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セッション2

「電子商取引が切り開くネットワーク経済」


日本の課題2

From: 三石玲子
 Subj:【11】人と組織の問題

いつも悲観論なのでたまには楽観論に転向しますと・・・

1)通販ごっこのイキを出なかった中小電子商店の人たちが、サイバー専業やシステム整備に本格的に乗り出してきた〔楽しみ・・)
2)日本でもgarden.comに負けないような本格的な専門/community型ショップが登場してきた(superfishing.comここは必見)
3)サービス分野では本当に使いやすい店が沢山出てきた
4)内緒ですでに数十億円直販で売っているという噂のメーカーも出現(オフレコらしい)
5)企業のマーケティング的な活用を目指すホームページは先端派と旧来派に二極分化。先端派のレベルはアメリカのそれにヒケを取らない

ただ初期投資2億、月商2百万で縮小を表明した某モールがある一方初期投資数十万、月商数百万の中小電子商店もあるわけで、この差は熱意、センス、必要なハンコの数、フットワーク、トライアル&エラーの精神にあるのかな・・と思ったりするわけです。つまるところ、センスとcreativityという(それを生み出す背景も)人と組織の問題にある、というのがワタシのようなフリーランスのヤジウマの見解です。


From: 種村 貴史
 Subj:【12】ベンチャーが勝てるか?

■要約
ベンチャーに期待したい気持ちは私も同感なのですが、ベンチャー小僧が日本で新しいしくみを作り上げられるのでしょうか?このあたりを有識者の方に、是非お聞きしたいと思います。

■詳細
三石さん【11】も仰っていらっしゃいましたが、現在、日本のECの成功例は、中小ショップが多いようです。彼らは、ショップ同士の連絡を密にしており、何人かのエキスパートがしくみを次々と伝授しています。しかし、このようなショップは彼ら自身のバーチャルショップを組み立てているだけで(実際、本当の店舗を閉めて、バーチャル一本に絞っている例もありますが)、新しいしくみを作ったわけではありません。

NIKKEI NETでも、ECを検討する時に米国の例を参考にいろいろ考えてみました。たとえば、トラベルサイトは第一候補だったのですが、どうしてもJRの壁やエアラインチケットの共通コンピューターシステムがないので、難しいと旅行代理店から言われてしまいました。このあたりも、ベンチャーがこのような新しいしくみを作ってしまえば、そこと提携するだけですむので、楽と考えたわけです。

磯崎さん(電子マネー・決済手段【12】)の要約にもあった、

磯崎哲也
・社会全体で見て、そのECの背中をぽんと押してやるのは、ベンチャー的な取り組みであり、そのベンチャーの背中をおしてやるのは、キャピタルゲイン等を含めた「ストック」面の整備が非常に重要だろう。

にも、大賛成です。インターネットビジネスは、まさにこのような背景なので、日経もヤフーのようなベンチャーとは、まともに勝負できないと思っています。日経らしさを出すようなウェブ戦略を立てないと、ベンチャーにはかないません。

磯崎哲也
ヤマっ気のある街のベンチャー小僧みたいなやつの方が向いているんじゃないでしょうか?

は、よくわかるのですが、彼らがいろいろな規制や慣習を破っていける雰囲気が今の日本にあるのでしょうか。このあたりが、私のような若輩者には、一番わからないところです。


From: 磯崎 哲也
 Subj:【13】「証券市場」は「競争促進」すべき

■要約
・日本のECの議論及び証券市場の活性化には、ともに「競争促進」という考え方を取り入れることが必要だ。これには、ネットワークインフラの議論などが、大変参考になるはず。
・証券取引は、「元祖サイバービジネス」といえる。その構造も、「ネットワークインフラ」とのアナロジーで考えると理解しやすい。
・証券市場における、さまざまな「エージェント」の発達は、ECにも示唆的だ。
・証券市場の発達の好影響は、何もECに限ったことではないように見えるが、ECにもっとも強く作用するし、日本における発達のきっかけ(オンライン証券取引)自体が、最も規模の大きいECビジネスの一つになるだろう。

