|
|
| セッション2 -「デジタル・デバイド時代のエレクトロニック・コマース
」 |
ビジネスモデルに関する議論1 |
From: 前川 徹
.Subj: 【1】コーディネーターより 〜 問題提起 |
テーマの3. と4. をまとめて議論したいと思います。
3. ディスインターミディエーションとインフォメディアリー(仲介業者排除と情 報仲介業が既存ビジネスモデルにどのような影響をもたらしているのか)
4. ビジネスモデル特許問題
水野さんから提案のあった「eーコマースと既存ビジネスのすみわけ形態」についても、議論したいと思います。
また、ビジネスモデル特許に関しては、このオンライン会議のメンバーでもある國領先生と根来龍之さんがコーディネーターをされている下記サイトが参考になると思います。是非ご参照ください。http://www.ecrp.org/topic-s/bmp/index.htm
|
From: 市川 明彦
.Subj: 【2】ビジネス特許について |
先日南アケープタウンでのGBDeシェルパ会議(NTTの岸上さんも出席されてこの点を知的財産権WGの議題として問題提起されたが)では、問題の発生の規制の仕様がないという意見で、残念ながら結局採択されませんでした。彼等の見方はこういう感じかと思った次第です。
ついでに簡単ですが、私なりの、ケープタウン会議の要旨を報告します。
(1) Privacy WG :昨年9月総会で採択した個人情報保護原則を実行する為の、GBDeガイドライン確立を目差す。但し、各国でどれだけ実行されているかのフォロー,評価方法,どうやって実施させるかは要検討。
(2) ADR(消費者保護/法廷外紛争解決)WG :裁判によらないトラブル対策のWGだが、先ず各国法律状況などの調査をまとめ、ガイドライン案を策定する。
(3) Trust Mark(消費者保護/良質サイト向(適)マーク)WG :先ず各国・地域での実施状況調査をまとめ、共通的重要項目を提言にする。更にGBDeとしての役割を明確にしていく。
(4) 貿易・税・関税WG :基本的には非課税を訴えてきたが、直近のEU,米国各州、中国等のEC取引課税政策発表あり、又(貿易透明性を高めるはずの)中国のWTO加盟問題も山場に差し掛かっており、微妙な時期の為、提言方策を更に要検討。 7月迄にガイドライン,フレームワークをまとめていく。
(5) IPR(知的財産権)WG :ISP等のいわゆるPipe Lineカンパニーも著作権保護策に 責任を持つべきだが、強制力を持つ為に罰則付きにすべきかどうかコスト面から
コンテンツ保持側とISP側とで利害対立あり。方向性について更に要検討。また、ビジネス特許問題が提起されるも、具体的,実効的対策案なく、更に要検討とする。
(6) Advocacy(GBDe提言実行推進)WG :各国政府・世界機関にGBDe提言を実施 させる為、各種国際会議で提案していく。尚、日立からGBDe提言の実行担保の為には、各国政府の電子化実現を迫る事が有効(なぜなら、自らEC化すればGBDe提言の意味・意義を認識する)と提案し、理解された。
(7) Digital Divide(貧富の差による情報格差から来る貧富の差の拡大問題):新規に問題提起されWG設置を決定。IBMがドラフトを作成・送信配布する。
(8) Co-Regulation :GBDe提言実行の為、又自己規制方式を有効ならしめる為、官・民連携したRegulationが必要との認識による提案あり。但し、消費者側も参画すべきとの指摘あり、先ずVivendi社がドラフト作成。
|
From: 香取 一昭
.Subj: 【3】ビジネスモデルに関する議論 |
この場にふさわしい議論かどうかわかりませんが、インターネット・ショッピングのためのクレジットカード決済インフラとしての「LIVUY」(http://www.livuy.com)の運営にかかわってきた経験から一言・・・
日本でもこのところ急速にEコマースが伸びてきてはいますが、まだまだ期待ほどではないというのが現状だと思います。そのひとつの原因として、既存の流通ルートとのしがらみがあるように思います。メーカーさんとしては、インターネットを使った直接の販売ルートとしてのEコマースを広げたいとは考える一方、既存の販売ルートからそっぽを向かれても困るということで躊躇しているようです。
どうすればこうした問題を解決できるのでしょうか?
