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C. ネット社会部会
「ネチズンの登場と新しい 民主主義社会―ネットワーク社会問題解決への世界協調」

1998年2月12日〜2月15日
From: 高木 寛
Subject: [00082] ネットワークと人権
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基本的人権が国家に対する国民の権利だということとは別に人権の問題として考えなくてはいけないものに部落差別や身障者差別があります。こういう会議やシンポジウムではあまり取り上げられないのですが、インターネットの中では匿名性の陰に隠れて、あるいは堂々と部落を差別するコンテンツがあります。電子差別落書きや差別的なホームページです。
例えばインターネット上に自動アンケートシステムを作った人がいます。これは誰でも自由にアンケートのテーマ、質問項目を設定して、そこにアクセスした人に投票してもらってその投票結果をグラフィカルに表示できるシステムです。このシステム自体は差別的ではないのですが、これを悪用した例があります。そのケースでは「同和じゃねーかと思う有名人」というテーマのアンケートを開設して、差別的な項目を設定してユーザーに投票させたというものです。
このほかにも1人の人間が書く電子差別落書きもあるのですが、特にこのケースでは短時間のあいだにアンケートに答えた人が188人もいた事実を深刻に考えなくてはいけないと思います。
このように部落を中傷するコンテンツは公序良俗に反するとして国内のプロバイダのありふれた規約によって削除可能なのですが、削除するだけで足りるのかという問題はあるわけです。また、神戸の少年殺人事件の加害者の実名と写真が掲載されたケースと類似してはいますが、あのケースはある意味では偶発的でありコンテンツを上げ続けた人物も少数ではないかともいえるのに対して、差別的コンテンツは、今後も続いていくことが予想されますし、このケースではかなりの数の人がかかわっています。また、このような差別的コンテンツによって傷つく人の数は膨大です。難しい問題ですが、このような会議やインターネット関係のシンポジウムなどで解決方法を考えていくことが必要だと思います。
米国では人種差別的コンテンツはプロバイダが削除していると聞いていますが、実態はどうなんでしょうか。何か参考になる情報をお持ちの方はいませんでしょうか。私もいろいろ考えてはいるのですが、解決方法についてお知恵をいただければと思います。
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From: 杉井 鏡生
Subject: [00083] Re:ネットワークと人権
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杉井です。
[ネットワークと人権]
高木さんから新しい問題提起ですね。私がリストアップした「電子ネットワークにおける人権とは何か」とタイトルが似ていますが、私の場合は、電子ネットワークの時代に新しい人権概念の拡張があるのかどうかを検討しようというものでしたので、内容はちょっと違いますね。
高木さんの提起された問題は、プライバシーのような問題とも、個人間の直接的な権利のぶつかりあいとも違った種類の社会的な人権侵害問題に対して、ネットワークではどのように対処したらいいのかという問いかけですね。その具体例のひとつが、ネットワークを使って差別を助長するような情報活動というわけですね。
これはネットワーク以外のメディアや社会活動においても共通する問題がありそうですし、ネットワークだけでは解決できない難しい問題も含みそうですね。またネットワークのなかでの対応については、プロバイダが削除可能だとしても、それが問題解決にとって、合理的なやり方なのかどうかは(「削除するだけで足りるのか」という高木さんの問題意識を含めて)、議論の余地が大きいでしょうね。
大事な問題だと思いますので、私が考えていた「電子ネットワークにおける人権とは何か」とは別枠で(当然、絡む話が出てくると思いますが)、これはこれで進め行きたいと思いますので、みなさまご意見お寄せ下さい。
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From: 佐倉 統
Subject: [00084] Re:ネットワークと人権
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高木様,みなさま
横浜国大の佐倉ともうします。
年度末の多忙さにかまけて今までROMしていましたが,初めて発言します。ネットワークにおける人権の問題に関してですが,ぼくはネットワーク上の表現や言論について,もっと規制を厳しくするべきだと考えています。理由は,ネットワークはマスメディアだからです。新聞や雑誌やテレビがさまざまな規制を(自主的にせよ外側からにせよ)おこなっているのと同じことです。具体的にどこが,どのような方法で「検閲」するかという問題は別途検討するべきですが,とりあえず,第三者的な検閲機関を設けるとして話をすすめます。
たんなる仮説──というか思いつき──なのですが,「ネットワーク・コミュニティの動向は,研究者コミュニティが今までおこなってきたやり方に似てくる」とぼくは思っています。研究者のコミュニティーでなくとも,何らかの専門家コミュニティであればいいんですが,自分か研究者なのでイメージしやすいんです。あ,もちろん,EC方面は除きます。コミュニティのマナーとか,そういった面です。
さて,こういった専門家コミュニティの特徴のひとつは,情報流通が早く,構成員の多くが同じ情報を共有することにあります。学者村の例だと,論文書いて専門誌に発表して,それを同業他者が読んで,つい実験したり,発展研究したり,という流れです。ときどき「学会」なるオフラインミーティングも開催されます(^^) ここで,情報を専門誌に「アップ」するときの手続きですが,通常の自然科学だと「peerreview」という「検閲」がはいります。投稿論文を複数の審査員が匿名で査読して,掲載の可否や修正要求を出すプロセスです。この手続きについては批判する人もいますが,雑誌の質を下げないためには必要不可欠であるという点に関しては,おおかたのコンセンサスが得られています。平たく言えば,「トンデモ」を排除するための手段です。明らかに,検閲です。自然科学界では,「言いたいことを言う」権利はないわけです。あくまでも,その専門家集団に何らかの形で貢献する論文のみが,発表を許されるわけです。
さて,ネットワークの場合は,これほど均一の構成員からなっているわけではありませんし,たとえば「国際生態学会」とは違って共通の目的をもった人たちの集まりではありません。ですから,その点は専門家集団とは明らかに異なるわけですが,情報流通の早さ→情報共有度の高さという点では,かなり近いものがあると思います。こういうコミュニティーではある情報の影響力がとてつもなく大きくなることが考えられますから,事前に何らかの検閲が必要だと思うわけです。ただし,同僚(peer)がチェックするのはうまくいかないでしょうね。かといって,第三者的検閲機関を設けるのがいいかどうか,ちょっと自信がないのですが……。
From: 高木 寛 Subject: [00082] ネットワークと人権
このように部落を中傷するコンテンツは公序良俗に反するとして国内のプロバイダのありふれた規約によって削除可能なのですが、削除するだけで足りるのかという問題はあるわけです。
おっしゃるとおりですが,削除する方がしないよりははるかにマシだと思います。それから,誤解しないでいただきたいのですが,ぼくはすべての言論を規制しろと言っているのではありません。ネットワーク上の言論を規制しろ,といっているだけです。
では,また。
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From: 水野 隆一
Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
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From: 佐倉 統 Subject: [00084] Re:ネットワークと人権
年度末の多忙さにかまけて今までROMしていましたが,初めて発言します。ネットワークにおける人権の問題に関してですが,ぼくはネットワーク上の表現や言論について,もっと規制を厳しくするべきだと考えています。理由は,ネットワークはマスメディアだからです。新聞や雑誌やテレビがさまざまな規制を(自主的にせよ外側からにせよ)おこなっているのと同じことです。具体的にどこが,どのような方法で「検閲」するかという問題は別途検討するべきですが,とりあえず,第三者的な検閲機関を設けるとして話をすすめます。
今までの議論の方向とは、全く逆方向の意見が出てきて、びっくりしております。
論点は、3つあると思います。
1.ネットワークはマスメディアと言えるか?
