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セッション2

「電子商取引が切り開くネットワーク経済」


認証制度2

From: 関口 和一
 Subj:【11】論点の提起

活発なご意見ありがとうございます。皆さんのご指摘では、当面サイバースペースの世界では並立認証がやむをえない、だが、本来ならばもっと統一的な制度が必要であり、政府に期待する部分が大きいという話になるかと思います。

現在、法務省がこうした法的枠組みを詰めていますが、私も問題は各省庁間の足並みの悪さにあるのではないかと思います。現在も戸籍は法務省、住民基本台帳は自治省・区市町村という明確なすみ分けがありますし、現実世界でよく認証に使われている運転免許証はまた別の管理になっています。グリーンカード問題以降、日本ではこうした認証制度はそれぞれバラバラな方がいいという議論が主流を占めてきたかと思います。

しかし、対面による認証が難しいサイバースペースの世界で電子商取引を振興していくためには、ある時点でこうした制度のすりあわせが必要になるのではないでしょうか。その点、自治省が昨年春に提出した住民基本台帳の電子化法案ですら継続審議になっており、話が前に進んでいません。

一方、政府の規制緩和や情報化の一環として「バーチャルエージェンシー」の話も出ています。やはりここで民意を集結して、政府の仕組みの変更を強く求めていかないと、欧米との間でますます差が開いていくように思いますが、皆さん、いかがでしょうか?


From: 磯崎 哲也
 Subj:【12】政府に頼らない方法こそ重要

■要約
  • 政府が認証の法整備等を進めることは望ましいことではあるが、それが電子商取引の発展を促進するとは思えない。
  • アメリカの企業の場合、日本ではかなりインフラ的/公的と考えられているサービスまで民間が行っているケースが多く、これが電子商取引を発展させる要因のひとつになっていると考えられる。
  • 「政府が何かしてくれないと電子商取引が進まない」という通念が日本で一般的になっているとしたら、そのことの方が、電子商取引の阻害要因だろう。電子商取引は「スピード」「効率」が何より重要なビジネスであり、新しいサービスは、政府より民間が作った方がうまくいくはずだ。

■本文
【11】関口和一
グリーンカード問題以降、日本ではこうした認証制度はそれぞれバラバラな方がいいという議論が主流を占めてきたかと思います。しかし、対面による認証が難しいサイバースペースの世界で電子商取引を振興していくためには、ある時点でこうした制度のすりあわせが必要になるのではないでしょうか。

その点、自治省が昨年春に提出した住民基本台帳の電子化法案ですら継続審議になっており、話が前に進んでいません。一方、政府の規制緩和や情報化の一環として「バーチャルエージェンシー」の話も出ています。やはりここで民意を集結して、政府の仕組みの変更を強く求めていかないと、欧米との間でますます差が開いていくように思いますが、皆さん、いかがでしょうか?

「政府として、認証に関する法整備等をきちんと進めよ」という話と、「その認証方式が、電子商取引の発展に寄与するかどうか」という話は、区別して考える必要があると思います。つまり、政府が認証に対する法整備、サービス等をきちんとしていくことは当然望ましいことですが、それを早めることにより電子商取引の発展が促進されるかというと、それは直結しないと思います。

B to B、Cの「B」側においては、既存の公的な認証制度 (登記簿謄本、印鑑証明等)を確認してデジタルな認証書を発行するサービスがすでに民間に存在しますし、そのコスト(一サイト数万円〜)などが、電子商取引の立ち上がりを阻害しているとはまったく考えられないと思います。さらに、各国の公的証明書やそれに関わる制度は、今後も長期にわたって、国毎に大きく異なるでしょう。