|
From: 林 浩一
.Subj: 【4】ビジネスモデル特許 |
ビジネスモデル特許についてですが、日経BPのサイトでも特集が組まれていましたね。http://findx.nikkeibp.co.jp/ws/sp00bm1.html以下、ソフトウェアの研究開発に従事し、ソフトウェア特許について発明する側として関わってきたものとしての意見です。
私は、ずっとソフトウェアの特許に関わる調査、出願、無効化などの仕事が非常に苦痛でした。非生産的に思えるからです。ビジネスモデル特許については、今回、よってたかって出願競争に火を着けたので、あっと言う間に数万件の出願件数になるのではないかという絶望的な見通しを持っています。(メーカーのEC関連技術者がノルマで書かされている様子が目に浮かびます。)これまで、特許と無縁だった中小の事業者や非技術部門の方々が、非生産的な消耗戦に巻き込まれてゆくのかと思うと気の毒でなりません。
0. サマリー
ビジネスモデル特許問題は、新しい問題ではなく、ソフトウェア特許が認められたときからの問題であるという認識です。これまで、メーカーが秘かに抱えていた問題だったものが、陽の当たるところに出てきたという印象です。アメリカ謀略説のような議論を沈静化させて、ソフトウェアのアイデアをどう保護すべきかについての、本質的な課題の解決へ向けた問題提起に繋がればよいと思っています。
1. ビジネスモデル特許問題はソフトウェア特許問題
「ビジネスモデル特許」なる問題の説明を初めて聞いたときに、ソフトウェア特許の説明とどこが違うのか理解できませんでした。正直、何をいまさら、という印象を持ちました。むしろ、メーカーの間で閉じていた問題が、みんなの問題として認知されたという感じがしています。そもそも、ソフトウェアの特許について調べずに、ECサイトを作っていれば、ビジネス特許どころか、たくさんのGUIの特許を侵害していたとしても不思議ではありません。
2. ソフトウェア特許問題の社会問題化
ソフトウェアシステムは他の工業製品と同じく、先人の技術的な工夫の積み重ね上に成り立っています。ハイテク製品ともなれば、何を作るにしても、多数の既存特許があるに決まっています。メーカーはこのために、膨大な特許関連コストを投入しています。競合の特許網に対抗できる新規技術の特許網を作り、参入を防ぎ、回避できない特許をクロスライセンスして、はじめて製品化できるのです。
インターネットサービスの場合には、アイデアから事業化までのコストが、他の工業製品と比べて非常に小さくできるため、今までとは異なる経済的な期待と効果をもたらしたように思います。何千万ものユーザがいても、システムをひとつ作れば、ユーザ数に比例する製造・流通のコストはありません。それで、比較的低いコストで事業ができる環境になったわけですが、実際には、参入にあたって、これまでメーカーが払ってきたのと同様の膨大な特許対応コストを払う必要があることが明らかになってきつつあるのだと思います。
3. 特許に代るソフトウェアアイデア保護
特許制度は諸刃の刃です。プライスラインのような新参の企業が、ブランドが確立したアマゾンなどと、新規アイデアで渡り合うことを可能にする一方、特許網の構築によって、同じ分野への新規参入に対する障壁としても働きます。特に、特許回避を可能にしようと思うと、体力にものをいわせた物量作戦に陥りがちです。少なくとも、ソフトウェア特許については、現在、数の暴力ともいえる状況で、もっと生産的な活動を担うべき技術者に負荷がかかっています。ビジネスモデル特許も早晩、同じことになると思います。当然ECの足を引っ張りますし、犠牲者の数もはるかに多くなるでしょうが、ビジネスモデル特許だけを特別視した解決ができるとは思えません。
今、必要なことは、特許制度ありきで考えるのではなく、新しい技術開示のための仕組み作るための知恵を絞ることだと考えます。少なくとも、それは産業の発展のために技術の開示を活性化し、それによる経済的な対価が保証されるという枠組である必要があります。これを機に、ソフトウェアのアイデアの保護について、満たすべき要件を明らかにし解決策を模索するムーブメントを盛り上げることが大切だと思っております。
|
From: 中野 潔
.Subj: 【5】勇気ある決断 |
