世界情報通信サミット2001
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2月1日(木)の発言内容
From: 坪田 知己  2001/2/1 1:00
Subj:【1】司会 〜 世界情報通信サミット・ネット会議のオープニングです
ただいま2月1日午前1時です。世界情報通信サミットのスタートです。

今回のテーマは「ユビキタス時代を拓く--いつでも高速ネットワーク」です。3月8-9日の本会議では

 セッション1「ユビキタス+ブロードバンドで世界が変わる」
 セッション2「新しいビジネスモデルと経済ルール」
 セッション3「政府と企業の役割を再考する」

ということで、議論しますが、ネット上の会議は一本で行います。

総合司会を坪田が担当し、本会議でのセッションの司会を務める東京大学の安田浩教授、慶応大学の國領二郎教授、日経の関口論説委員が、このオープニング・メッセージの後、今年のセッションに向けた考え方を披露され、会議に移っていきます。なお、同じ日にスタートする英語会議はICANN理事の加藤幹之富士通ワシントン事務所長が司会をされます。

このオンライン会議は、本会議に向けて、問題の焦点や提案をまとめていくのが狙いです。

ネット会議の議論のテーマですが、インターネットが電話網、ケーブルテレビ網、ADSL、光ファイバーと高速化が進展し、モバイル・インターネットも急速に普及し、さらに今年春には広帯域の「IMT-2000」のサービスが始まります。このようにインターネットへ、いつでも、どこからでもアクセスできる環境を「ユビキタス」と言います。この言葉は和訳は「どこにでも存在する」という「遍在」ということです。

そのような環境を充実させるのは、どのような技術的な課題があるのか、この環境を利用してどのようなビジネスが発展するのか、また電子政府などの行政としての取り組みはどうなっていくのか−−などの議論が出来ればいいと思います。

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From: 安田 浩  2001/2/1 1:11
Subj:【2】東京大学安田浩教授からのオープニングメッセージ
世界情報通信サミット、第1セッション「ユビキタス+ブロードバンドで世界が変わる」の司会をいたします東京大学国際・産学共同研究センターの安田です。オンライン会議でも主として技術の側面から参加させていただきます。

世界に先駆けてのIMT-2000の導入により我が国の通信環境はユビキタス+ブロードバンドへ近づきつつあります。さらにBSディジタル放送の開始に続きCS110度放送も本年中には開始されるなどディジタルブロードバンドの環境は加速されようとしています。その一方においてFTTHの普及にはかげりが見られ、真の意味でのブロードバンド化の見通しは楽観を許しません。という状況下でまず、「ユビキタス+ブロードバンド」としてどのようなレベルの環境を何時までに作ることを期待するのかを議論の開始点にいたしたいと思います。

基幹系の技術がWDMであることは論を待たないと思いますが、アクセス系はどのような技術が主役なのか、またこれにともなって端末はどのような形態になるのか、ビジネスエリア・ホームエリアにおける情報通信の近未来像などの具体化議論を展開できたらと思います。さらには通信・放送融合のための技術基盤、著作権保護や情報信頼性確保のための技術と同時にプライバシ保護技術についても積極的な論議を期待したいと思います。

以上のような議論の出発点としてまず、IMT-2000の評価から始めて頂きたいと思います。何を期待するか、何が問題点か、ポストIMT-2000論議を開始すべきなのかなど忌憚のない議論を頂きたいと思います。続いてFTTHとディジタル地上波放送についてその功罪と実現への期待について提言を頂きたいと思います。映像コンテンツは日本を救えるのか、そのための環境つくりへの技術施策は何かそして存在しているのか、論議を通して明らかにしてゆきたいと思います。

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From: 國領 二郎  2001/2/1 1:12
Subj:【3】慶応大学國領二郎教授からのオープニングメッセージ
世界情報通信サミット、第2セッション「新しいビジネスモデルと経済ルール」の司会をいたします慶応義塾大学ビジネススクールの國領です。オンライン会議でも主としてビジネスの側面から参加させていただきます。

P2Pの考え方、ネット企業の株価評価方法、生産性のパラドクスなど、ネットビジネスをめぐる討論課題は極めて多岐にわたりますが、このネット討論では、それらを「情報価値の生産と収益化のビジネスモデル設計問題」というフレームワークの中で考えることをご提案したいと思います。

ブロードバンドかつユービキタスなネットワーク空間の中では、極めて低価格かつ手軽に情報を複製したり伝達したりすることができます。このようなネットの発達によって、多様な主体が発信する情報が結合して価値の爆発的増大が期待できる一方で、限界費用ゼロの情報の価格がゼロとなってしまい、著作権を基盤とするビジネスが存亡の危機に立たされることも想定できます。著作権を否定することは簡単ですが、それに替わるビジネスモデルがなければ、情報価値生産のインセンティブが生まれません。情報価値をめぐる確立したビジネスモデルの欠如はコンテンツビジネスだけでなく、ネットビジネス一般の株価不安定の原因となっているように思います。そこで情報価値をめぐる協働をいかなるインセンティブのもとに行い、その成果に対していかなる報酬を与えるメカニズムを構築するのがより実り多いネットワーク社会に到達する道かをビジネスモデルの設計問題を考えることで議論しようというご提案です。

議論の出発点として、音楽などのコンテンツビジネスについて、みなさんはどんなビジネスモデルを想定されているかをお聞かせいただく、などというのはどうでしょうか?著作権モデル以外にも、ライブで収入をえる方法、広告収入に絞る方法など複数のものがありえるように思います。どれか本命があるのでしょうか?