国際的なB to B取引をする場合に、相手を認証する手段が必要になったとして、ある国のローカルな証明書を別の国の人が直接手に入れても、それをどの程度信用していいものかというのは、一般に判断しかねると思います。それよりは、たとえばVeriSignさんのCPS
http://www.verisign.co.jp/repository/CPS/index.html
のように、民間企業が独自に認証書の作成・運用等の信頼性を確保する基準を作り、その企業が「この国のこの証明書は、うちのこのクラスの証明書の根拠となりうる」というような判断をして電子的な認証書を発行するほうが、利用者から見た信頼性の基準ができ、よほどすみやかに利用が立ち上がると思います。

ましてや、B to Cでは、個人が公的な電子認証書等を自分で入手しないと商取引が行えない、というようなことは、一般には考えられません。個人と企業の間に、なんらかのエージェント(たとえばカード会社)が介在して、個人の提出した免許証等の公的証明書に基づいた本人確認や居所確認等を行い、個人と企業の間に存在するさまざまなリスクを回避する手段を与えてくれるということでないと、誰も電子商取引なんぞ使いやしません。

「ビジネス」をするには、単に実在性や居所を確認するidentification的な話だけではなくて、相手を商売の対象として信用していいかどうかというauthorization的なものなど、さまざまなレイヤーの「信用」「認証」が必要なわけです。公的な機関が行えるのは、せいぜいidentificationの一部だけであって、そこを電子化することによって得られる便益は、取引の信用確立のために必要な社会全体のコストに比べれば、非常に小さいものだと考えられます。

それよりもむしろ、「政府が何かしてくれないから電子商取引が進まないんだ」というような通念が日本の社会全体に形成されているとすれば、その方が大問題です。「たかが」パソコンやTシャツや本を売るのに、なぜ、政府に何かを期待しなければならないのでしょうか?国や地方自治体というのは、議会という、世の中でもっとも時間のかかる機関を通じてでないと大きな意思決定ができない仕組みになっています。

限りなく意思決定スピードの速い「企業」という組織が努力して、すべてを決めていく国と、「政府」の決定を待たないと何かが進まない国では、前者の国の企業のサービスが勝つに決まっています。電子商取引とは「スピード」と「効率」が最も重要なビジネスなのですから。


From: 加藤 幹之
 Subj:【13】技術に中立な制度

<要約>
認証制度も民間主導が好ましい。しかし、国の発展度合いによってはある時期、ある程度の政府の関与も必要な場合があろう。いずれの場合も、制度は特定の技術に依存したものではなく、技術に対して中立であるべきである。

<本文>
藤原弁護士【7】もご指摘の通り、アメリカではいくつかのグループで、電子署名や認証を統一しようという動きがあります。これは、契約法が50州でそれぞれ独立して存在するという合衆国制度を取っているアメリカの場合、大変重要なことです。またご紹介になりますが、各州の詳しい制度を調べたものとして、Internet Law & Plicy Forum(www.ilpf.org) の報告書があります。

現実には、アメリカでもこれを法的に一気に統一することは難しいようです。例えばユタ州のように、法的効果のある電子署名を限定し、また、認証機関に免許制を取っている州がありますが、これを連邦法で変えることは、州の基本的な権利を規定した連邦憲法に違反するというような議論まであるからです。

そうしたアメリカでもやはり実務上は、契約をベースとした民間主導の認証と、互いの州で認められた電子署名は互いに尊重するという相互的な考え方ではないかと思います。磯崎様【12】他の方々のご指摘の通り、民間主導が好ましいというのは大賛成ですし、日本もそうなって欲しいと思いますが、インターネットや電子商取引の発達の「ずっと」遅れた国等では、むしろ諸外国の制度に合わせた内容の規定を積極的に進めることで、電子署名や認証制度がより活用される場合もあるかなと、漠然と思っています。

これらの議論の中で、重要と思うのは、どういう形であれ電子署名や認証制度が取り入れられて行く場合、制度が特定の技術を前提としたようなものであってはならないということです。特定の技術に対して特定の企業が特許権を持っている場合を想像すると、弊害が予想できると思います。純粋民間の制度であっても、やはり一社が独占する技術にもとづく制度は弊害がありそうな気がします。

