セッション1
「ネットワーク経済と情報通信インフラ」
総括
| From: | 中村伊知哉 |
| Subj: | 【1】インフラとは |
そろそろ議論も大詰めの時期にさしかかって参りました。言い残しは避けるべく、感想なり何なりどうぞ。
私も一つ思い出したので感想まで。もう10年ほど前、会議でインフラを論じ、衛星とCATVとB-ISDN(元気?)の競合・補完関係を整理しようとしていたところ、ある教授が、「衛星ってインフラなのか?」って盛んにおっしゃったんです。私は単純に情報伝送路=情報通信インフラと考えていたので、その指摘がしばらくわからなかったんですが、よく聞くとこんなことでした。
衛星ってのは10年位で寿命になる。寿命10年ってインフラの資格アリか?じゃあテレビも電話機もインフラか?衛星ってのは「多数で使う」が、トラポンごとに所有される。リースのコンピュータみたいなものじゃないのか?つまり、政策論としては、公共利用の社会基盤として整備すべきものと、私的利用のものとを明確に分けて考えないといけないということなのだろう、政策の介入度合いが異なるのだろうと理解しました。
この点、有線系インターネットは、不特定多数の相乗りネットワークであるとともに、専用線アクセスラインは私的な性格が強く、もみほぐすのに厄介な面がある。だからどうだという答えは別に持ち合わせていないんですが。
| From: | 中川 晋一 |
| Subj: | 【2】実動ネットワークの構築のために |
今回の議論は、やっとインターネットコミュニティが技術者やネットワークの研究者ではなくて、社会のそれぞれの専門家の人々の議論の場として生かされているという実感を持ち、今後のメディアとしての責任を感じました。
創成期からインターネットはインターネット研究者のものでした。ドメインネームシステムも、端末の話も、プロトコルの話も、すべて技術者や研究者が「あくる日に作り変える必要があると感じたら昨日までの実装は何の意味も持たない」という自由度で試行錯誤を繰り返してきたという側面から、技術の知識なくては何も議論が出来ないという状態が続いてきたからです。
Y2K問題もしかり、アクセス線の問題もしかりだと思います。全ての議論が技術者やネットワーク研究者の論理で組み立てられてきており、実装の能力を持つ人が言いたいことを通すというモデルだと思います。現在のIETFのモデルがそうだと思います。
ここで、今回の取り組みにおいて重要だと思うのは、ネットワーク屋さんが自分の技術担当分に関して自分たちの考える理想的な実装を追い求める場としての議論ではなく、技術を勉強している「技術に大変詳しいユーザ」が、自分のバックグラウンドにからのネットワーク技術への要求を自分のバックグラウンドに対する貢献を目的として行う、というフレームワークを形成しつつあると感じられることです。
例えば、経済、政治、医療、教育などの分野における、目前の経済対策をどのようにするのか等の、それぞれのバックグラウンドに基づいたネットワークの専門家としてではない議論から出てきたネットワーク屋への要求事項を整理し、どのようなネットワーク技術を開発する必要があるのかを具体的に示唆する、という議論が求められていると思います。
つまり、「技術がこうで、こうしか出来ない」という議論を、一般人の立場から「あんたらの開発しているものは、こういうことだから僕らはこう、困っていて、だからこうしてくれないととっても困る」という意見としてネットワーク技術者に対して言っていく必要があるという事だと思います。例えばgTLD(global Top Level Domain)の問題にしても、ドメインネームの議論をするのがドメインネームサーバを管理している人々ではなく、政策的にドメインネームを扱わなければならない担当者が、それぞれのバックグラウンドへの実質的な貢献を目的として議論し、現実的な解法を形成し、技術的翻訳(技術者への実装的言語による要求)を、行っていく必要があります。
その点で、山崎様(2000年問題【18】)の
山崎 一樹
「いや、日本国内だけではなくて、アメリカに居住されているギョーカイ人の方々で5年前からY2K問題を指摘していた人というのはどのくらいいるのでしょう。「私は5年前からちゃんと指摘していました」という方には敬意を表します。しかし、自分のことは棚に上げて政府の対応が遅いと批判する人々は全く許し難いですね。そういう人々は少なくとも自分の不明を恥じた上でなければ批判をする資格なんぞないのではなかろうか、と思う次第ですが、如何でございましょうか :-)」
