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電子商取引分科会

キーノートスピーチ
 ◆「ビル・メルトン氏 サイバー・キャッシュ社長兼CEO」

パネルディスカッション
 ◆「エレクトロニックコマースの新展開――経済構造改革へのシナリオ」

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ビル・メルトン氏
サイバー・キャッシュ社長兼CEO
目覚しい利用拡大・認証機関、銀行を代替も

 「世界情報通信サミット」の電子商取引分科会で、サイバーキャッシュ社長兼CEOのビル・メルトン氏が行った基調講演の要旨は以下の通り。

 200年前、初めて本が出版された時、価格は現在のホストコンピューター並みだった。だが当時、「本は高くて買えないから持つべきでない」と主張したら、現在の社会の発展はなかっただろう。電子商取引もまさに今、200年前の本と同じように世の中の仕組みを大きく変える役割を果たす可能性を秘めている。

 電子商取引はまだ歴史が浅く、実際の採用を先に延ばし様子を見ようという銀行も多い。しかし世界の大手コンピューターメーカーはインターネットを使ったビジネスをいち早く実際の事業展開の中核に据え始めた。

 ここ7−8カ月間のインターネットを利用したビジネスの拡大には目覚ましいものがある。かつて電話やファクスが普及する過程を考えてみても、ある時期に急激にビジネスとして成長した。インターネットも同じで、今がまさにその時だろう。

 インターネットを使うと現実社会でどのような影響があるのか。例えば物流システム。今までは工場から輸出業者、輸入業者、倉庫、卸業者、小売店という流れで製品が消費者の手元に届いていた。この流れはインターネットを使うと大きく変わる。

 特に企業にとって最も不経済な在庫用倉庫は必要ない。消費者から注文を受けたメーカーから直接消費者の元に製品は届き、仲介システムは不要となる。すべてがメーカーと消費者直接の取引となり、その分、製品に跳ね返るコストは削減できる。

 インターネット上の電子マネーはお金の代わりにビットの入った財布が動いていると考えればよい。システムは共通の規格に準拠する必要があるが、通貨がたくさんあるように単一の標準は作るべきではない。

 複数の標準があってもインターネットは相互通用性があるからこそ電子マネーのツールとして有望視されている。ただし、ロビーに集まった客を識別するように、最低限の認証やデジタル署名は必要になってくるだろう。これは現在の金融システムと全く同じだ。電子商取引の世界では、認証機関が現在の銀行にとって代わるかもしれない。

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「エレクトロニックコマースの新展開
        ――経済構造改革へのシナリオ」

 
<パネリスト>
アイラ・マガジナー
アメリカ合衆国大統領上級顧問
ビル・メルトン
サイバー・キャッシュ社長兼CEO
エリック・ブロット=ルファーヴ
エレクトロニックコマース・ヨーロッパ代表
ジム・シャー
アクトラ・ビジネス・システムズ社長兼CEO
ブルーノ・ラバーン
UNCTADトレード・ポイント・ネットワーク・プログラムワールド・コーディネーター
ゲリー・グラント
ベリフォーン社副社長アジア太平洋地区セールス・マーケティング担当
岩村充
早稲田大学アジア太平洋研究センター教授(元日本銀行参事)

(司会)ジム・ジョンソン
世界情報通信基盤委員会(GIIC)事務局次長

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民間組織、運営の主役に

 世界情報通信サミットの電子商取引分科会では「エレクトロニックコマース(EC)の新展開――経済構造改革へのシナリオ」をテーマに、電子商取引が金融市場や通貨価値にどのような影響を与えるのか、新たな展開としてどのような現象が起きてくるのかということを中心に議論が進められた。(敬称略)

 ジョンソン 電子商取引は金融に具体的にどのような影響を与えるか。

 岩村 通貨間の競争が加速するだろう。現状では各国中央銀行の発行する通貨を使わざるを得ない。だが半導体チップの中に通貨が入ってしまえば、利用者は自由に通貨を選ぶことができる。こうなると努力しない通貨当局は淘汰(とうた)される。

 メルトン 通貨の信頼性は発行当局の資産管理などが透明であることにかかっている。厳密な体制と良好な資産をどれくらいもっているかという情報開示が必要だ。

 ジョンソン IT(情報技術)を持つ企業が銀行の役割を果たすのは可能か。

 メルトン 電子商取引ではクレジットカードが通貨と同じ役割を果たすだろう。クレジットカードの大手3社は今までは銀行ではないが、今後は銀行とノンバンクの区別は難しくなる。