【3】香取一昭 メーカーさんとしては、インターネットを使った直接の販売ルートとしてのEコマースを広げたいとは考える一方、既存の販売ルートからそっぽを向かれても困るということで躊躇しているようです。どうすればこうした問題を解決できるのでしょうか? 基本的に解決は、できないと思います。メーカーの経営者の決断一つです。 津々浦々に ○a○ashopを展開したメーカーが、うまくいく時代もあればそれが重荷になって、店は少ないが先進イメージを維持してきたメーカーに抜かれることもあります。
販社のサポートで差を付けてきた 複写機系 プリンターメーカーが、販社のしがらみの少ない コンピューター周辺機器系 プリンターメーカー に量販店の店頭を奪われるということもあります。
流通、金融、家電、自動車・・・。強者が強者ゆえに勝ち残り、2番手以下が引き離される・・・。実際、そういう面があるのは、認めますが、
強者が強者ゆえに勝ち残ったという面だけ強調すると、勝ち残った企業の、数々の勇気ある決断が浮かばれないと思います。
ただ、勇気ある決断を「勇気ある決断」と呼んでいるだけでは、この会議が目的の1つとしているのであろう「現在と次代に知恵として伝える分析的論議」にはなりませんので、そうした決断ができる組織の特性をあぶり出す論議は必要だと考えます。
その特性ですが、小職の貧弱な頭では、
(1) 海外赴任経験者の重用や外国人社員の採用に前向きな会社は、新時代に向けて、変身 しやすいようだ、
−−ぐらいしか、思い付きません。
|
From: 水野 隆一
.Subj: 【6】既存企業によるEC進出 |
日本の場合、ベンチャー型ECよりも既存企業によるEC進出のほうが目立つのが実態ではないかと思います(米国にも既存企業のEC進出事例はたくさんありますから必ずしも日本型ECということにはなりませんが)。
このような形態の場合、必ず次のようなことが問題になると思います。
1.直販型ECの場合には、既存チャネル(代理店、販売店など)の商権を侵害する危険性がある。
2.ECに求められる意思決定のスピード感が、既存ビジネスを行っている組織の中で実現できず、ECビジネスがスムーズに行えない
これらの問題を解決させるためには、結局既存組織と分離した子会社を設立して擬似ベンチャーによりECを立ち上げるしかない、という意見も良く聞きます。米国でも大手書店のバーンズアンドノーブルはbarns&noble.comを設立していると聞きます。
しかし、これは既存事業の強力なライバルを自ら設立してしまうことにもなりかねずその意義に疑問を持つ経営者もいるようです。
|
From: 藤元 健太郎
.Subj: 【7】直販型EC |
【6】水野隆一 1.直販型ECの場合には、既存チャネル(代理店、販売店など)の商権を 侵害する危険性がある。
米国ですらコンパックやトイザラスはこの理由でうまくいっていないのでましてや日本では・・・という部分ですが,1を解決するには段階的なプロセス論が必要なのでしょう。でもいつまでも難しいと言っていても始まらないので,どんどん具体論を模索していくことが重要なフェーズに来ていると思います。
ひとつの方法論としては情報流と物流と金流をアンバンドルする方法があると思います。直販する意味としてもっとも重要なのは情報流であり,直接顧客と繋がるところだけ最初に握ることが重要でしょう。
そこでアスクルのように金流に関して既存流通を利用し既得権益と共存するモデルを作るなどの方法があります。
Ex)アスクルは既存の文具店などを代理店にして最初の顧客リストと与信と集金をまかせている。
またメーカーなど商品を産み出す企業の場合は,商品そのものと開発プロセスをネットチャネルは別に考える必要があるでしょう。顧客との関係そのものが変わるので,マスプロダクトの商品をそのままインターネットでというのは過渡期の姿だと思います。
提案型やスケールメリットが大きいマスプロダクトと顧客ニーズが細分化された商品はメーカーからみたら別のチャネルになるでしょう。直販と既存流通は共存できるところがあると思います。
別の整理としてEC企業を分類すると
a)情報流 AutoByTel,eBay,respond.com
b)情報流と物流 Amazon.com,WebVan,kozmo.com
c)開発と情報流と物流 Dell,Gateway
こんな感じにできると思いますが,a,b,cいずれもパソコンという商品を扱えても,利用者ニーズが異なるので共存していくのでしょうね。
ただし音楽などのデジタルコンテンツはそもそも「モノ」から「価値」へ商品そのものの特性が変わってしまうので,モノは残るでしょうが,別のビジネスモデルに変わらざるを得ないので別の整理が必要でしょう。
|
From: 村上 輝康
.Subj: 【8】3点のコメント |