2.マスメディアであるとして、規制が必要か?
3.規制の手段として『第3者検閲』は妥当か?
まず、最初の論点ですが、すべてのネットワークがマスメディアと言うのは、少々乱暴だと思います。サイバースペースと言われるものにもいろいろありますが、例えば、このメーリングリストのように参加者が完全にクローズされ、特定されている場合には、マスメディアとは言えないでしょう。佐倉さんがおっしゃる『ネットワーク』は、前提としてWWWサイトや公開ニュースグループのような物を前提とされているものと想像します。
ただ、公開されているからといって、それをマスメディアと呼んでよいかどうかは疑問があります。これは、2番目の論点とも関連しますが、すべてのマスメディアが自主規制、外部規制などを受けているわけではないでしょう。逆に、社会的に許容される自主規制を持っている所が、権威あるマスメディアとして認知されていると考えるべきではないでしょうか?
ですから、ネットワークにおいて、ある程度の規制が必要である、という論旨は『明確な規制を経て発表されているネットワーク言論のみが、権威ある情報として 認知されていくだろう』と考えるべきだと思います。すべてのネットワーク言論が、権威を持つことは有り得ないでしょうし、必要も無いと思います。ネットワークは、何ら規制を持たないミニコミ誌も包含しているのですから。
蛇足ですが、このような自主規制が明確でない現在は、情報を見分ける目がネットワーク社会での個人の能力を示す(真の情報リテラシー)だと思います。
3番目の論点は、このような論理展開では、必然的に『第3者検閲』はいらないということになると思います。もちろん、誰かがこのような機関を作って、情報発信者が自主的に検閲を受けるということもあるかもしれませんが、これは自主規制の延長であると考えることができます。
また、『人権』とか『言論の自由』という以前の問題として、ネットワーク上での公開情報を検閲することは不可能に近いと思いますので、技術的に規制できないとも思います。できるのは、訓示的規定として法律のようなもので、公開できない内容を事前列挙しておくこと位です(例えば、チャイルド・ポルノのようなもの)。
佐倉さんの論旨も理解はできますが、『影響が大きいから規制しろ』というのはちょっと難しいのではないでしょうか?もっとも、私の論理展開では、最終的に『悪貨は良貨を駆逐する』可能性も高いですが。
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From: 佐倉 統
Subject: [00086] Re:ネットワークと人権
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佐倉です。
水野さん,コメントありがとうございました。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
年度末の多忙さにかまけて今までROMしていましたが,初めて発言します。ネットワークにおける人権の問題に関してですが,ぼくはネットワーク上の表現や言論について,もっと規制を厳しくするべきだと考えています。理由は,ネットワークはマスメディアだからです。新聞や雑誌やテレビがさまざまな規制を(自主的にせよ外側からにせよ)おこなっているのと同じことです。具体的にどこが,どのような方法で「検閲」するかという問題は別途検討するべきですが,とりあえず,第三者的な検閲機関を設けるとして話をすすめます。
不正確な書き方をして失礼しました。水野さんのおっしゃるとおりで,WWWのサイトをおもに考えていました。非公開のメーリングリストはもちろん入りません。先のメールは,以下すべて「ネットワーク」ではなくて,「WWWのサイト」と読み替えてください。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
ですから、ネットワークにおいて、ある程度の規制が必要である、という論旨は『明確な規制を経て発表されているネットワーク言論のみが、権威ある情報として認知されていくだろう』と考えるべきだと思います。
問題は,この権威づけ──というと何となくひっかかりますが,authorization──を「誰が,どこで,どのようにするか」ということだと思います。市場原理のような形でおこなわれる部分があってもいいですし,第三者機関の認定が必要な部分もあるでしょうし,あるいは,まったくそんなもの必要ない情報も,当然あります。では,どうやってこれらの「すみわけ」を担保するか? 技術的な問題はぼくはよくわからないのですが,このようなzoningがWWW(ここはネットワークでもいいか)で必要ではないか,と思うわけです。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
すべてのネットワーク言論が、権威を持つことは有り得ないでしょうし、必要も無いと思います。
まったく賛成です。ただ,権威づけされた情報とそうでない情報が明確に区別できることとが必要だと思います。WWWが今までのマスコミ/ミニコミと違うのは,アクセス可能性が格段に高い点だと思います。ミニコミ同人誌なら存在すら知らなくてすむものが,WWWだと検索一発,いくらでも入手可能です。ポルノ情報などにはブロックがかけられるようになっているものもありますが,まだまだ不十分だと思います。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
ネットワークは、何ら規制を持たないミニコミ誌も包含しているのですから。蛇足ですが、このような自主規制が明確でない現在は、情報を見分ける目がネットワーク社会での個人の能力を示す(真の情報リテラシー)だと思います。
おっしゃることはよくわかりますが,これは「情報強者」の論理ではないか,と(^^;;泳げない人にいきなりサーフィンさせて,「この波にうまく乗れるかどうかが《真のサーフィン能力》だ!」と言われても,溺死者が続出するだけだと思います。とくにこれからは,子供のネットワーク参加がどんどん増えてくると思います。8歳の小学生に「情報を自分で見分けろ!」というのは,やはり無理なのではないでしょうか。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
また、『人権』とか『言論の自由』という以前の問題として、ネットワーク上での公開情報を検閲することは不可能に近いと思いますので、技術的に規制できないとも思います。
あえて「検閲」という言葉を使ってみたのでかえって混乱されたかと思いますが,ぼくの主張は「すみわけ」です。そのためには「検閲」が必要になることもあろうか,ということです。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
佐倉さんの論旨も理解はできますが、『影響が大きいから規制しろ』というのはちょっと難しいのではないでしょうか?
