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A. アジア部会

   迫られるインフラ構築--アジア太平洋地域の重要性


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1998年2月26日〜3月4日


From: 関口 和一
Subject: [00057] ドメインネーム問題


日経の関口です。
これまでこの会議のエラーメールの処理とホームページの作成、それに新聞掲載と、ほとんどロジに忙殺され、発言ができませんでしたが、この会議も来週半ばで終了したいと思いますので、最後に一つテーマを提案したいと思います。
本日(27日)もこの会議に参加されている通産省の安延さんの招集のもと、産構審のデジタルコンテンツについての審議会があり、ドメインネームに関する話し合いがありました。
先週、このサミットのキーノートスピーカーでもあるアイラ・マガジナー米大統領顧問が来日して、日本政府と電子商取引についてかなり突っ込んだ議論をしたようです。また米政府は、高橋さんが以前ご説明されましたように、1月末にドメインネームの管理体制 についての新提案(グリーンペーパー)を発表しました。
米政府は基本的に9月までには新しい国際的な非営利の民間管理組織を作りたいといっていますが、どうも日本側の動きは鈍いようです。インフラ問題分科会の締めくくりとして、ドメインネームについての我々の考え方をまとめてみたらいかがでしょうか、会津さん。
基本的な米政府提案の内容は以前、マガジナー氏がこのオンライン会議の英語部会に紹介していましたようにhttp://www.ntia.doc.gov にありますので、ご関心のある方は ぜひ、ご覧下さい。
これまでEC部会、ネット部会でご発言された方も大歓迎です。
アジア・インフラ部会にご投稿下さい!
以下、拙稿で恐縮ですが、先週、マガジナー氏と一時間ほどインタビューをした時の記事(2月19日付「日経産業新聞」に掲載)を参考に添付しておきます。

From: 会津 泉
Subject: [00058] Re:ドメインネーム問題


関口さんから、マガジナーの基調講演との関連も考えられて、ここにドメインネーム問題を新テーマとして提供いただきました。
これを「アジア」の文脈でとらえると、どうなるのか、と考えてみたいと思います。インターネットはとかくアメリカ主導型と受けとられています。アジアで英語が母国語でない国や地域の人々は反発を感じるとか、英語が得意な国・人は、アドバンテージになる、といったことも含めて。
そうした背景も含めて、ご意見があればお願いします。
ただ、けっこう複雑な問題なので、ちょうど最近、私が走り書きした問題の経緯がありますので、これも提供させていただきます。
*************************
ドメインネーム問題を中心としたインターネットの管理運用、いわゆるガバナンス問題について、私が理解する範囲で整理してみます。
ただし、記憶の範囲で書きますので、こまかい事実は違っているかもしれませんことをご容赦ください。お気付きの点があれば訂正をお願いします。
国際的には、いままでボランタリーで、オープンで、非営利で、ラフコンセンサスで行なわれてきたインターネットの管理運用について、それでは急拡大する商業利用に対応できない、もっと責任の所在を明確にし、法的根拠を整備すべきだという意見が強まったことから問題が浮上してきました。
<インターネットはだれがどう管理するのか? だれが責任をもつのだ?>という問いが中心です。
ただし、背景にはISOCの新旧事務局長の感情的な確執や、金銭利害をめぐる思惑なども複雑に渦巻いているようです。
問題の発端は、米国中心に広く普及した「.com」が、企業にとっては国名表示を省略して全世界統一して使えるという魅力があり、かつ、同一名称を一社しか利用できないというところから始まったと考えられます。
 事実上世界単一の商標が、インターネットで(のみ)実現できるからです。
とくにMcDonald.com を、ハンバーガーと何にも関係もない、ミスターマクドナルド氏が先に取得していたのを、マクドナルドが商標侵害を理由に訴訟し、返還を求めたのが大きな話題となり、類似の事例が続出しました。この件は平和的に解決したそうですが。
 商標権は基本的に国内法で認められているもので、国際統一商標は存在していません。で、商標権にかかわる国際組織であるWIPOが、インターネットでも商標権とドメインネームとの整合性を確立すべきと求めています。伝統的なインターネット・コミュニティでは、ドメインネームは商標権は関係ないという意見が強いようです。
一方、この国名なしの「.com」、「.org」など、いわゆるgTLD(generic TopLevel Domain)は、NSIという米国の一民間企業がアメリカの政府組織NSFから委託を受けた独占的に発行・管理運用してきたものです。ところが、そのNSIが「手数料」を取り始め、有料化したところから火がつきました。
申請数が増えたことで費用ととらないと合わないというNSIの言い分と、独占状態で膨大な利益をあげることはけしからんというユーザー側の批判、そして法的責任の所在などが問題とされています。
さらに、インターネット全体のIPアドレスの管理をしているIANA(Internet Assinged Numbers Authority) (ここは国防省のDARPAとの契約に基づいて管理業務を担当し、ヨーロッパ、北米、アジア太平洋の3組織に地域分担を委譲している、ただしそこには法的契約はない)もこの問題に関与することになりました。
IANAもNSIも米国の独禁法違反で訴訟される可能性があるというのです。
政府契約を利用して不当に利益をあげた、あるいは正当な権利を侵害した、と。
とくに、IANAの責任者のジョン・ポステルが、NSIの独占を廃止し、新しいgTLDを競争的に導入することを提案し、さまざまな経緯を経て、ISOC(インターネット・ソサエティ)が提唱して、96年秋に国際臨時検討委員会IAHC(International Ad Hoc Committee)が組織され、インターネット・コミュニティの代表に加え、ITU、WIPOからの委員も入れた7名で、gTLDについての新しい管理運用体制案をまとめ、97年1月に原案を発表し、オンラインでの激しい議論を経て、5月に、一応の結論に達し、協定書(覚え書)に漕ぎ着けたのです。この委員会には、アジアの代表として村井純氏も加わっていました。この案にはさらにさまざまな修正が加えられ、新しく.store、.art、.webなど7つのgTLDを追加し、さらに世界中にこgTLDの登録機関(レジストラー)を公募し、私企業が競争的に行なえるようにしました。
ただし、そのマスターデータベースそのものは、レジストラーなどが集まってつくる委員会(CORE)参加の単一の組織が、集中一元管理し、物理的にはITUが預かる、ということになりました。これがレジストリー、です。
しかし、この案とその決定のプロセスに批判的なグループが中心になって米国政府に問題を指摘したこともあり、インターネットの政策を検討してきた大統領専属の顧問アイラ・マガジナー氏が責任者となって、政府による見直しが行なわれ、その結果、昨年7月の電子商取引に関する政策発表(通称ホワイトペーパー、インターネット経由の取引は非課税にと提唱した)に続いて、今年1月末に、これまでの案とは別の新提案(通称グリーンペーパー)を発表したものです。これがいま問題の焦点になっているものです。
この新提案は、IAHCなどの案を素材としつつ、・IANAに代わる組織として、新たに米国法の下で国際的な構成の役員による民間非営利法人を設立する。財政的には、新しいドメイン名レジストリーと地域レジストリーが支える。
・ここが IPアドレス、ドメインネームのルートサーバーなど、全体の管理にあたる
・トップレベルドメイン(gTLD)のレジストリーは競争的に複数導入する、
・新ドメイン名は最大5つとする
・二次ドメインは、レジストラ経由で登録される
といった骨子です。なお、この案に実施については、今年9月末で新体制への移行を開始し、米国政府はこの移管の間はその運用・政策の管理に関与するが、遅くも2000年9月末には一切の関与から撤退する、とされています。
繰り返しになりますが、 主な論点は
・インターネットのIPアドレスおよびドメインネームの管理・運用は、だれがいかなる法的根拠に基づいて行なうべきなのか
・それをだれがどう決めるのか、
・利害対立が起きたときに、どう調整解決するのか
といったことです。
とくに、米国の法律に基づく非営利法人の設立という提案には、米国以外から、「究極的には結局アメリカがインターネットを支配する意思を表明した」という批判が強く表明されています(とくにEUなど、欧州から)。
また、新トップレベル・ドメインを7つではなく5つとしたことや、レジストリーまで競争を導入するといった、細かいところまで米国政府が指図することへの批判も、IAB(ISOCの傘下で、インターネットの標準案の承認を行なう組織)などから出されています。
米国政府側は、世界中から自由に意見を出してほしい、それによって必要な修正は加える、との柔軟な姿勢を打ち出しています。
 しかし、現在の管理運用体制の根本の部分の法的契約当事者であるとの立場から、インターネットの運用の安定性、公平性を損なうような結果には与しないと、強く主張しています。現在の体制のままではIANAの違法性を訴えられた場合に、十分には対抗できないが、国際的な民間非営利法人にすれば、他の標準化でも前例があり、裁判になっても十分責任を主張できる、との見解を出しています。
日本やアジアからは、gTLDを原則廃止し、すべてを.jp .us などの国別コードの下に移行すべきだとの声も強くあります。
米国政府は商務省のサーバーで提案を発表しています。
ホワイトハウスからもリンクされていたと思います。
コメントもすべて公開されています。滅茶苦茶な意見も含めて。
http://www.ntia.doc.gov/ntiahome/domainname/dnsdrft.htm
2月中は広く意見を聞き、3月にその結果をまとめて最終案をつくる予定だそうです。もう2月もお仕舞いになりますが、でもマガジナーが来日するなかで、まだ意見を聞く余地は十分あるようです。
アメリカ主導でのインターネット、という流れをどう思われますか?
アジアがまとまって意見を言えるでしょうか?