という御指摘は的を得たものだと思います。今回の議論で、Y2K問題をギョーカイ人の意識変革のテコに使うのは大変重要だと思います。つまり、悪いのはあなたたちがマトモに取り合ってこなかったからこういう結果になったから業界としてきちんと消費者保護の立場から対応しなさいという意見は、貴重だと思います。
これまで自分たちの研究のために、あるいはこれまでのネットワークの歴史上のフレームワークの点でネットワーク研究者が行ってきた様々な仕掛け、つまり「社会システムがどうであろうと、我々の実装はこうで、これ以外の論理的変更は不可能だと思う。」というような構成で構築されている理論体系に対して、「社会システムへの本当の貢献というのは、君たちが考えているものとは、こう違っていて、この部分は君たちからすれば、意味のない冗長なプロセスに見えるかもしれないが、現在の社会の実装を変えることがここまでは出来て、これ以上出来ないので、ここの部分の冗長性をどう変えたらいいのかに関して技術的支援を要請する。」というスタンスで、要求していかなければならないのだと思います。
この姿勢は通信情報インフラを担っている全てのベンダーに対して言っていかなければならない内容であると認識しています。その点で、インターネットの技術はユーザに対してそれまでの「安定と守秘」のもとに隠蔽された構造を持っていた電話技術のようにユーザに見えない技術ではなく、中味を見ようという努力に対して寛容な開放性を備えている点が異なるから、よりユーザ指向のインフラとして定着できる可能性を持っていると思います。
今、ICANNで「本当に文系のバックグラウンドを持っている人が求められている」のは、興味ある現象だと思います。ネットワーク技術がそれまでのネットワーク研究者の発想の域を越えて機能し出している証拠だろうと思っています。もはや、ネットワーク技術者や研究者の想像力を超えてきているのだと思います。
かつて、インターネットの研究者は、「技術の事をさほど研究するわけでもないのに、偉そうなことばかりいう」人達のことを、軽視し、「何も分かっているわけではないし、悔しかったらコード書いてからにしろ。」というような雰囲気がありました。今でも少数の研究者はそのスタンスを持っていると思います。
また、自分のバックグラウンドでちょっとネットワーク語やインターネット語の話せる人を簡単にインターネットエリートと位置づけ、バックグラウンドでの業績がさほどでもない人々が一流の扱いを受けてきたこともあったと思います。時代に対する先見性という所から考えれば、それなりに評価されるものもあると思うのですが、いわゆる「その業界の本物」といえる人が、インターネット上の政策やそれに対する取り組みを考えていく必要があるのではないかと思います。
その点で、いわゆるネットワークフリーク(オリジナルバックグラウンドにおいてもネットワーク研究の点でも独自性を持っていない人々)は、淘汰されていくのだろうと思います。その点で、従来型のネットワークフリークではなく文系のバックグラウンドを持つそれぞれの分野のプロフェッショナルがY2K問題やgTLD問題は、ネットワーク関係者とユーザの関係における一つの分岐点なのかも知れないと思っています。
【1】中村伊知哉
つまり、政策論としては、公共利用の社会基盤として整備すべきものと、私的利用のものとを明確に分けて考えないといけないということなのだろう、政策の介入度合いが異なるのだろうと理解しました。この点、有線系インターネットは、不特定多数の相乗りネットワークであるとともに、専用線アクセスラインは私的な性格が強く、もみほぐすのに厄介な面がある。だからどうだという答えは別に持ち合わせていないんですが。
この部分に関して次世代インターネット研究者の立場から申し上げたいと思います。本年度、政府は様々な形で次世代インターネット研究開発の名目で補正予算と一般会計から拠出を決めて来ました。今後も様々な予算が提案され拠出されると思います。
予算獲得には血のにじむような論理のやり取りがあります。予算を獲得する側と支出する側でのコンセンサス形成(国民に対して何がメリットでなにがデメリットなのかをお互い長い議論の中で結論を導く)という作業があります。私自身もこの作業の一端を分担する国立研究所の研究者ですが、大変な作業でした。
