世界情報通信サミット2001
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セッション・2
「新しいビジネスモデルと経済ルール」
電子商取引、4.5兆ドル市場に

活発な議論を交わすパネリスト
 9日午前のセッション2では「新しいビジネスモデルと経済ルール」をテーマにパネル討論をした。いつでも接続できるネットの普及は、顧客や企業の選択肢を確実に広げ、新しいビジネスモデルを生み出す産業構造改革を促す。一方でネットは地理的、物理的制約を簡単に超えてしまうだけに、経済ルールやセキュリティー、知的財産権の保護、課金システムなど、従来の枠組みを見直す必要性が改めて浮き彫りとなった。司会は国領二郎・慶応大学ビジネススクール教授。

  • 共存共栄へ変わる仕組み

     司会 「新しいビジネスモデルと経済ルール」という視点からビジネスにかかわるテーマを話し合いたい。

    マーク・ホーガン氏
     ホーガン e―GMは1999年8月に発足した。ウェブの利点と既存モデルの利点を融合したビジネスモデルを目指している。昨年、ネット経由で85万7000台を販売し、6万4000の新規顧客を獲得した。会員数は100万人を超えた。ネット販売は北米では二つの側面を持っている。一つはGM車の販売、もう一つは他メーカーも含んだ全車種の情報発信だ。消費者はいろいろ試してから商品購入を決める傾向が強く、後者の利用が多い。

     e―GMで重視するのは「ローンチ・アンド・ラーン(打ち上げてから学ぶ)」だ。ネットは重要なゲーム。毎日参加し、修正する必要がある。間違いもあるかもしれないが恐れず挑戦する。

  • アジアの成長期待 ツェン氏

     ツェン 電子商取引はまず垂直方向で進む。例えば小売業。業界ごとに大きなバイヤーのコンソーシアムが生まれ、原材料などを調達し始めた。一方で地域にはハブ(軸)が生まれている。このハブがグローバル化していく。アジアでは例えば中国、日本、韓国、香港などだ。言葉や通貨、国・地域別の規制や流通のあり方などが壁となっている。当社はまず中国のハブから始めてグローバルなハブを目指す。

     今後の電子商取引は受発注、カタログ、システム運用、課金などが一つになるモデルに変わっていく。市場規模は5年内に4.5兆ドルになる。うち10%はアジアだ。BtoB(企業間取引)はまだ始まったばかり。現状はごく一部にすぎない。

  • 各国共通ルールを パービア氏

    ピーター・パービア氏
     パービア 5年前には名刺に刷り込まれていなかった電子メールのアドレスが、今ではほとんどの人の名刺に当たり前のように刷り込まれるようになった。電子メールは国や地域を越え、ビジネスを超え、OS(基本ソフト)やアプリケーションの違いを超えてコミュニケーションができる。共通のルールや基盤があるからだ。BtoBの電子商取引も何らかの標準が必要だ。

     電子商取引が普及し、共存共栄していくためには、だれでも、いつでも、どこからでもアクセスできる自由でグローバルな取引のネットワークの存在が重要になる。

  • 情報の質、保護必要 ルーニー氏

     ルーニー ネット上のセキュリティーを考えると、従来のメカニズムを見直す必要を痛感する。パスワードやクレジットカード、名刺といった従来の仕組みでは限界がある。新しいメカニズムが必要だ。PKI(公開かぎ認証基盤)を利用した電子署名で認証しようというのはその表れだ。多くの企業が情報の質を保護する必要性を認識し始めている。

     大切なことはいかに価値を作り出すかということだ。ブロードバンドはインフラの問題ではなく、どのようにネットを使うかというところに価値が生まれる。ナップスターは問題になったが、ネットワークは簡単で安価にアクセスできないとユーザーがいなくなる。ネットの新しい性格に合った新しいビジネスモデルが求められている。

    藤原洋氏
     藤原 ネットで産業構造が変化し始めている。リアルな企業のビジネスモデルがネットを活用したモデルに変わろうとしている。家電製品などにハードディスク装置(HDD)を搭載するようになれば、脱パソコンが進み、通信も放送も融合される時代がやってくる。

     情報インフラのパワーゲームが新たな局面を迎えている。オールドな世界、テレフォンとテレビジョンという時代から、モバイルとブロードバンドインターネットの時代を迎えている。