From: 飯坂 譲二
Subject: [00059] Re:ドメインネーム問題


飯坂 譲二
From: 関口 和一
Subject: [00057] ドメインネーム問題

また米政府は、高橋さんが以前ご説明されましたように、1月末にドメインネームの管理体制についての新提案(グリーンペーパー)を発表しました。
米政府は基本的に9月までには新しい国際的な非営利の民間管理組織を作りたいといっていますが、どうも日本側の動きは鈍いようです。インフラ問題分科会の締めくくりとして、ドメインネームについての我々の考え方をまとめてみたらいかがでしょうか、会津さん。
私も、国際的な非営利民間組識がよいとは思いますが、日本の土壌を考えるとちょっと悲観的です。
ただ、特定の国が利益をうるようなネーミングの方式は避けたいものと思います。
今後のドメインネームの必要数を考えるともう少し、ドメインネームをみただけスクリーニングし易いようなフィールドを増やしてもよいような気がします。

From: 小池 良次
Subject: [00060] Re:ドメインネーム問題


小池です。
ボクもドメインネームに関するグリーンペーパーを読んだとき「あまりに露骨なアメリカ中心の内容!!」と驚かされました。
特に、新管理団体(原文ではnew corporation)を米国に置いて米国法の下で管理しようという点は「ここまで言うわけか〜」と正直思いました。
また、ペーパーの最初にある歴史解説も「米国政府がインターネットを生み出した」と思わせるように米国政府の支援が中心になっていて、各国のボランティアでインターネットが育った面は触れられていません。
米国政府が昨年夏に出した「ECフレームワーク」の内容と今回のペーパーは余りに落差が大きすぎます。
米国政府はすごく後手に回った後であの内容ですから、COREやEUが露骨に反発するのも当然と思えます。米国政府内の根回しばかり優先したのでしょうか。
いずれにせよ、新管理団体をひとつに絞り、それを米国において米国法で管理すると宣言したわけですから、いくら管理機構のディレクターを各国から選んでも真の中立的団体とは言えないと思います。
すくなくとも管理機構は2つあって、米国以外の場所にある管理団体が米国を牽制できる体制。あるいは米国以外(たとえばジュネーブ)あたりに置くといったことで解決できないものかなと思っています。(そもそも新管理団体を作る必要があるのか?も疑問ですが)
また、The Intellectual Infrastructure Fundの項目もしっくりきません。
NSIの登録料の3割がクレジットとして残って居て、その総額4600万ドル。その内2300万ドルを次世代インターネット(Next Generation Internet)に回すことを議会が認めたとなっています。(今の契約関係ではそうなるのでしょうが....)これでは説明不足。
できれば、登録料をとり続けるのか、そうでないのか。残ったファンドの運用をすべて新管理団体に移すのかどうか? とにかくもう少し深く触れて欲しかった。
National Journal 1/31/98号の記事には、97年9月に開催された下院サイエンス・ベーシック・リサーチ小委員会(House Science Basic research Subcommittee)の公聴会様子が触れられています。
同公聴会でインターネット・ソサエティー(ISOC)がドメイン・ネームの登録作業の国際機関への移行と、商標侵害の調停をWIPO(the World Intellectual Property Organization)に移すべきだとの主張を展開しました。そして米国内で管理すべきたと主張する同小委員会のチップ・ピッカリング(Chip Pickering)副議長とやり合う話が載っています。
これを見ると米国議会筋もこの件では相当鷹派ではないかと思っています。(ISOCもすごそうですが)
そうすると、批判があってもなかなか米国が折れそうにないなと感じているところです。
アイラ・マガジナ氏には前後3回取材で会っていますが、グリーンペーパーを出した翌週に会ったときはすごく現実的な(ある意味では冷たい)顔をしていました。