結果を、「こうした方が良かったのに、もっとこうした方がより良くなるのに。」という意見は、マトを得たものが大変多く、政策的要求との妥協の産物である予算案や国の施策は、論拠を失うほどのものだと思います。しかし、実際「公共利用の社会基盤として整備すべきもの」として認識されるネットワークインフラを歴史的経過と現状における実質的な解として導くのは大変な困難が伴います。
一つの理由は、「流す血が少なくて済む方法を模索しなければならないから」だと思います。例えば、国際電話の料金が高いから、国内の電話代が高いから情報収集の機会均等を保証する目的で、政府は自前でファイバーを作って広く国民に開放し、その安定供給に勤める義務がある。」という世論が高まって、パブリックファイバーの名目でアクセスラインを無尽蔵に国民に提供してしまったらどうなるでしょう。
ネットワーク研究者にとっては、天国かもしれません。しかし、その瞬間に電話業者、通信回線を提供している業種の何割かは消滅し、失業者が溢れることになるかも知れません。平成10年度郵政省補正予算のギガビットネットワーク構築においても様々な賞賛と批判があると思います。研究者仲間からは「何で今更ATMなの?これからのネットワーク技術を指向するんだったらWDMでしょう。」という意見を山ほど伺いました。
落札したNTTに対して研究者として、様々な技術的無理をいってきたこともあります。しかし、「流す血が最も少なくて済む方法」を模索する必要がありました。ここでいう血とは、人のクビをはねることではありません。今動いているシステムを作りかえる上において、最小限度の変更と最大の効果を目指すという意味です。その点で、私たちの行った努力、動かない壁を叩いて何度も血の涙を流して壁を叩き続けてきた努力をしたのは研究者だけではないと思います。
これらの経緯から、「ここまで出来たところまでが、出来た所なんだ」と思うようにしようと思っています。政策を簡単に批判することはできますが、実行可能な形に実装するのは本当に難しいことだと思うし、それなりの重みを持っていると思います。動かして行くにはそれなりのタイミングと声の大きさと、様々な努力の結集が必要なのだと思います。
昨年12月、ウィーンで行われたG8の「国際ネットワーク相互接続と相互運用における会議」(GIBN)で、この国際的なネットワーク研究のフレームワークに対して一つの提案を行いました。この会議は世界各国のネットワーク研究のアクティビティを有機的に結び付け、推進することを目的としています。そこでも様々な議論が行われたのですが、我々は、次世代インターネットを研究する立場から次のような提案を行いました。
ネットワークプロジェクトへの貢献内容の定義
TAO of GIBN(GIBNのおきて)
What is the real contribution?
Sweat: Real Operation
汗:実際の作業(オペレーション)
Blood: Budget
血:既に獲得した予算の持ち込み、共同予算提案
Brain: Essential Suggestions
頭:技術の提供と指導
Life: Academic activities / Active demonstrations
(Real active communication)
命:実際にそのネットワークを生かすアクティビティ
Voice: Policy making at the external world
声:プロジェクトの社会的援助
or Coordination for weak users and researchers
場の提供:ヒューマンリレーションに対する貢献
出来上がったネットワークを私的なネットワークだとか、政府の貢献をどうするべきだという議論は大変参考になるのですが、実際にネットワーク研究を生きたネットワークの上で行ってゆく場合、あるいは構築してきたネットワークをどのように有意義なものとするのかにおいて、このTAO of GIBNにあげた内容はとても大切な事のように思います。
【1】中村伊知哉
この点、有線系インターネットは、不特定多数の相乗りネットワークであるとともに、専用線アクセスラインは私的な性格が強く、もみほぐすのに厄介な面がある。だからどうだという答えは別に持ち合わせていないんですが。
という御指摘に我々の"TAO of GIBN"における提案を答えの一つとして提案したいのですが。重要なのは、ネットワークを実際に動きユーザを獲得して有機的に作り出し稼動させることで、実動のネットワークを構築していくこと、Real Running Systemを動かすことだと思っています。Real Running Systemにへの貢献こそが実際の生きたネットワークの活動性だと思いますし、そこには、私的な性格であるとか、公的な性格が強いというような区別は大変困難なのではないかというのが研究者としての見解です。
