セッション2
「電子商取引が切り開くネットワーク経済」
日本型EC1
| From: | 関口 和一 |
| Subj: | 【1】論点の提起 |
それから今週から、新しく「法的課題」「日本型ECの姿」の2つのスレッドを立ち上げたいと思います。法的課題では著作権保護や苦情処理制度、裁判管轄権など、今のECが抱えている問題を整理したいと思います。
「日本型ECの姿」は、どんなコンテンツがECに向いているのか、BTOBとBTOCと、どちらを戦略的に攻める必要があるのか、米国で注目されるサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)や新しいインターネット企業などを参考に日本ではどんなビジネスモデルを立ち上げる必要があるのか、といった点につきまして、皆さんの疑問点や御提案をお聞きしたいと思います。
どうぞどなたでも、御自身の経験をもとにご発言をお願いします。法的課題については弁護士の方、日本型ECについてはコンサルタント系の方、いかがでしょうか?
| From: | 程 近智 |
| Subj: | 【2】チャネルコンフリクトと人材獲得 |
要点:日本のこれからの議論は「Why EC?からHow To EC?」その時のポイントはチャネルコンフリクトと人材獲得
コンサルティングを通じて今一番ホットなテーマは既存の販売方法(仕組み、人材、チャネルパートナー)から新しいインターネットをテコにしたコスト、スピード、パーソナルタッチなどあらゆる面で優れている販売モデルへどのように移行して行くかです。 私たちは、チャネルコンフリクトというテーマで取り組んでいます。 具体的には、今までの売り上げや利益を下げず、如何に取り引き関係や人材を変えて行くかです。
6ヶ月前までは、インタネットの重要性にまだ懐疑的だった企業が多く見受けられましたが、今はそれを疑う企業は皆無に近いです。従って、1999年に入り、議論はWhy EC?からHow To EC?に移りつつあります。チャネルコンフリクトを上手く解決するにはその業種の力学(例えば、小売側、メーカー側どちらが強いのか?)、その企業の業界でのポジションなどにとってこの成ります。Ciscoシステムは上手く既存のディーラーを取り込んだビジネスモデルを作りました。Dellは直接既存のディーラーを排除しました。オフィス用品のプラスの子会社のアスクルは大手企業でなく、まずは中堅企業以下をターゲットにして、依存の大手の代理店や直販ルートとすみ分けをしました。
米国ではベンチャー企業が既存の大手企業に堂々と立ち向かうためのインフラ(KleinerPerkinsなどベンチャーキャピタル、既得権者を出来るだけ作らない法制度、ベンチャースピリットを応援したがる風土)が整っていますが、残念ながらそれが希薄な日本では、既に既得権や商圏の仕組みを持っている大企業がいかに新たなビジネスモデルに早く革新するかに、ECの立ち上がりのスピードがかかっていると思います。
既存プレイヤー対新興プレーヤーのビジネスモデルの戦いで余りにも有名なのが、Barnes&Noble対Amazon.comです。しかし、この裏にはもう一つ、Amazon.comが仕掛けている戦いがあります。Amazon.comはサイバースペース上のイノベーションでは相当自信があるみたいですが、在庫管理やサプライーチェーンマネジメント(SCM)には確固たるノウハウがなく、ここがコスト高要因に成りつつありました。
そこで、97年に世界一の小売業でSCMに強いWalmartの副社長クラスと数名のITの専門家ををヘッドハントしました。するとなんと、一年後の去年10月、WalmartはAmazon.comと後ろ立てとなっているKleiner−Perkinsに対して、この引き抜きの件で訴訟を起こしました。(ちなみに、この頃、Walmartは投資家からIT投資の割には、インタネット販売への戦略が明確でないという批判が起こりました。)
要は、世界一の小売り企業と新興ベンチャーとの間で、人材の争奪戦が米国では始まっており、Amazon.comに見られるようにサイバースペースのノウハウと”リアルワールド”の物流や在庫管理のノウハウを上手く組み合わせることで始めて、最強のITを活用したビジネスモデルが構築できるということです。まだまだAmazon.com対Barnes&NobleやWalmartらの新興企業と業界No.1企業との戦いから目を放せません。
