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B. EC部会
「エレクトロニックコマースの新展開 ―経済構造改革へのシナリオ」

1998年2月5日〜2月8日
From:堀越 繁明
Subject: [00059] Re:BtoBはどうなるか
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From: 田中 辰雄 Subject: [00050] Re:BtoBはどうなるか
田中辰雄です。
堀越さん、議論のスタートありがとうございます。
どなたかこのスタートを受けて企業間取引の議論をはじめていただけるとありがたく思います。よろしく。
問題の提起ばかりで申し訳ないのですが、在宅勤務とかSOHOの問題というのは企業間の議論としてはどうなのでしょうか? 他でも話題になっていなかったと思いますので。私がよく聞かれるのは、以下の点です。
1)インターネットを使うと在宅で出来る仕事も増えるはずだが、仕事の成果をどう評価 すればよいのか。
→これは、労働時間の認定の問題や給与を決め方に関係してくる問題
2)在宅勤務の場合の会社の情報へのアクセス方法をどうすればよいのか。
→これは既に議論している「セキュリティ」の問題に関係すると思います
3)在宅勤務の場合の自宅等をどう扱えばいいのか。
→これは、通信コストの負担とか税法などとの絡みで出てくる質問だと思います。
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From: 小林 知代
Subject: [00060] BtoBはどうなるか
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ワシントン・コア(在ワシントンDC、情報技術コンサルティング会社)の小林です。<国領先生、こんにちわ>以下の点コメントします。
From: 堀越 繁明 Subject: [00059] Re:BtoBはどうなるか
1)インターネットを使うと在宅で出来る仕事も増えるはずだが、仕事の成果をどう評価 すればよいのか。
→これは、労働時間の認定の問題や給与を決め方に関係してくる問題
分散型就労形態が発達している米国では、在宅勤務は、@会社経費削減、A従業員生産性アップ、B従業員モラルアップなどの理由から、かなりのスピードで定着しつつあります。特に、優秀なスタッフを引き止めるための手段として、快適なライフスタイルを実現できる在宅勤務のオプションは必須となっています。仕事の成果の評価ですが、IBMでnon-office-basedemployeeを増やすためのプロジェクトに関ったジョン・フランク氏によると、「Trust butVerify」というシンプルなコンセプトを出しています。この場合、収益・市場シェア、顧客満足度、360度評価などの指標を用いて、評価を行うとしております。在宅勤務の普及は、評価制度の確立に大きく結びついていると考えますが、日本では(住宅環境の他に)、評価システムが在宅勤務の普及をはばむ要因になるのでしょうか。
From: 堀越 繁明 Subject: [00059] Re:BtoBはどうなるか
2)在宅勤務の場合の会社の情報へのアクセス方法をどうすればよいのか。
→これは既に議論している「セキュリティ」の問題に関係すると思います
米国では、リモートアクセス技術及びプロバイダーが充実しており、すでにイントラネットを通してメインフレーム・データをリモートアクセスできるサービスが登場しています。セキュリティーは技術的にそれほど支障にならないと考えています。
From: 堀越 繁明 Subject: [00059] Re:BtoBはどうなるか
3)在宅勤務の場合の自宅等をどう扱えばいいのか。
→これは、通信コストの負担とか税法などとの絡みで出てくる質問だと思います。
米国では、自営業・SOHOの団体でSelf-employeedassociation(正式な名前?)があり、在宅勤務者の税制上の優遇(例えば、どれだけコストを税控除できるのかなど)を求めてロビー活動を行っています。IRS(米国国税庁)は、非常に厳しいガイドラインを設けており、やみくもに在宅勤務者が税控除できないようになっています。在宅勤務コミュニティーが長く確立している米国ではこのような制度面が整っているような感じがしますが、日本ではいかがでしょう?