この問題に答えられた時に望ましい著作権制度なども浮かび上がってくるのではないかと思います。

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From: 関口 和一  2001/2/1 1:13
Subj:【4】日経新聞関口和一論説委員からのオープニングメッセージ
「政府の役割」に関する第3セッションのコーディネーターを担当します日経の関口です。この分科会のテーマですが、具体的には以下の内容について議論して行きたいと思います。

【1】IT戦略会議がまとめた「IT基本戦略」に対する評価分析
【2】高速バックボーン敷設に関する政府と民間との役割
【3】電子政府構想に対する評価分析
【4】教育分野における情報化の課題
【5】IT政策に関する国際比較
【6】望まれる規制緩和策とネット社会に向けた法整備

それでは皆さん、頑張りましょう。寝不足だけには気をつけて下さい。

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From: 中野 潔  2001/2/1 1:57
Subj:【5】知的財産権 〜 メジャーになるためのメーンストリート
早稲田/アスキーの中野です。もともと技術屋だったのですが、ニッチ狙いで、技術と人文・社会との学際を狙うことにしました。

知的財産権については、素人ながら細々と勉強しているのですが、音楽をほとんど聞かないので、小生の論議は机上のものに留まっていて、内心忸怩たるものがあります。

ピアツーピア型のファイル交換手法は、法律でどう禁じたところで止まらないでしょう。ということは、購読料、視聴料を徴収するタイプは先細りということです。

ライブで収入を得るというのは、ありえますが、ライブで金をとれるようになるには、それなりに露出して有名になっておく必要があります。放送業界やレコード業界が、ピアツーピア型のファイル交換におされて、縮小していくとすると、放送やレコードで名を売れる人がさらに少なくなります。

スポンサーからあらかじめ費用をもらって制作した、動画ならコマーシャルミニストーリー、音楽ならコマーシャルソングがネット上に無料でどんどん流される、そこからメジャーになるのがメーンストリート

−−といった時代になるのではないでしょうか。

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From: 中野 潔  2001/2/1 1:58
Subj:【6】携帯電話 〜 バリアフリーの生活ナビゲータになって欲しい
携帯電話自身を使いこなしてはいませんし、携帯自身にはあまり興味がありませんが、無線通信が社会にもたらす影響には、興味があります。

元 技術屋の割には、技術的に理解度の低い論議で恐縮なのですが。通信料金の掛かる「無線回線を通る通信」でも通信料金の掛からない短距離無線でもいいのですが、基本的に「他人には貸さない」という携帯の利点を生かして、また、「振動でアラームを出すのが標準装備である」点を生かして次のようなことが可能になれば−−と思っています。

自分が主に使う言語は何か、視力はいいか、大きな字でないと読みにくいのか、字が読めないほど目が不自由なのか、聴力はいいか、大きな音でないと聞き取れないのか、耳が不自由なのか、−−を携帯自身か、小型メモリーカードに覚えさせておくと、その人の言語や感覚レベルに合わせて、種々の通知を伝えてくれる、バリアフリーの生活ナビゲータになって欲しいと思っています。

駅の券売機や、街角の自販機や、電柱の住所表示板や、博物館の説明パネルが近距離無線で携帯にいろいろなサポート情報を送ってくれれば−−と思います。

特に目の不自由な人には、音声で伝えてもらえるとありがたいのです。

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From: 関口 和一  2001/2/1 2:11
Subj:【7】携帯電話 〜 ドコモの503シリーズ
ドコモの503シリーズが発売になりましたので、早速、チェックして参りましたが、内容を見ますと、ほとんどがお遊びの内容ですね。

若者文化の担い手としては iモードは大変な成功だと思いますが、今回のJava機能を生かした iアプリはもう少しビジネスや生活に必要なツールに使うべきだと思いました。

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From: 築地 達郎  2001/2/1 2:58
Subj:【8】高度IT化(あるいはユビキタス・コンピューティング)の社会的目的を明確にしよう
今、弊紙の編集長コラムを先のJR新大久保事故を題材に書いているところです。私も勇気あるお二人の葬儀映像に心から涙したのですが、そのうえで冷静になって考えてみると「これだけの経済大国でありながら、なぜ全駅のホームに安全扉が取り付けられないのか」という疑問と怒りがふつふつと沸いてきました。

それでざっと調べてみたところ、ドアの位置が異なる車両にも対応できるようないろんな安全扉がすでに数多く提案されているのですね。商品化されている例も少なくない。「ホームドア」という一般名詞もあるようです。

今、JR東日本が650万枚の非接触ICカードを定期券として配って改札の合理化をしようとしていますが、せっかくならこれをさらに進めて、

○足が悪い人が近づくとホームドアが長時間開く
○エスカレーターがゆっくり動く

――そういった「しなやかな」対応をさせるための「ユーザー認識カード」として活用してもらえないものかとつくづく思います。

翻って、IT戦略会議の「IT基本戦略」を読んでも、「何のためにIT化を推進するのか」、「“IT分野における世界最先端国家”とは、どの指標をもって最先端と評価するのか」がさっぱり分かりません。このままでは、膨大な容量の通信回線がヤミ市のような状態になってしまうことが目に見えているのではないでしょうか。

私は、「世界最先端のバリアフリー社会を生み出すために高度IT化を目指すのだ」という「目的」を、社会全体で共有したいものだと思います。

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From: 川崎 裕一  2001/2/1 3:26
Subj:【9】音楽コンテンツの著作権
日常業務はネットイヤーグループ株式会社にて調査の仕事を行っております.その傍ら、日本でのP2Pコミュニケーション/コンピューティングの普及を目指すJnutella.orgを立ち上げまして、日々P2Pが今後社会に及ぼす影響について議論を行ったり、Gnutellaプロトコルの改良等を行っております.