影響が大きいものは,情報に限らず何であれ,やっぱり規制が必要だと思いますけど。
From: 水野 隆一 Subject: [00085] Re:ネットワークと人権
もっとも、私の論理展開では、最終的に『悪貨は良貨を駆逐する』可能性も高いですが。
もはや駆逐しつつある,という印象をもつのですが,これは悲観的に過ぎるでしょうか? あくまでも,WWWのサイトの話ですが。
では,また。
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From: 杉井 鏡生
Subject: [00087] Re:ネットワークと人権
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杉井鏡生です。
[ネットワークと人権]
佐倉さん、「ネットークにおける人権の問題に関してですが,ぼくはネットワーク上の表現や言論について,もっと規制を厳しくするべきだと考えています。」との率直なご意見をありがとうございます。
こうした場では「もっと規制を厳しく」とはなかなか言いずらいと思いますので、思い切ったご発言が活発な議論のきっかけになるのではないかと期待しております(ただし佐倉さんの言われた論文審査のような問題は、規制と言う言葉を使われたとはいうものの、内容は規制とはちょっと違いますよね。でも、折角、刺激的な発言をいだいたので、真に受けて進めさせて下さい(^_^))。
私は個人的には、個人情報保護などいくつかのものは新たな法規制の必要も感じますが、コンテンツに関しては、現行の規制の枠を広げないほうがいいだろうと思っています(司会者としてこれを前提の議論を求めているわけではありませんのでよろしく)。しかし佐倉さんのような問題意識を抱えていらっしゃる方が決して少なくないことも事実だと思っています。
その意味では、単に規制が必要か不要かというだけでなく、新たな規制が必要だという場合には、規制に反対する方の懸念にどういう合意をとりつけていくか、その反対に、規制が不要だという場合には、規制が必要だという方の懸念にどういう合意をとりつけていくかを議論することも必要だろうと思っています。
偶然、昨日、警察庁が風俗営業法の改定案を発表したとの報道がありました。そのなかでは、違反しても処分対象にはならないとはいうものの、プロバイダに対しても、契約先の映像通信業者が刑法上のわいせつ物に当たる映像を客に見せないよう努める「努力義務」をかせるとの規制の拡張が提案されているようです。
小池さんの紹介して下さった米国でのAIMの警報の例なども含めてこの問題についての意見交換ができればと思います。
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From: 高木 寛
Subject: [00088] Re:ネットワークと人権
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[差別コンテンツとネットワーク]
差別コンテンツに対するコメントをありがとうございます。杉井さんが考えていたのは、ネットワークに参加する人がどのような人権を享有するかというものなのに対して、これは、ネットワークを通じての人権侵害をどのように考えるかという場面です。ただ、その結果としてネットワーク参加者の表現の自由などにも影響を与える可能性という点で関連性があります。
まず、その前にネットワークを介しての人権侵害として差別コンテンツについて考えていることを書いてみました。
(1)堂々と電話番号まで公開した差別的なホームページもあるのですが、多くは名誉毀損
などと同様、匿名性の陰に隠れて行われています。しかし、名誉毀損であれば刑事事件としてその責任を追及できるし、その過程で作成者を知ることができるのですが、部落差別や身体障害者の差別では、この手段をとることができません。名誉毀損が個人の名誉を法益とするため、部落や身体障害者一般を中傷する社会的な問題にはその適用がありません。罪刑法定主義の元で刑法の構成要件上、仕方がないのですが、素朴に考えれば、1人の人間を中傷すれば犯罪になるのに、より多くの人間を誹謗した場合は犯罪にならないのはどうにも変なものです。
仮に匿名性の例外と考える場合、さらに誰に対して情報発信者に関する情報を公開するかという複雑な問題も派生してきます。
(2)リアルの世界での差別のネットワークへの反映であって、リアルの世界で解決すべき
という考え方もありえます。しかし、ネットワークがこういう風に悪用されうる性質を内在しているのであれば、ネットワークの側で考えなくちゃならないのだと思うのです。その場合、ネットワーク側の原因が(最も大きな原因は差別をする人の心にあるのですが)、匿名にあるのであれば、その点を考えるべきです。そのほかに、あまり強力な手段は思いつかないのですが、プロバイダの入会案内などで啓発するという地味な方法もあると思います。佐倉さんがおっしゃっている表現の自由の規制はもその手段でしょうか。表現の自由との関係ですから、緻密に考えなくてはいけないのでしょうが、「トンデモ」を排除する手段というのは、興味があります。さらに批判があることを承知であえて言えば何らかのネットワーク上の制裁というのもあるかもしれません。
(3)この問題があまり議論されていないこと自体が、問題ではないかと思います。猥褻や
名誉毀損については、今回のようなシンポジウムでも取り上げられる機会がたびたびあり、問題性自体は浸透しているのに対して、これを取り上げたものは、きわめて少ないように思います。問題性ついての認識を広めていって、具体的な解決手法についてのネットワーク上の知恵を集めることができるのではないかと期待しています。シンポジウムとかを企画する立場の人には是非お願いしたいとところです。部落差別だけでなく身障者をはじめとするマイノリティーとネットワークの問題と考えても良いのではないでしょうか。
(4)このメディアは、マイノリティーが、自ら情報を発信する手段として活用していくと
良いと思うのですが、こういうコンテンツがあることで、それを阻害するのではないかということも心配してしまいます。
