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B. EC部会
「エレクトロニックコマースの新展開 ―経済構造改革へのシナリオ」

1998年2月9日〜2月11日
From:田中 辰雄
Subject: [00072] Re:知的所有権に対する問題提起
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田中辰雄です。
山崎さんフォローどうもありがとうございます。
山崎さんの主張のうち次の2点が大事と思います。
(1)事前予防しても許認可にはならない。
From: 山崎 一樹 Subject: [00062] Re:知的所有権に対する問題提起
予防対策を国が責任を持って法令等により行うことと、民間事業者の許認可とは直ちには結び付かないのではありませんか。新種のmythを作り出すことは本フォーラムの 趣旨ではないのでは :-)
(2)事前予防を民間に任すのはアメリカ式であり、ヨーロッパをはじめほとんどの国はアメリカ式をとっていない。国が関与している。それなのになぜアメリカ式をとるのか。
From: 山崎 一樹 Subject: [00062] Re:知的所有権に対する問題提起
また、事前の対応は民間の自主的対応で行うというのはアメリカの手法ですが、少なくともEUはそのようなやり方は取らないことを明言しているわけでしかし留意すべき事柄は、「自分たちで決めました」というフィクションを至上の喜びとするアメリカ流は、今のところcyberspaceでは圧倒的に優勢であるかのように見えるけれども、存外、非アメリカでは(日本を除いては)かなり嫌われているという現実であろうかと思います。
この2点について、コメント、賛同・反論などの有る方がおられましたら議論をお願いいたします。これまで、日本でのECの発展のためには個人の自己責任原則を増やす必要があるという意見や、また、セキュリティ問題の解決も民間に委ねるべきという意見がありました。そのような意見の持ち主の方には反論があるのではと期待しています。
#山崎さんの発言は私に向けられたものですが、コーディネーターは議論の当事者に ならない方がよいと思いますので、とりあえずひきます。もし、2、3日中に他の方 のフォローが無ければ私がフォローいたします。
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From:小池 良次
Subject: [00073] Re:知的所有権に対する問題提起
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From: 山崎 一樹 Subject: [00062] Re:知的所有権に対する問題提起
また、事前の対応は民間の自主的対応で行うというのはアメリカの手法ですが、少なくともEUはそのようなやり方は取らないことを明言しているわけで(例えば、1995年の個人情報保護に関するEU指令など)、田中さんの上記の考え方は「事実上」ECの世界はアメリカ流をスタンダードとすべし、と主張しているのと大差ないと思われると思いますが。むしろ問題とすべきなのはアメリカ的なアプローチと「非アメリカ的アプローチ」との調整なのではないでしょうか。もっとも、日本のように「長いモノに巻かれろ」方式もありますけれどもね :-)
さて、「事前の対応は民間の自主的対応で行うというのはアメリカの手法ですが」とありますが、まだそこまで話は固まっていないのではないでしょうか。
FTCなんかは、本格的に介入しようとしているはずです。そうさせないように、民間が先行姿勢を示して戦っているというのが今の現状ではないかと推測してます。
余談ですが、「インターネット・ポリシー・フォーラム」の取材に今、ワシントンに来ているので、推測が正しいか分かるかもしれません。(たぶん、なにか)
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From: 磯崎 哲也
Subject: [00074] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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磯崎@長銀総研です。
ちょっと補足させていただきたいと思います;
■要約
● インターネット証券取引のボリューム自体は増えるかも知れないが、「盛り上がらない」姿が予想される。
● インターネット証券取引のマーケットサイズは、活気のあるベンチャーが登場してこそ意味のあるものだ。
● ちょっとでも重い規制や参入障壁がある領域は、ECは活性化しない、ということが示唆される。
● 証券市場自体が活性化するかどうかは、「EC」といったノリの話とは別の要素によって決まってくる度合いの方が強いのではないか。
■本文(長いので、ご興味があればお読み下さい。)