今回の会議では、日本で最も熱くP2Pの将来についての議論が戦わされている場の代表としての現場を声を交えて発言させて頂ければ幸いです.

まず収益モデルについては、3つの段階があると考えています.

1.1曲300円といったオンラインミュージックの単体での販売
 (例:LiquidAudio)

2.月額数百円といった定額課金による販売
 (例:Emusic、Bertelsmannが提供する次世代Napster)

3.音源からは収益を上げない.より「デジタル化されにくいものから」収益を上げる
 (例:ライブ、直筆のサイン、毛髪等)

1のモデルでは、音源という情報の価値が低まらないように、暗号化を行ったり、専用のプレイヤーでしか再生できないようにするのが大前提としてあります.このモデルの有効性については、市場がある面でその答えを出しているため、あえてここでは触れないことにします.

次に、音楽が何故、違法に流通するのかを考える上で、無視できないのは「複製するコスト」がどれだけ高いかということだと思います.つまり、現状ではCDシングルを一曲購入した場合、1000円を支払います.ですが、NapsterやGnutellaという仕組みを使うことで、ユーザーが支払うコストはインターネット接続料金、電話料金のほかに、ユーザーがコピーにどれだけ手間をかけるかというコストに大きく集約されると思います.これらのコストを合計したものが1000円よりも安ければコピーをする、そうでなければコピーはしないはずです.

例えば、5円で流通しているものを10円かけてコピーはしないということです.この根本的な考え方に基づいているのが、2の定額モデルだと私は考えています.

3においては、Linuxの開発に見られるようなオープンソース的なモデルになるのではないかと考えています.つまり、現状の著作権ではない、GPLのような「音楽のコピーレフト運動」みたいな動きです.音源自体の価値を保とうという動きはしない.みんなで音楽は改良されつづける.サンプリングもし放題.ただ、作者への尊敬の気持ちを忘れないようにするという条項と、収益は音源をよりよくエンコードできたりだとか、よりよくミキシングできたりだとかという、いわゆるLinuxのDistribution的なイメージの音楽コンテンツの流通、作成というものもありだと思うわけです.

またそれと付随して、よりデジタル化されにくいもの.より人間の近いものから収益をあげるというのは必須事項だと考えております.

また、著作権についての考え方について、最近面白いインタビューを見つけました.

O'Reilly & Associatesが解説しているopenp2p.comというサイトにおいて、Stanford大学のLawrence Lessig氏へのインタビューが掲載されています.
Code + Law: An Interview with Lawrence Lessig

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From: 安延 申  2001/2/1 3:28
Subj:【10】ポストIMT-2000論議
スタンフォード日本センターの安延です。「IMT-2000評価」と言われると、言葉がないのですが、一つの事実からお話しします。

去年の10月、我が家の通信料金がピークを記録しました。家族4人で12万円/月。うち携帯分10万円、固定電話、FAX+インターネット=2万円です。「安い定額料金を」という主張が無意味に思えるような数字です。この数字は「パーソナライズされた情報環境」に対する需要がいかに強いかということを示していると思ってます。

ただ、今や「FTTHかDSLか無線か」といった供給サイドの議論はどうでもよいように思います。多分、個人ベースであれば、月収の2〜5%であれば許容する。あとは、その範囲の中で、最も簡便で高速なアクセス環境にシフトを続けていくといった形になるのではないでしょうか。答えになっていませんが。

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From: 安延 申  2001/2/1 3:28
Subj:【11】新しいビジネスモデルと経済ルール
議論の出発点として、音楽などのコンテンツビジネスについて、みなさんはどんなビジネスモデルを想定されているかをお聞かせいただく、などというのはどうでしょうか?著作権モデル以外にも、ライブで収入をえる方法、広告収入に絞る方法など複数のものがありえるように思います。どれか本命があるのでしょうか?

