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キーノートスピーチ

 ◆アイラ・マガジナー氏 アメリカ合衆国大統領上級顧問

 ◆関本忠弘氏 NEC会長

アイラ・マガジナー氏
アメリカ合衆国大統領上級顧問
ECへの関税ゼロに・デジタル経済、民間が主導

 まず、クリントン大統領とゴア副大統領からのメッセージを伝えたい。両氏とも、世界の人たちが集まるこの会合で意見を反映できることをうれしく思っている。ゴア副大統領は会議の成功を望んでおり、この会議の成果は重要な役割を果たすことになると確信している。

  • 数十年は成長

     昨年7月1日、クリントン大統領とゴア副大統領はホワイトハウスで電子商取引(EC)に関するフレームワーク、すなわち米国の戦略を明らかにした。新しい経済の時代が幕を開けようとしている。世界経済に対して産業革命と同等以上の大きな影響がもたらされるだろう。

     デジタル経済で米国は成長している。世界経済も正しいフレームワークが導入されれば、今後数十年間の成長が可能だと思う。

     新しいデジタル経済、ECには5つの重要な活動領域がある。第1は世界におけるインターネットの構築事業だ。4年前、インターネットの利用者は約400万人だったが、現在は1億人を上回り、2005年には10億人の人が世界でネットを使う。インターネットの構築事業自体が米国で巨大産業に、世界規模でも重要な産業活動になる。

     第2の領域は企業間でのインターネット利用だ。米国企業は購買、在庫管理などあらゆる企業活動でネットを使うようになった。伝統的なEDI(電子データ交換)より、イントラネット、エクストラネットを使った方が効率化とコスト削減に役立つと企業の認識も変わり、全産業部門で強力な成長が生じている。

     このほか3つめとしてソフト、ゲーム、金融、ニュース、教育、医療などのインターネットを通じたサービス提供業、4つめに書籍、CD(コンパクトディスク)、花などネットで売買契約を結んだ後に商品を配送する小売業、そして最後に顧客の好みの情報を提供する広告・マーケティング事業が挙げられる。

  • 戦略洗い出す

     昨年7月、米国では政府が中心となり、ECに関する重要な戦略や原則を洗い出した。まず、動きの遅い政府でなく民間部門がデジタル経済をリードすることが重要だ。民間が自由にビジネスを展開し、政府は取引や契約を保護することなどに焦点を絞って法環境を整備する。

     インターネットが自律分散型のメディアであることを考えると、民間非営利で国際的かつ分散型の組織によって運営されるのが良いだろう。また、グローバルである以上、政府が果たす役割は最小限にし、そのための世界的な枠組みや合意を形成すべきであろう。

     それではどのような国際合意が必要なのか。まず、ECへの関税はなくすべきだ。政府が過剰な規制や関税をかけると、ECの潜在能力を発揮できなくなる可能性がある。社会にも政府にも長期的なメリットになるのはインターネットの発展だ。これにより経済成長が実現し、最終的には税収増加につながる。

     電子的な契約が効力を発揮できるように、電子署名を各国で共通利用できるような法的枠組みも必要だ。電子決済については市場主導型の発達を促すべきだろう。電子決済の担い手を政府が規制すべきではない。政府が技術を選ぶのではなく、市場が技術を選択すべきだ。

  • 民主主義を支援

     インターネットの生命線とも言える知的所有権の保護にも努めるべきだと考える。プライバシー保護やコンテンツ(情報の内容)のチェックについては政府が規制するより、利用者に自らを守れるような権限や道具を与える方が大切だろう。

     インターネットのセキュリティー問題は難問だが、暗号への規制問題を巡っては国際的な対話が進められている。クリントン大統領は電子商取引振興のための世界的枠組みを2000年1月1日から実施したいと言っている。

     さらに解決すべき問題は、先進国だけでなく、発展途上国にもインターネットを普及させなければならないということだ。

     ネットは人々を団結させ、民主主義や経済開発の力にもなる。これには教育施策も必要だ。数百年に1回しかこういうチャンスは与えられない。経済や社会のパラダイムを変えなければならない。

     将来の方向はだれにも確実にはわからない。従来の貿易交渉のように妥協を求めたり、対立することは避けたい。孤立しようという国では国民が貧しくなるだけだ。我々は変化を強制するつもりはない。むしろ未来に向けて努力していきたいという国と対等な立場で協力して行きたいと思っている。