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From: 藤原 宏高
Subject: [00089] Re:ネットワークと人権
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弁護士 藤 原 宏 高です。
杉井様
1.いよいよ、警察庁が風俗営業法の改定案を発表しました。しかし、法案の内容を事前に公開せず、一気に国会で法律化しようとするのであれば、国民的議論を回避する点で賛成できません。少なくとも、日弁連に、意見くらい求めていただきたい。
私の個人的感想としては、アダルトサイトの経営者に対し、風営法上の届出を義務づける点で、憲法の表現の自由と抵触することは疑いありません。未成年者保護の規制目的は正当であると考えていますが、雑誌類には売場規制が行われていない現状を改善することも必要であると思います。更に、規制手段として、本当に届出制までが必要か、疑問があります。アダルトサイトの経営内容が未成年者保護を遵守しているか否かだけを事後的に判断するのでは不充分なのでしょうか。警察庁はこの点を明らかにするべきでしょう。
2.小池さんの
>8歳の小学生に「情報を自分で見分けろ!」というのは,やはり無理なのではないでしょうか。
との意見には賛成できる部分があります。本当に、数え切れないほどのホームページをすべて信用できるか否か、閲覧しない方がよいかなど、第三者機関が判定できるのでしょうか。この点の論証が必要と思います。そうでないと、インターネットを危ないと思う人は、知らないサイトへはアクセスするな、知らないサイトで買い物するな、との結論になると思います。ホームページ上の情報量が限られており、掲示する情報に制限がない以上、ユーザーは自己責任でホームページの信用性を判断しろ、といっても酷ではないでしょうか。この点、自己責任に委ねても大丈夫であるとの論証が必要と思われます。
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From: 水野 隆一
Subject: [00090] Re:ネットワークと人権
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水野です。
佐倉さん、論点を絞り込んでいきましょうか。
From: 佐倉 統 Subject: [00086] Re:ネットワークと人権
不正確な書き方をして失礼しました。水野さんのおっしゃるとおりで,WWWのサイトをおもに考えていました。非公開のメーリングリストはもちろん入りません。先のメールは,以下すべて「ネットワーク」ではなくて,「WWWのサイト」と読み替えてください。
厳密ではないでしょうが、とりあえず「WWWのサイト」に限定しましょうか。他のものは、そこから類推するとして(NGとか、公開MLなど)
From: 佐倉 統 Subject: [00086] Re:ネットワークと人権
まったく賛成です。ただ,権威づけされた情報とそうでない情報が明確に区別できることとが必要だと思います。WWWが今までのマスコミ/ミニコミと違うのは,アクセス可能性が格段に高い点だと思います。ミニコミ同人誌なら存在すら知らなくてすむものが,WWWだと検索一発,いくらでも入手可能です。ポルノ情報などにはブロックがかけられるようになっているものもありますが,まだまだ不十分だと思います。
情報の種類によりそうですね。
1.ニュースなど事実の伝達
(さらに、公的事実と日記のような私的事実に分けることが可能)
2.学術論文のようなもの
3.政治的な意見の表明
4.芸術的な作品の発表
5.商品宣伝など、ビジネス情報
まだまだあるかもしれませんが、これがさらに合法的なものと麻薬やポルノなど違法性の高いものに分けることが可能です。
このように考えると、
1.事実の伝達に関して、虚偽の事実の公表をどのように防ぐか?
(必要性も含め)
2.違法性の高いものをどのように規制するか?
という論点は有り得ますが、その他の情報について「質」を云々することは
難しいのではないか、と思います。特に政治的な意見表明や芸術的な作品の発表に関しては、規制そのものに問題がはらむと思います(自主規制も含め)。
From: 佐倉 統 Subject: [00086] Re:ネットワークと人権
蛇足ですが、このような自主規制が明確でない現在は、情報を見分ける目がネットワーク社会での個人の能力を示す(真の情報リテラシー)だと思います。
おっしゃることはよくわかりますが,これは「情報強者」の論理ではないか,と(^^;;
「情報強者」の論理!う〜ん、そのとおりかもしれませんねえ。おっしゃるとおり世の中、「弱者」のほうが多いから「悪貨は良貨を駆逐する」ということが起こるのでしょうが。
ご指摘の小さな子供のケースは、教育との関連もあり、別の問題として議論すべきだと思いますが、一般の成人に関しては、「情報強者」の論理もやむを得ないかなという気もします。これまでは、マスコミなど一部の人間だけが「情報エリート」だったのが、今はすべての人間にチャンスがあるのだから。
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From: 水野 隆一
Subject: [00091] Re:ネットワークと人権
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藤原様
水野です
法学部は出たものの、事実上法律の素人からの質問です。
From: 藤原 宏高 Subject: [00089] Re:ネットワークと人権
私の個人的感想としては、アダルトサイトの経営者に対し、風営法上の届出を義務づける点で、憲法の表現の自由と抵触することは疑いありません。
営業を届け出制とすることが、何故表現の自由と抵触するのか、良く理解できません。(職業選択の自由とかなら、なんとなくわかりますが)新聞にも出ていましたが、今回の風営法の改正案では、無料でのポルノ写真の掲示には適応できないわけですよね。その意味では、表現の自由とは関係ないような気がするのですが。それとも、表現の自由とは「表現物を販売する自由」までも含むのでしょうか?