私もピアtoピアのモデルが消滅するとは思えません。結局、インターネットを支えてきた、「個人の好奇心や楽しみでゲリラ的に提供される技術」を止めるのは不可能だと思えます。したがって、マクロでみて「コンテンツ&ネット」という世界のみでビジネス・モデルを構築できる幸せ者というのは、結局、「利便性」「特許」その他で、排他性を確立できた極く少数(ゼロかもしれません)の人のみで、後は、一部韓国で見られているように「リアル&アナログへの回帰(ライブ&関連グッズで儲ける)とか、国内某社のように「プラットホームになるハードで儲ける」というビジネスの方が固いということになるのではないでしょうか。

昨日、スタンフォード大のビジネススクールの学長が面白いことを言っていました。今年の卒業生の就職先は、完全に「B2B & B2Cだ」というのですよね。

 B2B=Back to Banking
 B2C=Back to Consulting

だそうです。

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From: 安延 申  2001/2/1 3:28
Subj:【12】政府と企業の役割を再考する
これは、小生は応えにくい立場ではあるのですが、一言で言えば「音頭をとるのはもういいから」「好きに出来る環境だけを整えて」ということのような気がします。

結局、資源の最善のアロケーションは市場を通じて行うのがベストであり、この市場はすでに形成されています。そこに、無理に「公的関与」をしようとすると「下水道沿いや道路沿いのファイバーは税金を使って国が敷く」が「それ以外は民間がビジネスベースで敷く」などという訳の分からない状態が出現します。そんなことより、自分が賢いユーザーになる(電子政府、教育)に注力することと、ネットを利用した情報公開を更に進めることが、先ず、第一ではないでしょうか。
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From: 福冨 忠和  2001/2/1 3:48
Subj:【13】ユビキタス+ブロードバンドで世界が変わる
福冨忠和と申します。

個人情報を自分で携帯せずに、インフラ側に預けてしまうユビキタスはちょっと怖い。集まっているところから、情報は漏洩していきますね。ウェアラブルのほうが、安心感があります。

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From: 福富 忠和  2001/2/1 3:48
Subj:【14】政府と企業の役割を再考する
政府と企業だけでなく、市民、NGOとの役割分担も必要だ、と衆議院内閣委員会のIT基本法審議に、参考人として呼ばれた際、お話しました。また、電子政府構想に関連し、住民基本台帳法改正など、プライバシーやデータコントロールに関わる政策が個人情報保護法案の制定に先行して推進されていることには、危惧を憶えます。

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From: 根来 龍之  2001/2/1 5:19
Subj:【15】問題の領域設定 〜 音楽などのコンテンツビジネスが成立するための産業モデルは?
文教大学の根来龍之です。経営学の観点からネットビジネスの競争戦略について研究(?)しています。

提起された「ビジネスモデルの設計問題」には、2つの視点があると思っています。

ひとつは、
産業(業界)として成り立つためのモデルは?
というもので私個人は「産業モデル」と呼んでいるものです。

もうひとつは、
ある産業(業界)の中でセグメントの絞込みをしたり、魅力を差異化したり、オペーレーションを差異化したり、収益性を高めたりするために、個々の企業がどう「工夫」するか?
というもので私個人はこちらを「ビジネスモデル」と呼んでいます。

もちろん、後者のビジネスモデルの工夫が産業モデルを形成したり変化させたりするので二つは完全に独立ではないのですが、論じるべきことは異なると思えます。

たとえば、検索ポータルという産業(業界)が成り立つためのモデル(前提)は?
という問いと
現在は赤字のある検索サイトが収益性を確保するためのモデルは?
という問いの違いです。

何をどう呼ぶかは定義と好みの問題ですから、私の好みを採用してほしいと主張するものではありません。

確認したいのは、國領さんが提起された問題領域は「産業モデル」の方だと解釈できるということです。問いは以下ということになります。

音楽などのコンテンツビジネスが成立するための産業モデルは?

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From: 根来 龍之  2001/2/1 5:23
Subj:【16】著作財産権と著作人格権
私が音楽の作者ならば、自分のつくった音楽が多様に変化していくのは耐えられません。それで儲ける気はない、つまり著作財産権(呼び方が適切かどうかは不明)は放棄できる場面はありますが、著作人格権(誰の著作であることの明示と同一性の要求権)は放棄できそうもありません。

もちろんそれを放棄することができる人もいると思います。また、古来の伝承音楽や伝承物語は著作同一権が主張された形跡がないし、それによって内容と質が「進化」したように思えます。

現在の複製技術と配布技術は、作者が望まない場合でも「改良」と「配布」を容易に可能にします。

この仕組みの内、前者の改良は、自分が音楽提供者ならば許しがたいものに思えます。作者が望む場合の「オープンソース」は結構と思いますが、、、。

gnutella的世界には、オープンソースを望まない人を強引にオープンソースの世界へ引き込むという側面があるように思えます。

音楽ネットビジネスの産業モデルの問題として、
著作財産権をどう確保するか

著作人格権をどう確保するか
を別の問題として考える必要があると思います。

少なくとも現在の内容の著作権財産権を認める必要はないという音楽産業に関する価値観に基づく運動としての「音楽コピー配布運動」が存在しえると思います。

自分個人はこの運動に一定の共感を覚えます。「ただでコピーされたら音楽を提供する人がいなくなる」という一部の音楽産業関係者の発言は妥当性がないと思っています。音楽をつくったり、つくった音楽を聴いてほしいという欲求は人間の根源的欲求のひとつですからお金が儲からなければ提供したくない人が音楽提供者から抜けていっても音楽産業自身はなくならないと思います。

ただつくるのにコストがかかる場合にそのコストをだれが提供するかという問題は残ります。産業モデルにおいて、「製品の提供者のインセンティブをどう確保するか」という問題です。

ところで、「著作人格権を認める必要はない」という価値観に基づく運動があるとしたら私は断固反対です。ただし、「作者が著作人格権を放棄した場合には、それをオープンソースとして利用できる」世界は許容されるべきだと思います。