From: 田中 辰雄 Subject: [00071] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
*現状では*磯崎さんのあげる理由群のとおりで、E-trade的な価格破壊の土壌は乏しいでしょう。問題はこれが*近い将来*変わるかどうかです。ビッグバンにともなう規制撤廃や外資の上陸、証券・銀行の連続倒産の流れの中で、上に挙げた理由群が変わるのではないかという問いを私は立ててみたわけです(固定手数料廃止はその例)。
すみません「活性化する」という言葉が、あいまいでしたが、「盛り 上がらない」ということです。インターネットで取り引きされるボリ ューム自体は、そこそこ増えていくかも知れません。
アメリカで大成功している E*trade社ですら、昨年は粗利 70億円ちょ い、20数億円程度の利益しかあがりませんでした。
http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1015780/0001012870-97-002529.txt
日本でやっても、盛り上がらず、粗利が半分になったりしたら、利益でないですよね。つまり、大手の証券会社が気合いを入れて出てくる領域にはならなさそうだ、ということです。(大手さんも、1社やってらっしゃいますし、他もやるとは思いますが。)
日本の中小証券会社さんに期待したいところですが、まだWebで取引をするインターネット取引には、2社しか参入していません。
インターネット取引をやっても、それほど儲けが出るわけでもなく、ましてや、今後は、国際的なネットワークが必要になってくるとすると、ちょっと気が重くなるのも頷けます。
そこで、活きのいいベンチャーに期待したいところですが、大儲けの チャンスがあまり期待できず、前回のメールで申し上げたように、かなりの投資額が必要になるとか、大手証券のシステム会社に依存しなければいけないとすれば、参入する気は普通は起きないですよね。
海外の E*Tradeなどが、既存の中小証券会社などと提携(または買収)などして、日本に進出し、日経新聞さんに全面広告をダーンと打ったりすれば、若干盛り上がるかも知れません。
田中さんは、手数料価格の低下に期待されているようですが、日本の 株式売買は、従量制の料金になっているので、100万円以下の小口の売 買なら、数千円の手数料で取引できます。一千万円くらいの売買になるとかなり差が出ますが、上記くらいの小口なら、アメリカのインターネット証券取引と既にそんなに変わらないとも言えます。
手数料が下がることによって、売買が増えることはそりゃあるでしょうが、収入が減って、マーケットが縮小する効果とどちらが大きいかというとどうでしょう?
参入するのが、既存の証券会社関係のところばかりで、インターネット取引をやると同時に、既存部門のリストラをどんどん進めないといけないというのは、絵としてなんとも暗い。
やはり、ゼロから参入して、年間の経常利益が、せめて10億円くらいになるベンチャーが高笑いする、ということにならないと、おもしろくないです。
−−−
ということで、「盛り上がりそうにない」。
既存の3大証券+一部の中小証券会社+海外の E*Tradeなどと提携した証券会社が「インターネット証券取引やってます」というだけでは、「ふーん」「今までのホームトレードがインターネットになっただけね」というだけで、血湧き肉踊らないですよね。
ECへの示唆としては、かように、ECの場合、ちょっとでも重い規制や参入障壁があると、ぜんぜん盛り上がらないことが予想される、ということだと思います。
ECというのは、投資して、ブランドを確立して、短期間で投資を回収する、というスピードの勝負ですので、スピードが出ないしくみというのはいただけないです。
−−−
個人的には、中堅のシステムなどを内製化している既存の独立性の強い証券会社が思い切ったリストラをして、例えばバックオフィス業務などを行う専門会社に変わっていったりするというのに、ほんの少しだけ期待しています。
From: 田中 辰雄 Subject: [00070] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
が、この点はdebatableでしょうね。磯崎さんのように、「インターネット証券取引に業者が多く参入して、市場が活性化する」ほどの効果はないという見方もありましょう。ここらへんは証券市場の将来予測に依存します。
そういう話になると、例えば、日本でも401K のような、国民に株式市場や投信などに興味を持たせるような制度が導入されるかどうか、など、モロに金融制度改革のお話にも関連してきて、ECというか、「インターネットなどの新しい通信技術で、世の中変わる」というようなお話からは、かなり遠ざかるような気もします。