■以下、詳細

【10】小池良次
ちなみに、本日ニューヨーク証券取引所(NYSE)のリチャード・グラッソ会長の講演を聴いてきました。

証券取引は、会社その他の「価値」を「記号化」し、それによって取引のしやすさを高めるものなので、「元祖サイバービジネス」みたいなところがあります。物流などを考えなくていいので、一種、ピュアな「真空状態での実験」のようなもので、一般のECにも多いに参考になる現象が、多々見られるんではないでしょうか。

【10】小池良次
1)証券市場の国際化
NYSEは来年中ごろから取引時間の大幅延長を導入するそうです。なんと朝5時から深夜0時までの3シフト制だそうです。その理由は証券市場の国際競争に勝つためだそうで、今後は南米や欧州企業のNYSE上場を積極的に取り組んで行くそうです。(残念ながら彼の口からアジアも日本も出ませんでした)

また本国で資金調達に不自由する海外の優良企業はNYSEを使って資金調達ができる一方、「現在どんどん増えている大衆投資家へ付加価値の高いサービスを提供するためには国際化が重要だ」とも述べていました。

そうですね。結局「好ましい"競争"をどう導入するか」ということが重要なわけです。日本のECの議論に欠けているのも、この「日本のEC全体として、どういう競争状態を作り出すのか」という点なんではないでしょうか。同じ情報通信でも、ネットワークインフラの方は、ADSLなどラストマイル問題や、IPベースの高速バックボーンなど、「競争」という観点抜きでは語れなくなりつつあります。

また実は、(アメリカの)証券市場も、
ラストマイル←→顧客とのインターフェイスを取り持つブローカー
バックボーン←→証券取引所や民間の場外取引業者
といったアナロジーで見ると、全体の構造は、ネットワークインフラと非常によく似た構造になっているんです。

しかし問題は、今までの護送船団方式のおかげで、日本の金融界には、こうした「競争促進」といった観点から全体をグランドデザインできる方が、非常に少ない、ということです。日本でも、通信インフラビジネスに関わってらっしゃる方は、アメリカのビジネスの動きやFCCの政策を見ていて、こうした「競争促進」というセンスがおありになる方が非常に多いと思いますが、日本の金融界で、アメリカの証券市場の競争のダイナミズム、規制等についてよく理解している方は、はるかに少ないと思います。こうした情報通信産業の「競争」のセンスを、なんとか証券市場の発展に生かす方法がないものか、と思います。

【10】小池良次
この発想はアメリカでもう直ぐ機関投資家と大衆投資家の比重が逆転するからでしょうね。

ここは、ちょっと注意が必要ですね。 実は全世界的に、株式市場は、機関投資家の投資の比率が高まる「機関化」と呼ばれる現象のほうが進んでいるんです。確かに、個人投資家がオンラインで取引しやすくなることによって、株式の売買回数等は増えているかも知れませんし、投資に興味のある人も増えていると思いますが、一方で、投資信託のような「パッケージ」商品で、投資信託を運用する機関投資家を通じて間接的に株式市場に関連するものも多くなっています。今、手元に資料がないのですが、中期的なトレンドとしては、全体の投資元本では機関投資家の比率の方が高まっているんではないでしょうか。

これは、よく考えると、ECにも示唆的です。インターネットの黎明期には、「これで中間業者が不用になる!」「中間管理職がいらなくなる!」というようなことがよく言われました。しかし、実際には要らなかったのは「何もしない」中間業者であり中間管理職であって、末端の消費者や従業員が、全部の情報を全部一人で考えて自分で組み合わせなどを考える、というモデルは実際には動かないことがわかってきたんではないかと思います。