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From: 松本 功  2001/2/1 9:43
Subj:【17】作り手の生存権 
松本功と申します。ひつじ書房という小さな言語学出版社を経営して、11年になります。出版の世界のいろいろなことを考えている内に、「作り手の生存権」という考えに至りました。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、「投げ銭システム」というものを提唱しており ます。

去年の夏に劇作家の平田オリザさんを含めた鼎談を行いました。その中で、平田さんは面白いことを言っていました。劇の場合ですが、劇に入場料をはらって、見に行く ということは、世界的にも歴史的にもほとんどまれなことではないか、というので す。

日本の場合には、江戸時代に歌舞伎というものがあり、木戸銭を払ってみるという経済と文化が成立しました。このような例は、欧米の近代にあるだけです。

演劇のもっと普遍的一般的な姿は、自分もやるということではないかと彼は言います。そもそも、村歌舞伎というのは、(家長の直系しか参加できない場合もあるという問題はあるにしろ)、村人が木戸銭ではなく、自分の持ち出して、演じるものでした。古代ギリシャのアゴラで行われた演劇には、市民は数年に一度は、コロスに参加しないといけないという義務がありました。市民は、アテネを運営する「税金」は払っていたでしょうが、入場料は払っていたでしょうか?

(お金を払って)見る人と(お金をもらって)作る人が、分かれたのはそもそも、おおざっぱに言って、近代以降であるわけです。

私は、コンテンツを作る人間よりも、箱や線を作る人しか、生きていけない仕組みはおかしいと思っていますが、歴史的に見れば、コンテンツを作って、売るだけで生きていけるということの方が、まれなことではないのか、と思っています。

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From: 本荘 修二  2001/2/1 11:01
Subj:【18】携帯電話 〜 ドコモの503シリーズ
本荘事務所/ジェネラルアトランティックの本荘修二です。

関口さん(発言【7】)、同感です。欧米との比較感で言えば、iアプリもそうですが全般的に日本はコンシューマー用それもエンターテイメント系に過度に集中しています。欧米ではビジネス・アプリケーションへの動きが強く、逆に見ればコンシューマー用は日本と比べて稚拙であり努力の量も小さいです。ファミコン以来のゲーム機の成功に続いて日本のケイタイ・エンターテイメントはかなりの域に達するでしょう。一方、欧米ではPALM用のアプリ開発に数千社が取り組んでいますが、ビジネスや生活用のものがほとんどです。

この背景の一つに業界構造があるようです。キャリアからすればトラフィック(パケット通信量)の最大化を狙うことになります。すると多数のユーザーに普及させ、彼・彼女らが沢山つかうものを提供すると、自然に現在のドコモのようにコンシューマー・エンターテイメントが最優先で、ビジネス・アプリなどは後回しになります。欧米と比べて、圧倒的に少数のキャリアのコントロール・影響力が強い日本では、多様なプレイヤーが様々な試みをする欧州などとは異なる発展をしていくのでしょう。

しかし、503にしてもSSLやエージェント機能などビジネスや生活に役立ちそうな特徴が加わりました。画面も大きく見やすくなっています。地図情報やグループウェアなども進歩するでしょうし、更に発展したものが色々出てきて欲しいものです。欧米は力のあるパッケージ・ソフト会社が多数あるのですが、当面は日本は個別ニーズへのカスタム開発でしのいでいくのかもしれません。

とはいえ、3Gでは通信速度は速いが一説によると日本では通信料金が高いそうで、圧縮技術なども使うのでしょうが、いずれにせよ負担力のあるビジネス用途を開拓するのが不可避でしょう。欧州ではキャリアが政府に支払う3Gのライセンス料が、ユーザー1人あたり10万円前後という試算をきいたことがあります。日本はそれがない分、単なるキャリアの直接目的だけでなく、ユーザー利便と業界発展に努力していただきたいと願います。

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From: 山本 雄大  2001/2/1 11:27
Subj:【19】携帯電話 〜 情報を取得・蓄積し、後から見られるように
大和証券グループ本社の山本です。

中野さん(発言【6】)はバリアフリーの点からお書きになっていますが、健常者にも便利なものとなると思います。

昨年、東芝さんの展示でBluetooth内蔵の携帯電話のデモを見たことがあります。このときは、携帯の小さな画面では見にくい情報を家庭用テレビの大画面で見やすく表示するとか、携帯電話をリモコン代わりにするといったものでした。

たとえば、これを全携帯電話・PHS業者間で規格化して、町中のいろいろな情報を取得・蓄積し、後から見られるようになると、便利かと思います。(もちろん、読み上げ機能があれば、視覚障害者対応が出来ます)

たとえば、京都のお寺などで仏像を見ているときに、携帯電話のボタンを押すとそのお寺や仏像の縁起とかが記憶されて、後で家に帰ってから、PCやデジタルテレビでゆっくり見たり、関連するホームページを検索できれば、旅の想い出の整理も出来るし、修学旅行のレポートも簡単に書けるでしょう。

あるいは、町中で気になった店の前でボタンを押すと、店の名前や場所、電話番号等を記憶してくれる、など。

携帯電話そのものの機能からは外れますが、腕時計よりも肌身離さず持つものになりつつありますので、このような機能もいいかも知れません。

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From: 藤原 洋  2001/2/1 11:53
Subj:【20】ユビキタス+ブロードバンドで世界が変わる
IRIの藤原です。