では。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00075] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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田中辰雄です
磯崎さん、捕捉どうもありがとうございます。
次の2点は大いに賛成です。E-tradeだけでなくEC一般、いや情報通信産業一般にあてはまることであるように思います。
From: 磯崎 哲也 Subject: [00069] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
● インターネット証券取引のマーケットサイズは、活気のあるベンチャーが登場してこそ意味のあるものだ。
● ちょっとでも重い規制や参入障壁がある領域は、ECは活性化しない、ということが示唆される。
前に話題になった例では、書籍の再販制度がありましたね。再販制度が無くなれば価格破壊を行いながら参入するベンチャーが出てきて書籍のECはもっとダイナミックに展開することが期待できるでしょうから。
実はアメリカでもECの先進的利用者は、書籍のamazom.comや自動車販売のautobytelのようにベンチャーであり大手ではない。ここからECの活性化にはベンチャーが活躍しやすい環境が必要という示唆が得られそうです。
#余談
小池さん、BtoBのフォローありがとうございます。もうちょっと盛り上がってもよいテーマと思いますので、他の皆さんコメントありましたたよろしく!
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From: 校條 浩
Subject: [00076] 金融でのEC-トロイの木
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マッケンナ・グループの校條 浩です。
E*Tradeのような金融サービスについて悲観的な意見が多いので驚きました。私の意見は楽観的でしょうか。(以下、長文ですみません)
まず、前提があります。
1) 新しいサービスの普及を妨げるのは技術ではなく、顧客の持つ新しいものへの不安、既存のしくみと既得権を持つ人々の抵抗、である。
2) 顧客の本質は古今東西変わらない。例えば、みな低リスクでお金を儲けたいと思っている。
基本的には、E*Tradeのようなサービスは普及しないほうがおかしいと思うのです。
私もユーザーの一人ですが、これ程手軽で便利なものはありません。多分金持ちは自分のためのファイナンシャル・アドバイザーとブローカーがいますからあまりニーズはないかもしれません。むしろ、一般の個人がターゲットです。今までは、金持ちしか享受できなかったサービスが一般大衆にも低コストで供給される訳です。金融は、情報が命であり、情報の鮮度が重要です。ECの強みをいかんなく発揮する分野です。
金融EC関連で、日本でこれから起きることを以下のように見ています。今までは規制でがんじがらめの中で個人の自由度はほとんどなかった。金利、金融商品の種類、海外での資産運用、株式の売買手数料などを考えると、個人にとってはオプションがない訳ですから、時間を使うのは無駄な訳です。これは、個人個人の利殖への興味が少ないということではなく、要は環境だと思うのです。
さて、その環境ですが、新しく革新的なサービス(E*Tradeのような)と既存の業者とのせめぎあいが続くでしょう。新しいサービスは常に既存のある部分を脅かすわけですから、決して既得権を持ったところからは出てきません。ですから、それは多くの場合ベンチャーから出てきます。Amazon.comにしてもE*Tradeにしても、アイデアは随分前からあったわけです。ただ、既存業者のBarnes & NobleやCharles Schwabなどは自らは先頭に立ってはできないのです。新しいサービスが無視できなくなってから初めて腰をあげます。日本の銀行がATMの24時間サービスを未だにしないのは同様の理由です。脅威がなければやる必要がない。日本においては新参者(ベンチャーのような存在)のCitibankがいとも簡単にATMの24時間サービスを始めたのは象徴的です。
以上のことから、金融ECの普及には、規制している官庁、銀行、証券会社、などの協力・推進が不可欠である一方、一番EC普及を押さえたいのもこれらのところだと思います。彼等は、消費者個人個人が目覚めて、いろいろなサービスの選択肢を求め始めるのを好ましくは思わないでしょう。
一方、消費者はいったん利益の見えるサービスに触れると、急に普及が始まります。 保守的といわれる日本の消費者が、バブルで踊ったことは記憶に新しい。確かに、日本市場の「愚民政策」的な環境で消費者の自意識は低いままだが、環境が変われば意識の変化はあっと言う間のような気がします。