From: 藤原 宏高 Subject: [00089] Re:ネットワークと人権
インターネットを危ないと思う人は、知らないサイトへはアクセスするな、知らないサイトで買い物するな、との結論になると思います。ホームページ上の情報量が限られており、掲示する情報に制限がない以上、ユーザーは自己責任でホームページの信用性を判断しろ、といっても酷ではないでしょうか。この点、自己責任に委ねても大丈夫であるとの論証が必要と思われます。
情報の信頼性なんてそれほど絶対的なものではないでしょう。新聞でも通販でも情報を信頼するかどうかは、個人の責任でしょう。ですから、知らないサイトへはアクセスするな、というのも仕方がないと思います。
ただ、未成年の問題は別です。これは、未成年者保護をどのように行うかを考えるべきで、未成年者の情報のアクセスを制限するためには、情報発信者側の内容を検査するよりも、インターネットへのアクセスする側を事前に検査するほうが早く確実だと思います。例えば、プロバイダーと契約する際に年齢などを審査を行うなどを方法が考えられます。その上で、今のサイバーパトロールのように未成年者有害情報には、年齢チェックなどを義務づけるというのは如何でしょう。
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From: 福冨 忠和
Subject: [00092] Re:ネットワークと人権
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福冨です。
ちょっとスレッドのテーマからはずれますが、一連の議論で思うのは、私含めて、こういう議論の場では、マクロなレベルに回収しすぎる傾向があるところです。細かいところまで踏み込まないので、どうしても世界観とか、思想とか、国家や法に関するそれぞれのスタンスのところでぶつかってしまい、大雑把なレベルで対立します。その結果、ディテイルを飛ばして「悪しきコンテントがあるから規制」という単純な方向に流れることを一番懸念します。
インターネットの普及というのは、個別・特殊的な問題の差違や本質を理解するいい機会だと思うのですが、そうならないのが気になります。
たとえば、売春があり、ポルノがほぼ自由で、麻薬があれだけはびこっているオランダでは、逆にメディアでの差別的な表現を法律で禁止しています。私の学生時代の友人の留学生の国はポルノなどとんでもないというお国柄ですが、彼自身は奥さんが12歳の時に結婚したそうです。日本なら児童福祉法とか淫行条例で捕まってしまいますね。こういう日本の状況とのねじれをちょっと考えても、さしあたり世界レベルで包括的な対応策を考えるような単純な規制論には無理があることがわかります。しかし、米国・フランスなどはそういう提案をEUとかサミットレベルで盛んにしています。
国内のレベルでよく感じるのは「有害情報」という奴です。地方条例の「有害図書指定」などでは、差別や名誉毀損、あるいは少年法による指定は、ほとんどないですね。たとえば、先日のフォーカスや文芸春秋を有害図書に指定できるような条例はないんじゃないですか。暴力表現についてもあまりありません。要するに性表現=有害とみなしているだけです。
以前は「不健全図書」などと言ってましたが、最近は「有害」という言葉が多いようです。しかし、ポルノグラフィが青少年に有害か、と言えば、かなりいろんな学術的な研究をあたってみても、そういう結果はみつかりません(もしあれば教えていただきたいのですが)。暴力表現についても、ほぼ同じような結果になると思います。むしろ、レイプ犯の多くが思春期までに一般よりも性情報に触れる機会が少なかった、という研究結果が70年代にあったことがわかりました。
もちろん性をタブー化するのは、共同体の存立に関わることかも知れないので、それを規制したいと考えるのはわかります。「親が子供にポルノを見せたくない」という心情だってよくわかります。しかし、「青少年に有害」と言えないことは確かです。
同じ問題でよく見受けられるのは、マッキノンなどのポルノ=性暴力という図式をポルノ規制論に援用する人です。30年以上前のフェミニズムのこのテーゼは、その後メープルソープとかSMレズビアンなどに関するたくさんの議論があって、今はフェミニズムでもそう単純に受けとめられていないと思います。まして、「法規制しろ」というところに結びつくと妙です。マッキノン自身が「ポルノグラフィが問題なのは、ポルノグラフィは女性を傷つけ、女性の平等を傷つけるから」と書いた上で、「猥褻(規制)法が問題なのは、こういう現実が全然加味されていない」(「ポルノグラフィ」)とまで書いています。 いずれにしても、ポルノや差別や人権の問題についても、これまで各分野での長い間の議論があるわけですから、それを「公序良俗」みたいな言葉で単純な規制論に回収してしまうのは、危険ではないかと思います。今は、じっくり詳細な議論をするいいチャンスだと思いますから、拙速な法規制を考えるべきではないと思っています。
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From: 小池 良次
Subject: [00093] Re:ネットワークと人権
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小池です。
From: 藤原 宏高 Subject: [00089] Re:ネットワークと人権
弁護士 藤 原 宏 高です。
杉井様
1.いよいよ、警察庁が風俗営業法の改定案を発表しました。しかし、法案の内容を事前に公開せず、一気に国会で法律化しようとするのであれば、国民的議論を回避する点で賛成できません。少なくとも、日弁連に、意見くらい求めていただきたい。
警察庁が風俗営業法の改定案のところで「事前公開せず」とありますが、本当でしょうか?もしその通りなら寂しいですね。
米国はほとんど議員立法なので、議員に直接、文句の手紙を書けます。またFCCなど行政も一応、意見公募の機会があってから法案が作られます。
10年以上もアメリカにいるので浦島太郎の小池なんですが、日本では何とか審議会といって、直ぐに密室会議で決まるんでしたっけ?議事録も公開されないような場所で.....
それから
From: 藤原 宏高 Subject: [00089] Re:ネットワークと人権
2.小池さんの
8歳の小学生に「情報を自分で見分けろ!」というのは,やはり無理なのではないでしょうか。
「小池さんの」とありますが、これはボクの発言ではないです。
{00086}だから多分、佐倉さんの発言?