例としては不適切かもしれませんが、例えば医学における臨床試験における生命の問題は、一人の人の「生きたいと願う」私的な要求によって支えられるわけですし、それを普遍的な治療法として一般化することによってより多くの人々の命を救える方法を模索するのが医学者の立場だと思います。重要なのは「現状に対する問題意識と解決方法の自由な探求」だと思います。
合衆国の行っている次世代インターネットのモデルがすべてうまく行っている訳ではないし、ましてわが国においても始まったばかりだと思います。様々な取り組みを行っていく勇気と、実際の稼動するシステムを作り上げて動かすことと、参加者の理解を得るための努力を怠らないことだと思っています。
中川さん【2】のに触発されて自分なりに全体の感想を少し。
インフラというのはハードウエアや技術だけではなくて、料金体系や法律や税制等の社会的仕組み、そして知識の集積や教育の質などのソフト的な基盤ものも含まれるということなんだろうと思います。どんな立派なハードを持っても料金設定を間違えるとうまく利用できないし、ネットワーク文化やネットワーク経済も制度や教育がちゃんとできてないときちんと発展しない。
自戒をこめてしっかりしなくちゃと思います。いまアメリカのビジネス・スクールで研究しているのですが、厚みの違いに圧倒されています。この数週間の間にも、実にさまざまな研究の発表を見てきました。印象に残ったものだけでも、パケットの優先順位別に別料金を適用する priority pricingが企業レベルや通信産業の構造全体に与える影響についての理論構築、ネット上の消費者行動分析、コンテンツ流通技術とビジネス構築法などがありました。
大学という場で企業の方々や研究者が日常的に発表を行い、それを受けた理論化と実証研究がなされ、その成果が社会的に共有される知識として蓄積され公開される姿があります。この知識の生成、蓄積、共有のサイクルこそ何にも変えがたいインフラストラクチャであるように思います。
自分の領域のことしか分かりませんが、日本でのネットワークの経営学的な研究が完全に後手に回っていることを認めざるをえません。ネット上で分業をした時の原価計算はどうするのか?労務管理はどうなる(ネット上ではかっこいい自律的なプロフェッショナルだけじゃなくて、単純作業をされる方も沢山いる)?ロジスティクス設計は?財務は?価格政策は?チャネル政策は?
このあたりについて理論と実証と実践で急速に知恵をつけつつアメリカに対して、日本は個人的に奮闘されている方がたがいるもののいかにも厚みが薄く、きちんとした分析なく感覚的に突っ込んでいるように見えます。知の蓄積の遅れが近い将来産業の競争力の差となって表に出てくると思います。
ECのセッションの方で政府の予算が有効活用されたか疑問が出ていましたが、有効活用するためには活用する知識の集積がとても大切だと思います。税金を使ってでも何とかしたいと思って下さる役所の方の救いの手をどれくらいしっかりつかんで活路を見出せるか?貴重な税金を無駄づかいしないように最大限生かす知恵が必要です。
それがないようなら強制的に取りたててる税金を使うのはやめないといけない。自分の本業の話なので、評論してる場合じゃなくて、何とかしないといけないと思っています。その節は皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
| From: | 中村 伊知哉 |
| Subj: | 【4】民間主導? |
研究開発の場合、技術に公私はないので、まだ公的負担の理屈はつけやすいでしょうが、実働システムに関しては、公的整備の理屈に悩みます。個人的経験では、5年ほど前に移動通信の鉄塔やテレビ難視聴解消施設を整備するため情報通信分野で初めて公共投資予算を取りに行ったとき、それがいちばんのカベでした。その後、関西学研都市での通信・放送融合の光ファイバー予算を要求したときも同じでした。その後少しずつインフラ向け政府予算は拡充されてきましたが、研究開発名目が大半ですよね。
インフラは民間主導で、というのがコンセンサスのように見えますが、皆さんがこれをどう認識しておられるのか、興味があります。私には、特殊法人を民間と呼んでいいのかどうか疑問だからです。国家意思で法律によって設立され、国が大株主である会社が中心で進めるものは、本当に民間主導なのか?
