デジタルIDは顧客のために

「世界情報通信サミット2004」(日本経済新聞社主催)は24日午前、「デジタルID革命とビジネスモデル」をテーマに討議した。パネリストの間では、コスト削減だけでなく、顧客の便益を目的にデジタルIDを導入しなくては、普及は進まないとの考えで一致。また導入により、大企業と小企業の格差が進むとの見方も出た。司会は慶応義塾大学の國領二郎教授。
フェデックスのロバート・カーター執行副社長兼最高情報責任者(CIO)は「デジタルIDは在庫の定義を変えた」と表明。具体的な事例として、デルを紹介し「在庫を構築する前に売り上げを出すことが可能となり、その結果、商品価格の低下や商品納入期間の短縮など顧客は様々な便益を受け取るられるようになった」と語った。
松下電工の野村淳二・取締役専務経営執行役はコスト削減を目的にデジタルIDを導入すれば、普及は進まないと指摘。「(デジタルIDの)導入によって浮いた資金を(顧客の便益向上に役立つ)新しい機能を組み込むために使う必要がある」と訴えた。
サムスンテスコの李康泰・上級副社長兼CIOは、ICタグが顧客の便益向上に役立つとしたうえで、デジタルIDの導入で大規模小売業と小規模小売業の格差がますます広がるとの見通しを表明。「ICタグ自体のコストよりも、それを店内で管理するサーバーや携帯電話などのモバイル端末を標準化するのは大変な作業であり、米ウォルマートや独メトロなどの大規模小売業でないと対応できない」と語った。
アクセンチュアのチーフ・サイエンティストを務めるグラバー・ファーガソン氏は「デジタルIDの導入で簡単にコストは削減できる。問題はその(コスト削減で生じた)メリットをどう生かすかだ」と述べ、常に顧客の便益向上を考えなければならないとの考えを表明した。