| From: | 関口 和一 |
| Subj: | 【3】論点の提起 |
【2】程近智
6ヶ月前までは、インタネットの重要性にまだ懐疑的だった企業が多く見受けられましたが、今はそれを疑う企業は皆無に近いです。従って、1999年に入り、議論はWhy EC?からHow To EC?に移りつつあります。
程さん、早速の投稿ありがとうございます。この点、私も同感であります。ずっとECの動きを見ていますが、今年からBトゥーCについては具体的な形でビジネスになり始めたような気がいたします。例えば、リクルートでは今年から「ミックスジュース」を発展解消し、「ISIZE(イサイズ)」の名前で雑誌とは切り離した独立の電子メディア事業にしようとしています。聞くところでは2001年には300億ドルの事業になるそうです。
ほかにも「楽天市場」など、数を数えれば、様々なサイトが立ち上がっています。共通しているのは、比較的ベンチャー企業が多い点です。大手で成功しているのは、実際に使って便利な航空会社の予約サービスや、実際の店を持っている高島屋のようなところで、ほかにはそれほど見受けられないような気がします。
【2】程近智
米国ではベンチャー企業が既存の大手企業に堂々と立ち向かうためのインフラ(KleinerPerkinsなどベンチャーキャピタル、既得権者を出来るだけ作らない法制度、ベンチャースピリットを応援したがる風土)が整っていますが、残念ながらそれが希薄な日本では、既に既得権や商圏の仕組みを持っている大企業がいかに新たなビジネスモデルに早く革新するかに、ECの立ち上がりのスピードがかかっていると思います。既存プレイヤー対新興プレーヤーのビジネスモデルの戦いで余りにも有名なのが、Barnes&Noble対Amazon.comです。
この点は日本でも同じような現象が起きました。紀伊国屋書店や丸善が仮想書店を始めたのは、広島の家電チェーンが仮想の書店販売に乗り出したのがきっかけだったかと思います。おかげで、それまで高止まりしていた輸入書の為替レートが大きく下がりました。その意味では電子商取引(EC)の普及は、既存の流通システムのスキをついて登場し、結果的には既存体制に大きな影響を与えるもののように見られます。
皆さんがご覧になって、どんなビジネスモデルが日本で成功しているか、あるいはどんな商品がうまくネットに乗っているとお感じでしょうか?どなたかご意見をお待ちしております。もちろんBトゥーBについての意見でも結構です。それから最近、様々な新しいサービスが登場しています。この場で取り上げたらいいという事例がありましたら、御提案下さい。
| From: | 築地 達郎 |
| Subj: | 【4】膨大な購買力を海外に発信 |
いつも大雑把な発言で恐縮ですが、日本型ECを考えるにあたっては、「日本人が抱え込んでいる膨大な購買力に関する情報を、世界中のサプライヤーに的確に伝えていくインフラ」として枠組みを構築することが必要なのではないかと思っています。つまり「C to B」という経路が非常に大切なのではないかと。
類型的には、
(1)消費者が心のヒダの裏側に持っている個別のニーズを情報として集めて集積・分析・再発信する作業(いわゆるマーケティングですね)のためのツール
(2)マーケティングに基づいて商品を企画、設計、製作するために必要なさまざまな経営資源を集めるためのツール
――などが想定できると思います。これからのEC議論が、相も変わらぬ「サプライサイドからの議論」に終わらないことを期待します。
| From: | 福冨 忠和 |
| Subj: | 【5】成功するビジネスモデル〜農HO |
【3】関口和一
皆さんがご覧になって、どんなビジネスモデルが日本で成功しているか、あるいはどんな商品がうまくネットに乗っているとお感じでしょうか?どなたかご意見をお待ちしております。もちろんBトゥーBについての意見でも結構です。
