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キーノートスピーチ

「持続可能なネットワーク社会を目指して」

西室泰三氏
東芝代表取締役社長
 インターネットの普及は好むと好まざるにかかわらず我々の生活全般を今までとはまったく違った新しい世界に突入させる。ただ、インターネットを世界のあらゆる人にとって本当に価値あるものとして使うためには問題点も多い。

 問題点としてはまず、時間に対する感覚の違いという「時定数」への配慮が必要になる。インターネットの普及で技術開発のリードタイムや、商品のライフサイクルが短縮。記録媒体の容量は過去5年間で400倍に膨らんだ。大量で迅速な情報流通は、先駆的なデルコンピュータのモデルのように劇的な事業構造の変革をもたらした。これが世界へ広がる。

 だが、電子商取引などがもたらす価値観は、ネットワークに接続された特定の人や組織の視点に立ったものであり、きわめて強制的だ。世界にはまだネットに接続していない地域のほうが圧倒的に多い。異なる時定数をどう守りながらネット社会に対応するかが大きな課題だ。

 第二の問題点は「収穫逓増」の世界のことだ。アマゾン・ドット・コムはネットを使ったサービス展開で売上高は1年間で8.4倍、キャッシュフローは17.6倍になったが、利益は出ていない。それでも時価総額が約600億ドルまで拡大したのは、将来の期待値でベンチャーキャピタルが投資し、株価が上昇するからだ。

 ちょうど加速器のような事業モデルであり、大成功して市場を独占するか破たんするかの二方向に収れんする。収益の拡大に応じて再投資する従来の事業観念を「資金のフィードバック」とすれば、資金の流れは「フィードフォワード」になる新モデルだ。

 これが広がれば強制的に世代交代が進み、1人勝ちばかりの世の中になりかねない。ネット社会の技術的な発展は必要だが、「1人勝ちが正義」かというと疑問である。

 第三の問題点はネット社会と持続性。1人勝ちが進めばモノカルチャーをもたらし、地方固有の文化が破壊されかねない。いったん破壊されたら再生できない。こうした社会の脆弱さを克服するには、健全な多様性を持つことが重要。官民がそれぞれの役割の中で多様性を確保しなければならない。


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