EC普及の鍵は、ベンチャーのような「トロイの木馬」だと思います。既存の枠組みを越えたところで、新しいサービスが普及しだし、いずれ既存の業者が無視できなくなる。そのようなシナリオを私は描いています。金融で言えば、サービスは何も日本国内の口座で日本国内の証券市場、債権市場でなくてもいいことになります。金融ECによって資金の海外流出が起き、国内が空洞化することによって、初めて国内の既存業者が本気になってECに取り組むことになるでしょう。
私は、このようなベンチャーによる新市場創造のプロセスを「トロイの木馬」モデルと呼んでいます。
長くなってすみません。
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From: 磯崎 哲也
Subject: [00077] Re:金融でのEC-トロイの木
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磯崎@長銀総研です。
■長いので要約
● アメリカと日本の証券市場を比べて、「アメリカでこういうサービスがあるから、日本でもそうなる」というのは、すごく乱暴に言えば、「Windows95パソコンの上で使えるアプリケーションがたくさんあるから、ベンダー独自ローカル仕様マシンの上でもそうしたものがたくさん花開く」、というようなものだとも言える。
● 電子証券取引のみならず、EC一般にもある程度共通することだと思われるが、既存の制度・取引慣行などと、顧客ニーズのインターフェイスを持つ企業の橋渡しをする、独立した「OS的」な企業の出現が必要だ。
以 上
■本文(長いので、ご興味のある方はお読み下さい。)
From: 校條 浩 Subject: [00076] Re:金融でのEC-トロイの木
E*Tradeのような金融サービスについて悲観的な意見が多いので驚きました。私の意見は楽観的でしょうか。
楽観的かどうかというより、「本来そうでなければならないだろう」
という目標として、校條さんのご意見に賛同いたします。
○ 「アプリケーション」が活躍できる条件は?
わたしの現状認識及び危惧は、下記のように、大昔のパソコンとアプリケーションの例えなどで申し上げるとわかりやすいかと思います。
「電子メールというのは、普及しない方がおかしい。使ってみればわかるが、あんな便利なものはない。今までは、大企業しか使えなかったテレックスのような機能が、一般大衆にも低コストで供給される訳だから。」
まったくその通りですし、そうならなければなりません。
ただし、だから、電子メールサービスというのがどんどん出てくるかというと、それには条件があります。
非常に粗っぽい例えで恐縮ですが、下記の絵をご覧下さい。
+--------------+ +------------+ +--------------+
論理層的 | 電子メール | |アプリケー | | Internet |
サービス | サービス | |ションソフト| | 証券取引 |
+--------------+ +------------+ +--------------+
| | |
ドライバ、 +-------------+ +------------+ +--------------+
エージェント|IP protocol | |デバイス OS| | Backoffice |
等 |etc(Provider)| |ドライバ etc| | Clearing |
+-------------+ +------------+ +--------------+
| | |
+--------------+ +------------+ +--------------+
物理層的 | 電話網 | | パソコン | | 証券取引所 |
サービス | サービス | | ハード | | など |
+--------------+ +------------+ +--------------+
電子メールがいくら便利でも、だからといって、電子メールのソフトが、どんどん自然に出てくるわけではなくて、既存の電話網の上で、電子メールが乗るためのIPなどのプロトコルのレイヤーを提供する、インターネットプロバイダさんなど、出てきてはじめて、そうした電子メールのソフトが花開いてきたわけですよね。
これは、昔の「ニューメディア」が、なぜぱっとせず、今、インターネットがこれだけ盛んになっているかという理由でもあると思います。
ニューメディアの時代でも、「オンラインショッピングができる」など、アプリケーション的な目のつけどころは、今のインターネットとそれほど違わなかったのではないかと思います。
しかし、既存の「物理層」と、ユーザーのニーズである「アプリケーション」をつなぐ、「オープンなつなぎ手」が存在しなかったという構造が大きく違うのではないでしょうか。
パソコンでも同様で、ハードさえあればいいというものではなくて、ハードをソフトから動かすためのデバイスドライバとか、OSが準備されていないと、ソフト開発者は、1からアセンブラでそうしたソフトを書かなければなりません。結果として、そうしたアプリケーションソフトの業界に参入できる企業は限られてしまいます。
○ 日本の証券市場の現状=OSのないパソコン、では?