ちょっとECとは離れましたが、インターネット時代の就業環境という観点から、重要だと思われます。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00061] Re:知的所有権に対する問題提起
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田中辰雄です
藤原さんへ
From: 藤原 宏高 Subject: [00058] Re:知的所有権に関する問題提起の前に
したがって、私は国際的な詐欺に対する強力な対応策なくして、国際的規模でのECは成功しないと考えています。もし、上記の問題点につき、自主的な組織でも対応できる、と考えている人があれば、具体的な対応方法を教えていただきたいと思います。
事後的対策(起きてしまった詐欺の犯人を捕まえ、制裁を加える)のためには、藤原さんのおしゃるように国際規模での取り決めが必要でしょう。おそらく、この点は多くの人が同意されるのではないかと思います。犯人逮捕には強制力が必要で、国以外に強制力を発揮できる団体はいませんので、法にもとづき各国が対処するべきです。自主的な団体に世界規模での強制力はありませんから、起きてしまった事件については自主的組織では対応できない。この点は藤原さんのご意見のとおりと思います。
でも事前的対策(つまり予防)のほうはどうでしょうか。これは民間団体がマル適マークをつけるなどの方法で対処できるのではないでしょうか。予防も法にしたがって国がやるとなると、EC業者を事実上の許認可(強弱の差はあれ)のもとにおくことになります。おそらく、民間団体を主張している人はそこらへんを嫌っていると思われます。この点について、法律家(弁護士)のサイドからのご意見があればお聞かせねがえるとありがたいです。
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From: 山崎 一樹
Subject: [00062] Re:知的所有権に対する問題提起
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From: 田中 辰雄 Subject: [00060] Re:知的所有権に対する問題提起
でも事前的対策(つまり予防)のほうはどうでしょうか。これは民間団体がマル適マ>ークをつけるなどの方法で対処できるのではないでしょうか。予防も法にしたがって国がやるとなると、EC業者を事実上の許認可(強弱の差はあれ)のもとにおくことになります。おそらく、民間団体を主張している人はそこらへんを嫌っていると思われます。
予防対策を国が責任を持って法令等により行うことと、民間事業者の許認可とは直ちには結び付かないのではありませんか。新種のmythを作り出すことは本フォーラムの趣旨ではないのでは :-)
また、事前の対応は民間の自主的対応で行うというのはアメリカの手法ですが、少なくともEUはそのようなやり方は取らないことを明言しているわけで(例えば、1995年の個人情報保護に関するEU指令など)、田中さんの上記の考え方は「事実上」ECの世界はアメリカ流をスタンダードとすべし、と主張しているのと大差ないと思われると思いますが。
むしろ問題とすべきなのはアメリカ的なアプローチと「非アメリカ的アプローチ」との調整なのではないでしょうか。もっとも、日本のように「長いモノに巻かれろ」方式もありますけれどもね :-)
ちなみにカナダではECも取り込めるようにするため、先月末に現行のプライバシー保護法の改正素案を発表しましたが、その方向性はEU指令型です。現在はアメリカ流に民間の自主ガイドラインとして定められている民間部門における個人情報の保護を法令化しようというのが法改正の眼目となっています。
もちろん、これからカナダ国内では広範な議論が展開されることになりますので、直ちに「非アメリカ的アプローチ」が採用されるかどうかは分かりませんが、しかし留意すべき事柄は、「自分たちで決めました」というフィクションを至上の喜びとするアメリカ流は、今のところcyberspaceでは圧倒的に優勢であるかのように見えるけれども、存外、非アメリカでは(日本を除いては)かなり嫌われているという現実であろうかと思います。何故嫌われるかというと、「自主管理」とは所詮virtual autonomyであるにすぎないことを見抜いているからに他ならないと思います。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00063] 金融でのEC <-ECの質的影響
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田中辰雄です
金融でのEC利用は重要なテーマのひとつと思い、スレッドのタイトルを起こさせていただきました。
From: 磯崎 哲也 Subject: [00047] Re:ECの質的影響
日本で「金融」という語から受ける固定観念を排して、素直に考えれば、「サイバー」で最も商品として扱いやすいのは、「情報」だけで取引するのに向いた「金融商品」ですよね?