少なくとも技術は他社にもライセンスし、その結果、制度を利用する範囲が広がるというのが、皆が幸せとなる道ではないでしょうか? あくまで私見ですが。


From: 高木 寛
 Subj:【14】認証制度と法制度

藤原弁護士はじめみなさん、レスポンスをありがとうございます。法制度としての電信認証と米国商法典の関係はかなり早い時点で研究を始めていましたから、法務省としては問題意識があったんだと思います。しかし、川島さん【9】がおっしゃるように

【9】川島昭彦
日本では商法において米国のような形式の要式主義がとられていないので、法務省も省庁間の調整をしてまで電子署名法の成立に向けて積極的に動くといった行動になかなかならない、ともらしておられました。

としたら、残念なことです。これは、電子認証の法制度だけではなく、政府との関与のしかたに関係するので分けて議論したほうがよいですね。ただ、この制度に限って云えば、実際上の取引の安全を確保するための認証ではなく、法的に契約が有効となるかという問題なので純然たるデファクトスタンダードというわけにはいきません。政府の役割として枠組みだけを作り、その先は民間という方法であっても、とにかく法的な根拠なしではむずかしいと思います。次に

【9】川島昭彦
契約に法的要件が要求されている場合、日本の法人が海外の法律の下で成立している制度を用いて法的要件を満たすというのは、なんとなくピンとこないのですがこのようなことはあるのでしょうか。

については、加藤さんが話題にしていたユタ州の例について調べてみましたが、特別の制限は見あたりませんでした。しかし、本人確認をしなければ認証できないという属地的性格のものですから、何らかの制限があるかもしれません。


From: 磯崎 哲也
 Subj:【15】技術に中立な制度とする

【13】加藤幹之
政府の関与の必要な部分と、民間がやる方が効果的な部分を整理すること。政府の関与についても、民間から意見が言える環境を作って行くこと。その意味で、民間主導が前提と言える。(中略)認証制度も民間主導が好ましい。しかし、国の発展度合いによってはある時期、ある程度の政府の関与も必要な場合があろう。いずれの場合も、制度は特定の技術に依存したものではなく、技術に対して中立であるべきである。

加藤さんのご意見に基本的に賛成です。ただ、「電子商取引」というのは、よくよく考えると、それ以外のビジネスとの線引きが全くはっきりしないものですので、それを「振興」しようというような観点から政府が関わっても、ほとんど意味が無いような気がします。

行政サービス自体の電子化・効率化を進めるなど、政府の役割はいろいろあると思いますが、こと「電子商取引」の「振興」というような目的については、政府が行動しても全体の効果としてはマイナスになることの方が多いんではないか、しかも、「技術に中立」ということを考えると、よけいに政府の関与というのは限定されるのでは・・・という問題意識を持っております。

特に、ご指摘の通り、日本は幸か不幸か海に囲まれていて、州毎に法律・税制が違ったりすることはないですので、なおさら、今の制度をいじって電子商取引を「振興」させる必要が少ないように思えます。(繰り返しになりますが、「政府がすることは一切無い」と申し上げているのではありません。)


From: 藤原 宏高
 Subj:【16】認証制度と法

電子認証につき、たくさんの議論がでました。私が考えている問題点と政府の役割は、以下の通りです。

1,電子認証制度につき、法律家による比較法的な研究を行い、諸外国の採用している制度の問題点を明らかにする。これは個人的レベルでは時間的制約などから大学の専門の研究者でない限り、困難です。政府が費用を出して研究会を主催すべきです。日弁連では、アメリカのデジタル署名ガイドラインを翻訳中ですが、着手してからかなりの時間が経過しているにも関わらず、まだ完成していません。(自戒の意味を込めて)これは、ボランティアでは本格的な研究が困難なことを示しています。