一応、訂正を入れます。
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From: 高木 寛
Subject: [00094] Re:ネットワークと人権
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高木 寛です。
[ネット上の表現の自由の規制]
ネットワーク上の表現の自由はこの会議のテーマでもある民主主義とも関連するし、これなくしてネットワークが社会を変えていくこともあり得ません。また、これまで国民の基本的人権といわれながら法人であるマスコミが代行していましたが(多少問題がありますが)、憲法上、本来の基本的人権の主体は自然人であって、そのふつうの国民がネットワーク上でこの自由を行使できるようになったのですから、代行に過ぎない法人よりもっと強く保障すべきではないのかと思います。少なくともリアルの世界よりは後退するのは困ります。
しかし、一切制限を許さない基本的人権はないわけで、ほかの基本的人権との調整のもとで認められるに過ぎません。それで私は中間説を言うことが多いのですが、これって理解しにくいうえに両方から批判を浴びるというつらい立場なんです。
要するに自由も必要だが、問題点もあるというときに規制の可否という単純な議論ではなく、両者の調整としてどのような規制を考えるべきかをもっと具体的かつ緻密に考えるべきです。現在の対立は、両者とも荒っぽすぎてそのまま調整するのは難しいと思います。杉井さんがどこで両方の立場の合意を得るかという、規制を決定する過程から見ているのも、対立する意見の距離が少し離れすぎているからではないでしょうか。山崎さんがインータネット原理主義や教条主義的と表現されていましたが、意見の対立がそう見えるほど感情的になっているのかもしれません。そのためとは限りませんが議論がやや大雑把な感じがします。むしろもう少し細かくセグメントするなり、対立する人権の性質を掘り下げていくことが必要です。
米国で違憲とされたCDAはメールもホームページもまとめて規制しようとしましたが、あ
れは荒っぽすぎます。さらにメールとかメーリングリストとかホームページなどに分けるだけでも不十分で、もう少し細かく考えるべきです。表現活動によって侵害されるというか対立する人権がプライバシーや差別の場合は、表現の自由といえども相当控えめにならざるを得ないでしょう。出版ではプライバシーについては裁判所の事前差し止めが認められています。滅多にないでしょうがホームページへの掲載の事前差し止めだって理論的にはあり得ると思います。プライバシーの範疇でとらえうるかわかりませんが、部落地名総鑑みたいなものは、公開されてしまえば回復困難な問題を生じますから誰かが、ホームページ上への公開を企画していると分かったら、差し止めるべきだと思います。それがわいせつとか青少年に有害とかになってくると、事前差し止めというよう強力なものではなく、もっと緩やかに考えるべきで、有害なコンテンツなどは規制するのではなく、家庭教育の問題としてフィルタリングソフトに任せても良いと思います。こういう分析的な考え方は、憲法の人権の制限ではごく普通なんですが、ネットワークの中に来ると規制派と自由派の対立になっているのは少し困る感じがします。
さらに「マスコミと言えるか」という佐倉さんと水野さんの議論がありましたが、私はそのように一元的にとらえられないと思います。例えばホームページもマスコミや大企業が提供しているものから、パソコンを買って1カ月にも満たないお父さんがマニュアルを見ながらボツボツ作ったものまでいろいろあります。このように色々あるからこそインターネットはおもしろいわけですが、規制のあり方もこのような違いに応じて考えても良いのではないかと思うのです。例えばお父さんが作ったホームページで多少筆がすべって有名人の名誉を毀損してしまった場合などはアクセス数もそれほど多いわけではないでしょう。通常は損害賠償額の算定の問題になりますが、むしろそもそも名誉毀損で扱う必要もないのではないかと考えるのです。
そんなことを言っても個人が開設したホームページでも毎日数万アクセスなんてところもあるから、区別ができないという意見もあると思いますが、個人か企業かのほかにアクセス数やインターネットの経験年数とかの要素も含めて分析できないでしょうか。クラスあるいはグループAからEぐらいに分析してそれぞれ別に考えていくというものです。経済活動の自由競争による調整がヤスリでガリガリと削るようなものだとすれば、表現の自由の調整は宝石を磨くような繊細さが要求されるのであって、こういうこまかな議論があっても良いんじゃないでしょうか。
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From: 小池 良次
Subject: [00095] AIM、インターネット10大警報
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小池です。
月曜、火曜とAIM(Assoication for Interactive Media)というロビー団体の会議を取材して帰ってきたところです。
最近の米105議会や行政の動きを取り上げてAIMは10項目の警戒を出しているので以下、かい摘んでご紹介します。EC分科会関連も多いので、どちらにアップするか悩みましたが、三分科会とも配信されているようなのでこちらにアップすることにしました。議論のご参考になれば幸いです。
同ニュースリリースの原題は"Top Ten Political Threats to the Internet to bediscussed at Association for Interactive Media Conrerence, Feb.8-10"です。またAIMのURLはhttp://www.interactivehq.orgです。
1)FTC無作為査察:
FTC(連邦通商委員会)は、3月1日から米国のホームページを無作為抽出して、査察を開始しました。これはユーザーのプライバシー保護をちゃんとやっているかを中心とする動きです。
2)インターネット税:
米国では州政府、地方自治体レベルでインターネットに関する課税の動きが活発化しています。(潜在的には3万を超える州政府や市町村がインターネット・タックスを立案実施できます)この州や地方自治体の動きに対して、連邦レベルでは反対の法案が検討されています。これまでの課税項目で対処し、特別に新しい税金をつくるべきではないとの動きです。
3)FCCの料金規制:
FCC(連邦通信委員会)は、インターネット・サービス業者に対して細かい料金の算出基準についての調査を開始しています。これは電話同様、インターネットの料金にたいしても政府の規制が加わるのではないかと、業界は心配しています。
4)通信品位法の復活:
96年2月に成立した(新)通信法では、猥褻なコンテンツをネットワークに載せた者やそのキャリア(オンライン・サービス・プロバイダー)を罰する有名な通信品位法が含まれていました。これは、直ぐに猥褻の定義が不明確だということで最高裁が法案の差し止め命令を下したために死んでしまった法律です。この法律が復活しようとしています。 5)インターネットでのデータ収集の禁止:
ウェブや電子メールは簡単に個人情報(電子メールアドレスやIPアドレス、趣味嗜好、住所や電話番号など)が集められます。ただ、プライバシー保護の問題が十分でないとの理由から、こうした情報収集を禁止しようとする法案が検討されています。