アメリカの証券市場というのは、世界のビジネスの中でも最も競争が厳しいマーケットではないかと思いますが、そこで起こっているのは、「中抜き」ではなく、「競争により、いい中間業者(というか、各種エージェント)が育っていること」だというのは、非常に示唆的ではないかと思います。

【10】小池良次
2)IPOの重要性
また新規上場も(質を落とすことなく)積極的に取り組んで行くそうで、ここ数年でNYSEに上場した企業が5年後には全体の取引の3割前後を支えるまでに成長するだろうとの予想を述べています。磯崎さんのご指摘にある通り、日本の株式(金融)市場の遅れが通信や建設、港湾事業などいろいろな面でデメリットを与えていることは間違いないです。早く日本の証券市場も活性化しないと間に合いませんね。

おっしゃる通り、証券市場の活性化は、何もECだけに好影響を与えるのではなく、他のベンチャーや、銀行の不良債権問題、貸し渋り問題の解決など、日本の抱える多方面の問題を解決する根本的な課題です。しかし、「じゃあ、別にECに限った話じゃ無いじゃん?」ということになりそうな気もするかも知れませんが、

1.ECは、あらゆるビジネスの中でももっとも事業展開のスピードが要求され、フローの利益を出しにくい、「もっとも厳しい」ビジネスのはずだ。このECに「火をつける」要因の整備は、必然的に他産業にも好影響を及ぼすし、ECを立ちあげるには、他産業にもまして、そういった要因の整備が必要だ。
2.その証券市場を変える大きなきっかけが、今年から活性化が予想される「オンライン証券取引」、つまり、広義の「EC」になる。オンライン証券ビジネスは、ECの中でも、もっとも規模の大きいマーケットの一つになる。
というような点から、ECに関係は大有りだと思います。


From: 磯崎 哲也
 Subj:【14】ベンチャーが勝てるか?

【12】種村貴史
■要約
ベンチャーに期待したい気持ちは私も同感なのですが、ベンチャー小僧が日本で新しいしくみを作り上げられるのでしょうか?このあたりを有識者の方に、是非お聞きしたいと思います。

■要約
(「有識者」ではございませんが)、やればできると思います。
・アニメ、ゲーム産業などを見よ!
・鍵は、やはり「ファイナンス」のしくみを作って、参入の敷居を下げてやることなのだ。

■以下、詳細

【12】種村貴史
しかし、磯崎さん(電子マネー・決済手段【12】)が言われた、ヤマっ気のある街のベンチャー小僧みたいなやつの方が向いているんじゃないでしょうか?は、よくわかるのですが、彼らがいろいろな規制や慣習を破っていける雰囲気が今の日本にあるのでしょうか。このあたりが、私のような若輩者には、一番わからないところです。

例えば(よく引き合いに出される例で恐縮ですが)、マンガ家や、アニメ、ゲーム・クリエイターの方々などの産業を見る

と、日本も決して、「工場でこつこつカイゼン的な作業でいい製品を作るのだけが得意で、集団行動しかできなくて一匹オオカミ的な行動が苦手、人まねが得意でクリエイティビティもない」というような人ばかりではないことがわかるんではないでしょうか?

上記のビジネスの大きな特徴は、
・ビジネスの開始に必要となる資金量が、他の産業に比べて少なくて済む。多大な設備投資を必要としない。
・結果的に、競争が極めて激しい。
・その産業にあこがれる人間が多いが、頂点に立つのは一握り。その一握りは、「ジャパニーズドリーム」というくらい儲かってる。
という点でしょう。

つまり日本人も、ちゃんと目の前にニンジンをぶら下げて「競争」させれば、「いい仕事」をするんです。日本で今問題になっているのは、すべからく「競争して来なかった産業」なわけで。で、ECないしはビジネス一般に、日本で最も欠けているサポート機能が「ファイナンス」の側面ですね。例えば、日本も昔は、小津・黒澤をはじめ、世界に通用するいい映画を作っていたわけですが、映画会社間の競争制限行為に加えて、巨額化する製作費用をファイナンスする「リスクマネー」が映画産業に流れ込むしくみがなかったことが、「ハリウッド」が日本で育たなかった大きな要因かと思います。前述のような産業は、資金量がそれほど必要ないだけに、ファイナンス・ビジネスの未発達な日本でも発達しえたのでしょう。