2,政府として、認証機関の法的位置づけを明らかにすべきです。とりあえず、法務省の考えているように電子公証制度などに限って、法的な根拠付けを行うのか、それとももっと広範囲な認証機関の根拠づけを行うのか。これは、認証を信頼した消費者の保護とも直結します。認証が偽造されないよう技術的に最大限配慮するとしても、万が一偽造された場合に取り扱いはどうなるのでしょうか。

3,電子商取引における消費者保護をどうするのか。訪問販売法の指定商品制度を撤廃しない限り、電子商取引に訪問販売法の網をかぶせるのは困難です。「電子商取引にはリスクが伴うので自己責任で行いなさい」との考えは一般論としては正しいのですが、消費者の負担するリスクの中身が十分検討されていないため、すべての責任を消費者に押しつける結果となっています。これでは電子商取引が活発化しないのは当然のことで、消費者は正しい選択をしていることになります。

4,電子商取引には、民法の売買契約のルールが当てはまらない部分があります。民法の特別法は、いつ誰が制定するのでしょうか。制定されるべき民法特別法の内容につき、法律家による充分な研究が不可欠です。

5,それでも最終的には、詐欺はなくならないでしょう。3月6日の朝日新聞朝刊に「国際化する詐欺商法」との記事がでています。インターネットのもたらす国際的犯罪問題に対して政府はどのように取り組むのでしょうか。この問題は放置して良いのでしょうか。


From: 鈴木 寛
 Subj:【17】認証制度と法

藤原さん【16】のご発言がありましたので、コメントさせていただきます。基本的に、藤原さんのご認識は、私どもも共感するところ大であります。ECの発展には、ユーザーコンフィデンスの確保が不可欠であり、そのための法的議論の必要性を我々も痛感しております。

電子認証制度についての検討は、現在、通産省は、他省庁の方々もオブザーバーとしてご参画をいただきながら、課長の私的勉強会という位置づけではありますが、一橋大学の松本先生、東大の神田先生、中央大学の福原先生、神戸大学の山田先生などもメンバーになっていただいて、2週間に一度ぐらいのペースで、某弁護士事務所に事務局をお願いして、内々研究・検討を行っております。(内々といいつつ、先日、日経にも記事がでておりましたが・・・)

その勉強会の中で、認証機関の法的位置づけ、民法ルール、消費者問題等も議論をしていく予定です。併せて、10年度の補正予算の中で、関係省庁と協力しながら、特許、公共事業入札、輸出入管理、商業登記、防衛調達などの個別行政分野の電子化及び電子公的申請のパッケージづくり等を推進するプロジェクトを行っており、まずは、こうしたアプリケーションにおける電子認証制度をどうするかを議論し、もっと広範な議論にひろげていきたいと考えております。皆様方のご支援をお願い申し上げます。

【16】藤原宏高
電子認証につき、たくさんの議論がでました。私が考えている問題点と政府の役割は、以下の通りです。

1.電子認証制度につき、法律家による比較法的な研究を行い、諸外国の採用している制度の問題点を明らかにする。(中略)
2.政府として、認証機関の法的位置づけを明らかにすべきです。(中略)
3.電子商取引における消費者保護をどうするのか。訪問販売法の指定商品制度を撤廃しない限り、電子商取引に訪問販売法の網をかぶせるのは困難です。「電子商取引にはリスクが伴うので自己責任で行いなさい」との考えは一般論としては正しいのですが、消費者の負担するリスクの中身が十分検討されていないため、すべての責任を消費者に押しつける結果となっています。これでは電子商取引が活発化しないのは当然のことで、消費者は正しい選択をしていることになります。
4.電子商取引には、民法の売買契約のルールが当てはまらない部分があります。民法の特別法は、いつ誰が制定するのでしょうか。制定されるべき民法特別法の内容につき、法律家による充分な研究が不可欠です。

5.それでも最終的には、詐欺はなくならないでしょう。3月6日の朝日新聞朝刊に「国際化する詐欺商法」との記事がでています。インターネットのもたらす国際的犯罪問題に対して政府はどのように取り組むのでしょうか。この問題は放置して良いのでしょうか。


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