かつて株式会社化する前のフランステレコムやドイツテレコムの人たちに、なぜ独仏は公社形態を長く保ってインフラ分野への競争導入を遅らせてきたのかと聞くと、「インフラをガーンと全国整備するためにはその形態が最速だからだ」と言ってました。インターネット登場後、どのインフラを重点整備するかが不明確になり、それを市場に委ねるべき状況になってきたので、その理屈は薄れているとは思いますが、基本的な態度は今もあまり変わっていないのではないかと推察します。
極論すると、インフラを民間主導で、というのは、公社を持たなかったアメリカのセリフで、彼らは仮に軍事予算をそこにジャブジャブ投入したとしても、民間主導だと言うんじゃないですか?だからお前の国もオープンにしろと。もしも全ての関係主体が純粋株式会社となることが民間主導の意味であるとすれば、それは実は「インフラ」じゃないんじゃないか、みんながよく使う大切なモノどまりであって、えんぴつとかおはしとかと同じようなものなんじゃないか、という気もします。
政府は口出しするな、オレがやる、っていうのは、とても頼もしいことですが、同時に、こうして議論する必要はなくなってきますよね、商売の話だから。それならそれでいいんですが、そういうことなんでしょうか。
【2】中川晋一
重要なのは、ネットワークを実際に動きユーザを獲得して有機的に作り出し稼動させることで、実動のネットワークを構築していくこと、Real Running Systemを動かすことだと思っています。Real Running Systemにへの貢献こそが実際の生きたネットワークの活動性だと思いますし、そこには、私的な性格であるとか、公的な性格が強いというような区別は大変困難なのではないかというのが研究者としての見解です。
例としては不適切かもしれませんが、例えば医学における臨床試験における生命の問題は、一人の人の「生きたいと願う」私的な要求によって支えられるわけですし、それを普遍的な治療法として一般化することによってより多くの人々の命を救える方法を模索するのが医学者の立場だと思います。重要なのは「現状に対する問題意識と解決方法の自由な探求」だと思います。
合衆国の行っている次世代インターネットのモデルがすべてうまく行っている訳ではないし、ましてわが国においても始まったばかりだと思います。様々な取り組みを行っていく勇気と、実際の稼動するシステムを作り上げて動かすことと、参加者の理解を得るための努力を怠らないことだと思っています。
| From: | 吹野 博志 |
| Subj: | 【5】政府の役割は何か |
仕事柄、インフラ産業のトップマネジメントの方、ミドルマネジメントの方、ユーザー(大企業、中小企業、大学)の方ににあう機会が多く、私の感想と提言をまとめました。
- ECと,INTERNETを短期間(2−3年)にアメリカ並みに普及させることが国家にとって重要課題である。
- ソニー、トヨタのような グローバルカンパニーや開明型社長の企業を除けばIT非武装の企業(規制業種に多い)がまだまだある。
- ベンチャー企業、大学生は通信費の高さに泣いている。12月に宮崎で会った10社ほどのベンチャー経営者(椎茸のオンライン販売、ソフト開発など)は異口同音に通信コストの定額/低額を訴えていた。大学に入学すると自動的にメールアドレスをもらうが、通信費は自己負担の大学が多い。国立は自己負担。
- 通信費、インターネット料金はまだまだ下がる。外資参入、外資や異業種と既存のインフラ会社との合弁に寄り市場原理が働き5年後、10年後には相当下がる。
- しかし5年では遅すぎる。最大の被害者はベンチャーや中小企業の人たち、21世紀に日本を担う30歳以下の少年、青年である。
- CATV,IP,いろいろな手段や技術があるが、ポイントはどれが優れているかではなく税金を使って官民が協力し1-2年で通信料金月額5000円以下(ゼロがよい)を実現することである。
悲しいことに6番の提言を実現する青写真が見えません。昨年11月にデイリー商務長官と小人数で夕食をともにしましたがホワイトハウスのインターネットにたいする異常とまで言える熱意とリーダーシップに圧倒されました。
私は33.6Kのダイヤルアップで公衆電話で接続して会議に参加しました(プロバイダー料金は月2000円弱)。xDSLや専用線で接続できる方を羨ましい、と思う一方で、ダイヤルアップでも本人次第で十分会議参加できることを知ることができました。インフラがあっても本人次第、といった感想が一つ。
プライバシーからY2Kまで様々な視点で現状を知ることができ、意義ある会議でした。プライバシーの問題は今後も続くであろう問題であり、一方Y2Kは、短期的な問題、ある意味対比した議題でありました。米国はランク付けが上手&得意(?)なのか、知らない人に、わかりやすく問題点を提示しており、これは共通な問題提起には有効と思います。
| From: | 飯坂 譲二 |
| Subj: | 【7】将来への希望 |
新聞報道その他、最近の動向をみていると、ネットのインフラに必要ないろいろの活動が報告され、遅かれ早かれ、社会に必要な情報リソースの開発と整備に向かうものとおもいます。また、インターネットを通して触覚や嗅覚まで伝える研究、バーチャルリアリティーとリアリティーをカップルさせたりする息吹が存在するすることを知り、そして、このような研究開発を行っている人たちが、それぞれの夢と目的意識をもって問題解決に挑戦する姿勢にあふれているのを見て希望が持ててきました。
| From: | 尾野 徹 |
| Subj: | 【8】ビジョン・無線・兼業農家 |
(要旨)
1.ビジョンを持った国家であり、国民であって欲しいと思いました。〜九州はアジアの多様性をプラスに活かすITビジョンを掲げる等も面白いと思うけど。
2.無線をラスト1マイルのインフラとして利用することを確立すべき事項として、技術的にも制度的にも追い求めてはどうか?
