セッション2
「電子商取引が切り開くネットワーク経済」
日本型EC2
| From: | 吹野 博志 |
| Subj: | 【11】オンライン販売ノウハウ |
過去30年近く、伝統的なマーケテイングに携わって来た私にとって今ほど刺激と興奮に満ちたときはありません。ECは開店が終点でなく、出発点でありリアルタイムマーケテイングという実験を経て目標に近づいていく手法は物理や化学のそれに似ているような気がします。従って、アフリカや南米からノーベル賞が取れないのと同様、IT,INTERNET低開発国から革新的なEC手法は生まれないと思います。ミネソタの国領さんのレポートを読み、ますますその感を強くしました。
【10】勝屋信昭
デルコンピュータが、Gigabuys.comというコンシューマ向けのオンライン大型スーパーを開店することを発表しました。デルを追いかけているライバル会社にとって、また、新しいチャレンジが増えそうです。コンシューマー向けの電子商取引に必要な能力は、小売業のノウハウに非常に近いと思いますが、どのような形態がオンライン販売に適しているかという具体的な議論が重要です。
| From: | 市川 明彦 |
| Subj: | 【12】TWX2について |
機会を持ちましたので、日立企業間ビジネスメディアサービスTWX−21を簡単に御説明させて頂きます。要旨:コンセプトは、
「高信頼なグローバルネットワークを構築し、その上にメンバー企業へ全ビジネスプロセスの業務アプリケーション(受発注プロセスのみではない)サービス及びビジネスプロセス管理サービスによる、サイバービジネス空間(場)を提供,その「場」で新事業創造,BPRを達成して頂く」というものです。現在約1,000メンバー(事業所)が利用しています。
元々日立は13年前から資材VAN「HITVAN」を社内及びグループ会社向にサービスしており、このサービスを外販もしておりました。又、経理VAN「HIFINE」も構築,利用していました。これらの専用ネットワークが古くなり、新システム更新の検討から始まったシステムであり、ビジネスです。
当初ネットワークインフラは、ザ・インターネットを想定しましたが、大量の見積添付図面がある、確実に所定の時間内で各種取引データの授受が完了する必要がある等、社内ユーザ部間の要求から、専用ネットワーク網を構築することとし、但し、オープンな調達や小規模ユーザの為にも、インターネットとのシームレスな機能を行なう為にもTCP/IPプロトコルとすることとしました。
現在、既に主として製造業向の製品紹介,見積,受発注,決済(ネッティング計算)の各ビジネスプロセスの業務サービスを提供しています。日立全事業所が、本システムを導入済みの他、社内外約1,000メンバーが利用しています。H12年度末には1万メンバーを想定しています。そうすると、この場でメンバーが他メンバー向へ、新ビジネスサービスを色々提供していくと考えています。
昨年10月からインターネットに接続されたPCのブラウザーから利用するサービスや、VANtoVANサービスでBtoBのみでなくBtoBtoC,BtoBtoBを可能にしました。センターからJAVA等でダウンロードされた業務画面を通じて、必要な、他社の個人宛に業務メッセージを送って、中間を排した業務遂行が出来るというサービスも、日立社内10万人ユーザのメールアドレスのうち、職制改正,人事異動の季節のたびに発注する約1万人のアドレス変更をほぼ1晩でやってのけるディレクトリ管理ノウハウの積重ねがあってのもので、トラブル対策もハード,OSも自ら扱っているので迅速に対応できるのが自慢です。
GEさんがGEISを通してTPNサービスを提供,ユーザであると共にビジネスをしている所は良く似ています。但し、日本で、この3年、BtoBについてユーザ企業に伺うと、対一般消費者向にはインターネットが良いが、業者向は信頼性の面で、TCP/IPインターフェースの専用線を使うという方が圧倒的でした。OBNも追加サポートした所です。以上宣伝めいた説明で済みません。
市川さん【12】から、「TWX−21」の御説明がありましたが、日本型のB to Bの形としては、極めて重要なものではないかと思います。皆さんの評価をお聞きできればと思います。
オンライン会議もとりあえず明日10日(水)の夜で一度打ち切りとさせていただきたいと思いますので、ぜひ、電子商取引についても「日本型ECの提言」「オンライン会議の感想」というスレッドでそれぞれご意見をお願いしたいと思います。
| From: | 小林 一 |
| Subj: | 【14】生活産業から |
日本型ECを考えるときの重要なポイントの一つとして、世界のなかで比較優位(貢献できる)となる分野で集中的、実践的にシステム構築をしてしまうということがあると思います。モンスーン風土という共通性をもつアジアの広いマーケットをも背景に考えると、衣食住・遊全てにわたる生活文化産業はその場合の戦略産業ではないかと思います。
消費者ニーズにきめ細かく対応した、丁寧で本物の商品生産と流通のシステムをインターネットを活用したECの導入により、少なくともアジアの広がりのなかで作り上げるのです。その一例として、発酵産業でもある地ビールの近況を取り上げてみましょう。
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昨夜、カナダ大使館のレセプションルームで、カナダの設備を活用した地ビール醸造所を中心に地ビールの大都市での販売のネットワークを目指す「地ビールギルド」レセプションが開かれ、小生も参加してきました。全国各地から寄せられた地ビールはそれぞれの味わい。本当の生で、濃くのあるのはさすがです。まさしく「地ビールも地域づくり」です。