月曜夕刊の朝日新聞のコラム(Digital World)にSOHOに絡めて、「農HO」という概念について書きました。「農業のように、地理的要因に縛られながら、兼業化も一般化している分野では、SOHOが有効かもしれない。耕したり、刈り取ったりしない時期に、ネットを通じて仕事をする。晴耕雨読のイメージ。仮にこれを「農HO」と呼んでみているのだが、どうだろうか。」ということなのですが、有名やyaoya.com他、農産物の販売はそれなりの成功事例が出ているようです。
ちょうど、以下のデータが出ていました。
【調査結果】オンラインショッピング利用者の約23%が農林水産物を購入
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/0301/maffk.htm
http://sphere.watch.impress.co.jp/internet/www/article/1999/0301/maffk.htm
加えて、商店や飲食店でのSOHO兼業を「商HO」と呼んでみたりしています。
| From: | 櫻井 豊 |
| Subj: | 【6】成功するビジネスモデル〜旅行業 |
【3】関口和一
皆さんがご覧になって、どんなビジネスモデルが日本で成功しているか、あるいはどんな商品がうまくネットに乗っているとお感じでしょうか?どなたかご意見をお待ちしております。もちろんBトゥーBについての意見でも結構です。
今成功しているという話ではなく,私がユーザーとしてあったらいいな,と強く感じているものの話をさせてください。先に,やろうとしてうまく行かなかったというお話が日経の方からあったと記憶していますが,私はやっぱり「旅行業」こそECで便利になってほしいと思っています。
しかも,Webでブームのはじまったインターネットが昨年あたりから,もう一度,人間対人間のコミュニケーションツールである「メール」の再認識がはじまっていることから,やはり人は知り合ったら会いたくなるのではないかとにらんでいるのです。
また,このご時勢にあっても比較的金銭的な余裕のある人にとって,もう「モノ」として欲しいものはなくなってきているのではないか,それよりも家族で旅行とかを欲しているのではないかと,周囲を眺めていて感じるからです。特にインターネットユーザー層の中心にいる世代は,年齢の割に比較的子供が小さい場合も多いようで,そうした子供連れで安心かつ快適な旅行に関して敏感になっていると思います。いかがでしょう。だれかベンチャーで始めてくれないかなぁ。(^_^)
| From: | 校條 浩 |
| Subj: | 【7】膨大な購買力を海外に発信 |
この「マーケティング」と「イノベーション」の発想が、ECを主導しているシステム会社から欠落している点です。経営者がITをよく勉強することと(これは、経営者がマーケティングやイノベーションの経営課題をよく理解しているという前提ですが)、システム会社と経営コンサルティング会社が協力することが重要かと思います。
【4】築地 達郎
いつも大雑把な発言で恐縮ですが、日本型ECを考えるにあたっては、「日本人が抱え込んでいる膨大な購買力に関する情報を、世界中のサプライヤーに的確に伝えていくインフラ」として枠組みを構築することが必要なのではないかと思っています。つまり「C to B」という経路が非常に大切なのではないかと。
類型的には、
(1)消費者が心のヒダの裏側に持っている個別のニーズを情報として集めて集積・分析・再発信する作業(いわゆるマーケティングですね)のためのツール
(2)マーケティングに基づいて商品を企画、設計、製作するために必要なさまざまな経営資源を集めるためのツール
――などが想定できると思います。
| From: | 古川 泰弘 |
| Subj: | 【8】成功するビジネスモデル |
【5】福冨忠和
月曜夕刊の朝日新聞のコラム(Digital World)にSOHOに絡めて、「農HO」という概念について書きました。
ちょっと別な視点なのですが、日本は既存でも大きな影響力をもっている農業からECを拡大していくというシナリオも可能と思います。バイアグラに限らず、海外でも薬のような小型で輸送に便利な点から注目されていますが、生産者と消費者の信頼を価値とするビジネスは(通信+輸送)コストを信頼の価値が上回ればよい。信頼が確立されれば、購入者がネットを通じ増加していくでしょう。真似ばかりしているのを「模HO」と呼んでみたりしています。
