世界情報通信サミット2002
トップページ 会議日程 ネット会議 スピーカー フォーラム企業 意見投稿 ENGLISH

キーノートスピーチ2
「社会変えるブロードバンド」
大歳卓麻 大歳卓麻
日本アイ・ビー・エム社長
 ブロードバンド(高速大容量)通信時代を迎え、国によるインフラ整備に期待が集まるが、企業自らが経営効率の向上と新たな企業価値の創造を通じて競争力を高める努力が不可欠だ。

 ブロードバンド通信は企業活動そのものを変える。社内システムにブロードバンド通信の特徴である高速、低価格、常時接続の三つの条件を満たさない企業は、サプライチェーン・マネジメント(SCM)など複数企業が参加するチェーン(鎖)から、はじき飛ばされる恐れがある。

 チェーンが形成されると、企業はコア(中核)事業に経営資源を一段と集中できる。例えば人事、経理、物流など各分野で、自社より優れた企業があれば同じチェーンにいる企業にアウトソーシング(業務の外部委託)できる。

 こうなると企業と個人の関係も変わる。企業はコア事業に適した優秀な人材を外部から採用する傾向を強め、個人は給料などの環境が現状より良い企業に一段とシフトする。

 生活も変わる。東京都3鷹市の小学校では学校や家庭、学校周辺地域、そして日本IBMが連携して子どもたちの学習をブロードバンド通信で支援する事業が始まっている。例えば、野菜栽培の授業では遠隔地にいる農家の方が助言するなど協力体制が生まれた。

 日本IBMはブロードバンド通信を生かした在宅勤務を社員に奨励する。以前は育児や介護を要する社員が対象だったが、昨年から条件を撤廃した。昨年末現在で人事など事務職を中心に300人以上が在宅勤務に就く。「この制度がなければ会社を去っていた」と言う社員も数人いる。

 ただブロードバンドでの情報共有が進むと、セキュリティー対策を一段と強化する必要がある。以前のネット環境ではコンピューターウイルスなどの侵入を事前に防げたが、高速、常時接続のブロードバンドでは攻撃を受けやすい。企業として資産を守る投資が不可欠となる。

 セキュリティー対策は利益を生む投資でないと考える傾向が強いが、SCMなど外部の企業とシステムが接続され、その中で業務をするからには最低限の対策が必要となる。セキュリティー問題は1企業の中のみにとどまらない。

 個人のプライバシー対策も重要だ。企業は消費者を守るとともに、個人情報を外部に出してはならない。個人情報がデータベース化されれば大規模なプライバシー侵害が起きる可能性も膨らむ。米IBMは最高プライバシー責任者(CPO)を任命し全世界で個人のプライバシー問題に対処している。

 ネットに接続する機器はパソコンだけでなく、携帯電話など多様化する。ネットにつながっている人間は10年後に10倍、機器は1000倍になる。

 あらゆるモノがネットにつながり、個人情報がネット上で流通するため、日本企業もプライバシー問題に早急に対応すべきだ。

スピーチ1スピーチ2スピーチ3スピーチ4
<<トップページ 上へ
お問い合わせ:「世界情報通信サミット」事務局 core@nikkei.co.jp
NIKKEI NET 世界情報通信サミット Digital Core
1998 1999 2000 2001
Copyright 2002 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.