1.IMT-2000の評価。何を期待するか、何が問題点か、ポストIMT-2000論議を開始すべきなのかなどの議論:

IMT2000の伝送能力は、基地局内静止時MAX2Mbps、移動時MAX384Kbpsということであってこれだけでブロードバンドであるという誤解と過度な期待は、避けるべきである。むしろ、64Kbps相当のモバイルコンピューティング環境という認識に立つべきである。今日の携帯電話は、音声通信のモバイル環境と低速のiモード環境を実現したように、IMT2000は、コンピューティングのモバイル環境を実現するものである。従来のPHSは、64bKbpsは可能だが、真のモバイル環境を提供できなかったし、IMT2000は、国際標準であるという点が、大きい。これは、音声通信においても画期的なことである。

問題点は、設備投資に見合うユーザーを獲得するシナリオが明確でないことである。そのためには、携帯電話の延長線ではなく、モバイルコンピューティングのユーザー層を新たに開拓する必要がある。これは、固定接続のブロードバンド・インターネット・ユーザー層の開拓と密接に関係していると考えられる。 

2.FTTHとディジタル地上波放送についてその功罪と実現への期待についての提言、映像コンテンツは日本を救えるのか、そのための環境つくりへの技術施策は何か:

FTTHとディジタル地上波放送に真剣取り組んでいるのは、日本だけである。これは、国際的に見れば、見当はずれなことをしているか?一気に世界をリードする足がかりになるかのどちらかである。どちらに転ぶかを議論する前に、日米の市場環境の相違を再認識すべきである。アメリカのような完全に民間主導の市場原理では、おそらくインフラ張り替えは、立ち行かないだろうが、日本の通信と放送は、現実として民間の市場原理というよりも、国営事業体によって主導されていることが、アメリカとは大きく違う点である。また、もう一つの日本の特長は、国土面積、経済力、および人口密集度との相関である。携帯電話事業が、アメリカに対して効率的なのは、電波オークションのほかにこの設備投資効率の違いが大きく影響していると考えられる。同様に、FTTHとディジタル地上波放送についての市場環境もこの点に着目すべきであると思われる。

以上のような前提において、「功」は、国家あるいは国営事業体主導の強力なリーダーシップによる国際競争力の確保の可能性にあるし、「罪」は、純市場原理で行うには、重すぎる通信と放送のインフラ更新であるといえる。

映像コンテンツが日本を救うかは、確証はないが、アニメ、ゲーム、カラオケなどの娯楽コンテンツにおける日本の実績から想像するに、アナログ時代のハリウッド映画コンテンツの優位性が崩れ、デジタル時代の新たな娯楽映像文化が日本から創出される可能性は、大いにあり得ると考えられる。

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From: 中村 伊知哉  2001/2/1 12:09
Subj:【21】政府の役割 〜 国と政府の位置づけについて
MIT中村伊知哉です。

日本の政策は中央政府の独占状態ですが、例えばアメリカだと、連邦政府でのIT政策の筆頭といえば司法省だし、もちろんFCCやFTCといった議会系の機関や議会自身も立ち回るし、裁判所も出てくるし、州政府の通信規制権限もパワフルです。

この分科会のスコープは恐らくこれらをひっくるめた「官」ということなのでしょうが、デジタル分野で官が果たす役割と、官の中で政府が果たす役割という区分には、ちょっと気をつけて議論を進めたいところです。

以前、議論の中で、「それは行政問題じゃなく政治問題じゃないか」ということを私何度か申し上げたんですが、たぶん今回もそういう問題に立ち入らざるを得ない気がしまして。

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From: 山本 雄大  2001/2/1 13:25
Subj:【22】IMT-2000の評価
PHSが負けたのは、本来のキラーコンテンツである「音声通話」機能が貧弱、(屋内や移動中の車で使えなかったり、よく切れたり、そもそも通話エリアが狭い)であり、携帯電話料金の値下げとも相まって、勝負がついたと考えます。その後、エリア拡大、64k対応、さらに、H"など切れにくいものとなりましたが、時既に遅しという感じです。

しかし、大都会でビジネス用(プレゼンテーションやデモ、電子メール)に利用するにあたっては、まずまずのモバイルコンピューティング環境を提供しつつあると考えます。(もっとも、利用するに当たっては、窓際に陣取るか、中継アンテナを要する必要がありますが)

実は、IMT-2000に関しては、同じような理由で心配なことがあります。

つまり、2GHzという周波数帯では、電波の性質上、ビル陰やビル室内の窓から離れた場所では、使えないのではないかと思っています。つまり、キラーコンテンツである音声通話が貧弱ではないかと。(PHSよりは送信電力が大きいので、ましだとは思いますが)

こうなると、ブロードバンドやモバイルコンピューティングどころではなく、一般の音声通話を重視するユーザーは、800MHz帯の従来型PDCに残るか、同じく800MHz帯のcdma系に流れてしまう様な気がします。(それとも、通話用のPDCとデータ通信用のIMT-2000を両方持ち歩く?)

cdma系については、cdma2000であれば、とりあえず144Kbpsぐらいは出せそうですが、ブロードバンドとは呼べないですよね。

コンテンツやビジネスモデルを考える前に、仕組みの方が大丈夫か気になっているのですが、どうでしょうか?