という磯崎さんの指摘はごもっともと思います。金融機関同志のロットのでかい取引は当面は専用線でしょうから、商売になるのはリテール向けで、証券ならe-trade、銀行ならオンラインバンキングということになります。
証券の場合、
From: 磯崎 哲也 Subject: [00047] Re:ECの質的影響
E*Tradeのシェアがざっくり業界の1割とすれば、業界全体で、日本円で既に一千億円単位のマーケットがあることになります。
というのはすごい数字です。が、日本ではなぜE-tradeのようなものが立ち上がらないのでしょう? 固定売買手数料のせいでしょうか?
銀行の場合、オンラインバンキングの取り組みはどうなっているんでしょうか。町田さん、坂内さん、寺田さん、全般的な解説と問題点などをご報告願えないでしょうか。富士サイバーバンクのことに限らず全般的なことで結構です。
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From: 小池 良次
Subject: [00064] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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小池です。
From: 磯崎 哲也 Subject: [00047] Re:ECの質的影響
E*Tradeのシェアがざっくり業界の1割とすれば、業界全体で、日本円で既に一千億円単位のマーケットがあることになります。
From: 田中 辰雄 Subject: [00063] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
というのはすごい数字です。が、日本ではなぜE-tradeのようなものが立ち上がらないのでしょう? 固定売買手数料のせいでしょうか?
この件、オンラインとはあまり関係ないのではないでしょうか。もともと個人向けには開放されていないと思ってます。
ボクは消費者としてとても日本の株式市場で株を買ったりする気にはなりません。
まず、米国は四半期毎に決算報告がでるのに、日本では半年おきということ。とても流れの早いハイテク企業の動向を追うには間隔が長すぎます。また、決算報告以外にも色々な情報が各証券会社のアナリストを中心に消費者に提供されています。この分析情報、日本は話になりません。まったく頼りにならない。(企業も情報をあまり出さないようですが)そのほかいろいろありますが、要は個人の投資家に日本の証券市場は開放されていません。
最近、米国の証券会社が日本で伸びているのも当然のような気がします。ぼくはもっと米国勢が伸びて日本の金融改革をして欲しいと願っています。(この点、ぼくは日本の金融機関が自分で改革できるとは思っていません。米国も同じですが外様と戦わない限り、改革は難しい)
もう一つ、これは長年電話業界にいる女房の持論(私も賛同)ですが、米国の金融業界は情報通信を湯水のように使ってくれます。おかげで先端技術の導入コストはこうした金融機関が負担してくれ、技術が熟してくると安く一般企業や消費者に広がります。つまり金融機関は米国の情報通信の牽引車といえます。E*Tradeもその例ですね。
金融商品後進国の日本では、こうした大手ユーザー業界と通信業界の相乗効果は見られません。製造業と通信業界の関係もそうじゃないと思うのですが...?
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From: 坂内 悟
Subject: [00065] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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坂内@富士銀行です。
ご指名ですので私見をご披露させていただきます。
1)インターネットを使ったオンラインバンキングへの取り組み(日本の銀行全般) ・ホームバンキングサービス(振込・振替・残高照会)にショッピング決済サービス をパッケージした形の実証実験が主流、商用化も近い。
・口座振替の発達した日本ではホームバンキング(振込・振替)はあって月に一件か 二件であり、使われるかたちのバンキングサービスとするにはショッピング決済の 提供が突破口になると期待している。