6)電子メールリストやデータの使用禁止:
大量のメールを安く配信できるため、スパムとよばれる大量電子メールが問題となっています。そこでインターネットで電子メールリストやユーザーの履歴などを使ってはならないという法案が出ています。ユーザーの事前の了解なしには一切リストが使えないという内容です。
7)商業電子メールの禁止:
6)のリストやデータの使用禁止と目的は同じですが、スパムメール対策として一切の営業向け大量商業メールの発送禁止をうたった法案やサブジェクトに「ADVERTISEMENT」と明記することを強制する法案などが上がっています。
8)通信キャリアの責任:
ネットワーク型ギャンブルの禁止や著作権違反を含むコンテンツの提供禁止などをキャリア(電話、ケーブル・テレビ、インターネット・サービス業者など)に課そうとする法案が出ています。
9)ウェブコンテンツへの罰則:
現在、商標侵害や知的所有権違反など多くの問題がウェブ上で発生しています。これに対して罰則を強化しようという法案があります。(ただ、個人や零細企業などは、こうした法的問題を解決するだけの時間も費用もないため、実質上のウェブ規制につながるという問題があります)
10)Vチップのコンピュータ搭載:
テレビでは猥褻や暴力を親が自動的にカットできる装置(Vチップ)の搭載が義務づけられました。これをコンピュータにも適用しようとする動きがあります。
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From: 杉井 鏡生
Subject: [00096] Re:AIM、インターネット10大警報
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杉井鏡生です。
[AIM、インターネット10大警報]
小池さん、興味深い話題のご紹介をありがとうございます。
From: 小池 良次 Subject: [00095] AIM、インターネット10大警報
1)FTC無作為査察:
2)インターネット税:
3)FCCの料金規制:
4)通信品位法の復活:
5)インターネットでのデータ収集の禁止:
6)電子メールリストやデータの使用禁止:
7)商業電子メールの禁止:
8)通信キャリアの責任:
9)ウェブコンテンツへの罰則:
10)Vチップのコンピュータ搭載:
これらは、アジア分科会にも、EC分科会にも、当ネット分科会にも、それぞれに絡む問題ですね。
この警報を拝見すると、ひとつは、それぞれの課題に対して、新たな法的なルールをつくるのが適切かどうかという問題がありそうですが、それとともに、もうひとつ、法的なルールを作る場合も、EC分科会の田中さんの表現をお借りすれば、予防的なところを誰がどうするのが適切かという問題でも議論がありそうですね。
既に出ている「ネット紛争解決」の議論ともダブルところがありますが、新たなテーマもありますので、とりあえずこのSubjectのスレッドでご意見をいただければと思います。
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From: 小池 良次
Subject: [00097] AIM、インターネット10大警報
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小池です。
ちょっと、フォローアップがてら、今回のAIMでのミーティングや参加者との意見交換で感じたことを書きます。あまり10大警報とは関係ないですが、ワシントンの雰囲気を知って貰うのもなにかの参考になると思います。
今回、多くの上下院議員やロビーストの話を聴きましたが、共通することは
1)世間のインターネット・ブームに遅れないようにと議員は焦っているが、実際の所キーボードを扱ったこともなく、情報通信への知識がない。
2)知識がなくても、普通なら豊富な情報提供や問題点の掘り下げなどをしてくれるブレーンや専門ロビーイスト、ロビー団体がいるが、インターネットではこれらが不十分。(議員の旺盛な需要に対応するだけの情報供給がない:これはハイテク業界側の大きな課題といえるでしょう)
3)一方、行政(連邦通信委員会や連邦通商委員会、クリントン大統領側近)や裁判所はどんどんとインターネット対応を進めていて、議会は取り残されそうになっている。(権力間のアンバランス問題)
4)ハイテク企業は行政や司法には積極的だが、ロビー活動には消極的。
好例はマイクロソフトと司法省の例だそうです。マイクロソフトはロビーが下手なんで損をしているとの話をあちこちで聴いた。
今回のインターネット関連法案の動きと、96年の通信法改正に関する時とは確かに際だって違います。
通信法改正では、電話会社やケーブルテレビ、一般テレビ業界が強力なロビーを持っていて、議員は「何が問題か」じゃなく「どう折り合いをつけるか」を追いかけていました。今回、議員のみなさんはそれほど自信に満ちていません。
つまり、キャピタルヒルはハイテク業界のロビー活動(情報提供や議論)が活発化することを強く望んでいます。
しかしそれは反面、ハイテク企業のトップやその代理人に「ワシントンルールに従え」というものです。
つまり日本のお茶屋外交みたいなもんで、極端に書けば、、、「つね日頃から」一緒においしいメシを食べ、議員とともに葉巻とコニャックをたしなむ世界をシリコンバレーやシアトル組も勉強しなさい、、、とボクの耳には聞こえてきます。
これが良い悪いは別として、ワシントンでインターネット関連法案を有利に解決する有効な手段であることは間違いないわけです。
というわけでボクが少しぐらいは?と期待した「インターネットで議員の草の根活動が活発化する」とか「インターネットで選挙活動がかわる」といった話までは、とても目が行っていないことも良く分かりました。
インターネットで確かに市民社会や権力構造は変わるのでしょうが、今の所ワシントンでは従来通りのルールでインターネットに取り組んでいるわけです。
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From: 山口 三惠子
Subject: [00098] Re:ジャーナリズムの未来
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山口三惠子です。
[ジャーナリズムの未来]
杉井さんの2月2日付以下の御意見に同感です。
From: 杉井 鏡生 Subject: [00054] Re:ジャーナリズムの未来
しかし、規制論はともかくとして、当面、インターネットでは専業ビジネスとしてのジャーナリズムは成り立ちずらいとはいえ、マスメディア機関(ネット上のマスメディアも含めて)だけに依存しないでも発信が可能なインターネット上の新しいジャーナリズムにも役割と可能性を期待できるとしたら、それを健全に育てるための方法は考える価値があると思います。
たとえば、ジャーナリズムに対する批評や、ジャナリズム間の相互批評というものを発展させていくことも、そのひとつだろうと思います。これは従来のジャーナリズムにも、もっとあっていいことですが、マスメディア機関中心の世界であったせいか、あまり活発とはいえません。それに対して、インターネットのほうがやりやすい上に必要度も高まってくるのではないかと思っています。