 ジョンソン 金融機関は淘汰されると思うが、金融商品も統合されていくのか。

 ブロット=ルファーブ 欧州の通貨政策を例に考えてみる。ユーロが誕生したら欧州各国の中央銀行は主権を維持していくことが難しくなるだろう。

 ジョンソン 現行のビジネスを電子環境に引き込むにはどうしたらいいのか。

 ラバーン 電子商取引をする企業が共同で消費者の行動を追跡し、実態を把握する。当然この中で消費者の格付けを行う可能性も出てくる。電子決済から始まって電子銀行業務(エレクトロニック・バンキング)へと進むだろう。バンキングは預貯金管理を行うため、信用レベルの適切な評価や財務諸表のリアルタイム管理も可能になる。

 マガジナー 電子決済は2−3年で安心して使えるようになるだろう。インターネットテレビでアクセスして買い物をし、決済する。今の若者は10代からインターネットを自由に使うため彼らが成人するころには抵抗なく使うような社会になるだろう。

 メルトン クレジットカードですら、使う人は持っている人に対してかなり少ない。電子キャッシュとして使うまでにはまだ時間が必要だ。信用を得るにはもっと広告費がかかる。

 岩村 今キャッシュを使っている場面をすべてECを使う場面に切り替えることには懐疑的だ。ECには新しい商取引を広げる意味を持たせるべきだ。

 グラント どのくらいコストがかかるのかも考慮すべきだろう。新しい決済方法として普及させるために、無料でサービスを提供するなどの工夫が必要だ。

 ジョンソン プライバシーに関する法構造や文化の違いはどう考えるべきか。

 マガジナー 特定の情報に限っては消費者側にデータを見る機会を与える必要があるというのは日米欧で合意している。ただし、その運用法について欧州のアプローチと米国のアプローチは違う。欧州は政府の法規制が必要というスタンス。米国は強制的な政府の介入はかえってECの普及を妨げるという考えだ。欧州の中でも各国でスタンスは異なっているので、夏までには何とか合意したい。

 岩村 プライバシーの意味合いが国によって違う。家族や宗教についての情報を政府が守るのはナンセンスではない。問題は、ECが広範囲で使われる中でのプライバシーだ。ECはデジタルデータのため集積や選別、解析を自由にできる。その過程でプライバシーがどのように利用されるかが問題となる。

 マガジナー 商取引は市場取引であり、商取引内のプライバシーはどこまで守るべきなどと制限をつけるべきだ。商取引外や宗教などのデータとは別であってよい。

 ジョンソン 個人の情報は何に利用するかで価値が決まってくる。

 マガジナー 自分の情報が知らない間に集められるのは仕方がない。どのように扱うべきかまさにパラダイムシフトが起きている。今までは政府が法律を作り、守ってきた。ECの世界は、人々に権限ツールを与えて自分たちで守る世界がよいと思う。

 ジョンソン 人々が十分な知識を持つということが前提になるのか。

 シャー インターネット時代の到来はまさに自分たちで自分たちを守っていこうとする意識を育てている。

 マガジナー 米政府はインターネットのドメインネームやアドレスを13台のサーバーで管理している。ドメインネームの管理を外部に任せるべきだという意見も多く、ゆくゆくは非営利団体に任せていくつもりだ。

 ジョンソン ITU(国際電気通信連合)は歴史的に見てもうまく管理してきた。

 マガジナー 確かに電気通信が国有事業の時は理解できるが、インターネットは異質だ。インフラも民間が整備している。適切な市場であれば分権化された民主制度でうまく機能できるはずだ。

 ラバーン マガジナー氏に同感だ。インターネット社会においては、現在のITUの動きは遅すぎる。インターネット社会は規制当局にも影響を与えている。民間組織に参加を求め、よりよいサービスの実現のために規制当局にも対応を要請すべきだ。

 ジョンソン EC市場が爆発的に広がるためには、どのような技術が必要か。

 シャー ソフトの問題が大きい。外の世界とやり取りするときのセキュリティーや暗号化の問題だ。世界中で標準化されたプラットホームが構築されるかどうかがカギになる。

 ラバーン 容量やインフラの整備は大切だが、普及すれば自然とコストが下がり、圧縮技術などで対応が可能になってくるはずだ。それよりも法的問題の方が改善すべき点は多い。

 岩村 経済構造として何が必要かというと、セキュリティーや暗号など自分の財産を守る技術的な手段だ。運用する時には金融制度、法制度の改正がないと成り立たない。

 マガジナー ラバーン氏に賛成だ。技術面での制約は大した問題ではない。

 ジョンソン 英語が公用語として使われている問題はどうか。

 岩村 東南アジアは言語が多い。特に多種多様な漢字を持っている。漢字を使うことができるような拡張性が欲しい。

 ラバーン 言語翻訳プログラムに多数の言語を採用することを検討している。

 ジョンソン 日本でECが普及するポイントは。

 マガジナー まず、電話料金を引き下げること。しかも固定料金にすべきだ。さらに学校レベルでのインターネット利用率をもっと上げる必要があるだろう。


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