世界情報通信サミット2000
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セッション2

「デジタル・デバイド時代のエレクトロニック・コマース」

変わる取引慣行、企業への効果は

 司会 インターネットの普及で産業やビジネスはどのように変わるのか。

青木利晴氏
 青木 ECを手掛けている企業でもうかっているところはないと思う。ただ、1年前に比べるとビジネスになるとの確信が得られてきた。商売する上で情報、時間、空間といった面で制約があった。ECはこの制約を開放する。

 ECの特徴は「パーフェクトマーケット」「パーフェクトコミュニティー」「パーフェクトバリュー」の三つ。「パーフェクトマーケット」は、供給側と消費者の情報の不均衡がなくなることで完全市場ができること。消費者はあらゆる供給者が提供するサービスや商品に関する情報を知った上で、比較選択できる。オークション、フリーマーケット、集団購買などの価格決定のメカニズムも自由度が増す。

 「パーフェクトコミュニティー」とは、時間や空間を超えたコミュニティーを形成できること。パソコンや携帯電話を持てば、自分の空間をどこにでも持っていける。小さなコミュニティーが社会へ関与する割合も大きくなる。

 「パーフェクトバリュー」とはこれまで最大公約数的な共通の価値観が尊重されていたが、消費者の価値観が多様化したということ。地域を超えて情報が流通し市場が広がるので巨大ヒットが生まれる。一方でニッチな価値観に関してもビジネスが成立する。インターネットは大規模とニッチの共存を後押しする。

 消費者主導とは初めから値決めの済んだ物を買うこともできるし、注文もできるということだ。代理店業や交渉業務といったECの仕掛けの部分に今後のビジネスチャンスがあるのではないか。

 ライアン 企業はウェブを素早く利用しなければ犠牲者になる。消費者には大きな選択肢が生まれる。すなわち、中小企業でも大企業並みの力を持つことができるようになる。モノやサービスを提供する方もインターネットの価値を十分に生かすことが重要。新しいモデルがどのように動くのかを理解し、得られる効率に注目すべきだ。

 インターネット取引に対する信頼性確保も重要だ。インターネットはすばらしい高速道路だが、乗り降りできる信号やインターチェンジがなければ利用できない。ビジネス支援ソフトを使用することが必要で、それによって「BtoB」の取引が成り立つ。

 BtoBはこれまで、対面方式がビジネス慣行だったが、多くの企業はインターネットを利用するようになった。消費者もすぐに取引ができることを望む。既存の取引慣行に付随した様々な障害が今後はなくなる。消費者は供給側・取引先業者と直接取引できるようになる。

 ECでは新しい市場を開拓し、サプライチェーンを利用して注文をとる。そこで非常に大きな費用対効果が得られる。ウェブ上の注文を供給側のシステムに取り込むことになる。そうすることでウェブの能力を十分に活用し、市場までの時間が早くなる。応答の速い一対一の関係も、ウェブがあってこそ実現する。

 ECで必要になるのは信頼関係を維持する手段。公証人のサーバーで確認を得たデジタル署名で取引に暗号をかける。これらの技術は一部で利用できるが、まもなく家庭にいながらゲーム機を使って銀行サービスを受けられるといったように拡大するだろう。

エリオット・マックスウェル氏
 マックスウェル 1995年から99年までの間、アメリカの経済には根本的な変化があったと考えられる。失業率・インフレ率が低い一方で、経済成長は高い伸びを実現してきた。その要因は何だろうか。

 93年から98年にかけてIT関連と考えられる実質成長率が35%にも達した。この分野では労働者に非常に高い賃金が支払われている。IT分野の生産性が非常に伸びたといえる。経済成長にプラスの循環が働いている。インフレについても同様のことがいえ、98年にIT分野の生産性向上の結果、約0.5%もインフレ率が下がった。

 生産性の伸びはネットワークが拡大した結果と見ることもできる。より多くの人がネットワークを使うようになると、そこから得られる価値が高まっていく。

 光ファイバーもどんどん大容量化・高速化してきた。これが経済成長全体に影響を及ぼした。IT関連の生産性の伸びはビジネスのすべての過程で起こっているものだ。

 ECの利用をすべてのビジネスに展開していったとき、非常に大きな経済効果が期待できる。日本も同じだ。

 98年から99年の米国ではベンチャーキャピタルの増加率の伸びが大きかった。世界のどの国よりも大きかったのは、インターネットの普及によるところが大きい。日本でもベンチャーキャピタル向けの新しい市場ができ始めているので、今後は状況も変わってくるだろう。

 コーン インターネットが普及することで、いかにニッチ分野を充実できるかという視点を忘れてはいけない。たとえ市場が小さくても世界のどこかにそれを知りたいという人がいる。

 司会 日本型ECの行方をどう見る。

 青木 コンビニが将来モノの受け渡し、決済、情報収集、ECのアクセスポイントとして発展すると思う。また、決済機能も含めて携帯端末を使ったモバイルECなどが、ビジネスのスタイルを変えていくのではないか。デジタル家電がインターネットなどとつながることで発展していく。これら三つが日本において特徴的といえる。これらをもとに日本からサービスや技術を発信できるのではないか。

ビジネスモデルに新しい流れ

特許・税金の問題、発展にどう影響

著作権保護とハッカー対策

<パネリスト>
ヨルマ・オリラ ノキア会長兼CEO
小野寺 正 第二電電代表取締役副社長
ブライアン・ドワティー 米ウィンク・コミュニケーションズ社会長
チャック・パリッシュ 米フォンドットコム社執行副社長
古川 享 マイクロソフト代表取締役会長
アンディ・グリーン BT戦略・事業開発担当グループ・ディレクター

<コーディネーター>
関口 和一 日本経済新聞社編集局産業部編集委員兼論説委員

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