| From: | 木寅 潤一 |
| Subj: | 【9】消費者の視点 |
事業者サイドからのご意見が多いようですので、消費者サイドからEC普及の課題を述べたいと思います。要旨は、「消費者のリテラシーがB2C普及には重要。」ということです。ECの特徴の一つとして、「情報の非対称性」に対するインパクトが挙げられると思います。
ECでは、生産者と消費者が直接コミュニケーションをし、安いコストで情報を収集できるために、従来の情報仲介業者の付加価値は相対的に低下する部分もあるでしょうし、中抜き現象も起きるでしょう。しかし、消費者個人における情報の分析・判断能力に限界があるのも事実です。モノやサービスを売ろうとしている人が、説明義務等に応じた最低限の情報開示はあったとしても、その製品のデメリットを積極的に伝えるでしょうか。
「情報サービス」のように返品に馴染まない上に、その情報のデメリットまでを第三者が評価するような時間的余裕のないサービスもあるでしょう。消費者アンケートでも「商品の信頼性に対する不安」「「事業者の信頼性に対する不安」がECの阻害要因として挙げられています。こうした課題に対しては、信頼できる仲介機能を活用するほかに、商品や情報を提供している事業者に対する信頼性を高める工夫が必要でしょう。こうした工夫は、事業者ができる部分もありますが、最小限の範囲で行政のバックアップが有効であることは言うまでもありません。
申し上げたいのは、前述のような情報サービス等のように返品に馴染まない商品の場合には、事業者の商品保証にも限界がありますため、「もしかしたらトンズラされるかもしれない」、「誰の情報を信頼するのか」、「この取引にはどのくらいのリスクがあるのか」といったことを判断する消費者のリテラシーの向上、あるいは自己責任の意識がますます重要になってくるという点です。
しかし、リテラシー向上には、経験が必要です。特に辛い経験によるラーニングが大事なのでしょう。この経験を如何に増やしていくことができるのかという点については、考えが及んでいません。ご指導いただければ幸いです。
| From: | 勝屋 信昭 |
| Subj: | 【10】オンライン販売ノウハウ |
デルコンピュータが、Gigabuys.comというコンシューマ向けのオンライン大型スーパーを開店することを発表しました。デルを追いかけているライバル会社にとって、また、新しいチャレンジが増えそうです。コンシューマー向けの電子商取引に必要な能力は、小売業のノウハウに非常に
近いと思いますが、どのような形態がオンライン販売に適しているかという具体的な議論が重要です。そういう意味で小池さん(総括【1】)の意見は非常に示唆に富んでいます。
総括【1】小池良次
4)カタログ・ウェブでは伸びない。
僕は、ウーマン・コムのように物品販売(マーチャント系)を伸ばすために「インフォメーション系」「ナビゲーション系」「コミュニティー系」のコンテンツをそろえたバランスの良いウェブを作ってコミュニティー・セールスをすることが重要だと考えています。そろそろ日本もカタログだけのECでは、ユーザーに飽きられているのではないでしょうか。
とにかく難しい概念論も良いのですが、ECはしょせん商売。売り込み方やら見せ方、特売品をどのパージに置くか、一日1000件も電子メールで問い合わせが来たらどう処理するか、本当に電話でのカスタマーサポートはいらないかなどを踏まえてEC像を検討をしないといけないと思うのです。
Webのバランスも、店の性格によってかなり変わって来ると思いますが、ナビゲーションといった、膨大なコンテンツからものを探し出すためのコンテキストが、スーパーや百貨店オンラインには最も重要な情報でしょうし、専門店オンラインには、コミュニティ系のコンテンツが大切だと思います。日本において、どのような店作りをするかといったノウハウの確立が、ECの拡大には不可欠です。
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