From: 山崎 一樹
Subject: [00061] Re:ドメインネーム問題


From: 小池 良次
Subject: [00060] ドメインネーム問題

小池です。
ボクもドメインネームに関するグリーンペーパーを読んだとき「あまりに露骨なアメリカ中心の内容!!」と驚かされました。
小池さんが、というわけではないのですが、このテーマに限らず、どうして日本人はアメリカに期待というか、希望を持っちゃうんでしょうか :-)
最近の論壇の保守派論客のように「日本はアメリカにマインドコントロールされている!!」とまでは言いませんが、何とも「青い鳥願望」がサイバースペースにまで及んでいるのかなあと感じます。
このテーマについては、随分前からこうなることは当然に予想されていたんじゃないでしょうか。以前、高橋さんにお伺いしましたが、もう1年くらい前からアメリカの業界はISOCのことを激しく批判していたわけでしょう、「非民主的だ」と言って。高橋さんはアメリカのやり方を批判されていたようでしたが、私には実にアメリカらしい、当然のやり口に過ぎないと思うんですが。
実は半年ほど前、カナダから帰国する直前に、私、某所にこういう文章を書きました。
============================
1997年 7月 26日 土曜日 11:34:07 AM
By: Motoki Yamazaki
最近のISOCとAIMの「インターネットの統治」を巡る激しいやり取り、これは○○さん、是非日本で解説を書いてくださいね。これは結局、分裂の方向に向かうということなのでしょうか?
私が見たカナダの新聞には「peace, order, bad government」という見出しがついていたのですが、これはカナダ人らしい皮肉なんだろうなあという感想を持ちます。
また、日本人である私としては、この対立は以前から私が予測していたアメリカ内部の共食い状態の端緒、cyberspaceにおけるcivil warの始まりなのではという気がするのですが。
お調子に乗っていたアメリカもこれからは「内憂外患」ですよ。「奢れる者も久しからず」の例えも「ドッグ・イヤー」なんでしょうなあ、きっと :-)
以前に○○さんはISOCの意思決定方法を肯定的に評価されていた覚えがありますが、AIMは「ISOCは民主的ではない」と非難しているんでしょう。これってアメリカでは最大級の蔑称なんじゃないですか。対するISOCは「AIMは愚か者の集団だ」とやり返しているというのでは、これは暫くは高みの見物がよろしいんでしょうね。
「欲望の無限の発散系」は必ずこういう内部対立を招くということではないでしょうか。
================================
結局、アメリカの議会で行われていることは、「アメリカの民主主義そのもの」ということでしょう。国領さんは国民国家を超える存在の例示として、IETFを取り上げられていますが、アメリカではそれは「非民主主義的なもの」とされている、これは実に興味深い話題ではありませんか。やっぱり、「インターネットはアメリカを変える」じゃないですか :-)
(ちなみに、私はサイバースペースにおいて国民国家を超える統治の機構が出来上がることはありえない、と考えています。つまり、国領さんの設問8の回答は「そんなもの、できっこないじゃない」ということです。)
しかしだからといって高みの見物というわけにはいかないんでしょう。小池さんにはよりジャーナリステックな情報公開をお願いしたいですし、高橋さんには頑張って戦っていただきたい。アメリカ相手には、戦う相手のみが生き残ります。会津さんには、坂本龍馬よろしく、アジア諸国をまとめていただきたいものですが :-)
現実問題としては、アメリカのグリーン・ペーパーなんてのは、日本のお役所の審議会答申なんぞと違って、結構カンタンにひっくり返りますからね。まだ今からでも遅くはないでしょう。
仮にアメリカさんが思うようにやりたいということであれば、次の段階に移行すればよいでしょう。つまり、サイバースペースでアメリカを囲い込めばよいのです。「革命だ」と浮かれているアメリカ人を非アメリカ人で囲い込めばよろしい。以前ご紹介した、水木揚氏の近未来小説の筋書き(サイバースペースでアメリカが孤立する)は、存外近い将来の話かもしれません。それにしても人間ってのは大体のところ、得意分野で躓くもんですよね :-)
また、個人的な希望ですが、どちらのフォーラムが適当なのか分かりませんけれど、ドメイン名問題以外に、最近のアメリカがらみの話題として、「WTOでのEC非課税提案」と「インターネット課税を巡るアメリカ連邦政府と各州政府の対立問題」も取り上げていただければ幸いです。

From: 築地 達郎
Subject: [00062] Re:ドメインネーム問題


築地@京都経済新聞社です。
自分の仕事でドタバタしている間に、あっという間に期間終了とのこと。慌ててまとめの発言させてもらいます。
【要約】新“参政権”構想
・米国法による管理に対して利用者側の“シビルコントロール”を及ぼすため、米国の立法府に何らかの影響を行使する力=新しい概念の“参政権”を確立する努力を行うべきだ。
「アジアの問題」はとりもなおさず「グローバル問題」であるわけですが、ここへ来て「法の効力が及ぶ範囲」の問題がクローズアップされてきたようですね。
昔、大学の憲法の第一回講義で習ったような気がしますが、確か国家とは「領土、国民、主権」によって構成されると書いてありました。領土あっての国家であったわけです。
しかし、米国の通商法や独禁法がすでにそうであるように、米国法の効力はすでに国境を越えはじめています。かつての帝国主義の時代から基本的政体が変わっていない以上、自国の利益を最大化するために自国の制度を対外的に敷衍する態度は米国にとって当たり前の選択であるといえるでしょう。
これに対して英国は法律によらず、自国の工業標準や管理標準を対外的に普及させることでメリットを生み出そうとしているように見えます。ISO9000が典型です。
こうした現実に対して、2つの問題が提起されると思います。
第1に、日本をはじめとするアジア諸国が国家としてどのように対応するべきなのか。 第2に、アジアで生活し働く個人としてどのような選択があり得るのか。
私見では、第1の問題については、すでに法律が一般に国境を越える時代が到来しているように思います。各国がヘゲモニーを握れる分野を模索する時代なのではないでしょうか。日本の場合、環境保全、食品衛生など生活直結分野で国内法をもっと強く敷衍させていいのではないかと思います。
第2の問題に関しては、参政権を持たない外国の法律の影響を受けるという意味で、重大な問題の存在を示していると思います。
この4月以降、外為法の改正によりわれわれも日本におけるドルの利用者になり得るわけですが、通貨発行主体であるFRBに対してわれわれが政策要求をすることは原理的にも実際的にもできません。それと同じような状態がInternet管理にも起こっているわけです。
そうした非対称性が存在するのであれば、それを解消するために努力を行うべきです。
一番いいのは米国の立法府に送り込む代議士を自ら選ぶことですが、それは当然無理なので、何か新しい形の“参政権”を確立しなければと思います。
ロビイストを雇うのもかなり金がかかりますし・・・