インターネット証券取引も同様で、ユーザーの潜在的ニーズは確実にありますし、一番目立つのは、E*Tradeのような、ユーザーとインターフェイスを持つ会社なのですが、大事なのは、その背後にあって、取引所との取引を仲介したり、証券の取り扱いなどバックオフィス業務を行う企業が出現できるかどうか、というところではないか、というのが私の申し上げたいことです。
つまり、乱暴な例えをお許しいただければ、今の日本の証券市場は、「IPプロトコルのない電話線だけのネットワーク」または、「OSのないベンダー独自規格マシン」の状態ではないか、ということです。
アメリカは、1975年に証券市場が自由化されて、「オープン」ということが徹底されています。乱暴に言えば「Windows95パソコン」的な状況になっています。(Windowsがお嫌いな方はunixでもいいですが。)
そのWindows95パソコン用に、様々なアプリケーションが提供されているからといって、DOSもないローカルパソコンの上で同じような様々なアプリケーションが花開くか、というと、とてもそういうことにはならないです。
(さらに、パソコンのハードは輸入すればいいですが、証券市場の「ハード」は、今後もかなり長い期間、日本のものを使わなければなりません。)
とすると、最も重要なことが見えてくるのではないでしょうか?
つまり、オープンな「OS」に相当する業務を行う企業を登場させる、ということです。こういう部分は、アプリケーションに比べて目立ちませんし、その上に乗るアプリケーションが増えてこないと商売にならないです。さらに、ハード(既存の証券市場の取引慣行等)も、アプリケーションも知らなければならなりません。
また、こうした業務は、既存の大企業がやるとうまくいかないことが多いと考えられます。
特に立ち上がりの時には、「どうせ、その大企業に都合のいいようなことになってるんだろう」と思われるのは、そうしたサービスが軌道に乗るのに、大きな障害となると考えられます。
○ 一般の電子商取引でも同じ
これは、証券以外の一般の電子商取引においても同じようなことが言えると思います。ただし、市場が小さいものについては、OSの登場が望めないものもあるでしょうが、少なくとも、既存の物理的な部分との取引がオープンなものになっていないと、お話にならないのは、全く同じことだと思います。
つまり、
「情報通信技術の発展が、自ずと既存のビジネスのやり方を変える」というような議論がよくありますが、実は、そうではなくて、既存のビジネスを変えるためには、情報通信技術の発展モデルが参考になる。それを参考にして、それと現状のビジネスの前提条件がどう違っているのかを考え、障害があれば、それを取り除く」ということが大切だと思います。
From: 校條 浩 Subject: [00076] Re:金融でのEC-トロイの木
1) 新しいサービスの普及を妨げるのは技術ではなく、顧客の持つ新しいものへの不安、既存のしくみと既得権を持つ人々の抵抗、である。
2) 顧客の本質は古今東西変わらない。例えば、みな低リスクでお金を儲けたいと思っている。
基本的には、E*Tradeのようなサービスは普及しないほうがおかしいと思うのです。
私もユーザーの一人ですが、これ程手軽で便利なものはありません。多分金持ちは自分のためのファイナンシャル・アドバイザーとブローカーがいますからあまりニーズはないかもしれません。むしろ、一般の個人がターゲットです。今までは、金持ちしか享受できなかったサービスが一般大衆にも低コストで供給される訳です。金融は、情報が命であり、情報の鮮度が重要です。ECの強みをいかんなく発揮する分野です。
全く同感です。
From: 校條 浩 Subject: [00076] Re:金融でのEC-トロイの木
金融EC関連で、日本でこれから起きることを以下のように見ています。今までは規制でがんじがらめの中で個人の自由度はほとんどなかった。金利、金融商品の種類、海外での資産運用、株式の売買手数料などを考えると、個人にとってはオプションがない訳ですから、時間を使うのは無駄な訳です。これは、個人個人の利殖への興味が少ないということではなく、要は環境だと思うのです。
