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B. EC部会
「エレクトロニックコマースの新展開 ―経済構造改革へのシナリオ」

1998年2月26日〜3月4日
From:堀越 繁明
Subject: [00110] Re:吉良裕臣
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堀越@日本ユニシスです。
コメントが遅くなりまして、議論の流れから逸れてしまうかも知れませんが、お許し下さい。
From: 吉良 裕臣 Subject: [00107] 吉良裕臣
郵政省電気通信局の吉良です。これまで意見を出さずに申し訳ありませんでした。私どもは電気通信を所管している立場から、電子商取引普及のための最大の課題はネットワークの整備であろうという観点から各種施策を進めています。
実際行われている電子商取引をみると、売り手のモール構築や、買い手側の商品検索・発注まではネットワークで行われていても、決済の段階では、オフラインで行われたり、別のネットワークで確認を行っている場合が多いのが実情です。したがって、まずは電子商取引の需要に応えることのできるネットワークを整備することが重要な課題だと思います。
私も同感です。現在電子商取引で欠くことが出来なくなっているインターネットはその課題として「シングルクラスのサービス」しかないことが指摘されています。
ビジネスの需要は、安全性や信頼性は勿論のこと、もっと多様なものであると思います。たとえば、優先度とか送達確認なども望まれているのではないでしょうか。技術的には、既に解決されているものもあると思いますが。
そうなると、もはやそのネットワークはインターネットとは呼ばないのかも知れませんが、電子商取引の需要に応えることのできるネットワークの整備は重要な指摘であると思いましたので、コメントさせていただきました。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00111] Re:吉良裕臣
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田中辰雄です
吉良さん、どうもはじめまして。終盤ですがよろしくお願いいたします
From: 吉良 裕臣 Subject: [00107] 吉良裕臣
電子商取引の発展のために国の果たす役割とは何かの観点から御意見をいただければと思います。
吉良さんおっしゃるは次の2点は確かに国の役割ということなのでしょう。
(1)基礎技術開発
(2)規制撤廃+競争促進(通信でのアンバンドル化、カルテルの禁止)
(2)はこの会議でも、証券業の自由化、書籍の再販制度などが話題になりました。 ところで、この会議の議論ではどうもECのためには次の点も必要なようです。
(3)ベンチャーを起こしやすい環境づくり
もっとも、どういう政策でこれができるかは難問です。私もいろいろと考えているのですが、行政の方でも是非考えていただきたいところです。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00112] Re:BtoBはどうなるのか
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田中辰雄です
猪熊さん、たいへん興味深いレポートありがとうございました。
具体的なレポートで貴重な情報を含んでいると思いますので、以下、多少長くなりますが、詳細にフォローさせていただきます。記憶を呼び覚ますために引用を少し長めにしてありますがご容赦ください。
要約
(1)D分類は時期尚早。C分類、A分類は現在推進中
(2)オープン化(BあるはDへの移行)には一社だけでは越えられないハードルがありそうだ。つまり、プラットフォームのようなものが必要。個別企業単位では当面はAからCへの移行が主になるのではないか?
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まず、おさらいとして分類を確認しておきます。
Closed Open
グループ内 グループ外とも
受発注のみ A B
受発注以外も C D
さて、猪熊さんのお話ですと、ミスミではそれぞれに試みがあるようで、まず、すでにある程度試みを行われていることに感心いたしました。
(1)分類別の検討、D分類、C分類、A分類
From: 猪熊 洋文 Subject: [00106] Re:BtoBはどうなるのか
いきなりですが、D分類は「市場形成の為の情報受発信型」ECと言えるのではないでしょうか。3年程前からミスミのWEBで金型部品・FA関連部品の海外メーカーを発掘しようと、代表的な商品の仕入れ価格を一部公開し情報発信した事があります。
結果は、
・日本国内メーカーを越える超精密な金型・FA部品を製造できるメーカーが海外には余りにも少ない。
・インターネットが、対象となる(なりそうな)海外メーカーにとって必ずしも普及されたツールではない。
といった点から具体的効果が少ない為に今はペンディングにしています。
ここは大変興味深く拝見しました。D分類は一番徹底したECですが、現状では、仕入れ価格の情報発信という最初のステップですら、なかなかメリットが見つからないということですね。将来的にはともかく現状ではD分類は時期尚早なのでしょう。
From: 猪熊 洋文 Subject: [00106] Re:BtoBはどうなるのか
次にC分類ですが、これは「形成されている市場の合理化」ECだと思います。情報共有する事による市場(売手と買手)の合理化・迅速化を計る事です。
・昨年よりFA関連部品のCADデータも含んだ電子カタログ(CD−ROM)を顧客に配っています。また発注データを作成する機能も備えており、将来的にはネットワークを介在した受発注に展開できればと考えています。