3.地方行政はサイバー産業を産業と認めた政策展開を。手軽に始めるマルチメディア兼業政策、一村一品サイバー運動を始めましょう。
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(個別の説明)
1.ビジョンを持った国家であり、国民であって欲しいと思いました。(そのような政治家を育てるべきという議論もあるが)話の進め方の都合上、(私は)「アメリカに5年遅れている、世界から置いてきぼりになる」、という発言をしがちですが、その発想からだけでは十分に周囲を説得できないように感じています。。。。。。。
ちょっときざっぽいけれど、「日本は情報化を通して世界や人類にコレコレの夢を与え、このように貢献する」というようなところをしっかり表現できるといいな、と思ってます。それもわかりやすいものを。例えば、ゴアさんのアメリカはGIIを通して環境問題に貢献する、と言っておりますが、、、日本はどうしましょう?
日本全体のことはわかりませんが、これって日本の地方でも言えるんですよね。私の住む大分に何故情報化が必要か?、という問いに「よその県に遅れるから」だけではなかなか迫力無い。そこで、たまたま別府に立命館アジア太平洋大学が2000年に開校しますので、その開学精神とダブらせて(九州は日本の中でアジアに近い?というこちら側の理屈もあって)、
「21世紀はアジアの時代だというが、特にアジアは人種、宗教、言語、など世界のどの地域に比べても多種多様な地域。その多様性をうまくマネジメントすることを学び育てることはこのアジア地域の21世紀の発展、ならびに世界の多様性を納めることにつながるだろう。そのためにもっとも効果的なツールの一つとして情報通信があり、我々はその情報通信を発展させうまい利用を図ることが世界に貢献することになる、、、」
なんてことをささやきあっています。(改めて書くとそう解かり易くないみたいですね)つまり、世界の互いの多様性を認めあった新しい世界観を達成するためにインターネットに取り組もう、というところでしょか。(何かもっとよい言い方を探してますけど)しかし、昨今の不景気はビジョンよりも毎日の足元を固めるツールとしての見方を求めてしまってますが。
2.無線をラスト1マイルのインフラとして利用することを確立すべき事項として、技術的にも制度的にも追い求めてはどうか?先週、郵政省電波部にアメリカFCCから出向研修に来ているマイケル・マーカスさんがやってきました。彼は「日本は無線に関して規制がありすぎる」と力説します。私にはその真意がわかりませんが、狭い日本の国土では電線を張り巡らせることはあまりにも高価になりすぎました。
銅線であっても光ファイバーであっても同じことで、道路を掘らなければならない、ということが前提の日本ではラスト1マイルを有線に固執すればNTT以外に競争相手はそう簡単に出てきそうにありません。競争政策が成り立たない。(この有線を引く難しさは様々にあって、例えばJRは絶対に線路の上の架空横断を認めませんのでCATV等も目と鼻の先の工事であってもチョウ遠まわり配線になる、、、など様々な問題があります)
だったら、思い切って無線の高速技術、大量・多数回線技術を開発することを今まで以上に(日本として)真剣に取り組んではどうでしょうか。例えば、今でさえ市販の光無線の通信では2km程度の距離ではありますが300Mb psのスピード通信ができるものが7〜8百万円で売られています。これって域内幹線として使える技術かもしれない。
そして拠点拠点で家庭や事務所に(今の市販商品で2km以内で5Mbps程度のものは)届けられる無線は数十万円で売られています。しかもこれら二つは認可のいらない類いのものです。いや、そんなことより無線CATVだってあるじゃないか。無線を制度的・政策的にも現状NTT市内配線に競争できる技術として育てるべきではないでしょうか。
さらに、それらの技術はこれから情報通信を積極的に入れていくであろうアジア地域では有線技術以上に歓迎されるでしょうし。アジアの多様性を活かすことに貢献できるところにつながるように思えますし。
3.地方行政はサイバー産業を産業と認めた政策展開を。そして、手軽に始めるマルチメディア兼業政策を始めましょう。サイバー産業はSOHO的な小規模形態をとることが多く、統計的にも掴みがたいようで地方行政はまだ認知していないことが多いように思います。IT産業というと、ついつい、シリコンバレーやシリコンアレーの大成功した(あるいは大きなお金が動く)企業をイメージしがちですが、人材も技術も十分でない地方地域はもっと手軽に始めるサイバー産業奨励策を組んでほしい。
