必要がありそうだ。良い読者良い利用者がいるから良い制作物も出来てくる。読み手、利用者にも同等の価値が尊重されてはじめて社会的な創作文化が健全に維持されるのだろう」とした。
ネット会議の進行中に、米連邦高裁が、ナップスターに著作権侵害の判断を下したニュースが飛びこみ、それに碓井聡子氏は「ユーザーの著作権侵害を技術的に阻止する策さえあれば、P2Pのファイル交換サービス自体は問題なし、というお墨付きを裁判所が与えた」として、「ビジネスチャンスを逃さない技術系ベンチャーに期待したい」と述べた。
司会の坪田知己氏は、不正コピーを防ぎ、著作権料を回収する仕組みとして、「リスナーが、広く薄く資金を供出し、支持するアーティストの著作権を管理する。著作権の価値が上がれば、資金提供者に配当があるので、不正利用を防ぐ心理が働く」という案を出した。これには本荘修二氏が「アーチストとファンの一体感が増し、花が咲く前のアーチストへの新たな金銭的バックアップが生まれる。同時に、市場全体を継続的に発展させることへの大きな力が生まれると期待する」と評価した。ただ、本荘氏は、課金を事業者の自由に任せること、投資の監督などを追加提案した。
藤元健太郎氏は「利用者とコンテンツ制作者との間に介在し,コンテクスト価値を創造する『ニューミドルマン』のプレーヤーが登場することで市場として機能する」と指摘し、この中間業者の育成がキーになると主張した。

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| 要約7 「知」の共有の問題 |
山下鐵五郎氏は「日本の知的資産をネットワーク上に掲載する労を誰がどのようにするのか、議論されたか」と問い、「生涯学習も含めて、教材に『ユビキタス』にアクセスでき、公共財として知識がネットワーク上で共有できたら素晴らしい」と述べ、「知の共有」が話題になった。
経済産業省の石黒憲彦氏が、「デジタル・ニューディール」と名付け、「『技術の達人』というのポータルサイトを立ち上げ、ここに、大学、国公立研究機関、民間企業などに眠る技術知識を蓄積し検索可能にするとともに、草の根的な技術情報フォーラムを構築し、自由に意見交換を可能とする」という同省のアイデアを披露した。
これには賛同が相次いだ。坪田知己が、我々は歴史に対して文化遺伝子の伝達という貢献をすべきだし、「我々は、語り掛けることによって、その内容を検証し、異論を得ることで、内容を高めていけます。アイデアを黙して語らない人は、その人の能力以上にそのアイデアを高めることはできないのです」と述べ、共感を呼んだ。
さらに、江藤学氏(発言【240】【241】)が「『伝え議論することで価値が上がる』というマインドを、如何に技術屋に浸透させるかがポイント」と述べ、太田秀一氏は知識共有を阻んでいるのは、「『自分が問題を抱えていることが他人に知られたら、とんでもないことになる』という恐怖または虚栄の感情などが大きい」とし、「それらの感情の無意味さを、巧みに気がつかせること」が必要だとした。

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| 要約8 政府の役割について |
昨年のIT戦略会議の議論、IT基本法の制定などを受けて、政府が何をなすべきかについて、熱い議論が闘わされた。
元通産省の安延申氏が、「本当に『政府のリーダーシップ』を皆さんは求めているのでしょうか」と問いを発した。これに鶴谷武親氏は、「米国では、クリントン大統領の『十二歳までにすべての米国民がインターネットを使えるようにしよう』という一言がコピー化されて流れを作った」と述べた。カナダ在住の飯坂譲二氏も「カナダ政府が天然資源依存の社会から、知識社会に移行するという大きなミッションを設定し、政府の諸活動がその実現をめざして変革していること」が最大の功績だと述べた。
日本政府については批判が相次ぎ、三石玲子氏は、「首相官邸のIT政策を熟読しても、ライフスタイルについての記述はほとんどなし。ちりばめられている言葉は『楽しみ』『利便性』『多様な情報』程度。動画を駆使したゲームが楽しめるなどとも書いてある」と生活に根ざさないIT化を危惧した。
また飯坂譲二氏も「いまの教育改革、IT技術教育に必要なのは、情報を作ることができる人、情報を整理、フィルターがかけられる人、選んだ情報から、状況が分析でき、的確な判断が出来る人、その判断に基づいて行動できる人、その結果を評価して、学習でき知恵に昇華できる人――などで、単に、コンピュータの操作法ではない」と批判した。
前川徹氏は「政府発表の電子商取引(EC)市場の規模は、商品情報の入手がネット上で行われれば、取引額を計上し、ここまでECの定義を広げた推計はほかにない」と国際比較困難と批判した。これには石黒憲彦氏が「試算の前提、考え方をなるべく透明に説明する」と反省の弁を述べた。

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| 要約9 放送の未来について |
司会が「放送の未来」について意見を求めたところ、古川泰弘氏は番組とネットのリンクが活発になり、放送の質が向上するーーと述べた。藤原洋氏はブロードバンド・インターネットでは、オンデマンド的で、利用者個別のコンテンツ流通が主体で、今日のマスメディア広告とは違うビジネスモデルになるとした。水野隆一氏も同意し、「マスメディアの相対的なポジションは低くならざるを得ない」とした。
山村幸広氏は「ネットのコンテンツプロバイダーだけができるブロードバンドコンテンツの提供方法を生み出せなければ、将来は非常に不安」と述べた。福富忠和氏は、「放送とネットの逆転したビジネスモデルも考えられる」として、ターゲットがはっきりしている場合はネットのストリーミングの方が効果が見えやすく、そこで民放メディアの機能が弱まり、広告収益モデルとは別のモデルが必要かもしれなーーとした。
江藤学氏は、大胆な予測として、「未来のテレビはネット端子とアンテナ端子を持ち、無線とネットの両方から随時映像を受信し、どちらかを意識する事もなくなる。その結果、現在の放送局は電波を媒介とした情報伝達事業者としての事業性を失い、半面、コンテンツ製作・流通・販売者としての性格がより一層強まると思う。この分野での放送局の映像やノウハウ蓄積は膨大で圧倒的だから、誰も太刀打ちできず、多くのインターネットコンテンツプロバイダーが淘汰されることになる」とした。
水野隆一氏は、放送局の重要な機能として「コンテンツ制作」「放送(送信)」のほかに「編成(タイムテーブル作り)」の機能があるとした。これは膨大なコンテンツの蓄積を背景にして、垂れ流し放送を可能にしている。そのため、「ネット系放送局はオンデマンドで生き残るという図式が現実的だ」と述べた。
加藤良平氏は、「垂れ流し型の最大の付加価値が編成力であるように、オンデマンド型の最大の付加価値は、その番組に行きつくためのタグだ」と指摘した。
水野氏に対し、今川拓郎氏は、「高速大容量のストレージとEPG(電子番組ガイド)を備えた端末が普及すると、人々は好きな時間に好きな番組が見られるようになり、端末側のEPGやエージェント・ソフトが事実上の編成機能を果たすようになるので、放送局の編成機能は安泰ではない」と反論した。
榎並和雅氏は、放送はコンテンツが重要だが、伝送手段を選ぶに当たって、1)低コスト、2)いつでもどこでも受けられること、3)情報デバイドのないこと、4)信頼性の確保――が重要だとした。

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