世界情報通信サミット2002
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セッション・1
「情報通信のインフラ&プラットフォーム」

規制なくし自由な競争を

パネリスト
セッションで論議するパネリスト。左から関口、ボンフィールド、井上、スティット、ネトルズの各氏
 世界情報通信サミットのセッションIでは「情報通信のインフラ&プラットフォーム」と題し、次世代の通信インフラの展望や安全なネットワーク社会の構築の必要性などについて議論した。政府の規制を取り除き、自由な競争を求める声も目立った。司会は関口和一・日本経済新聞社編集委員兼論説委員。

・日本のネットの現状

 司会 セッションIでは到来するセキュアネットワーク社会に向け、どのようなインフラを作る必要があるのか、何に注意を払うべきか、ブロードバンドの可能性などを考察したい。まず、日本のネットワーク社会の現状をどう見るか。

井上秀一
井上秀一氏
 井上 日本政府は昨年3月の「e―ジャパン重点計画」で世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成など5項目の政策課題を挙げた。特に2005年までに1000万世帯が光ファイバーを利用した超高速ネットを、3000万世帯がADSLなどの高速ネットをそれぞれ低廉な料金で使える環境を整備していくことを目標に打ち出した。

 スティット 「国挙げて推進、奏効」 日本はネットワークをベースにした企業社会を目指し、世界でも最先端を走っている。当社は創業当初からグローバルな市場を狙っていたが、最初に販売を始めたのが日本だ。以来、景気が非常に悪い現在でもなお順調に成長している。日本で成功した理由は、ネットワーク社会の将来像に向け、国を挙げての取り組みがあったからだろう。

 司会 今後どんな技術がブロードバンド市場で優位になると予想するか。

パトリック・ネトルズ
パトリック・ネトルズ氏
 ネトルズ 全世界で音声トラフィックに代わりインターネット・トラフィックが台頭している。成長率が最も目覚ましい新しいメディアといえる。日本のような情報集約的な社会ではブロードバンド化により、デジタル写真撮影や「ピアtoピア」アプリケーションなどの新しい技術が加わり、インターネットにおける新しい利用方法がさらに成長するだろう。

 スティット 例えば距離ベースの従量制のネットワークサービスの課金システムは国際的には通用しなくなるなど地理的な要素は重要ではなくなる。どこでも同じ速さ、同じ信頼性で同じ費用対効果をもって提供する必要がある。

 インターネットが10年前にこれほど伸びると誰が予測できただろう。今後、全く意外な展開が起こる可能性が非常に高い。われわれは新しい革新的なモデルを作り、ビジネスモデルも新たに見直してきた。新産業が伸びていく時、従来型の産業は忘却のかなたに押しやられる可能性がある。

 司会 ワイヤレス通信技術の進展も期待される。

 井上 「光ファイバー基礎」 アクセス系については光ファイバーがブロードバンド化の基礎となる。加えて、無線LANとの結合などで、どこにいても高速・大容量のサービスを受けられるユビキタスの環境が完成する。当社も今後はADSLに加え、フレッツ網を外出先でも動きながら利用できる、無線アクセスサービスを準備中だ。

ピーター・ボンフィールド
ピーター・ボンフィールド氏
 ネトルズ 「無線の役割重要」 将来、無線通信が重要な役割を果たすだろう。山岳地や過疎地など厳しい環境でもワイヤレスは大きな役割を果たす。ビジネスチャンスは世界にたくさんあり、日本が成功すれば世界が追随する。

 ボンフィールド 通信事業者にとっても、固定電話や無線分野など複数の事業分野を垂直統合の形で展開するのか選択する必要が出てくる。固定や携帯、無線など各事業のシナジー効果を判断した上で、外から調達したり、他社と提携したりする選択肢も出てくると思われる。

・セキュリティーと政府

 司会 ブロードバンド時代、安全なネットワーク環境をどう実現するのか

 井上 「決済など一体的流れを」 ブロードバンド化といううねりの中で光と影の問題が出てくる。利便性が飛躍的に高まるのと比例し、リスクも急増する。ネットワークの信頼性、安全性の確保が極めて重要になるので電話の時代とは違う新たな視点でネットワーク社会のぜい弱性を克服する取り組みが大事だ。

 新しいネット技術として期待される「IPv6」はアドレス空間の拡張だけでなく認証、暗号化といったセキュアな環境の実現につながる技術。信頼・安全性を確保する観点からも意味を持つ。ネットワーク単独だけでなく、課金や決済、ユーザー管理などの機能を一体的にサービス提供する流れを作る必要がある。

ゴードン・スティット
ゴードン・スティット氏
 スティット どこでも、いつでもつながるようになると、セキュリティーが非常に重要となるのは間違いない。セキュアなネットワーク社会へ向け、なお多くの課題があるが、逆にこうした課題をいかに克服するかが成功のカギを握る。

 司会 ネットワーク社会の発展では政府はどのような役割を果たすべきか。

 ボンフィールド 「市場原理に委ねよ」 電気通信業界は航空業界と似ている。フランスやドイツでもそうだが、政府が大きく関与した結果、複雑な許認可が必要で、再編が遅れてしまった。今後、通信技術を進展させる上で、政府は介入すべきでなく市場の競争原理に委ねるべきだ。

 井上 原則として非規制の形で進めるべきだ。一方でセキュアなネットワークをつくるためには、著作権や個人情報に関する保護などを含めた関係法制の整備が必要だ。ネットワークに対する不正アクセスの防止に向けた整備なども含め、政府の役割は小さくない。こうした側面がマッチしないと、本当にIT社会が安全で素晴らしいものにはならない。

セッション・1 セッション・2 セッション・3
パネリスト
 井上 秀一  NTT東日本 社長
 ゴードン・スティット エクストリーム・ネットワークス CEO
 パトリック・ネトルズ シエナ 会長
 ピーター・ボンフィールドピーター・ボンフィールド BT前社長ほか
司 会
 関口和一 日本経済新聞社編集局産業部編集委員
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