デファクトスタンダードになるOSとかCPU、プロトコルなどの、「超ロジカル領域」が日本人に向いているか、というような観点になると話はまた別でしょうが、ここでの話は「EC」です。「EC=電子決済、暗号、認証システム」というような「超ロジカル領域」に話が行ってしまうので「日本でできるのかしらん」という暗澹たる気持ちになるかもしれませんが、「それらを応用したビジネス」をするだけなら、一般に、日本でできない要因は無いと思いますけどね。「規制」とか「言葉の壁」なんてのは、枝葉の話だと思います。


From: 村田 初穂
 Subj:【15】ベンチャーが勝てるか?

■要約
ECのような新しいベンチャービジネスの資金を集めるには、株券だと思わないで、宝くじだと思って、買うような気分が必要です。

■詳細
私の大学の恩師のお話の受け売りです。ベンチャーのようなビジネスに大規模な投資ができるのは、王族や大金持ちのように、数百億円の資金を、気に入った事業に投資して、失敗しても、財政に影響の無いような人たちが沢山いるような社会なのだとのこと。自分のリスクと責任で、お金を捨てたのであれば、あきらめることもできるし、逆に、事業への見通しの善し悪しの自己責任が取れるのだと。これが、政府や官僚が投資することになると、決断の責任の取りようがないのだと思います。

これを、もう少し、大衆のレベルまで拡張した株式市場がうまく形成できれば、資金の収集が容易になるのでしょう。でも、こんなにリスクの多い事業への投資に失敗したとき責任を取れるサラリーマンが日本の会社や銀行にはいないはずです。ならば、思い切って、新しいインターネット関連のECのような事業への投資は、株式を購入したと思わず、宝くじを購入したのだと思ってあきらめるのはどうでしょうか。事業が成功する確率も似たようなものだと思うのですが。


From: 磯崎 哲也
 Subj:【16】ネットワークの発達は追い風

■要約
・事業への投資は、宝くじと違い、「情報」の使い方の巧拙によって運用成果が変わってくる。ネットワークの発達で、この情報の流れ方も従来とは異なってきている。(株式版「顧客間インタラクション (c)国領二郎」、等)
・ネットワークの発達で、個人でもベンチャー的な企業に投資できる下地は着実に整いつつある。

■以下、詳細

【15】村田初穂
私の大学の恩師のお話の受け売りです。ベンチャーのようなビジネスに大規模な投資ができるのは、王族や大金持ちのように、数百億円の資金を、気に入った事業に投資して、失敗しても、財政に影響の無いような人たちが沢山いるような社会なのだとのこと。

そうとは限らないと思いますよ。本日の日経朝刊1面の「米ネット金融時代」にも載っていましたが、アメリカのWIT CAPITAL (http://www.witcapital.com/)がやっているオンラインIPOなど、ネットワークを使った新しい試みも出てきています。Wit社は日本への進出に意欲的ですし、日本でもこういったしくみが登場する日も、遠くないかも知れません。

株式非公開の段階から大金を投資するというように、いきなり大上段に振りかぶらずとも、「株式公開の時期を早める」「株式公開時に株を買う層を大衆に広げる」「ネットでブックビルディングすることにより公開価格を引き上げる」「株式公開時の引受手数料を引き下げる」などの働きも、ネットワークを使った証券ビジネスの効果として考えられます。こうした「ボディーブロー」が効いてくれば、非公開会社への投資自体も、リスクは小さく利回りは大きくなって経済合理性も出て、金がベンチャーに流れ込むようになってくると考えられます。