さて、その環境ですが、新しく革新的なサービス(E*Tradeのような)と既存の業者とのせめぎあいが続くでしょう。新しいサービスは常に既存のある部分を脅かすわけですから、決して既得権を持ったところからは出てきません。ですから、それは多くの場合ベンチャーから出てきます。Amazon.comにしてもE*Tradeにしても、アイデアは随分前からあったわけです。ただ、既存業者のBarnes & NobleやCharles Schwabなどは自らは先頭に立ってはできないのです。新しいサービスが無視できなくなってから初めて腰をあげます。
これも全く同感です。
だからこそ、そうした(「アプリケーション」を作る)「ベンチャー」が、どんどん登場できる「構造」になっているかどうかが重要だと思います。
From: 校條 浩 Subject: [00076] Re:金融でのEC-トロイの木
日本の銀行がATMの24時間サービスを未だにしないのは同様の理由です。脅威がなければやる必要がない。日本においては新参者(ベンチャーのような存在)のCitibankがいとも簡単にATMの24時間サービスを始めたのは象徴的です。
以上のことから、金融ECの普及には、規制している官庁、銀行、証券会社、などの協力・推進が不可欠である一方、一番EC普及を押さえたいのもこれらのところだと思います。彼等は、消費者個人個人が目覚めて、いろいろなサービスの選択肢を求め始めるのを好ましくは思わないでしょう。
必ずしもそうでもないと思うんですが、そうした大企業などが自ら動いても想定しているような状況になるのは難しそうだ、というのはその通りだと思います。
アメリカ的なモデルを礼賛するわけではありませんが、そこでは、ユーザーと接点のある「アプリケーション的」な企業だけでなく、OS的な「エージェント」の役目を果たす企業も、ベンチャー的・自発的に出てくるというところが特徴かと思います。
日本でも、それが最も望ましい姿だとは思いつつ、今までがあまりにクローズド過ぎて新規参入者がOS的なビジネスができないとすると、既存の会社の中から「オープン」に走る、いい意味での「裏切り者」が出てくることなども必要かなと思います。
長文、失礼いたしました。
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From: 小池 良次
Subject: [00078] BtoBはどうなるのか
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小池です。
この分科会では重要なはずのBtoBがあんまり書き込まれていないので、すこし書きます。
まず、前提としてBtoBを「従来なら専用プロトコルと専用線ネットワークで組まれたであろうネットワークをインターネットというパブリック・ネット(+VPN)とTCI/IPやHTMLといったオープンなパーツで組んでいる」「それにより、より広く、安くというネットワークの恩恵を企業同士のビジネスで受けようとしている」現象と仮にしておきます。(もっといい定義があるでしょうが。)
◇狭義のBtoB
BtoBを広義に捉えるか、狭義に捉えるかが最初の議論と思います。
まず狭義から。
いろいろ捉え方はありますが、ぼくは狭義を企業間の受発注決済のみとしてみたい。つまり専用システムをベースに発展してきた従来からあるEDIの分野です。
これは既に岸上さんが言及した自動車業界の部品調達ネットワーク、ANX(The Automotive Network Exchange)や、GEIS(General Electric Information Services)のTradeWebと言った例です。
ANXは最終的には1万社をこえる米国の自動車メーカー、下請け企業がを利用し、全体としては年間10億ドルのコストセーブを目標としています。これは車1台あたり71ドルのコストダウンと結構すごい数字です。
◇広義のBtoB
一方、広義のBtoBでは、直接発注に結びつかなくても企業間ネットワークによって生まれるコスト削減全体を捉える考え方です。
具体例には、シスコ・システムのシスコオンライン(CCO)があります。