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From: 加藤 良平  2001/2/1 13:37
Subj:【23】著作財産権と著作人格権
情報ハブの加藤と申します。

ホームページ制作やメールマガジン制作で食いつなぎながら、エンタテインメント情報の制作・配信やパーソナルIT支援のビジネス化を行なっています。

さて、「著作財産権」と「著作人格権」に分ける考え方は非常に有効だと思いますが、今回は、ちょっとした関連情報のみのコメントです:

先日レコード会社から話を伺ったサマンサ・マンバという女性シンガーは、ホームページの中で、DJ希望者が自由にミキシングできるよう、曲の一部を積極的にダウンロードさせているとのことです。 (個人的に行なうことだけが許されているのかもしれませんが)サンプリングはともかくリミックスは「著作人格権」をかなり侵害しそうな気がしますが、アーティストによってはここまでOKという人もいるようです。

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From: 本谷 知彦  2001/2/1 14:07
Subj:【24】携帯電話 〜 コンテンツの性質比較
大和証券グループ本社の本谷(もとたに)と申します。同社ネット戦略室にてビジネス側からのアプローチとテクノロジ側からのアプローチの接点を見出しつつ日々証券ビジネスにかかわりそうなネタ探しをしております。

iアプリでゲームが多いのは、iアプリ用のJavaの特性によるところが大きいような気がしております。SSL等もさることながら公開されている仕様書を見るとやはりグラフィカルに訴求するコンテンツを作りやすそうですね。エンタメ系ソフトハウスが真っ先にこれに飛びつくのもうなずけます。

一方、ビジネス用途の観点から見ると、絶対にJavaでないと利用者に満足いくコンテンツを提供できないといったことはないのではないでしょうか。もちろん便利そうなAPIは見受けられますが。仕様書をながめながら(主観かもしれませんが)私はそう感じました。もっともこのタイミングでのJavaの採用は露出度が高く話題性を提供することはできますが。

Palmのお話も出ておりますが、日本におけるiモードと欧米におけるPalmはその生い立ちや利用者への受け入れられ方、生活への溶け込み方が異なるように思いますので、各々のデバイスにのるコンテンツの性質比較は現段階ではなかなか難しい点があるようにも思えます。

ともあれ、iアプリ登場以前から数は少ないものの既に携帯電話を利用したビジネス用途向けコンテンツは存在し、徐々に数も増加してきております。私もコンテンツプロバイダーという立場であり、このあたりの話は身にしみる思いですね。

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From: 勝川 高志  2000/2/1 14:53
Subj:【25】コンテンツビジネスのモデル
NTTデータの勝川です.もともと技術屋でしたが、最近は、新しいサービスを導入、普及する時の社会的な課題の解明に関心を持っています。

コンテンツビジネスのモデルを考える時、違法なコピーを止められないとすれば、コピーすることがが無意味になる状況を作ってしまうことが有力な解ではないでしょうか。

具体的には、有線放送や寺田倉庫などののアナロジーが考えられます。

1.有線放送のモデル
  定額の料金を払うことで以下のサービスを受けられる。
  指定したジャンルの音楽を指定した人が選曲したものを垂れ流しで聞ける。
  自分が指定した局をその順番で聞ける。
  自分が指定した局を聞ける。

2.寺田倉庫のモデル
  定額の料金を払うことで指定した局を聞ける。

これらではコピーは自由だが、コンテンツを手元において管理する煩わしさより、定額の料金で代行してもらったほうが楽だというコンセプトです。有線放送屋さんとクリエータの間の権利、対価のやり取りは市場原理でよいのではないでしょうか。

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From: 松武 秀樹  2001/2/1 16:23
Subj:【26】P2Pの考え方
SynthesizerとComputerで作曲/編曲/音楽制作をしている松武秀樹と申します。私は著作権者、著作隣接権者の立場から発言させていただきますので 多少アーティスト特有の偏見じみた意見があるかも知れませんが御容赦ください。 

2年前に坂本龍一氏、冨田勲氏、河口洋一郎氏、他数名のアーティストと共にMAAという組織を結成しました。(現在は散会しています) 結成目的はアーティストの著作権勉強会、および仲介業務法(著作権管理事業法)改正に 対する要望意見書提出が主な目的でした。 要望はすべてではありませんが、「競争原理の導入」などほぼ達成できたと思っています。 

そこで國領二郎先生の御提案について述べさせていただきます。

P2Pの考え方〜

■感想
僕は著作権者/著作隣接権者としてナプスター社が行っている一連の行為には反対です。しかしながら、同社とインターネットの特性から「P2P」の価値観は明らかに「一つの在り方」として広まり、これは避けられなく、消滅はありえないという見解です。では何がいけなくて、何が良いことなのでしょうか?まず、P2Pという概念・技術自体は、ネットワーク技術が生み出した新しい概念で、ポイントは、「分散された情報の共有」「ダイレクトコミュニケーション」にあり、これらが新しい何かをもたらしてくれる可能性も多々にあり、ビジネスの可能性においても同様で、この概念自体は悪くはないと思います。(MP3の技術も同様です) 