【15】村田初穂
自分のリスクと責任で、お金を捨てたのであれば、あきらめることもできるし、逆に、事業への見通しの善し悪しの自己責任が取れるのだと。

個人でも、ベンチャーキャピタルや投資信託的なサービスが間にかんで、小さい単位から投資ができるようになれば、全体のポートフォリオの一部に組み込むことは合理的になります。普通の人でも10万円くらいなら、それこそ宝くじ的な楽しみでそういうファンドが買えますよね。また、日本のベンチャーの市場は、幸か不幸かまだ非常に小さいですし、大企業のように1社で数千億円、数兆円のお金がいるということもありません。数社まとめて数百億円くらいのファンドでもあれば万々歳です。

【15】村田初穂
これが、政府や官僚が投資することになると、決断の責任の取りようがないのだと思います。

取りようがないですね。銀行も同じですが。決して「お金持ち」でなくてもいいですが、「個人」がリスクを負って投資する金の流れを作らないとだめだと思います。既存のベンチャーキャピタルも、銀行から資金調達をしている限り、マクロ的に見た構造は銀行が金を貸しているのと変わらないわけです。

ベンチャーキャピタルの経営が悪化すれば、それは結果として銀行の不良債権になり、結局はそれは国民の金で穴埋めされますが、その意思決定のすったもんだの期間、経済は停滞してしまいます。個人でやっても損するときは損するわけですが、その損は「スパッ」と一時点で確定します。マクロ的な構造として、上記のように巡り巡って国民にツケが回されるというドロ沼の状態がいつまでもダラダラ続くということがありません。

【15】村田初穂
これを、もう少し、大衆のレベルまで拡張した株式市場がうまく形成できれば、資金の収集が容易になるのでしょう。でも、こんなにリスクの多い事業への投資に失敗したとき責任を取れるサラリーマンが日本の会社や銀行にはいないはずです。

「会社」がリスクを負って投資しなければいいわけですね。

【15】村田初穂
ならば、思い切って、新しいインターネット関連のECのような事業への投資は、株式を購入したと思わず、宝くじを購入したのだと思ってあきらめるのはどうでしょうか。事業が成功する確率も似たようなものだと思うのですが。

宝くじの場合、完全に確率的な過程によってリターンが決まるわけで、宝くじ購入者がそのプロセスに関与することは全くできないわけですが、事業への投資の場合「その事業を見る目」に大きく関わって来ます。「おれは、半導体関係のサラリーマン技術者で、半導体については、ちょっと人よりは詳しい。今度、Aという半導体技術関連の会社が公開するが、ここの技術は(世間ではまだ気づいているやつは少ないが)、かなりイケてる」というような、判断ができれば、投資の成功確率は高まるかもしれません。

また、こうした情報をベンチャー的な企業から、一般の個人投資家に流すことは今までは相当なコストが必要でしたが、それこそ現在ではホームページでも作れば簡単です。また、アメリカでは、
http://www.techstocks.com/
のような、個人投資家どうしで情報交換をするサイトも人気です。(国領先生の用語でいけば、「顧客間インタラクション」ということになるんでしょうか。)

一般に、小さい企業になるほど、プロのアナリストが個別の企業について調査する効率は悪くなります。そういうばあいは、こういうサイトで技術オタクがいろいろ言ってるのを見る方が、へたなアナリストの意見を聞くより参考になるかも知れません。 ということで、インターネットなどの活用により、ベンチャーに資金が流れるしくみを作れる下地は、着実にできてきているといえます。


From: 校條 浩
 Subj:【17】政府自身が情報化すべき

関口さん【2】に同感です。景気刺激策にしても、ばら撒き予算や商品券などではなく、例えばEC関連の情報通信費を時限付きで補填するなどいくらでもできる、と思います。これはナイーブな考えでしょうか?