From: 会津 泉
Subject: [00063] Re:ドメインネーム問題


私は、今回のグリーンペーパー(のみ)によって、アメリカのインターネットへの支配が強まるというようには、ほとんど実は受け止めていません。
インターネットのもつ実質的なグローバリズムは、たまたま米国法下での非営利法人を置いた位で、打ち消されるとはとても思わないからです。
それより、マイクロソフトやインテル、サン、ネットスケープワールドコムといった、技術・産業諸勢力の方がよほど実質的な支配力をもっているのでは、と思います。
でも、技術とサービスの優位性がなければ、それはたちまち崩れるわけですし。wwwのプロトコルはヨーロッパ原産ですし。
ただ、全体として短期的解決には行数が割かれているけど、長期的な解決策にはまったく触れられていない、相当近視的な内容だなとは思いました。懇談会のメモに入れ忘れたのですが、「新しい国際法体系などを含めて、より長期的な解決の必要性についてもせめて触れる必要はあるのでは」と発言し、マガジナーも「それはそうだ」と答えたやりとりがありました。
 時間はかかっても、本質的な問題への取組みって、絶対必要だと思います。

From: 山崎 一樹
Subject: [00064] Re:ドメインネーム問題


From: 山崎 一樹
Subject: [00061] ドメインネーム問題

(ちなみに、私はサイバースペースにおいて国民国家を超える統治の機構が出来上がることはありえない、と考えています。つまり、国領さんの設問8の回答は「そんなもの、できっこないじゃない」ということです。)
もう期間は過ぎているそうで(知らなかった!!)、慌ててここだけ補足しておきますが、私の主張は「スーパー・ナショナル」は無理だろう、サイバースペースにおいても現実社会と同様、「インター・ナショナル」か「トランス・ナショナル」が関の山というか、現実的な対応策だろう、ということです。築地さんが言われるような「他国への影響力行使」というのはやっぱりかなり無理がありそうですし、かといって「竹林の七賢」が「スーパー・ナショナル」に意思決定するというのも無理だ。とするとこの問題も国民国家を基礎に議論を進めていくしか方法はないんじゃないでしょうか。

From: 國領 二郎
Subject: [00065] Re:ドメインネーム問題


國領です。
終わった後の初登場で大変恐縮ですが、話題になってるようですので...
山崎さん、コメントありがとうございました。ご指摘いただいた部分、自分でもかなり気になってたとこだったので、ドッキリしました。
From: 山崎 一樹
Subject: [00064] Re:ドメインネーム問題

(ちなみに、私はサイバースペースにおいて国民国家を超える統治の機構が出来上がることはありえない、と考えています。つまり、国領さんの設問8の回答は「そんなもの、できっこないじゃない」ということです。)
もう期間は過ぎているそうで(知らなかった!!)、慌ててここだけ補足しておきますが、私の主張は「スーパー・ナショナル」は無理だろう、サイバースペースにおいても現実社会と同様、「インター・ナショナル」か「トランス・ナショナル」が関の山というか、現実的な対応策だろう、ということです。築地さんが言われるような「他国への影響力行使」というのはやっぱりかなり無理がありそうですし、かといって「竹林の七賢」が「スーパー・ナショナル」に意思決定するというのも無理だ。とするとこの問題も国民国家を基礎に議論を進めていくしか方法はないんじゃないでしょうか。
私もほとんど同じ思考をたどってあの設問に至りました。他にどんなモデルがあるんだろう、それを見つけられなかったらどうなっちゃうんだろう、という議論を喚起する設問としてはいいように思いましたが...ちょっと稚拙な表現だったかなぁ。正直に告白して、どう考えればいいのか自信がないです。当日までに何かアイディアがあったら教えていただけますと幸甚です。

From: 築地 達郎
Subject: [00066] Re:ドメインネーム問題


築地@京都経済新聞社です。
山崎さんのおっしゃるとおりでして、この先数十年は「Nation States」が引き続き政治的問題の基盤になるだろうと考えます。ただ、Statesを構成する領土の概念の形骸化が経済、文化だけでなく法的にも及んでいる、ということが特筆すべきことか、と感じたわけです。

From: 会津 泉
Subject: [00067] Re:ドメインネーム問題


本当にそうでしょうか?
むこう数十年という単位、ですよね。
たとえばEUのような形態は、Nation Statesに単位を置きつつ、その上位での連携をすることが必要になったことから生まれたものではないでしょうか。
それは「トランス・ナショナル」といえばそうでしょうが。
ASEANでもそうですが、一国単位では片づかない問題には、別の仕組みで補完する、ということがあるわけで、「サイバー」問題は、その仕組みが、従来型の国際組織では処理できないので、あらたな方法を模索する必要があると思われます。
で、国連の活動にNGOが組み込まれて補完しあってきているような流れが、今後強くなるのではないでしょうか?
Nation Statesを一気に否定するのではなくても、やはり従来の「インター・ナショナル」や「トランス・ナショナル」とは原理が違うシステムが生まれてくる気がするのですが。
国境を超えて連携するのは、「国家」対「国家」だけではなく、それを含みつつ、別の主体もまた登場する、その複雑な集合が機能する・・。ドメインネーム問題で、IAHC(インターナショナル・アドホック・コミッティー)という、ISOCがITUやWIPOの個人代表と、インターネット・コミュニティの代表7名で委員会をつくって原案をまとめたのも、そうした流れの現れに見えます。
米国政府も、いずれ自分たちは手を引き、国際NPOにまかせる、と言っているし、それはマガジナーに言によれば、いまの国連や同様の国際組織のような、国家単位の組織ではありえない、というのです。
司会を少々逸脱してのコメント、でした。

From: 山崎 一樹
Subject: [00068] Re:ドメインネーム問題


From: 会津 泉
Subject: [00067] ドメインネーム問題

たとえばEUのような形態は、Nation Statesに単位を置きつつ、その上位での連携をすることが必要になったことから生まれたものではないでしょうか。
私、EUのことはよくは知りませんので外れているかもしれませんが、この場合についても「何で上位の連携が必要となったのか」を考えてみれば宜しいのではないでしょうか。欧州だけを見れば「スーパー・ナショナル」に見えるかもしれませんが、アメリカと対置してみれば、それはトランス・ナショナルな関係になるんじゃないかと思いますが。
From: 会津 泉
Subject: [00067] ドメインネーム問題