本当は、アメリカ地方行政のように連邦政府に先駆けてサイバーサインを認知して公式利用に踏み切ったユタ州のような先導的政策、誘導的政策を期待したいのですが、現状ではなかなかそこまで理解する地方行政者は少ないと思います。そこで、せめて、手軽に始めるサイバー産業として私たちは「兼業」を訴えているんです。
マルチメディア兼業農家、インターネット兼業商店、インターネット兼業観光業者、、、などなど、今までの本業をチョコッとサイバー化させるための兼業推進。生産物を売るもよし、仕入れるもよし、効率化させるもよし、、、本業も改革されるでしょうしそれに伴って新しい職業やSOHOが周辺にできるように思えます。
いわば、平松大分県知事が提唱する「一村一品運動」をサイバー化させるようなイメージ。誰もが始められる兼業運動。一村一品サイバー運動。それらの小規模事業者のサイバー部分を横にくくってみると大きな塊ができていた、というようなことも面白いのではないか。
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しかし、なんといってもユーザーの数。国内のユーザー数を増やす施策を実施していかねばならないように思えますね。あっちこっちで夢ある研究が花開くといいな。
| From: | 会津 泉 |
| Subj: | 【9】インターネットとY2K |
<省みて他を言う?>
山崎さん(2000年問題【18】)の「自らの不明を恥ずに批判すべきでない」というご指摘はごもっともですが、それだけでは前向きの方向に議論が進まないと思いました。むしろ、発言を封殺する懸念を覚えました。私は公文先生よりもっと遅れて、というか公文先生に指摘されて初めて考え始めたのでした。不明といえばそうですが、そんなこと言っててもはじまらない、とにかくできるこをから取り組むと考えました。
で、いろいろ曲折があり、結果、まず自分の仕事上の足下=インターネットについて取り組むことにしたのです。驚いたことに、インターネット関係者の認識と取り組みは、他のインフラ分野と比較すると二周り遅れていたといって過言ではないと思います。グローバルに。しかし、批判だけしていてもなかなか動きは始まりません。
「第一義的には自己責任」ということには異論はありません。ただし、事業者だけでなく、利用者に影響ないし「被害」が及ぶと考えられ、すべての利用者に自己責任原理を適用することは無理があると思います。山崎さんには、たとえば自治省のシステム、そして自治体のシステムが本当に大丈夫なのか、という点を確認していただければありがたいのですが、いかがでしょうか?
<インターネットの取り組み>
話を変えます。インターネットについてですが、先週シンガポールで開いたAPRICOTと、今週宮崎で開かれているAPEC TELという会議で、多少前進したことを報告したいと思います。
APRICOT
まず、インターネットのドメインネームシステムを管理・運用している、世界に13あるルートサーバーについて、Y2Kについての点検・テストを行い、その結果が出次第、情報公開するとの決定がなされ、報告されました。これは、ドメインネームシステムを管理する新しい組織、ICANN(Internet Corporation for Assinged Names and Numbers) のなかの、ルートサーバーアドバイサリー委員会が検討・決定したもので、委員長はWIDE、慶応の村井純さんです。
ルートサーバーについてY2Kで大きな影響を受ける可能性は非常に低いと言われているのですが、念を入れてきちんとチェックしようというものです。ちなみに、国別にも、その国のドメインネームシステム(jpとかkrとか)を管理・運用するシステムが、最低2セット、日本だと5セットあります。世界では、たしか140国くらいあると思います。これについても、点検が必要と思われますが、まだ協調的な動きはありません。
次に、アメリカFCCからY2Kタスクフォースのキャノン氏を招いて、小規模なミーティングを行いました。そこでは、UNIXやルーターなどでY2K対応でのソフトの修正を進める必要があるが、場合によってはメーカーが高額での有償アップグレードとするため、弱小のISPや大学、途上国などでは、技術的な対応を進めたくとも経済的にとても手が出ないという問題が指摘されました。
よく「UNIXは大丈夫」といわれますが、これは正確ではなく、各ベンダーからの修正ソフトをきちんと使えば大丈夫になる、のです。また、ヨーロッパのトップクラスのインターネット・エンジニアからはルーターについては、現実問題として一社が突出して市場寡占をしているため、万万一の場合に、ダメージが広範囲に広がる可能性が高いことを懸念しているとの指摘がありました。