・また、全く違う事例としては、カタログ制作時、制作会社とカタログコンテンツを伝送しあい制作行程の短縮化を計るケースが出てきています。
C分類は着実に進んでいるようですね。2番目のケースでは取引先との共同作業そのものをネットワークに乗せており、受発注以外の作業をECするC分類にふさわしいと思います。
From: 猪熊 洋文 Subject: [00106] Re:BtoBはどうなるのか
A分類はECの代表格ですが、 >
・4年前からニフティサーブを使った顧客とのEDIを推進しいます。現在接続顧客数は1200社余りとなっており毎月顧客数は増えています。ちなみに、月単位でみたアクティブ率は60%強という所です。
・事前契約のある、クローズドタイプのEDIとは言うものの毎週発注のある顧客もいれば、3カ月に1度発注の顧客もいます。
ここであげられている例は確かにA分類ですが、ニフィティサーブ利用ということは片足は(片足はちょっと言い過ぎですが1/3足くらいは)B分類に入りかけていますね。つまり会員制ではあるが通信網自体はオープンなものを使っているという意味でです。 #closedにも二通り意味があって、専用線を使って通信網そのものをclosedするもの(強いclosed)と、通信網自体はインターネットや市販のパソコン通信など比較的オープンなものを使うが、メンバーが事前契約したものに限られるという意味でのclosed(弱いclosed)があると思います(いわゆるエクストラネット)。ミスミさんの行っている上記の例は弱いclosedになろうかと思います。
いずれにせよ、猪熊さんのお話からA分類の活動が拡大しているという実感が持てます。
それも弱いclosedですから将来の含みが大きいように思います。
(2)オープン(BあるいはD)への移行はどうやって可能になるか?
From: 猪熊 洋文 Subject: [00106] Re:BtoBはどうなるのか
頻度という点からB分類へと展開させて行くと、少々自分自身混乱が生じます。BTOBにおいては通念的には、 >
1.買手が売手に対して見積もりを求める。
2.売手が見積もりを作成する
3.買手の購買決定がなされる(売手は与信をチエックする)
4.買手に納品される(通常納品書が添付される)
5.売手より請求書が送られてくる。
6.買手が口座を通して支払う。
という取引プロセスがあるか思います。故にB分類においては、アドホック的に1・2のプロセスまでは行っても、その先に発展しずらい背景がここにあるのではないでしょうか。電子決済が出来ればすべてが事足りるかというと、そうでもない気がしますし、業界の商慣行によっても違いがあると思います。
ここはオープン化にあたってのcritical pointであると思います。事前契約無しで、誰でもOKということになりますと、どんな悪いやつが入り込んでくるかわからないわけです。また悪意がなくても、商慣習が業界ごと国ごとに少しづつ異なればトラブルも起こるでしょう。
ここはおそらくプラットフォームのようなものが必要で、電子決済もそうだし、取引の暗号技術、トラブル処理の方法など広い意味での「制度」が必要です(ここれは国領さんがお詳しいところと思います →国領さんお時間あれば一言解説お願いします)。
考えてみると、江戸時代に全国規模の商業が立ち上がるときも、近世のヨーロッパで商業取引が都市内から全国へ広がるときも似た問題が発生したはずです。なぜなら、いままで顔見知りだけで取引していたのが、知らない人と大量に取引しないといけなくなったわけですから。このような見ず知らずの人との取引を円滑化する必要から、貨幣制度や信用制度、商慣習と呼ばれる「制度」が時間をかけてできあがってきた。電子空間でもそれに似たことがこれから数十年の時間をかけて進行していくのではないかを思います。
こういう「制度」の創造は一企業ではできませんので、ある程度業界の協調、特に国際的な協調などが必要な分野と思われます。一企業単位ではまずA分類、それからC分類へ進むのが現実的なのでしょう。猪熊さんのレポートも、これを裏付けているように思います。
なお、私見ですが、現在はオープン化が時代の趨勢でAからBへ移行する話が花盛りと思います。これは確かにそうなのですが、ではメンバーを限ったA分類やC分類がどんどん小さくなるかというとそんなことはないでしょう。つまり、
From: 猪熊 洋文 Subject: [00106] Re:BtoBはどうなるのか
また、受発注ECは、電話一本で「いつものやつをXX個お願い」という、そもそもの商取引に近いものがあるような気がします。
と書かれているように、電話一本で「いつものやつ」、という取引方法は非常に効率的です。このこと自体は電子空間に行っても変わらないでしょう。そして、このような「いつものやつ」取引を可能にするには、メンバーを確定したクラブ的な取引にせざるをえない。ゆえに(これまでの形とは違うと思いますが)なんらかの形での「クラブ型」の組織が増えていくのではないでしょうか。その意味からもまずはA分類から、C分類へと進むのが現実的という気がいたします。
#むろん「強いclosed」から「弱いclosed」への移行も大切でしょう。
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From: 校條 浩
Subject: [00113] Re:BtoBはどうなるのか
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校條 浩です。大変ご無沙汰して失礼いたしました。
A,B,C,Dの分類について興味深く拝見しました。私なりの意見を簡単に述べさせていただきます。