(現金社会の日本でホームバンキングでは現金の引き出しが出来ないというホームバンキング最大の難点もECマーケットでショッピングができるとなれば擬似的な現金引き出しに相当し解消。ショッピングなら少なくとも将来的にはdailyusageを期待できる)
・本人確認は重要であり、大多数は認証書に基づく電子署名が必須と考えている。
(SSLでは不十分。ショッピング決済提供と連携を図れるというメリットもある) 2)E−TRADEについて
・個人の投資スタンス・自己責任の概念の浸透度合い・景気動向等勘案、ここ1〜2 年は米国と単純比較は難しくデータが必要ではないかと思います。
(かつてはやったファミコントレードもいまは下火)
3)まとめ(銀行から見たEC)
・ホームバンキングだけでは商売とするのは難しい。
・ショッピング連動決済サービスにおける決済の提供に期待。
4)問題提起
・高効率な販売チャネルであるECにおいていかなる決済を提供すべきか、が銀行に とっての最大の課題と考えています(DO[Direct Order]の世界)。
・販売商品・サービス別にどのような決済方式が適当で、どのようにしてECの高効 率性に寄与するのかをこのメーリングリストで議論するというのはいかがでしょう か。
私個人としては
a)物流を伴う通販においては、注文成立・代金確保と実際の売り上げ金入金のタ イミングが分離されたSETクレジット決済及び現在導入が検討されているS ETDebit が将来的には主流になると考えています(電子マネーは注文 成立と同時に代金受領となるため通販にはコスト高)。
b)デジタルコンテンツ販売には電子マネーが適していると思いますが、最低でも 不正の抑止のため不正履歴の追求機能は必要と考えています(ネット上にハッ キングポイントが出現する形態のスキームも商用化は難しいと思っています) 。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00066] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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田中辰雄です
小池さん、坂内さん、フォローありがとうございます。
とりあえずE-tradeについて
From: 小池 良次 Subject: [00064] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
この件、オンラインとはあまり関係ないのではないでしょうか。もともと個人向けには開放されていないと思ってます。
From: 坂内 悟 Subject: [00065] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
・個人の投資スタンス・自己責任の概念の浸透度合い・景気動向等勘案、ここ1〜2年は米国と単純比較は難しくデータが必要ではないかと思います。(かつてはやったファミコントレードもいまは下火)
E-tradeについては、お二方とも日本ではあまり伸びないのではないかという意見のようですね。うーむ。どなたか楽観論の方はおられませんか? いまの世の中、悲観論ばやりですので、なんとか楽観論をたてたいものです。と言って人任せでもいけないので、私があえて強引に楽観論を立ててみましょう。:-) (以下、かなり単純化した議論です)
まず、小池さんの言う、日本企業の情報開示の悪さは確かにあります。坂内さんの言う自己責任原則も必要でしょう。これはなんとかしなければいけませんが、そんな現時点ですら日本にも個人投資家は存在しております。ですから狙う客層はおります。
で、固定手数料を変えたらかなり変わらないでしょうか? 固定手数料では証券会社はロットの大きい法人投資家を相手にした方が得に決まっていますから、個人投資家を相手にしないのはきわめて「経済合理的」です。投資情報もこれら法人顧客にだけ流せばよいので、証券会社が一般への情報提供に努める誘因も乏しい。
手数料を自由化すると法人相手の手数料は下がり、個人向けはやや上昇するでしょう。個人投資家はその分不利になり数が減少するでしょうが、相対的にe-tradeのような格安の投資方法の魅力が増します。また、証券会社から見ると法人相手と個人相手の商売から得られる収益が接近してくるので、個人投資家相手への情報提供の誘因も出てくるでしょう。
これに加えて小池さんの言う外資が加われば、これまでのような商売では証券会社もやっていけないと思うのですが、いかがでしょう。そうなれば日本でもE-tradeに芽が出てくるのではないでしょうか?