  • 関本忠弘氏
    NEC会長
    問われるコンテンツ・日米の情報化投資に格差

     情報化をめぐって世界は急激に変化している。インターネットは爆発的に拡大しており、世界の通信業者の合従連衡も活発だ。

  • 企業の連携密接

     ただ、日米両国の情報化投資には大きな差がある。米国では、名目設備投資に占める情報化投資の割合は85年までは約15%だったが、96年には32%、98年には40%に上昇するという。日本も比率は上がっているが去年は16%。急激な変化の中で、日本は大きなハンディキャップを背負っている点を指摘しておきたい。

     拡大するインターネットを通じて、企業間の連携は従来より密接になっている。情報インフラの整備をベースに、質の高い相手と協力的に仕事をするバーチャルな企業集団ができあがる。これがインターネット時代の企業活動におけるポイントの1つだ。

     こうしたインターネット時代を支えているのがマルチメディアであり、その応用範囲は極めて広い。個人の知的能力を拡大し、企業の業務プロセスを効率化する。新しい社会機構を構築してライフスタイルの革新を支援する。金融や製造、流通サービスなど、あらゆるところに市場がある。

     その際、一番の問題になるのはコンテンツ(情報の内容)の質だろう。心を打つ映画なら大勢が見るだろう。だが、そもそも映画がつまらなければ、いくらビデオ・オン・デマンドなどマルチメディア技術が確立しても、宝の持ち腐れになってしまう。

     各国の政策をインフラ整備の点から見ると、米国がNII(国家情報基盤)構想やGII(世界情報基盤)構想を発表し、欧州連合(EU)は情報社会に向けた行動計画を作った。

     日本も高度情報化推進本部を設置している。マレーシアでもマハティール首相を中心に「マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)」計画が進行中だ。インフラ利用の視点からも、それぞれが計画を打ち出している。

     日・EU産業人ラウンドテーブルや日米財界人会議などの場で、情報通信インフラの整備や利用について話をしていきたい。できるだけ早く1つの方向へ向くことが望ましく、民間も努力をしていきたい。

     発展を続ける情報社会だが、21世紀に向けては、セキュリティー、知的所有権、言語、通貨という4つの課題がある。

     セキュリティーを解決する基本技術は暗号だ。電子署名、認証、証明書、認証局の問題もある。この分野では、富士通、日立製作所、NECなどが出資した共同認証会社が97年10月にサービスを開始している。セキュリティーを確保し、電子商取引(EC)を実現する重要な機能の1つとして推進している。

     知的所有権問題では、著作者の立場を尊重すべきなのは言うまでもない。しかし、尊重の仕方が厳しすぎると、それだけ利用が制限され使いにくくなってしまう。要は、このバランスをどうとるかである。

  • 文化主導型で

     言語の問題もある。インターネットが拡大し、ボーダーレスが進むのは望ましいし、そこで英語が使われるのも歴史的に当然かもしれない。しかし、英語圏と非英語圏の格差をどう克服するかという問題は残る。インターネット拡大の背景には多様な文化があるという矛盾を、どう解決するかという問題だ。

     これまで技術は文明主導型であり、効率追求型だった。今日の我々があるのは、この技術があればこそであり、今後も効率を追求する必要があると思う。

     しかし、それだけではだめだ。独自文化の創造を支援する文化主導型の技術が一層求められよう。新しい技術によって、言語の課題も徐々に解決されるだろう。

     最後は、現実通貨とバーチャル通貨の問題だ。

  • 知恵出し合う

     国際金融システムは不安定であり、為替相場は乱高下する。そのときに、国境を超えたECは可能なのか。何も固定相場制度に変えろというわけではないが、緩やかな変動相場制を何らかの形で実現しない限り、国境を超えたECはナンセンスだろう。

     政官財のトライアングルの中で発展してきた日本だが、時代は変化している。もっと自由にという時代だ。しかし、関係者が力を合わせるのは悪いことではない。労働界、学会、報道界を加えた新しい六角形を形成し、その中で、お互いに力を合わせて知恵を出し合うべきだろう。

     事実を正確にとらえて、それぞれの立場で意見を交わし合うのが重要だ。だが、相手をたたきつぶすような批判では何にもならない。六角形の中の相互批判の中から、21世紀の日本の姿を描いていきたい。


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