CCOでは、製品構成設計を支援するコンフィギュレーション・エージェント、適正な製品価格を検討するプライス・エージェント、在庫や発送状況などを把握するステータス・エージエントといった社内用支援ツールを販売店や大口ユーザーに解放し、受注にかかわるコストを削減したり、マニュアルやソフトの配布コストの削減に成功しています。マニュアルをCDROMとオンラインにしただけで2億ドル以上コストカットしています。
ところが、1回一億円を越える注文もあるオンライン受注ですが、オンライン決済は利用していません。(去年の話ですが、まだオンライン決済は信用できないそうです。笑)
さて、ボクは基本的にBtoBを広義で捉えたいという立場です。みなさんはどうなんでしょうか。
今日は広義、狭義だけで終わります。
次回は、BtoBとオープンについて書こうかなと思ってます。
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From: 國領 二郎
Subject: [00079] Re:BtoBはどうなるのか
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From: 小池 良次 Subject: [00078] Re:BtoBはどうなるのか
さて、ボクは基本的にBtoBを広義で捉えたいという立場です。みなさんはどうなんでしょうか。
國領です。 (小林さん、こんにちは。)
本論:
小池さんのご提案に賛成です。受発注手段としてだけでなく、企業間の協働に関わるトータルシステムの諸機能の一部または全部を、電子的な情報交換を活用しながら提供する現象を分析の対象とすべきでしょう。
公衆に開放されたインターネットを使うかどうか、というのは実は本質ではなくて、ビジネスプロトコルのレベルでのオープン性が大事であるように思っています。どのネットワーク技術が適当かは、現時点では、トラヒックの性質によって違うと思います。きちんと標準化されたビジネスプロトコルで表現されたメッセージを、その時のニーズに合ったネットワークにのせて運べばいい。インターネットが抜群のパフォーマンスをあげる領域があるので、アレルギーを持たず、どんどん使えばいいとは思いますが、それを絶対と思う必要もないと思います。
====以下定義の方法論に興味のある方だけご覧下さい===
B to B か B to Cかという切り口がSOHOや、「ビジネスの場における個人」市場などの台頭でややあいまいになってきているように思います。また、小池さんの広義の定義通り、受発注だけがB to B ECではありません。(「昔ながらEDI」もそんな狭い定義ではないんです...メッセージ集はいろんあ取引プロセスをカバーしてるし、最近はCAD転送なんかもやってます。)
EDIの研究をやってきた人間としては、まず次のように電子取引を分類し、
イ:「公開され、社会的に共有されたビジネスプロトコルを使用し、事前に直接的に電子取引契約を結んでいる相手と電子取引する現象」
ロ:「公開され、社会的に共有されたビジネスプロトコルを使用し、事前に直接的に電子取引契約を結んでいない相手と電子取引する現象」
イ+ロを広義のEC、ロを狭義のECとすると混乱なく整理できるように思ってます。
伝統的なB to Bはイですし、定常的、継続的、かつ大規模な調達(いわゆるdirect purchaseの分野にこれが多い)はかなり長い期間イであり続けると思います。この分野ではデータ量の大きさや、情報伝達のエラーが引き起こす混乱の規模が大きいので、安定運用がのぞまれ、いまだにインターネットに対するアレルギーが強いように思います。
ロの出現が、インターネットが入ってきて実現した大きな点です。これをやりたいからセキュリティや消費者保護や、難しいもろもろがいっぱい出てくるわけですよね。こちらの世界の話は主に消費者向けに出てきたものが多いですが、企業でもアドホックな取引にはこのパターンが出やすいです。数多くの潜在的取引先と突発的なニーズに応えるべく、機動的に取引をする(いわゆるindirect purchaseにこれが多い)にはインターネットは好適です。
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