世界情報通信サミット2000
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セッション2

「デジタル・デバイド時代のエレクトロニック・コマース」

特許・税金の問題、発展にどう影響

 司会 ビジネスモデル特許の登場はECの発展を阻害するのではないかと懸念されるが。

 青木 日本では欧米に比べ、このようなビジネスモデル特許問題を少々騒ぎ過ぎているのではないか。ベンチャー企業がビジネスモデル特許を取ってライセンスしないで独占するのを日本の大企業は心配している。しかし、特許は独占するためのものではなくて、それを使ってもらうことに本来の精神はある。妥当な価格で特許を供与することはECの発展を促す。トラブルがあれば、裁判で常識的な判断が下されて、運用されるだけだ。心配だからやっちゃいけないということではなく、やってみて問題があったら直していくという形になるのではないか。

ジョン・ライアン氏
 ライアン インターネットは共通標準を業界で採択する必要がある。共通標準がだれかが特許を持っている技術を基本にするものであれば、共通標準作りに参加する人たちは、権利のない人に特許技術をライセンス提供すべきだ。しかし、そのような考えを持たない人たちの犠牲になったことがある。ネット取引に関して特許侵害で訴えられた。最終的には過去の知的所有権のもとで(正当性を)実証できたが、100万ドル以上の弁護士費用がかかり、裁判が妥結するまで15カ月も開発が遅れた。

 どうも知的所有権でビジネスを守ろうとする動きがある。だから標準化グループなどは強制的に業界の標準を使わせるようにして、ロイヤルティーフリーの形にすべきだ。そして業界が標準を守ることで、リスクなしで使えるようにする必要がある。

 コーン 特許制度はイノベーション(革新)を促進するためにできた。しかし、問題が出てきている。特許局などの関係部門が必ずしもすべての技術を知らない、という問題がある。

 本来、イノベーションを促進するには競争するのが1番。何百もの特許を申請している企業があるが、必ずしもイノベーションのためではなく、ほかの人に後から裁判を起こされないために申請しているような気がする。米国では特許制度が改善されつつある。特許の発効前に内容が公開されるので、他の企業でその分野に経験のある人は特許局に情報を提供できる。実際に発効する特許は減少してくるだろう。

 司会 米国を中心に、電子商取引と税金に関する議論が活発になってきた。

 マックスウェル OECD(経済協力開発機構)加盟の先進諸国は課税の問題を検討している。例えば欧州では付加価値税をECにかけるといわれている。日本でも消費税をかけることを審議していると、理解している。

 米国では98年にインターネット・タックス・フリーダム法を採択した。新規のインターネット接続には税金をしばらく課さない猶予期間を設けた。課税については、委員会が検討しており、報告が4月に予定されている。

 課税については両極端の考え方があり、意見の一致が見られるかどうかわからない。電子商取引に課税してはダメだとの意見がある。税金をかけると電子商取引の成長が鈍り、米国経済の成長が鈍化するという考え方だ。一方、多くの州政府は歳入の約40-50%を、販売税や利用税で得ている。地方自治体の人たちは、ネットで売ったモノが非課税では困ると言っている。表通りの小売業者に税金をかけて教育や医療、警察などの資金を出している。もし、主流の小売業者がインターネットに移ってしまうと、州税や売上税などがかからない。そうすると公共サービスの財源がなくなってしまう。

 この二つの中道はないのか。州税など地方税に関する改革が必要だということで合意ができつつある。ただ、もう一つ、目に見えないデジタル化した財を売る場合、とくに外国に売る場合にさらに課税問題は複雑になる。

 司会 音楽などのデジタルコンテンツ(情報の内容)だと、買った人や受け取った人がだれなのかを判別するのが難しい。

 コーン 消費者が世界のどこにいるかがわからない。米国内でさえ、どの州に住んでいるかわからないことがある。日本の税金が他国より高ければ、消費者は外国で買えるシステムを選ぶだろう。国民全員を犯罪者にするわけにはいかないので別の方法を見つけなくてはいけない。唯一の解決策は、すべてのウェブサイトがどこの国の管轄かを公表することだ。

 例えば、イタリアの人が米国のアマゾン・ドット・コムから本を買う場合には、米国の法律が適用される。アマゾンがイタリアの消費者保護法も順守したいのであれば、それは任せればいい。

ビジネスモデルに新しい流れ

変わる取引慣行、企業への効果は

著作権保護とハッカー対策

<パネリスト>
ヨルマ・オリラ ノキア会長兼CEO
小野寺 正 第二電電代表取締役副社長
ブライアン・ドワティー 米ウィンク・コミュニケーションズ社会長
チャック・パリッシュ 米フォンドットコム社執行副社長
古川 享 マイクロソフト代表取締役会長
アンディ・グリーン BT戦略・事業開発担当グループ・ディレクター

<コーディネーター>
関口 和一 日本経済新聞社編集局産業部編集委員兼論説委員

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