【2】関口和一
「日本の課題」というと漠然としていて申し訳ありませんが、この際、思いつく問題点を皆さんですべて出し尽くしましょう。
(中略)
私は90年から94年までワシントンにおりまして、ちょうどクリントン政権の誕生や、情報スーパーハイウエー構想の登場を近場でみておりましたが、日米の最大の違いは政府が情報化を戦略としてしっかり打ち出したかどうかの差だと思います。お金がないのは、日米とも同じですが、日本は電子商取引について通産だけでも500億円もの予算をつけ、従来の箱物行政的な形をとったのに対し、米国はあまりお金をかけず、大統領府が中心となって情報化に必要な規制緩和や仕組み作りの方に力を入れたようです。

具体的にいうと、
(1)文書削減法(PRA)
政府の文書を極力減らすことをうたい、IRS(内国歳入庁)の電子確定申告などが大きく進んだ。連邦政府職員の25%カット計画もこうした情報化をベースに打ち出した。
(2)GSA(政府調達庁)ルール見直しによる電子入札の推進
GSAの調達ネットである「FACNET」をインターネットとつなぎ、政府調達は電子入札を原則とした。これにより中小企業などにも電子化の気運が高まった。
(3)電子情報自由法(EFOIA)
米国では1966年に情報公開法を作り、96年には30年後の見直しとして頭に「E(電子)」をつけ、インターネットによる情報公開を促した。SECの企業情報データベースの「EDGAR」などが公開されたのは、こうした背景があり、企業と政府とのつながりがかなり電子化された。

ほかにも例はたくさんありますが、日本の場合は、電子商取引を推進する立場にある通産省管轄のECOMが紙による報告書をたくさんつくらねばならなかったようですが、これは本末転倒というものではないでしょうか。政府は予算をつけたり、電子商取引のスキームを国家プロジェクトとしてやるより、政府自らがまず電子化し、政府と民間の間がもっとスムーズに情報が流れるような形をつくるべきです。

霞が関のワイドエリアネットワーク「霞が関WAN」にしてもようやくメールが交換できるようになったくらいで、各省庁間で電子的に情報交換できるようになるにはまだしばらく時間がかかると聞いています。それから税法の面でも領収書を長期間、紙で保存しなければならないなど、せっかく民間が情報化、EC化しても、政府の存在がそれをじゃましており、二重投資にならざるをえないような状況こそ、ECが盛り上がらない最大の原因だと思いますが、いかがでしょうか。官邸についても「高度情報化社会推進本部」なるものがあるわけですので、もっと積極的に各省庁を巻き込んだ情報化ビジョンを出していただきたいと思います。


From: 校條 浩
 Subj:【18】日本社会の問題点

B to Cに関しては、三石さん【4】に同感。ネクタイ姿のサラリーマンや研究室のスタッフの作ったウェブやコンテントはまずだめです。B to Bではどうでしょうか?

【4】三石玲子
昨年の今ごろ、某社を手伝ってECOMの報告書を1.5メートルも作成しました。その感想も含めて問題点を書きますと・・

1)行政の安易かつビジョンなき関与(昨年の実証実験は見事に成果なし)
2)行政に予算付けをもちかける大企業(要するにどっちもどっちです)
3)決済議論の先行
4)3)に連動したモールという陳腐化しつつあるビジネスモデルへの傾斜
5)3)4)に見られる見事なほどのセンスのなさ、マーケティング不在
6)5)に関しては当事者たちも自らなげいていますが、改善に結びつかない組織的・体質的要因の不思議さ
とにかく、決済をテーマとするモールモデルの横行で、日本のECは3年分位進歩が滞ってしまったように見受けられます。その分、こんな話に関係ない中小電子商店の人たちはやたらに元気ですが。

昨年いくつかの審査員をしました。その感想ですが、日本のウェブのレベルは
non profit>企業のマーケティングサイト>ECサイト
の順のように見えます。non profitのサイトには本当にレベルの高いものが多いですが、いざ金もうけが前面に出ると(企業の看板を背負うと)、センスが一気に消滅するようですね。

磯崎さんのご意見は特にECに限ったことではなく、一般に新市場を形成する上でのベンチャーの役割とその阻害要因ということではありませんか?