必ずしも、進化過程はAからDに行く訳ではないと思います。確かにAからBの流れがEDI的なものと思いますが、本格的なECの普及の鍵は実はECと直接関係ない情報のみのやりとりによるメディアの成立あるいはコミュニティーの形成だと見ています。
そこと、AやBなどのMission Criticalなシステムがつながり爆発的な普及が促進されるというのが、私の意見です。つまり、AとDは同時進行で起きていくのです。家庭用会計ソフトのIntuitをMicrosoftが買収しようとしたのはこの理由が大きいと思います。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00114] Re:BtoBはどうなるのか
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田中辰雄です
校條さん
もう終盤なのですが、興味深いご指摘なので、質問させていただきます。
From: 校條 浩 Subject: [00113] Re:BtoBはどうなるのか
必ずしも、進化過程はAからDに行く訳ではないと思います。確かにAからBの流れがEDI的なものと思いますが、本格的なECの普及の鍵は実はECと直接関係ない情報のみのやりとりによるメディアの成立あるいはコミュニティーの形成だと見ています。
そこと、AやBなどのMission Criticalなシステムがつながり爆発的な普及が促進されるというのが、私の意見です。つまり、AとDは同時進行で起きていくのです。家庭用会計ソフトのIntuitをMicrosoftが買収しようとしたのはこの理由が大きいと思います。
上記の趣旨は興味深いのですが、もう少しご説明願えないでしょうか。
「情報のみのやりとりによるメディアの成立あるいはコミュニティーの形成」は、以前にお話に出た「顧客間インタラクション」とは違うものでしょうか。Intuitはその一翼をになっているようにも読めるのですが、どうなんでしょう。
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From: 校條 浩
Subject: [00115] Re:BtoBはどうなるのか
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マッケンナ・グループの校條です。田中さん、ご質問をありがとうございます。やや長いですが、お答えします。
コミュニティが、「地域コミュニティ」のような特定のイメージを持ち易いのであまり使いたくないのですが、他に適当な言葉がないので使っています。顧客間インタラクションは確かにその一部ですが、必ずしもお互いにインタラクトしなくてもいいのです。あるいは、むしろお互いに知られたくないと思う場合もあるでしょう。人々は人の多く集まるデパートや銀座通りに出掛けます。しかし、顧客同士がお互いに話したり情報交換したりはしません。一方で、何か特定の趣味の店やオタクの人が集まる場所ではもっと顧客同士が対話するでしょう。そのどちらにしても、そこに人が集い、自分もその群集の中の一員であることが大切なのです。中古コンピュータのオークションをしているOn Sale社のJerry Kaplanは、そこに集う売り買いの競合同士がコミュニティを形成しているのだ、と言っています。サイバーコミュニティとは仲良しクラブのようなものやユーザーズグループのようなものばかりでなく、磁石に群がる砂鉄のようなものです。
さて、前置きが長くなりましたが、ECには売る仕組みと顧客の集まり(つまりコミュニティ)の両方が必要です。(余談になりますが、One-to-one marketingがECの本質ではない理由はここにあります。)その片方だけが進化していくことはなく、相互に影響しあいながら進化していくものです。例えて言えば、昔鉄道会社が、鉄道を建設した時に郊外にベッドタウンを開発しながら都心ではデパートを経営するという戦略がイメージ的に近いでしょうか。最近の例で言えば、東京ディズニーランドの本当の狙いはその周辺地域の地価を上げることだ、というのは言い過ぎでしょうか。
ECがclosed transactionからopen transactionを経て情報を付加した総合ECへ進化するというのは、話としてはわかり易いのですが、実際は交互に影響しあって発展していくものと見ています。今までのEC実験や新規事業の試みがうまくいかないのは、この顧客コミュニティの欠如にあると思います。
このコミュニティ形成の鍵は、「情報」です。最初にまず商売抜きで、情報を提供しなくてはなりません。人々が集うサイトを作ることが、EC発展の重要なステップだと思います。まず、人々をECの入り口につれてくること、これが大切です。この理由から、日本でのEC普及の鍵は、TV、コンビニ、キオスク、PDA、カーナビなどの新しい顧客インターフェースにあると考えています。
長くなって申し訳ありません。詳細はまた当日会場でお話しできればと思います。
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From: 校條 浩
Subject: [00116] Re:BtoBはどうなるのか
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先程説明がたりませんでしたが、顧客コミュニティがECをドライブするというのは、今の定義ではB to Cです。B to Bでは、ご指摘のようにA > B > C > Dのように進むでしょうが、EDIの延長線上の発想では進展はあるところで鈍化するでしょう。
Business世界でのB to C、すなわちB to I (Individuals、中小企業、SOHOや企業内の個人)における顧客コミュニティの形成がECの爆発的な発展の変曲点になると思います。そこに行き着くと、B to CとB to Bの区別が曖昧になりB to Iとなっていく、というのが私のシナリオです。