Y2Kとは別の原因で、ルーターが原因で、広範囲にインターネットの運用が停止した事例があるからです。会議の間の廊下や食事をしながらの議論が、インターネットの関係者、とくにエンジニア・コミュニティの間に、Y2Kについての認識が浸透していたように思います。それが最大の収穫だったと思います。
APEC TEL
宮崎シーガイアで開かれているAPEC Telecommunication Working Group はAPEC参加各国の政府(通信関係)と業界から代表が参加する国際会議で、持ち回りで年2回開かれています。ここでも「インターネットとY2K」で「非公式会議」を開きました。残念ながら参加者は10名余と少なかったのですが、少なくとも問題の所在について、公式にAPEC TELに取り上げてもらうことを求める点で意見が一致しました。
その一環として、4月22・23日に、シンガポールで開催される予定の、APEC Y2K Week というハイレベルの会合で、このテーマを追加できないかと、努力しているところです。最後に、この件について、村井さんと電話で話したのですが、インターネットが他にあまり例のないグローバルな自律分散協調型のネットワークであるため、Y2Kについても、まさに自律分散での取り組みと、その広い協調が必要だということを強調されていました。
少なくとも、関係者多数の共同作業が必要だということが明らかになってきたと思います。仮に決定的な混乱は起きないとしても、それを保証するための努力、作業は必要だ、ということです。 それにしても、そういう認識が、この時点でようやく表に出てきたということが、懸念されます。
| From: | 中村 伊知哉 |
| Subj: | 【10】 総括と感想 |
12日の会議に向け、中間的なまとめの時期が参りました。熱い議論を要約することは本意ではありませんが、便宜のため、セッションの冒頭、下記のように申し上げることを考えております。
●新しいネットワーク環境は、経済活動はむろん、文化や社会生活の土台。
90年代は、サイバー社会を産んだということで人類の歴史に刻まれるが、その最後の99年、アメリカでは高速ネットワーク同士の競争が本格化し、日本ではNTT再編成を経て新しいネットワーク秩序が始まる。欧州、アジアを含め、情報通信インフラ整備は戦略的な課題。
●オンラインフォーラムの議論は3つの柱で進んだ。
1 インフラをどう使うか(特に料金問題)
・日本では、高速ネットワークが必要かどうか。情報の利用や情報通信の需要はどういう状況か。
・それを左右する通信料金をどうするかが中心課題。
・安いにこしたことはない。どのあたりがブレイクポイントか。通信だけでなくコンテントも含めた料金体系を考えるべきとの指摘。
・議論が分かれたのは、定額制(使い放し)料金の是非。電話網がパンクするため、別系統のアクセスラインを作るべきという意見。技術的に回避できる、あるいは費用負担を工夫すればよい、という意見。
2 どんなインフラを作るか
・FTTHを作るべきか、 CATV、ADSL、無線などを組み合わせて柔軟に構築すべきかを巡る議論。(NTTの独占が強く競争は困難との指摘。ローカルで実例も出てきており、期待できるとの指摘。)
・コンピュータの利用を念頭に置いた高速インターネットを構築すべきか、テレビやモバイルなどを柱とする日本的なネットワーク目指すかを巡る議論。
3 誰がどうインフラを作るか
・競争環境を一層整備すべきとの意見。
・NTTのアクセス回線を開放させるべきか否かの議論
・外国キャリアの参入を進めるべきとの意見。
・政府は研究開発に力をいれ、官産学の協調を進めるべきとの意見。
このほか、インターネットの2000年問題に関しても議論。
・日本はアメリカに比べそう深刻ではないのではないかとの指摘。
・そうは言っても楽観できないとの指摘。
・グローバルな協調と情報公開が必要との意見。 等
さて、最後に感想を一つ。今回の議論を経て、情報通信インフラは、インフラ=社会基盤であるにもかかわらず、技術面、利用面、産業面での動きが激しすぎて、計画的に整備するどころか、一年後を見通すことも困難となっているという感を強くしました。私たちの議論は、速くて安いネットワークをどう作るのか、という単純なテーマだったにもかかわらず、どのようなインフラ像を描くかという基本的な方向でさえ、なお議論を要する状況です。
ただ、この激動する環境の中で、しかも日本再生を図るべきこの時期に、長期的な観点でインフラ論を深めたことは、意味のあることだったと思います。私は、今の大人の使命は、子供たちに、十分で安全なネットワーク環境を与えてやることに尽きると思っています。美しいインフラを残してやりたいものです。
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