ASEANでもそうですが、一国単位では片づかない問題には、別の仕組みで補完する、ということがあるわけで、「サイバー」問題は、その仕組みが、従来型の国際組織では処理できないので、あらたな方法を模索する必要があると思われます。
繰り返しになりますが、一番初めに書きましたとおり、インターネットは「つなぐ」、「こえる」、「もぐる」であることを理解していれば、「かなりの部分」は従来型の国際組織で対応できるだろう、或いは、従来型の国際関係や多国間関係の調整の仕組みをベースにして対応を考えることが出来るだろうというのが、私の予想だということです。これは10年単位ではなく、かなりの長期間にわたって継続するものであると思います。
ただ、ちょっと言葉が足りませんでしたが、ポイントとしては、
・それは高々「かなりの部分」に過ぎない。100%全てをカバーすることはできないし、また、そうする必要もない。
・国民国家をベースにするといっても、その調整の主体は政府だけではなく、企業やNGOなどもプレーヤーとして加わることになるだろう。
ということで、別に私はNGOを嫌っているわけではないとご理解頂きたいものです :-)
要は、足らざる部分は得意な人にやってもらえばよい、何でも政府が仕切りますという必要はないということですが、その場合であっても調整のベースはまだ次の世紀の間は国民国家だろう、と予想するということですね。
From: 会津 泉
Subject: [00067] ドメインネーム問題

Nation Statesを一気に否定するのではなくても、やはり従来の「インター・ナショナル」や「トランス・ナショナル」とは原理が違うシステムが生まれてくる気がするのですが。
国境を超えて連携するのは、「国家」対「国家」だけではなく、それを含みつつ、別の主体もまた登場する、その複雑な集合が機能する・・。ドメインネーム問題で、IAHC(インターナショナル・アドホック・コミッティー)という、ISOCがITUやWIPOの個人代表と、インターネット・コミュニティの代表7名で委員会をつくって原案をまとめたのも、そうした流れの現れに見えます。
>米国政府も、いずれ自分たちは手を引き、国際NPOにまかせる、と言っているし、それはマガジナーに言によれば、いまの国連や同様の国際組織のような、国家単位の組織ではありえない、というのです。
会津さんの考え方や期待も分からないではないですが、例え新しいプレーヤーが登場することはあったとしても、それらの主体が新しい原理により構成される世界システムが生まれるってことはないと思いますよ。ここは見解の相違の部分ですが、いずれどちらの見解が妥当であったかは分かるでしょう。
それよりも、このメーリングリストももうおしまいということなので、会津さんに限らず、インターネットに希望を持たれる方々に対して、常々疑問に思うことを思い切って伺ってみたいのですが、それは「何故インターネットを使うと新しい社会や新しい形態の社会的な関係が生まれるという希望を持つことができるのか?」ということです。これを考え出すと夜も眠れないくらいに悩みますね :-)
前に福富さんは「インターネットはきっかけにはなるだろう」と言われていました。マイケル・ハウベン氏は「インターネットによって学習をすることができる」と言っていた記憶があります。私も確かにそうだろうとは思いますが、他方、「そこまで止まりなんじゃないかなあ」とも思います。「インターネットは「多様性の承認」に成功するか?」という話題を持ち出したのは、結局のところ、この問題となるとサイバースペースも現実の社会も変わるところが何もないのではないかと考えているからです。高々人間のやっていることに、サイバースペースと現実世界とでどれほどの違いがあるんだろうか、と疑ってかかるのが現実的というものではないでしょうか。こう言ってしまうと実もフタもないような気も致しますが :-)
もうひとつ、ついでなので、誰でもいいから教えて頂きたいのですが、ISOCの「竹林の七賢」方式は、実は「アメリカの民主主義」から見ると「非民主的」という批判になる、という見方は妥当な見方でしょうか。ドメインネーム問題はこの見方が妥当なものであることの証左ではないかと思うのですが如何でしょうか?

From: 田中 辰雄
Subject: [00069] Re:ドメインネーム問題


田中辰雄です
もう議論の期間はそろそろ終わりですが、この話題、面白いので横あいから一言。
 #終わりを控えて、やや雑談モード的に話させていただきます。
From: 山崎 一樹
Subject: [00064] Re:ドメインネーム問題

(ちなみに、私はサイバースペースにおいて国民国家を超える統治の機構が出来上がることはありえない、と考えています。つまり、国領さんの設問8の回答は「そんなもの、できっこないじゃない」ということです。)
もう期間は過ぎているそうで(知らなかった!!)、慌ててここだけ補足しておきますが、私の主張は「スーパー・ナショナル」は無理だろう、サイバースペースにおいても現実社会と同様、「インター・ナショナル」か「トランス・ナショナル」が関の山というか、現実的な対応策だろう、ということです。築地さんが言われるような「他国への影響力行使」というのはやっぱりかなり無理がありそうですし、かといって「竹林の七賢」が「スーパー・ナショナル」に意思決定するというのも無理だ。とするとこの問題も国民国家を基礎に議論を進めていくしか方法はないんじゃないでしょうか。
用語の定義はいろいろありそうですが、仮に
ナショナル     国民国家
インターナショナル 国民国家(の代表)の集まり
          例:国連、WTO、オリンピック、
トランスナショナル (国民国家の代表ではない)人の集まり
          例:多国籍企業、NGO(IETFなど)
と考えておきます。(スーパーナショナルという用語はわかりませんが、議論のためには当面、上の3分類で足りるでしょう)。ドメインネーム事件の詳細は不案内なのでコメントできませんが、この図を見ると、「アメリカ国内法の下に置く」、ということはトランスナショナルだったものをインターナショナルをすっとばしてナショナルにもどしてしまう提案と見なせます。この点ですごい提案だと思いました。 ヨーロッパ諸国の要求は国としての発言権を得たいということでしょうから、「インターナショナルで処理しろ」という要求ですし、山崎さんは「トランスナショナルなんて無理無理。国民国家が基本なんだから、せいぜいインターナショナル止まりさ」と言っているのだと思います。
 ではトランスナショナルはどうなのか。私も国領さんと同じで、人類の可能性の探求という意味でトランスナショナルの可能性を考えたいところです。が、それはすぐには難しい。IETFのようなNGO的な団体の将来像は手探り段階であり、問題解決のための受け皿になるには時間(経験)が必要と思われます。その時間を許さないくらい急激にインターネット利用者が増えてしまったために、ナショナルやインターナショナルに戻そうという動きが出てきてしまったのでしょう。
 #ここからSF的になります^_^;
 アメリカがトランスナショナルを育てる気があるなら(ないかもしれませんが、仮にあるなら)、手はあって、それはドメインネーム機関を治外法権化すればよろしい。サンフランシスコ・ベイのどこかの一角の土地を30年くらいで租借して、そこをアメリカの法律が適用されないところとするわけです。日本で言えば長崎の出島ですね。こういうのはまったく前例がないわけではなく、ニューヨークの国連本部は独自の切手を発行しており(ただし、国連内部からでないと投函できない)、一部の職員はアメリカに税金を納めていないなど、部分的に治外法権化しています。インターネットについてもそういう地域が一カ所出来、そこで「竹林の七賢人」が中心になってさまざまの問題処理にあたる。その一角は、サイバースペースがリアルワールド内にもった首都という感じになるでしょう。
 まあ、ほとんど夢物語でしょうが、こういう提案をマガジナーさんにしたらどう言うでしょうか。一応聞くふりはするけど将来の課題だとか言うのが関の山でしょうか。
 #聞くふりをさせさない方法があるかと言えば、ひとつあります。それは日本(あるいはアジア)がそれをやると宣言することです。
 #あ、ますます夢物語か^_^;