そこでのビール専門家・稲垣眞美先生のお話によれば、アメリカで地ビールが伸びているのは、バドワイザーなどの量産ビールの味にあきたりなくなったからだそうです。今回の参加者に地酒メーカーが結構おられるのですが、ビール・マーケットと近年の地酒ブームを考えると、もしかすると地酒の蔵元なみの数の地ビールメーカーが生まれてもおかしくないのかもしれません。
前にご照会したように、製造過程でのハイテク発酵タンク技術のブレークスルーがあるので、それにマイスター(今回はカナダの技をもった方=日本人がみえていました。日本酒でいえば杜氏にあたるのでしょう)の技が加わると、大変おいしいビールが割と(地酒と同じくらい)手頃にできるのです。話の肴には最高なので、ローカル需要も十分期待できるのですが、大都市でも地酒と同程度には販促したいというのが関係者の夢とお見受けしました。
現在でも「まぐまぐ」や「楽天市場」で情報が流れ、生産者と消費者(小売店や飲食店も含め)の直接的なネットワークが構築されつつあり、全国展開へと一気に流れが加速するかもしれません。その場合の課題の一つはロジスティックス、「生」の状態で配送、保管する技術とシステムいうことですが、こちらも順次開発されていくでしょう。
というよりそれ自体が一つのEC派生のニュービジネスのタネなのです。蛇足ですが、このレセプションに先行して開催された地ビール製造業者の組合設立に関する日経新聞の記事では、需要頭打ち論が唱えられていましたが、小生はECの進化と急速展開という観点から、上述のように全く別の見方をとるものです。
同先生のお話でなるほどと思ったもう一つは、アメリカでは健康志向ということもあり日本料理がはやっている。ところがどうもお酒がうまくない。何とか地酒の新鮮なやつを飲ませられないかということです。これもネットワークでピンポイントで生産者と消費者(店)を直接つなげるECが有効でしょう。ロジスティックスとして生ものの大量物流を可能とする飛行機=ヘリトラックが開発されれば、かなりリーズナブルなコストで供給できるようになるでしょう。
発酵技術は日本、アジアモンスーン地域の風土技術です。その意味で地ビールや地酒は世界にも通ずる風土産業ともいえるでしょう。生鮮品はもちろんですが、こうした発酵産品を含め生もの商品は、特に情報と物流のネットワークに裏打ちされたECの御利益を受けることが大きいと思うのです。そして、それらを利き分けられる味覚感覚(最近の若い方々はやや怪しいようですが)と職人の技は日本の比較優位(貢献可能)となる立派なコンテンツだといえると考えます。
したがって、この分野で商品の質の認証等についても含め、ちゃんとした、ECシステムを構築できれば日本発世界標準にもなりうると思うのですがいかがでしょう。それにつけても、農村コミュニティ整備も結構ですが、ウルグァイラウンド対策費を本来の農業(食産業)振興のための直接的投資として、EC普及とそのためのインフラ整備に大量投入してほしいものです。
再三同じ指摘ですいませんが。逆にほっておくと、有機食品基準をめぐる動きのように、日本の風土になじまないものが導入され、せっかく築き上げてきた生活文化を壊しかねない可能性すら危惧されるのです。
| From: | 小林 一 |
| Subj: | 【15】ジョンリードをつくろう |
今回の議論、マネー敗戦ともいわれる現在の日本の経済社会の状況をみて、アメリカ社会の強さを改めて感じるところです。小生がそれなりに日米間ビジネス(対日直接投資をめぐってが中心)にささやかながら関わってきたなかで大いに注目するのは、1985年頃からのアメリカの戦略的と思われる動きです。
同年はプラザ合意の年で、これがその後のバブルの発生と崩壊のプロセスのきっかけといわれるわけですが、実は、同じころに二つほど興味深いできごとが起こっています。一つはマックが1984年に発売されていることです。使いやすいパソコンがその後のコンピュータ社会・ネットワーク社会の形成と進化の引き金となったことはいうまでもないでしょう。
もう一つは、ジョンリードが40代でシティバンク頭取としての活動をはじめたこと。1−2年前に「複雑系」ということが日本でも大きな話題となったわけですが、アメリカでの複雑系研究の記録によれば、本拠であるサンタフェでの複雑系の研究に、コンピュータ・電子物理学や生命科学、経済学の最先端の学者達にまじってジョンリードがスポンサーとしてだけでなく自ら参加していたということなのです。
当時大変厳しい状況にあったシティの立場からすれば、世界の経済社会の動きについて、最先端の科学技術から国際関係、コンピュータ取引まで、幅広く複雑系としてとらえ、長期的な戦略を組み立てることが必要だったのでしょう。その後の同社の国際展開はその成果といってもよいでしょう。バブルにうかれていた日本の銀行の頭取達(個人としてでなく、日本システムの象徴として)の当時のパーフォーマンスを思い浮かべれば、その知識産業としての洗練度の差は歴然ということで、マネー敗戦もやむを得ないと思われます。
プラザ合意(政治、経済)、マック(産業・技術)、シティバンク(金融)、三題話ではありませんが、こうした動きがシンクロナイズされ、冷戦の終焉が追い風となって、85年以降の国際経済システムの転換とハイテク進化のなかでのアメリカのヘゲモニーが創られていった。その象徴がジョンリードだというわけです。
日経新聞によれば、日本の銀行の実態を眼のあたりにしたあとで、金融再生担当の柳沢大臣が「日本にジョンリードはいなかった」と述懐したそうですが、至言というべきでしょう。ECをめぐる動きは、マネー戦争(競争)第二ラウンドです。それが実物の経済社会をも直接的に巻き込んでいく点もっとマグニチュードは大きいと思います。
政・官・財・学をあげた業際的、国際的な複雑系の視点での研究と実践の体制を早急に構築し、15年の遅れを取り戻すことです。事柄の基本が市場システムであるということから、金融が大切ということで、リーダーとして和製のジョンリードをつくろうという提言を最後にさせていただきます。
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