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From: 田中 辰雄
Subject: [00117] Re:BtoBはどうなるのか
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校條さん、どうもありがとうございました。おぼろげながら校條さんの趣旨がわかってきました。思いきって簡単化して言うと次のようになろうと思います。
1)B to Cでは顧客コミュニティがECをドライブする。ここで顧客コミュニティは顧客間インタラクション(ニフィティのフォーラムなど)に限らず、インタラクションが低くても、そこに人が集まればよい(たとえば繁華街の雑踏)。人を集める磁力は情報であろう(そこに集えば面白い情報が手に入る)
2)B to B では、オープンからクローズドへ、単なる受発注からより広範な情報共有へという動きは起こりうる。ただし、個人がビジネスを始めるので、個人とビジネスの境がぼけ、B to BというよりはB to I (Individuals)になっていくだろう。
お忙しいところをお答えいただき、ありがとうございました。
From: 校條 浩 Subject: [00116] Re:BtoBはどうなるのか
長くなって申し訳ありません。詳細はまた当日会場でお話しできればと思います。
本会議よろしくお願いいたします。私はその時はまだアメリカにおり、本会議は参加できないのですが、記録を読ませていただきたく思います。
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From: 小川 琢之
Subject: [00118] 物理的ネットワークと信頼のネットワーク
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小川琢之です。
終わりに近づき、まとめの段階に入られていることと思います。
田中さん、校條さん、猪熊さんを始めとする皆様のBtoBディスカッションを興味深く拝見しておりました。
皆さんの御意見とかなり一致していると思いますが、私見を下記します。
1)当面AからCへの移行の方が早く起こるだろうという予想に関しては賛成です。 田中さんのおっしゃっているように、strangerが入って来れるという完全なOpenではなく、「強いclosed」から「弱いclosed」への移行が現実的と思います。
「プラットフォーム」とは言い替えればMarketの提供と言えるのではないでしょうか?現在、行われている通常の相対の商取引が,Networkと新たなプラットフォームの形成により、より価格決定、相手先の選択等の自由度の高い方向へ向かっていくように思います。但し、その形態は完全にOpenなものではなく参加者を何らかの形で限定したものとなるでしょう。
欧米の証券や商品先物の取引所が永年に亘って「menber」という形で参加者を限定してきていることも完全なstrangerが参入してくることによって必要となるcredit機能(相手が信用してよいかどうかを判断する機能)を市場の仕組み自体がカバーしにくいからと考えます。
2)Strangerが入ってこれるというOpenなBtoBへの発展(BあるいはDへの移行)は、やはりハードルを感じます。現在のBあるいはDの取引きにおけるNetwork利用のポイントは、「広告宣伝の代替によるコストダウンと効率化」が中心であり、この面での利用は進展すると思います。ただ、それがどのような形で本質的なビジネスの変化となって現れてくるのかはまだ見えてきません。
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From: 加納 貞彦
Subject: [00119] 物理的ネットワークと信頼のネットワーク
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そろそろ終りに近づいてきたようなので、少し発言します。
要約(少し長い要約で恐縮です)
1.物理的なネットワークはオープンにしたり、全世界をカバーしたり出来るけれども、実際にその上で行われる通信は、特に電子商取引のような場合は、クローズドにすることを要求される場合が多い。
2.ネットワークをクローズドにする理由は、3項で述べるように色々あるが、電子商取引の場合には、トラスト(信頼)ではないか。まだ会ったこともない(地球の裏側にいるような)人との取引きにおいて、買い手から言えば、購入する物・サービスの受領前に、その品質や内容の確認もせずに代金を支払ったり、売り手から言えば、まだ代金を受領もしていないのに、物を発送してしまう、ということが出来るのは、あるネットワーク(例えば、クレジットカード会社)に登録しているということで、相手を信頼しているから。つまり、そのネットワーク加入にあたってなんらかの審査が行われるということが前提になっているのではないか。信頼は、相手に対するものであると同時に、ネットワーク運用主体に対する信頼であるとも言える。
3.ネットワークをクローズドにする方法は、技術的にはいくつかあって、専用線を使って物理的にも別網にしてしまう方法(田中さんのいう「強いClosed」)から、公衆網上で事前契約したメンバーだけで仮想的にクローズド網(Virtual Private Network)を作る方法(田中さんのいう「弱いClosed」)まで色々ある。どの形をとるかは、トラスト、コスト、セキュリティ、トラヒック的安定性(他のトラヒックによる輻輳の影響を受けるか否か)、地理的カバー範囲等による。両者を適当に組み合わせて使う場合もある。
議論
1.まず田中辰男さんの2月26日の以下の文章に即発されました。