#磯崎さん、援軍お願いします。:-)
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From: 田中 辰雄
Subject: [00067] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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田中辰雄です
坂内さん、どうも整理と問題提起をありがとございます。
自動振替が発達した日本では、ホームバンキングの利点は振り込みではなく、オンラインショッピング(電子決済)との連動であるとのご指摘でした。なるほど、そうかもしれません。私は、独身モノや共稼ぎ夫婦にとっては、オンライン振り込みは昼間に銀行に行かなくて済むありがたいサービスで、振り込み回数も月に3〜5回くらいはあるのではと思っていました。しかし、全世帯をならすと月に1〜2回なのでしょうね。
で、電子決済ですが、坂内さんの
From: 坂内 悟 Subject: [00065] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
・販売商品・サービス別にどのような決済方式が適当で、どのようにしてECの高効率性に寄与するのかをこのメーリングリストで議論するというのはいかがでしょうか。
というご提案に賛成です。つまり電子決済(電子マネー)の普及の道筋は何か、ということで、一本テーマをたてることにしたいと思います。議論の手始めに、坂内さんの示された予想(通販はSET、デジタルコンテンツは電子マネー)に関してどなたかコメントをお願いいたします。あるいは、電子決済一般についてのコメントでも結構です。岩村さん、近藤さん、川島さんなどなど、よろしくお願いいたします。
手始めに私が初歩的な質問をさせていただきます。
From: 坂内 悟 Subject: [00065] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
a)物流を伴う通販においては、注文成立・代金確保と実際の売り上げ金入金のタイミングが分離されたSETクレジット決済及び現在導入が検討されているSETDebit が将来的には主流になると考えています(電子マネーは注文成立と同時に代金受領となるため通販にはコスト高)
最後の所で、「電子マネーは注文成立と同時に代金受領となるため通販にはコスト高」というのはどういう趣旨でしょうか。業者にとっては同時受領の方がよいはずです。ゆえに、消費者側の金利コストか、あるいは、同時受領による詐欺・事故の危険のコスト、あるいは詐欺・事故を防ぐためのコストでしょうか。通販には電子マネーは向かないと考える理由をもう少し教えて下さい。
From: 坂内 悟 Subject: [00065] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
b)デジタルコンテンツ販売には電子マネーが適していると思いますが、最低でも不正の抑止のため不正履歴の追求機能は必要と考えています(ネット上にハッキングポイントが出現する形態のスキームも商用化は難しいと思っています)。
ネット上にハッキングポイントが出現するスキームとそうでないスキームとは何でしょうか。差し支えない範囲で(できましたら具体例に近いところで)ご説明願えればありがたく思います。
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From: 坂内 悟
Subject: [00068] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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坂内@富士銀行です。
田中さんのご質問にご回答申し上げます。
From: 田中 辰雄 Subject: [00064] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
最後の所で、「電子マネーは注文成立と同時に代金受領となるため通販にはコスト高」というのはどういう趣旨でしょうか。
本件は「逆伝票コスト」の問題です。
通信販売においては、注文が成立しても在庫切れ・配送地域外等の場合取り消しが発生します。
配送後においても商慣行としてみとめられているクーリングオフの期間内は物によりますが返品率が高い場合もあります。
注文成立と同時に代金を受領していると返金処理が発生します。これを「逆伝票を切る」と言います。
代金受領は口座を開設して入金・振込を待っていれば良いのでコストはさほどかかりませんが、返金処理は人件費がかかり高コストです(事務員に勝手に返金させると不正等が発生するため返金処理−逆伝票処理−は上長の承認等を経る必要がありきわめて高コスト)。
SETにおいては注文成立と同時にAuthorization(カード発行会社による支払い承認)が行われ 商店にとって最も重要な「代金の取りっぱぐれのない状態」になります。
実際に商品発送をした後にCapture(売り上げ請求処理:商店の口座への入金依頼処理)が行われることになります(クーリングオフ期間が終わりまず返品がなくなったタイミングに行ってもOK)。
現在導入が検討されているSET Debitも同様のフローを想定しています。