From: 尾野 徹
Subject: [00070] Re:ドメインネーム問題


あ、もう終わってしまって申し訳ないですが、、、、最後に。
皆さんの話を読みつつ、ドメイン問題って、単なる手続きやネーム取り扱い規約を越えて考え方、思想、世界観になっていることがよくわかりました。
 また、アメリカのインターネット政策に引きずられる落ち着かない気持ちはとてもよくわかります。自分たちが参加して自分たちのことを決められないもどかしさもあるし。
 それは、昨年ワシントンでCIXを訪ねたときにもなんとなく感じたな。
 そうそう日経新聞さんには悪いのですが、昨年のAOLジャパンの立ち上げシンポでコーディネーターを行わせていただきましたが、その一ヶ月後にAOL本社を訪ね、、、、なんとAOLジャパンの心臓部が全てワシントンAOL本社内にあることを知って、ああ、アメリカの支配はここまできたか、、、なんて思ってしまった。
 かつ、地上波ディジタルTV政策もしかり。FCCの方針が出て後、我々日本は動く。それも、アメリカを市場とする日本企業にあうように日本の政策が検討されはじめ、その後に市民、国民への波及が、、、、
 あれ、話が逸れてしまった。
 えーと、で、私は地方から参加していると、ナショナル、トランスナショナル、なんて言葉を聞きますと、あれ、リージョナルってどこにいれればいいんだろう? ってまごついてます。
 どうも地域の言葉がないのは落ち着かないんです。
 私たち(コアラ)のところに milk.co.jp というドメインを持つ小さな牛乳屋さんがいるんです。なんか嬉しい。コミュニティの牛乳屋さんだから、、、マクドナルド、って言ったら銀座のマクドナルドでなくて、あの橋のたもとのマクドナルドを想定したいような。それともやっぱりアメリカの多分大金持ちになっているまだ見たこともないミスター・マクドナルドのことを思い浮かべなければならないのかな?
 なにかそういうことがうまく落ち着くようなドメインであったらいいのにな、なんて勝手に思うけど。
 先週末に、地域インターネットプロバイダー協会の集まりがあって(私は出席できなかったので代わりのものを出席させましたが)、その報告などを聞いていると、ここでの話とかなりかけ離れたような感じです。面白い。地球単位のネットワーク論と、地域コミュニティの中にどのように自分たちがあるの?ということを生き残りを掛けて議論する感覚の差。どちらも連動しているのでしょうけど、なかなか人間一人の頭では統括できがたいほど大きく複雑。
 で、なにゃかやいっても今住んでいることろが楽しくて嬉しくて、、、あなたの住むところもなかなかいいですねぇ、、、時々意見交換したい、季節の話題でもやりとりしながら互いのコミュニティがより住み易いように技術や政策の意見交換をしましょうか、、、ということでインター・リージョナルな関係が国の枠を越えてできるといいな、と、思ってます。
 インターネットってきっと様々な多様性や個性があることを否応なく認めさせることになってて、企業も国家も単一ではなくもっと小さな単位に区分けされてしまい、その小さな単位が一ヶ一ヶ皆違うのだな、と、ますます思えてくる。
それらが連動し、支配でなく影響しあう面白さ。
今回もここに参加されておられる皆様の多様性と離散集合の面白さに未来を感じました。ありがとうございました。

From: 山崎 一樹
Subject: [00071] Re:ドメインネーム問題


ますます雑談調となりますが・・・
From: 田中 辰雄
Subject: [00069] Re:ドメインネーム問題

#ここからSF的になります^_^;
 アメリカがトランスナショナルを育てる気があるなら(ないかもしれませんが、仮にあるなら)、手はあって、それはドメインネーム機関を治外法権化すればよろしい。サンフランシスコ・ベイのどこかの一角の土地を30年くらいで租借して、そこをアメリカの法律が適用されないところとするわけです。日本で言えば長崎の出島ですね。こういうのはまったく前例がないわけではなく、ニューヨークの国連本部は独自の切手を発行しており(ただし、国連内部からでないと投函できない)、一部の職員はアメリカに税金を納めていないなど、部分的に治外法権化しています。インターネットについてもそういう地域が一カ所出来、そこで「竹林の七賢人」が中心になってさまざまの問題処理にあたる。その一角は、サイバースペースがリアルワールド内にもった首都という感じになるでしょう。
これはSFとか夢物語ではない、と主張する人々は既におりますよね、「初期ネチズン」というか、「インターネット原理主義者」の中には。
例えば2年前のダボス会議におけるジョン・ペリー・バローの「サイバースペース独立宣言」などはその一例なのではないでしょうか。
もっとも彼の主張の面白いところは、考え方の基調がアメリカ憲法とアメリカ独立宣言にあることで、「マニフェスト・デスティニー」の世界なんですよね。結局のところ尾野さんが例示されておられるAOLの事例と一緒で、「アメリカ人ってのはどこへ行ってもアメリカ人なのね」ということが確認できるというのがオチになっているということじゃないかと思いますが。加えて私は、よく彼らが使う用語が「マインド」であるところに、いかがわしさというか、胡散臭さを感じてしまいますが :-) From: 田中 辰雄
Subject: [00069] Re:ドメインネーム問題