従来大新聞や週刊誌対報道の対象となる者(特に個人)との間では前者の方が圧倒的に力がありました。名誉毀損に該当するような報道であっても裁判で勝訴しそれが確定するまでは時間がかかり、謝罪広告が掲載されるまでは報道された内容が読者の心に定着することになります。
裁判でなく交渉の結果「お詫び広告」が紙面の何処かに(しばしば片隅に)載ることもありますが、当初の報道のインパクトの強さを完全に覆すほどの力はありません。それでも「お詫び」が出れば良い方です。
以上の場合意外でも、事実あるいは取材されたときの発言の趣旨と異なる記事が掲載されるという経験をされた方もあると思います。
書かれる側からの反論やメディア間の批判が自由かつ活発を可能にするような環境があれば、メディアの真の発展のためにも好ましいと思います。
誤解しないでいただきたいのですが、新聞などのメディアが特定の個人や企業などの団体について批判的な報道をこと自体を否定しているのではありません。
現在財界や官界の悪しき慣習がクローズアップされていますが、どの業界でも自分達の業界だけの価値基準や慣行の中で生きていると自己改革を行うのが難しいので、外からの批評や相互批評が必要だと思うのです。
具体的な方法論との関係で気になるのは1月26日付の福富さんの以下の御発言です。
こういう中で、ちょっと気になるのは、エンドユーザーからの情報発信の自由度が、相対的に奪われていることです。現在は大手企業も個人のホームページも情報として並列されていますが、新しい技術ーーーたとえばプッシュ、ADSL、衛星接続、データ伝送波の利用など、すべて、いわば非対称の技術をベースにしていて、エンドユーザーにとって、受信には便利だけど、発信は相対的に不自由になっています。
これがどういう結果をもたらすかは、まだちょっと見えていませんが。
エンドユーザーからの情報発信の自由度を高めるために技術的、経済的な問題をクリアすることが必要と思いますが、私にも有効な方法は見えていません。皆さんどうお考えでしょうか。
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From: 小池 良次
Subject: [00099] Re:ジャーナリズムの未来
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小池です。
杉井さん、山口さんの論旨に賛同します。
ところで、日本の雑誌や新聞は読者からの反論をあまり正面から取り上げる姿勢がないのではないでしょうか。
雑誌で読者覧を常に持っていて、自分の掲載記事に対しての反論を掲載しているのはあまり見かけない。
新聞は読者欄を持っていますが、実際の投稿内容を記者が書き換えたり(もちろん投稿した人とコンタクトしているようですが)、選択的に一定方向にまとめたりしているように感じます。たとえば読者覧で新聞再販制度への反対意見を取り上げたことはあまりないんじゃないですか?(間違っているかも知れないけれど)
こうした小さな反論の場がないと(実際、名誉既存ほどの大きな対立の前の)意見の違いなどはすべて無視される。
その意味では、最近米国の大手ウェブ新聞で読者が(特定テーマに絞ることが多いですが)意見を書き込むビュレテンボードが設置されていることをボクは高く評価しています。これは基本的には、なんら編集部の操作がなく、読者がメールすると自動的に載る点で素晴らしいわけです。(読む方は大量でちょっと苦労ですが)
なお、日本の新聞で署名記事が増えているのは好感を持たせて貰っています。
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From: 杉井 鏡生
Subject: [00100] Re:ジャーナリズムの未来
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杉井鏡生です。
[ジャーナリズムの未来]
山口さん、小池さん、私の投稿に関してのコメントをありがとうございました(司会役として、あまり意見的なことを書かないようにと思っていましたが、結構、書いていることに気がつきました...こらえ性がないのです)。
オープンな相互批評の場は、ジャーナリズムに限らず、管理的な手法に頼る場合の硬直化や不自由さ、市場的な手法に頼る場合の迎合化やセンセーショナリズムを多少でも防ぐ意味で有効ではなかろうかと思っています(批評についての批評の場も必要かも知れません)。
これは、佐倉さんが紹介された学者コミュニティのよう領域でも、権威に基づく管理型の統制が行わた場合、秩序は保たれるものの、ともすると既存の権威と違った考え方がなかなか受け入れられない場合が有るという問題や、かといって無制限なだけでは、水野さんの言われるように、「悪貨が良貨を駆逐する」恐れがあるという問題を多少でも緩和するのではないかと期待しております。どうでしょう。
ところで、日本でも署名記事が増えてきたということ、私もいいことだと思っています。署名記事化では有名な十勝毎日新聞が原則署名記事化を宣言したのが1995年10月2日だそうですから、まだまだこれからでしょうけどね。(当初は、「記者が出たがり屋なのか」という声もあつたそうですが)
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From: 福冨 忠和
Subject: [00101] Re:ジャーナリズムの未来
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福冨です。
From: 山口 三惠子 Subject: [00098] Re:ジャーナリズムの未来
具体的な方法論との関係で気になるのは1月26日付の福富さんの以下の御発言です。
こういう中で、ちょっと気になるのは、エンドユーザーからの情報発信の自由度が、相対的に奪われていることです。現在は大手企業も個人のホームページも情報として並列されていますが、新しい技術ーーーたとえばプッシュ、ADSL、衛星接続、データ伝送波の利用など、すべて、いわば非対称の技術をベースにしていて、エンドユーザーにとって、受信には便利だけど、発信は相対的に不自由になっています。
これがどういう結果をもたらすかは、まだちょっと見えていませんが。
エンドユーザーからの情報発信の自由度を高めるために技術的、経済的な問題をクリアすることが必要と思いますが、私にも有効な方法は見えていません。皆さんどうお考えでしょうか。
ちょっと方法として参考になるのは、ヨーロッパでの公共放送(国営放送ではなくて市民参加型放送)や米国のCATVなどにあるパブリック局の考え方かもしれません。サタディナイトライブの「ウェインズワールド」が、ちょうどパブリックテレビ局の番組の話ですが(高校生が自宅の地下室から放送している番組のスタイルになっています)、ああいうものをブロードキャスト型のサービスに組み込むことができればいいように思います。 たとえば、双方向のインフラであるべきインターネットで、インタラクティブでないサービスを展開する場合は、ユーザー参加の機会をいれるべき、みたいな規定を、放送型サービスに入れてもらうという感じでしょうか。
今の方向では、インフラとコンテントの切り分けが進まず、最終的にはマスメディア(インフラ+コンテント)型の産業が、ネットワークを支配していくことになってしまうかもしれません。
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