From: 田中 辰男 Subject: [00112] Re:BtoBはどうなるのか
#closedにも二通り意味があって、専用線を使って通信網そのものをclosedするもの(強いclosed)と、通信網自体はインターネットや市販のパソコン通信など比較的オープンなものを使うが、メンバーが事前契約したものに限られるという意味でのclosed(弱いclosed)があると思います(いわゆるエクストラネット)。ミスミさんの行っている上記の例は弱いclosedになろうかと思います。
田中さんのいう「強いClosed/弱いClosed」というのは、手段による分類で、ある目的に対して強いか、弱いかというのとは、別なように思います。目的とは、例えばclosed にする理由で、要約に書いたように「トラスト、コスト、セキュリティ、トラヒック的安定性(他のトラヒックによる輻輳の影響)、地理的カバー範囲」があげられると思います。たとえば、電子商取引で重要になるトラストの点から言えば、田中さんのいう物理的なネットワーク作りの差は問題にならないと思います。セキュリティやトラヒック的安定性の面からは、確かに専用線で作った別網の方が「強い」ですね。
2.同じ田中さんの文章の中に以下がありました。
From: 田中 辰男 Subject: [00112] Re:BtoBはどうなるのか
事前契約無しで、誰でもOKということになりますと、どんな悪いやつが入り込んでくるかわからないわけです。また悪意がなくても、商慣習が業界ごと国ごとに少しづつ異なればトラブルも起こるでしょう。
商習慣の違いが国ごとにあっても、あるひとつのネットワーク(例えば、クレジットカード会社)に加わるというのは、そのネットワークでの商習慣を受け入れるということですね。従って、田中さんがおっしゃるトラブルを避けるためにも、そのネットワークの商習慣が明示的に示される必要がありますね。
From: 田中 辰男 Subject: [00112] Re:BtoBはどうなるのか
ここはおそらくプラットフォームのようなものが必要で、電子決済もそうだし、取引の暗号技術、トラブル処理の方法など広い意味での「制度」が必要です。
「制度」というと国での規定をなんとなく想定してしまうのですが、上記のように個別のネットワーク毎に自主的に決めるということでよいのではないでしょうか。もちろん取引きにあたっての最低限のルールは必要でしょうが、現行の商法で十分ということになりませんか。そして、複数のネットワーク(つまり広い意味での「制度」)が市場で競争していて、それぞれのネットワークの実際の運用結果によるユーザの選択でおかしなネットワークが淘汰されて行くということでまずは良いのではないでしょうか。
From: 田中 辰男 Subject: [00112] Re:BtoBはどうなるのか
なお、私見ですが、現在はオープン化が時代の趨勢でAからBへ移行する話が花盛りと思います。これは確かにそうなのですが、ではメンバーを限ったA分類やC分類がどんどん小さくなるかというとそんなことはないでしょう。
トラスト(信頼)という意味で大賛成です。
From: 田中 辰男 Subject: [00112] Re:BtoBはどうなるのか
#むろん「強いclosed」から「弱いclosed」への移行も大切でしょう。
なぜですか。目的別にそれぞれが残ると思いますが。
3.なお、2月19日に投稿のあった英文の Robert Hettinga (かなり長文)にも同様の趣旨の以下の文章が入っていたので参考までに再掲します。 But, what, you ask, do I do when someone defrauds me? The neat thing about
using financial cryptography on public networks is that you can use the much
cheaper early-industrial trust models that went away because you couldn't
shove a paper bearer bond down a telegraph wire. In short, reputation
becomes everything. Like J. Pierpont Morgan said 90 years ago,
"...Character. I wouldn't buy anything from a man with no character if he
offered me all the bonds in Christendom." In a geodesic market, if someone
commits fraud, everyone knows it. Instantly. And, something much worse than
incarceration happens to that person. That person's reputation "capital"
disappears. They cease to exist financially. Financial cryptographers
jokingly call it reputation capital punishment. :-). The miscreant has to
start all over with a new digital signature, and have to pay through the
nose until that signature's reputation's established. A very long and
expensive process, as anyone who's gone bankrupt will testify to.