まあ、ほとんど夢物語でしょうが、こういう提案をマガジナーさんにしたらどう言うでしょうか。一応聞くふりはするけど将来の課題だとか言うのが関の山でしょうか。
#聞くふりをさせさない方法があるかと言えば、ひとつあります。それは日本(あるいはアジア)がそれをやると宣言することです。
#あ、ますます夢物語か^_^; ドメイン名問題はアジア諸国にとっては差し迫った話題ではないのかもしれませんが、先に提起した別の問題、「WTOでのECフリーゾーン提案」は、まともな発展途上国であれば素直に首肯できるものではないのではないでしょうか。アジア諸国などは真っ先に反対してもいいような気がします。
この問題については、「竹林の七賢」は「まずアメリカか儲ければよい」というスタンスだったと理解しますが、こういう問題こそアメリカに唯々諾々と従うのではなく「bit taxをGIIの財源と致しましょう」くらいの対案を出してみればいいのではないかと考えます。夢物語 だなんて言わずに、たまにはオモシロいことを言ってみればいいんですよ :-)
この点についても、半年くらい前に書いたものがありますので、以下をご参考までに。
========================
カナダでは公有地のことを「クラウン・ランド」と呼びます。クラウンと言ってももちろん王様が土地を所有するという意味ではなく「政府が所有する」ということですが、カナダの場合、政府の土地に対する権限は地下の埋蔵物まで及んでいるのです。
つまり、ある人の所有地を掘ったら石油が出たとします。すると、この石油の採掘権は土地所有者ではなく、政府に第一義的には帰属するのです。採掘権を有する政府は採掘を許可することでロイヤリティ収入を上げることができます。神の与えたもうた恩恵は、たまたま偶然に土地を持っていた人に専属するのではなく、「おおやけ」が一旦預かりとする、と言い換えても宜しいでしょうか。
他方、アメリカはどうでしょう。かつて「ジャイアンツ」という映画がありましたよね。エリザベス・テイラーとジェームス・ディーンが出ていたんじゃなかったでしょうか。うろ覚えなのでちょっと記憶違いかもしれませんけど、確か「一発、石油を掘り当てて大儲けする」という筋立てだったのではなかったでしょうか。しかし、カナダではこのような筋立てが成立しないのです。
インターネット協会の提言は「インターネットに課税すると、「金の卵」を生む鶏の首を絞めてしまうことになる」でしたよね。しかしこの「金の卵」とは、一体誰のものなのでしょうか。ミクロで言えば「一発ソフトを当てて大儲け」を是認するということでしょうし、マクロで言えば「アメリカが富を集中する」ということにもつながるのではありませんか。
もちろんそうではないのかもしれません。また、アメリカの大義名分はもっと美しいものかもしれません。がしかし、アメリカがこういう政策提言をするのであれば、異なったアプローチを打ち出すことがあってもいいのではないでしょうか。例えば「GII建設のためにはインターネット課税が必要である」とか。アメリカの美しき大義名分に対抗しようと思ったら、それ以上に説得力のある大義名分を打ち出さなくてはいけないでしょうが、「「金の卵」の利益は、世界中の人々が等しく享受できるようにすべきである。しかもそれは charity modelであってはならない」という言い方は可能なのではないでしょうか。
日本はこの問題に関しては「小判鮫戦略」のようですが、いろいろ考えてみるのは必要なことでしょう。
========================
あまり議論の本筋とは関係のない話ばかりしてしまいました。また、たまたま自分がカナダに住んでいたことがあるもので、その例を引き合いに出しましたが、当然のことながら世界中にはより多様な社会が存在しているわけで、それをつないだり、超えたりしてしまうサイバースペースでは、「誰もがサイバースペースの居候である」という矜持を持つことが必要なのではなかろうかということが言いたかったという点をオシマイの発言とさせていただきます。
いろいろと勉強させて頂きまして、参加者の皆さん、大変ありがとうございました。