次に、P2P間で「著作物が交換されている」事ですが、これは友達に「このCD聴いてみ?」というCD交換をしている、と解釈する方もいますが、ネットの間では、「パッケージを貸す」(レンタルCD/私的録音録画補償金などで保護)のではなく、「楽曲データを複製」して受け渡しします。金額発生はしません。それゆえ、音楽ファイルが交換され広まるという事は、音楽の流通経路となっているという 解釈にもなり、現状でのそれはレコード屋からCDをもってきてる行為(窃盗)と同じといえると思います。ところが、リスナーにとっては「交換」という意識でしかありません。これが大きな問題です。同時にもっと大きな問題なのは、これらの環境がもたらす、リスナー間の「音楽はタダだ」という意識の発生です。 

幸い、日本では、まだこの「価値観」はコンシューマーレベルで浸透していないように思えます(?)し、音楽配信サービス自体もまだ初期段階(商売として成立していない)である為と解釈します。が、やはりGnutellaをはじめとするファイル交換サイト、音楽ダウンロードサイト等、U.S勢の日本進出は今後ますます増えると思われます。同じ「価値観」をこの国で行うのは、いろいろな意味で難しいと思いますが、ファイル交換の他、IT企業の資本パワーで楽曲を集め、垂れ流す、という安易な行動をとられては、コンシューマの音楽に対する倫理観をまちがったものにしかねません。また、すでに始まろうとしている携帯端末機で音楽が自由に扱えるようになった時、事はさらに重大な問題になると予測してます。
その浸透スピードはナプスター以上ではないでしょうか?
そんなに先の事でないと思います。

インターネットの進化、価値観の移行に、法が追いつくとは思っておりません。(国はまだ自分達の作った機構を第一に保護しています)仮に追いついていたとしても、それらを無視(ハッキング)する世界は消えないと思います。 

■対策
まず、P2Pを音楽の流通経路という視点で捉えてみます。
100人がCDを買ったのではなく、1人が「CD」を買い、99人がその人を経由して無償でその音楽を手に入れる、という図式です。 まず、CDをファイル化し、ダウンロード可能にしている事は違法行為ですが、自分の ホームページでやる人はまずいません。ところがナプスターのような「ツール」があれば、「水面下」でこれを行ってしまいます。

しかしながら、「ある人(場所)を経由して、音楽が散弾銃の玉のように広がっていく」特性を逆に捉えてみれば、自動流通という概念にすることもできると思います。これが「違法」に行われている事が問題なのですが、権利者を尊重するモラルの上で、権利に対するフィーが支払われ、法的にも「合法」ならどうなのでしょうか?
上記の99人が、一連のプロセスを経る際、購入行為に変わる「何か」を行う、(企業広告を必ず見なければいけないとか.....)もしくは、それらを自覚した上で一連のプロセスを実行し、結果的に何らかで 著作者へのフィーが自動的に支払われる、等ができるとか、お金を払ったとしても、無料コピーし放題のそれを上回る利益がある、「合法」なサービスがあったらどうなのでしょうか? 

P2Pでの違法行為に対する現在考えられる対処として、
1、P2Pでの音楽ファイル交換を法的に阻止する。(処罰を行う等)
2、P2Pでの音楽ファイル交換を技術的に阻止する。
3、P2Pでの音楽ファイル交換を阻止するのではく、P2P自体は肯定した上で、正しく著作権が守られ、アーティスト、音楽事業者、コンシューマに有意義な方法を模索する等が考えられます。1は困難に思われます。

2に関してですが、違法交換の最初の音源がCDから取られていることを考えると、
・なんらかの技術的仕組みで、CDそのもののコピー(デジタイズ)を制限する
・ファイル交換自体を技術的に制限する
・ファイル自体にセキュリティをかけるが考えられますが、次から次へと「抜け道」を作ってくぐり抜けるハッカーとの追いかけっこは、永遠に続くのかもしれません。(現にSDMIのコピーガードは破られている)

3に関しては、P2Pを音楽を広める為の有効手段と考えた場合ですが、
・音楽制作事業者、著作権/著作隣接権者に相応の印税が入る仕組み(送信可能化権)
・同一性保持権
・CD等、既存形態及び既存流通との共存
・法的解決
・モラルの定着>>これが一番重要です>>幼稚園、小学校から教育すべきです。  (窃盗はいけないと教育されているはずです!!)
等が課題であり、技術的解決とともに、ビジネスモデル的解決とモラルの定着が必要と思われます。これは今、cIDfなどで検討されているソリューション完成に大きな期待を持っています。 

個人としては、これから登場するかもしれないP2P以上の未知の音楽流通スタイル(http://aimster.com/など多数)を含め、これを「新しい形態」と視野に入れた上で、できるだけ建設的に、各方面にとって利益のある構造への解決に非力ではありますが努めたいと思います。 

また、これはすべてに対していえる事ですが、ユーザーの利便性や法的解釈 ばかりが議題となって取り上げられる事が多い昨今が、アーティストサイド、音楽制作事業者サイドの利益なくして、健全な音楽文化はありえないと思います。この「アーティストありき」での音楽環境を、コンシューマ、IT事業者ともに誤解の ないようご理解いただく必要があり、そういった機会と場所が必要と考えます。つまり作品(著作物)を創作した人への感謝の気持ちを持って欲しいと思います。無から有を創り出しているのだから.....。

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