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From: 田中 辰雄
Subject: [00120] 物理的ネットワークと信頼のネットワーク
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田中辰雄です。
加納さん、どうもありがとうございます。
基本的な趣旨にはまったく賛成です。堀越さんへの返事にも書きましたが、これからネットワークは幸か不幸か、いろいろな意味で機能分化(differentiaion)していくと思います。そのとき「信頼性」というのはひとつの重要なファクターでしょう。
From: 加納 貞彦 Subject: [00118] 物理的ネットワークと信頼のネットワーク
たとえば、電子商取引で重要になるトラストの点から言えば、田中さんのいう物理的なネットワーク作りの差は問題にならないと思います。セキュリティやトラヒック的安定性の面からは、確かに専用線で作った別網の方が「強い」ですね。
なるほど、人的ネットワークによる信頼(トラスト)は物理的なネットワークのセキュリティとはまた別ですね。確かに両者は独立だと思います。専用線でがちがちにセキュリティは固めたが、その線の先にいる人間は油断できない相手だ、という状況はありえますし、逆にセキュリティ的にスケスケだけど、通信相手は信頼できるというケースはありえますから。
From: 加納 貞彦 Subject: [00119] 物理的ネットワークと信頼のネットワーク
ここはおそらくプラットフォームのようなものが必要で、電子決済もそうだし、取引の暗号技術、トラブル処理の方法など広い意味での「制度」が必要です。 >
「制度」というと国での規定をなんとなく想定してしまうのですが、上記のように個別のネットワーク毎に自主的に決めるということでよいのではないでしょうか。もちろん取引きにあたっての最低限のルールは必要でしょうが、現行の商法で十分ということになりませんか。そして、複数のネットワーク(つまり広い意味での「制度」)が市場で競争していて、それぞれのネットワークの実際の運用結果によるユーザの選択でおかしなネットワークが淘汰されて行くということでまずは良いのではないでしょうか。
はい、国がつくるのではない制度で、一向にかまいません。というか、その方がいいと思います。歴史的に見ても、手形制度、信用取引制度、警察制度、消防制度など、今日国が法律で制度化している制度の大半は、試行錯誤と淘汰過程をへて、歴史的に(進化的に)形成されたものです。制度を国が準備するのは、完成された制度がお手本として外国にある後発国の場合でしょう。我々が制度というとすぐ国を思い浮かべるのは、おそらく明治以来の後発国の体験の惰性だと思います。ネットワークでの商習慣づくりも、各ネットワークごとに試行錯誤して良いものが残っていくという方法に賛成です。つまりプラットフォームも競争的につくられるべきである。
From: 加納 貞彦 Subject: [00119] 物理的ネットワークと信頼のネットワーク
#むろん「強いclosed」から「弱いclosed」への移行も大切でしょう。
なぜですか。目的別にそれぞれが残ると思いますが。
これは、表現を誤りました。現在は強いclosedが圧倒的だが、弱いclosedがこれから増えるだろうという趣旨です。「移行」と言いましたのでミスリーディングでしたが、私もそれぞれ残ると思います。たとえば、一日数百億円に達する銀行間の資本取引では専用線を使った「強いclosed」で行くでしょうが、民間のロットの小さい商取引では、コストの安さ、また新規取引先との結合のしやすさなどから「弱いclosed」が有望でしょう。
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