From: 会津 泉
Subject: [00072] マガジナーとの懇談会メモ


ドメインネーム問題についての材料を提供します。
マガジナーの「姿勢」がすこしおわかりいただけると思います。
2月17日、マニラで開かれたAPRICOT会議に基調講演者として招かれた、米国のアイラ・マガジナー大統領上級顧問が、講演の前夜、有志との懇談を行なった記録です。
この場のホストは、APIA (Asia Pacific Internet Association) です。
1月末に発表された、米国政府の、インターネットのドメイン名を中心とする管理運用体制についての新提案、通称グリーン・ペーパーが話題の中心で、彼はその説明をしつつ、広く意見を聞きたいというのです。
当初は夜9時までの45分の予定だったのですが、本人から積極的に議論を尽くしたいから何時まででもいい、と言い出し、結局10時45分まで議論が続き、さらに翌朝、7時と彼が提案し、さらに1時間半ほど、本人の基調講演の直前まで懇談が続けられました。
 日本から飛んできて着いたばかり、それも席はエコノミーだったとたまたますぐヨコに同乗した知人が言っていました。
 議論すればするほど元気になるようで、いやなかなかタフな相手でした。姿勢はオープン、主張は引かない。アメリカのある典型的な人物、と思いました。
以下は、全体の正確な再現ではなく、あくまで私のメモと記憶に残っている範囲内でのまとめです。[参考]としてご覧ください。
*******************************************************************
アイラ・マガジナーとの懇談会メモ
(以下は、私的なメモから再構成したもので、正確な記録ではない)
2月17日 20:15〜 参加者約40名  於 マニラ・シャングリラホテル
マガジナー:
 われわれの基本視点は、ウェブで広く公表している。寄せられるコメントも積極的に公表している。今日の記録もぜひ公表したいのでよろしく。
 米国政府は、歴史的な経緯から、たまたまDNSについての法的権限を保持していた。
 IANA、NSIとの法的委託関係あり、訴訟からどう彼らを守るかが問われている。
 米国政府は、できるだけ早く円滑にこの役割を終了したい ただし、安定した運用が保証されるような担保は必要で、そこにはかかわる。
 98年9月末が目標。
その理由 責任あり安定した国際組織に交代すべきだから。インターネットの発展とともに利害関係者の数が膨大になった。これまでの構造ではもたない。
コマーシャルな利害、世界中の政府が関心をもつ 数年前とはまったく違う状況になったのだ。
 米国政府は、いままでの法的権威からは退出する。
 単一の団体ではなく、異なるグループが、IETF、IABなど、ボトムアップで協力して支えてきた。これからは訴訟に耐えられる構造が必要。各国で独占禁止法での訴訟が起きるのは最悪の悪夢。民間で標準化形成のボディが望ましい、特定の企業の利益に支配されることなく。
そのためのプロセス:
 97年前半、国際的な体制で、民間・競争による管理運用体制が必要と考え、意見を公募した。450のコメントが各国から寄せられた。11月、12月は、毎月電子メールが1000通届いた。各方面から意見を聞き、対話するために、100回の会合を開き、その結果を1月末にまとめて発表した(それがグリーンペーパー)。
 内容については、多くの選択があったわけで、100%確信があるというより、ものによっては51-49で意見が分かれつつ決めたことも多い。
 それぞれの案件について非常に異なる、強い意見が、両側から加えらている。
だれも正解はわからないことも多い。したがって、非常に謙虚でなければいけないと考えている。必要であれば、変更もやぶさかではない。
 3月までコメントを受付け、それをよく検討していく。すべてのコメント、電話での会話は公式に記録し、ネットで公開することになっている。そこで出された意見、論点はすべて読み、検討に加える。その上で、ラフコンセンサスに至ると考えている。
討 論
ピンダー・ウオン(APIA理事)
APIAは97年8月に、検討結果を正式なコメントとして商務省に送った。
 9月にはWIPOの会合に参加。12月にはマガジナーと接触、ワシントンでのインターネット・エクゼクティブ・カンファレンスに参加・意見発表も行なった。
 今回のグリーンペーパーを読むと、われわれの意見も数カ所でそのまま反映されていると思える箇所がありる。
会場(氏名不詳):
ISOCともっと協調すべきでは。政府は中核部分にまでは介入すべきではない。3月の締切とは現実的なのか。
マガジナー
国際的な民間非営利による管理 進化成長するだろう。これ以上米国政府が介入を続けることはよくないのだ。NSIの独占を続けることもよくない 競争の実現を遅らせることになるからだ。
会場
gTLD・MoUでは、レジストラーに資金の裏付けを求めているのが気になる。
マガジナー
われわれの提案には「ユーザー団体」の代表を入れことで、非営利側からも代表が役員会に参加できるようにした。
ライナ・グリーン(APIA書記/GETiT)
1)米国の法律の下での非営利法人の設立を提案しているところが、結局米国がインターネット全の支配を続けようとしている、という批判の根拠となっている。
2)レジストリーを競争に置こうとしたところも、すでにCOREで長い議論を続けた結果、そうしないとされたのだが。
マガジナー
1)
われわれはなるべく早く、現在の状態から抜け出すことを願っているのだ。法人組織を提案したのは、法的根拠がないことによる訴訟の心配を避けるためだ。
 非営利法人としたのは、国際的に、民間非営利組織での標準化組織が法的にも先例として認知されているからだ。
 米国法に基づくことにした理由だが、結局どこかに本拠を置く必要があるからで、インターネットは依然として利用者の半数は米国に存在していることも考えた。ただし、いったんその法人が設立されてからは、他のどこの国への移動も選択できる。
 ジョン・ポステルが米国にいるわけで、Aルートサーバーも米国にあり、その意味では当然と考える。反対に、米国外にすべきだというのは、どういう強い理由付けがあるのか? 米国政府の意図に懐疑的だからか、あるいは感情的なものか?
 重要なのは、どこの国の法律の下にあるかより、役員の構成が国際的なものになっているかどうかではないか。
2)
のレジストリーを競争させるかどうかについては、たしかに難しい問題で、51-49で決めた例といえる。われわれも議論を重ね、どちらにするか迷ったところだ。それぞれの長所・短所がある。
 非営利調整機関で商用目的にしないということの利点もあるが、革新が生まれるかという点では、競争体制に比べて疑問が残る。複数の組織である程度の競争に晒した方が、革新を促進する。しかし、この点について、非営利・非競争的組織を求めるの意見が圧倒的に多ければ、変更はできる。
 われわれが手を引くから、後はNSIと交渉してくれという[無責任な]ことはできない。
COREグループが、ビジネスモデルではない強い提案をしている。しかし、米国ではTLDには法的に問題があり、ジョン・ポステルが有罪になって監獄に行かざるをえない可能性がかなり高い。それを避けたいのだ。[単一団体にすると、独禁法違反で訴訟され有罪になる可能性が高いということを指していると思われる]
マガジナー
 公的生活(公務員)では、コントラバーシャルな議論に巻き込まれることはもっとも避けたいことだということを理解してほしい。人々がお互いに怒鳴り合う、というようなことは。
 しかし、われわれには責任がある。アンフェアーで間違っているものから保護される必要がある。たしかに、COREなどの提案に対してわれわれ米国政府の行動は遅きに失していたのは事実で、その点は謝罪する。しかし、われわれも遅ればせながら善意での解決をめざしているのだ。
 POC/IAHCですでに7つのgTLDでレジストラーを募集開始していることはよく承知しているし、われわれの提案も多くはPOC/IAHCから借りている。
もっと早く行動に移るべきだったのは事実で、申し訳ないとしか言いようがない。
高橋徹(日本インターネット協会会長、APIA理事)
 日本ではすでに、NSIが子会社を作り、新ドメイン名の販売を開始している。
これはアンフェアだ。
マガジナー
 その点は承知している。だからこそ、[現在は独占状態の]NSIはなるべく早く競争体制に移行させなければならないのだ。必要なのは、条件が対等の競争の場をつくることで、レジストラー同士の競争を形成することだ。
 もっとも困難な点は、法的正統性を獲得することだ。既存の組織をもってきて、少なくとも最初はそこから始める方法もある。ユーザーグループの参加も入れて。
 しかし、その方法が普遍的に受け入れられるものとは限らない。米国の企業は反対の主張をする可能性がある。この点、新しい組織体制は、よりバイアスが少ないものとなるだろう。それでも米国議会は、これに反対して別の決議をするおそれもある。
 この提案を準備するなかで、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、香港などを回り、説明をし、意見を聞いてきた。今後も、中国、オーストラリアなどを訪問する予定だ。gTLD問題だけでなく、電子商取引なども含め、インターネットをめぐる包括的な問題を議論している。電子商取引がこれからの世界の発展にとってもっとも重要な問題となると認識しているからだ。原則としては、ネット上での電子商取引に対しては政府による規制・管理はなくすべきだと考えている。しかし、個別の具体的な点では、問題はそう簡単ではない。
会津
アジアなど、国によっては、「政府」と「民間」との区別がアメリカ・西欧型社会ほど明確ではないことも多い。社会の構成原理がかなり異なるのだ。そういう点が、今回の提案では十分考慮されているとは思えない。
(以下略)
マガジナー
皆さんからの意見、指摘は歓迎する。ぜひコメントを、組織でもいいし、個人のものでもいいから、メールで送ってほしい。議論が続いていくことは良いことだ。われわれもこの問題が難しいことは承知し、あるいは間違いをするかもしれないと思いつつ最善を尽くすのみ、だ。

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