商品発送の前に代金確保がされていれば、実際に商品発送の履行を行ったものについてのみ口座に入金がされる決済方式が通販会社にとって最も逆伝票が少ない=最もコストセービングな決済方式になります。
(プリペイドの)電子マネーの場合は、注文成立と同時に全件口座入金となるので、すべての履行不能・取り消し・返品につき逆伝票を切る必要があり高コストです。
匿名性のある電子マネーについては、返金処理のとき低コストで購買者の返金口座を確認できる仕組みを考える必要もあります。
電子マネーといいながら後払い処理を行うとしているものについては、商店にとって商品発送にあたり最も重要な「代金確保」が事前にできていないことになり商用に向かない、と考えられます。
2)理想的な電子マネースキームについて
From: 田中 辰雄 Subject: [00064] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
ネット上にハッキングポイントが出現するスキームとそうでないスキームとは何でしょうか。
ネット上のサーバーに電子マネー勘定を持つ仕組みをそうでない仕組みに対比しています。
ただこれは、後述するようにスキーム自体が云々というよりも電子マネーサーバーがどこまで固く運用されているか、という問題に帰着すると考えたほうがよい、と思います。
(電子マネーはデジタルコンテンツ販売に広く使われる可能性あり、と考えています。デジタルコンテンツは販売対象がデジタルデータであり、品切れ・配送不能[不着の場合は再配送可能]等による逆伝票発生の可能性が極端に少ないためです)
銀行の勘定系ホストは、お客さまからお預かりした預金の勘定元帳が保管されておりセキュリティを固くしている関係上、我々がインターネットのwebサーバーに接続するよりは銀行ホストに接続するほうが一般論でいえば高コストになります。
電子マネーのトランザクションコストを安くしようとすれば、銀行のオンラインに接続せずwebサーバーに電子マネー用のお客様の仮勘定を保管する方法が考えられます。
問題は電子マネー用とはいえお客さまの勘定を保有するサーバーがネット上に出現することになるためこのサーバーがハッキングポイントになる可能性があります。
このサーバーの運用を銀行ホスト並みとするならば、既存の銀行ホストに接続するほうがコストセービングとなります。
したがって、問題はセキュリティをどこまで要求するかということになりますが、我々がもう一方で必要と考えている「不正履歴の追求のできる電子マネー」が十分実用に耐えるレベルにまで仕組み自体が軽くなるにはもう少し時間がかかると考えており、その時までに結論をだせばよいと楽観的に考えています。
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From: 磯崎 哲也
Subject: [00069] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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磯崎です。
■長いので要約:
● 日本でインターネット証券取引に業者が多く参入して、市場が活性化するというのについては、私も悲観論。
理由は、下記の3つ。
・証券業務のアンバンドリングが進んでいない
・取引所間、取引所外取引きの競争が、すぐにははじまらない
・情報開示と自己責任が、まだまだ。
● でも、ECを考える場合には米国証券市場は非常に参考になる
● 世界のインターネット証券取引は、もう、次のフェーズの競争に入っているんじゃないか。
■本文(ご興味のある方は、お読みください。)
From: 田中 辰雄 Subject: [00066] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
E-tradeについては、お二方とも日本ではあまり伸びないのではないかという意見のようですね。うーむ。どなたか楽観論の方はおられませんか?
わたしも、日本で、インターネット証券取引が活発化するという意見 については、非常に悲観論です。(微笑)
悲観論の理由は、下記の3つです。
(1) 証券業務のアンバンドリングが進んでいない
アメリカは、なんせ 1975年から証券市場が自由化されていたのに対し、日本は、なんせ30年間、異業種からの参入がなかったという市場です。
具体的には、日本の証券会社は基本的に業務を全部、自分のところで抱え込んでやってきたわけですが、アメリカでは、証券市場が、営業だけするブローカー、バックオフィス業務を専門にやる会社、自分では営業窓口をもたずに、取引所などとの大口の仲介を専門に行う会社、など、非常に多様な業態に専門特化されています。
アメリカでインターネット・ブローカーという業態が膨らんだのは、まず、めんどうなバックオフィス業務をやってくれる専門業者がいたため、システムへの膨大な投資や、証券の取り扱いなどの、ややこしいノウハウを身につけなくても参入できたということがあります。
そういう業務をやる「独立した」会社があらわれないと、インターネット・ブローカーという業務だけぽん、とは出てこれません。
インターネット・ブローカーというのは、初期投資を抑えないと、採算がなりたちません。
(2) 取引所間競争がない