     そうしたなか、電子商取引に新しいビジネスモデルが生まれている。第一にテレビジョンコマース、第二にモバイルコマース、そして高度道路交通システム(ITS)だ。各領域でルールづくりが求められている。

     司会 バリューの話題から始めたい。

     ルーニー バリューを生むにはコスト削減が重要だ。消費者は安ければコンテンツ(情報の内容)に代価を払う。

    エドワード・ツェン氏
     ツェン バリューには三つの側面がある。第一にサービスの提供、第二に節約、そして過去にないものの提供だ。

     ホーガン オールドエコノミーの代表として主張すると、大切なことは品質、コスト、サービスの三点だ。オールド同様、ニューエコノミーもこの三点のいずれかを見失ったのではないか。

     藤原 ネットの過大評価は終わった。今は改善のバリューと新しいバリューが混同されている。新しいバリューは実は多くなく、せいぜいオンデマンド分野とPtoP(端末同士のやり取り)くらいだ。しかも、PtoPではどうやって稼ぐのか。各人の善意に依存するドネーションモデルはどうだろうか。

     パービア 収益モデルを確立した例としてはAOL(アメリカオンライン)がある。個人、企業を対象にサービスを提供し、加入料収入を得る。ある程度の顧客を得れば他の収益も期待でき、ホスティングも収益源となる。電話会社や電力会社に近い。金融業界も参考になる。商品やサービスをネット経由でリアルタイムに提供している。

     司会 標準やルールの話に移りたい。知的財産権にはどんなルールが必要だろうか。

     ホーガン 従来、価格などは国別の設定が必要だったが、グローバルなモデルでは同じ情報を同時に提示する必要がある。

     パービア ルールは国や地域ごとではなく、産業ごとに決まってくるのではないか。情報は一つの場に押し込めるものではない。著作権との兼ね合いは課題だが、情報は幅広くアクセスできるように無償配布が必要だ。

     ルーニー ISP(インターネットサービスプロバイダー)にとって、バリューは利用者が増えれば増えるものだ。ソリューションにかかるコストを課金する仕組みをつくり、だれかが払うのだという共通認識を持てば成立する。

     藤原 著作権は流通を制限するのではなく、制作者の利益を守るために行使されるべきだ。つまり利益をシェアするということだ。

     司会 グローバル化が進む一方、国・地域別の電子市場も生まれてきている。

     ツェン ネット上では物理的な違いは存在しない。ただ地域ごとに壁があるのも事実だ。例えば通貨、文化、制度や規制、そして流通などの社会インフラだ。

     ホーガン 確かに文化の違いを考慮する必要があるが、ネットのおもしろいところは共通のインフラを持ちながら、顧客ごとに個別にユニークな対応ができることだ。

     司会 一言ずつまとめてほしい。

  • 規制緩和、徹底的に 藤原氏

     藤原 ネットはブロードバンド化の引き金をひいただけ。産業構造をどう変えていくか。金融、通信の規制は徹底的に緩和すべきだ。

    フラン・ルーニー氏
     ルーニー ネットはまだ早期の段階だが、技術はどんどん進歩する。例えば携帯電話はまだ容量的に小さいが、12-18カ月もすれば認証もできるものが出てくる。重要なことは長期間維持でき、収益を生むモデルの確立だ。

     パービア 三つのことを言いたい。第一に技術革新で追い上げ可能だということ。第二に技術革新のカギは人だということ。第三は新しいマーケットを目指すことだ。

     ツェン ブロードバンドは先進国から始まったが、5年もたてば状況は変わる。ネット人口の半分がアジアになる。

  • 市場の主役は顧客 ホーガン氏

     ホーガン ネットによって顧客が王様となった。情報をコントロールするのも顧客だ。売り手中心のモデルは変わる。

  • セッション・1 セッション・2 セッション・3
    パネリスト
     マーク・ホーガン e-GM 社長
     ピーター・パービア コマース ワン 上席副社長兼CFO
     フラン・ルーニー ボルチモアテクノロジーズ 社長兼CEO
     エドワード・ツェン スパークアイスドットコム 会長兼CEO
     藤原 洋 インターネット総合研究所代表取締役所長   ほか
    司 会
     國領二郎 慶応大学ビジネススクール教授
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