【5】磯崎哲也
証券取引と電子商取引が関連あるという認識は、日本のEC関係者の方々の一般的な認識としてはほとんど無いと思いますし、アメリカの方はアメリカの方で、証券市場が発達しているのはあたりまえだと思っていらっしゃるので、この点に付いて興味のある方はやはり少なくいつも説明に苦労します。説明に力が入って、つい長文になってしまいました。


From: 程 近智
 Subj:【19】ベンチャーが勝てるか?

磯崎さんのコメントに一言。

【12】種村貴史
■要約
ベンチャーに期待したい気持ちは私も同感なのですが、ベンチャー小僧が日本で新しいしくみを作り上げられるのでしょうか?このあたりを有識者の方に、是非お聞きしたいと思います。

私もベンチャーに中小のベンチャーに期待したいのですが、日本での電子商取引の拡大を目指すには、当面は比較的潤沢な資金がある大企業のバックを持った企業内ベンチャーや地位と戻る場所があるアカデミアが最近企業と取り組んでいる産学協同プロジェクトなどに期待することに成るのでは。

これらのベンチャー実態は、資本のもっとも効率的な使い方をしていないケースが沢山見受けられますが、残念ながらこれから少なくとも5年くらいは、イノベーションの創出はこのようなベンチャーか大企業からではないでしょうか?ファイナンスの問題、一度失敗したら罰点がついてしまい元の会社などに戻れない、教授になるには長いご奉公が必要など、この景気低迷のご時世、今のポジションを捨てリスクテークする人はまだまだほんの一握りです。

私は20年前に米国スタンフォードの工学部で学びましたが、その時3割ぐらいの教授はビジネス界で活躍していた人、学部長などはベンチャーで大もうけした後、教鞭をとっていました。更に、私が卒業した数年後には、また新しいベンチャー会社を起こし、大学を出て行きました。

これは一般的に言う、シリコンバレーのベンチャー創出のメカニズムの一部ですが、日本はこのような状況に仮に成るとしたら10年単位だと思います。私の知り合いには、企業内ベンチャーや産学協同ベンチャーなどと比べても技術、ファイナンシング、経営力といった項目で、一歩もひけをとらないベンチャーを営んでいる人は居ますが、本当に超少数です。 ベンチャー成功の確率は100に2つか3つと言われています。 従って、絶対数が必要です。 また国としてのTRY And ERRORの学習の回数も必要です。

でも、残念ながら日本でシリコンバレーに近い状況に達するにはあと5年くらいは最低かかります。急ぎたい人は米国に行くというの一つかもしれません。少々夢がなく、現実主義的ですみません。


From: 小林 知代
 Subj:【20】ビジネスライク・ガバメント

関口さん【2】のご指摘通り、米国政府はいかにお金をかけないでECへの取り組み方をもりあげてきたかは重要なポイントだと思われます。特に、米国では、「ビジネスライク・ガバメント」のスローガンのもと、民間企業のようにクリエーティブに「Do More With Less」に取り組んでいます。

しかし、その一方で、次世代インターネット技術へのR&D費を投入し、長期的技術開発の必要性は認めております。思えば、現在の情報技術における米国ペンタゴンの役割は大きく、インターネットはもちろんのこと、タイムシェアリング、EDI、CALSなど、次々に基盤技術の開発につながるような貢献を果たしてきております。国防予算にお金をかけられない日本が、どうやって情報産業をもりたてる仕組みをつくることができるのか、、、これは難しい課題だと思います。

【17】校條貴史
関口さんに同感です。景気刺激策にしても、ばら撒き予算や商品券などではなく、例えばEC関連の情報通信費を時限付きで補填するなどいくらでもできる、と思います。これはナイーブな考えでしょうか?


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