二つ目には、市場との仲介をする業者からバックマージンが出るということがあります。市場というのは、取引量が多いほどいい市場なので、大口の注文を持ってきてくれたところにはバックマージンが出て、それにより、インターネットブローカーは、非常に安い手数料が実現できました。
日本でも、ビッグバンで取引所の独占が崩れると、これだけ情報通信技術が発達してるんだから、すぐさま、取引所や、取引所外取引業者の、し烈な競争がはじまって、大口の売買手数料は、がらがらと音を立てて下がるだろう、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、私は、そうはならないと思います。
理由のその1は、取引所外取引業者というのが、機関投資家などに食い込むのが、システム的・営業的に、それなりに大変ということです。インスティネットさんは、ロイターさんの100%子会社なので、ロイター端末に取引きシステムを組み込む方向ですが、そうした、端末をまず機関投資家のトレーダーの目の前に置かせてもらえないと、話になりません。
もう一つは、運用をする機関投資家に、外部からのガバナンスが厳しくならないと、システム的に安く取引きできても、そういう業者には注文は流れない、ということです。 アメリカでは、機関投資家がどのブローカーに注文を出して、いくら執行コストがかかったか、というのが厳しく見張られてますので、トレーダーは、安いところをつかわざるを得ませんが、そういう監視の目が弱ければ、トレーダーは、自分が楽なところに注文を流します。システムで取引をするということは、全部、自分で考えないといけないということですから。
(3) 情報の開示と自己責任
三番目は、小池さん、坂内さんもご指摘されておられましたが、日本では、情報を受けて自分で考えるという環境が、まだまだ整っていないということです。
まず、SECのEDGERのように、有価証券報告書すらインターネットではろくに見れないですし、Silicon Investorのように、株の話をディスカッションするメジャーな場所というのも、まだ生まれていません。
個人投資家の方も、「自分でリスクについて考える」という習慣が、まだ身についていないと思います。
欧米では、個人金融資産に占める顧客から見て無リスクの資産である「預金」の割合は、10数%から30%くらいですが、日本ではなんと 1200兆円の5割以上あります。
今後、直接株式で持たないまでも、投信とかにシフトはしていくでしょうが、2割シフトするとしても 240兆円!もの金になるわけで、(個人的意見ですが)そんなにシフトするんでしょうか?という気がします。
つまり、アメリカの証券市場が ECについて示唆してくれるのは、そういうことです。
ECでも、情報開示や、それに対する監査的な機能、商売上のある機能に特化したエージェントがどんどん登場すること、などなどの条件が整っていないと、取引きなんて活発になるわけがありません。
アメリカの証券市場というのは、世界の一般の財も含めた中で、最もオープンで、最もでかい市場です。
少なくとも、そこでも成立しないようなことは、もっと小さな市場である一般の財の市場でも成立しないんじゃないか、という仮説が立てられますし、そこで成立していることでも、たとえば特定の財の市場に限定した場合、どういう条件が整わないと取引きは活発化しなさそうだ、という参考に、非常になるのではないかと思います。
From: 田中 辰雄 Subject: [00066] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
まず、小池さんの言う、日本企業の情報開示の悪さは確かにあります。坂内さんの言う自己責任原則も必要でしょう。これはなんとかしなければいけませんが、そんな現時点ですら日本にも個人投資家は存在しております。ですから狙う客層はおります。
もちろん、潜在的なニーズはあります。
ちなみに、インターネット証券取引というのの顧客層は、手数料をケチりたいビンボーな人かというとそうではなくて、医者・弁護士・教員・技術者などの、比較的高教養で、「情報提供はいらないから、数多く売買がしたい」という方々です。
つまり、もっとも進んだ人たちなわけで、そういう人たちが満足するような安いコストで提供できること、その投資判断に必要な、細かい情報、いろんな分析がタダで入手できるような環境を整備することが必要です。
From: 田中 辰雄 Subject: [00066] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
で、固定手数料を変えたらかなり変わらないでしょうか? 固定手数料では証券会社はロットの大きい法人投資家を相手にした方が得に決まっていますから、個人投資家を相手にしないのはきわめて「経済合理的」です。投資情報もこれら法人顧客にだけ流せばよいので、証券会社が一般への情報提供に努める誘因も乏しい。
手数料を自由化すると法人相手の手数料は下がり、個人向けはやや上昇するでしょう。個人投資家はその分不利になり数が減少するでしょうが、相対的にe-tradeのような格安の投資方法の魅力が増します。また、証券会社から見ると法人相手と個人相手の商売から得られる収益が接近してくるので、個人投資家相手への情報提供の誘因も出てくるでしょう。
これに加えて小池さんの言う外資が加われば、これまでのような商売では証券会社もやっていけないと思うのですが、いかがでしょう。そうなれば日本でもE-tradeに芽が出てくるのではないでしょうか?
日本でも、アメリカのように星の数ほどインターネットブローカーが市場に参入して、それが淘汰されていく、ということになるというシナリオは、わたしは信じてません。
E*Tradeさんは、日本でも提携先を探してまわっていらっしゃるようで、すでに、アメリカだけでなく、世界に目が向いています。
インターネットで日本株だけ取引きができる、なんて発想は、もう通用しなくって、これから参入するんだったら、インターネットの画面につなげば、NYでも、東京でも、ロンドンでも、世界中どこでも取引きできる、というような発想の業者しか、生き残れないと思いますよ。
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From: 岸上 順一
Subject: [00070] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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田中さん、
乗り遅れ気味の岸上です:-)
これほど大規模で、多くの人の関わっているmailing listで短期間に集中議論するというのは初体験でこれ自体が大きなインターネットの可能性を探る試みとして面白いと思っています。会津さんがasiaの方で述べられていたと思うのですが、全体の流れを自分なりに時系列に並べようとすると、mail自体の持つnon-linearなところがじゃまをして、ちょっとでも目を離すともうそこには入れなくなる気がします。
と、傍観者的、評論家的な立場だとまずいので、前後の脈略を一部無視して投稿します。
From: 田中 辰雄 Subject: [00066] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
E-tradeについては、お二方とも日本ではあまり伸びないのではないかという意見のようですね。うーむ。どなたか楽観論の方はおられませんか?いまの世の中、悲観論ばやりですので、なんとか楽観論をたてたいものです。と言って人任せでもいけないので、私があえて強引に楽観論を立ててみましょう。:-) (以下、かなり単純化した議論です)
E*Tradeのような動きをきっかけに証券市場がグローバルになり、日本の多くの株もNYやLondonで取り引きされるようになるといいですね。もちろん実現するためには多くの障害があると思いますが、実際のインパクトがそれを克服する方向に導いてくれればいいなと思います。そういう意味では楽観論です。
おそらくインターネットを作り上げてきた人の多くが楽観論者だと私は信じています。それでないとこんな仕組みがあっという間に世界を制覇するなんてことはなかったでしょう。毎日のroutingの問題やpeeringの問題などを見ているとともすれば悲観的になりますが、長期的には楽観的です。
E*Tradeにしても、ECにしてもあるいはSilicon Valley Modelにしても何も日本に閉じて作る必要はないのだと思います。一番作りやすいところに作るというのが簡単だと思います。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00071] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
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磯崎さん、
後ろからてっぽうで撃たれた(笑)田中辰雄です。
いやー、磯崎さんのお説は現状分析としてはごもっともです。
From: 磯崎 哲也 Subject: [00069] Re:金融でのEC <-ECの質的影響
● 日本でインターネット証券取引に業者が多く参入して、市場が活性化するというのについては、私も悲観論。
理由は、下記の3つ。
・証券業務のアンバンドリングが進んでいない
・取引所間、取引所外取引きの競争が、すぐにははじまらない
・情報開示と自己責任が、まだまだ。
*現状では*磯崎さんのあげる理由群のとおりで、E-trade的な価格破壊の土壌は乏しいでしょう。問題はこれが*近い将来*変わるかどうかです。ビッグバンにともなう規制撤廃や外資の上陸、証券・銀行の連続倒産の流れの中で、上に挙げた理由群が変わるのではないかという問いを私は立ててみたわけです(固定手数料廃止はその例)。
が、この点はdebatableでしょうね。磯崎さんのように、「インターネット証券取引に業者が多く参入して、市場が活性化する」ほどの効果はないという見方もありましょう。ここらへんは証券市場の将来予測に依存します。私は磯崎予測に積極的に反論する知識は持ち合わせておりませんので、どなたか異論のある方おられましたら、是非お願いしたいと思います。よろしゅう。
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