私自身「非生産的な消耗戦に巻き込まれてゆく、気の毒な」業界にいることもあり、迫力のある問題提起を歓迎します。特許業務ノウハウおよび処理能力の、製造業大企業とサービス業・ベンチャー企業のあいだの非対称性が生み出す問題は、個別企業の戦略の問題を越えて、日本の産業全体の問題としても重要だと思います。議論のスタートとして、基本的な問題の理解について3点のコメントを。
1.「ビジネスモデル特許問題は、新しい問題ではなく、ソフトウェア特許が認められたときからの問題であるという認識です。」ということですが、State Street事件の本質は、米国特許庁だけでなく、CAFC(連邦巡回控訴裁判所)が「ビジネス方法を特許権付与の適用除外項目からからはずす」という判断をしたことが本質的な変化ですよね。自然法則装置だとかプログラムだとかいうレベルを超えて、一挙にビジネス方法までいってしまい、しかもその発明性の判断がきわめて難しい、というところにこの問題のやっかいさがあるのだと思います。
2.「アメリカ謀略説のような議論を沈静化させて」ということですが、アメリカ謀略説というのを、CIA謀略説的な議論にしてしまうのはナンセンスですが、そのために判断停止してしまって、アメリカの政策との関係までPlay Downしてしまうのは反対です。
この問題を、アメリカ政府の見解、産業界の見解、アカデミックスの見解などと無関係にかたるのは、いかがかと思います。私の知るかぎり米国においても、現在のようにどんどんビジネス方法特許付与を連発することに対しては、否定的な論調が強くなっているように思います。本来、技術革新を支援し加速化するためにあるはずの特許制度が、運用をあやまると逆効果になってしまいます。インターネット、電子商取引の分野では、米国と日本の事業者がほぼ同じペース(日本がすこし遅れながら)で同じような問題につきあたっていることから、もし米国にも同様な問題があるならそれもとりこんだ議論をしたほうがいいように思います。
3.「新しい技術開示のための仕組み作るための知恵を絞ることだと考えます」そのとおりだと思っています。ただ、特許制度を無視することも出来ませんし、いまから特許制度そのもののありかたを議論しはじめたのでは、すくなくともECの波には間に合いません。なんとか現行の特許制度のもとで、技術情報の開示・活用と創造のコストと価格の尊重を、両立させる仕組みが出来ないものでしょうか。
|
From: 櫻井 豊
.Subj: 【9】変化を「創る」 |
【5】中野潔 津々浦々に ○a○ashopを展開したメーカーが、うまくいく時代もあればそれが重荷になって、店は少ないが先進イメージを維持してきたメーカーに抜かれることもあります。
近著「デジタルエコノミー」でも著名でいらっしゃる室田泰弘先生のご講演ではじめて学んだのですが,スタンフォード大学のブライアン・アーサー教授の主張される「カジノ・テーブル」型経済プロセスの話が,この辺の事象をとても上手に説明しているように思います。(「エコノミスト」誌2000.2.7号P.17をご参照ください。)
主張の軸に当たる部分と私が理解している部分を,エコノミスト誌から引用しますと,次のようになります。
「デジタル・エコノミーでは,数年毎にカジノテーブルはリセットされ,全員が新たなスタート台に立つことになる。前のテーブルで独占的な地位にあることは,次のテーブルでの勝者を意味しない。」
室田先生は,これを説明するための例として,Lotus1-2-3 -> Excel -> Linuxベースのフリーウェア という流れを示されていらっしゃいます。 その上で,こうしたデジタル・エコノミーの時代に,カジノテーブルがリセットされても出来る限り連続して勝者となるために必要な企業の資質として,次の4つを挙げられていらっしゃいます。
1.研究開発とマーケティングに多額の資金を投じること
2.リーダーが若く専門能力のあること
3.朝令暮改であること
4.M&Aを戦略の一つとして重視すること
これらを学んで私が感じたことは「カジノテーブルをリセットする側に立つことが重要なのだ」ということです。 常に変化を「創る」側に居続けることが鍵でしょう。逆に,もし変化を「追いかける」側に居たら,まず勝者になることは無いと言えるかもしれません。
今の日本の「いわれない」閉塞感は,ひとえにこの「変化を追いかける側」に,全員で思いっきり突入していることが一因ではないでしょうか。 変化を創り出すための戦術の一つとして,中野さんのおっしゃられている「特性」は,モノゴトに表裏があることは重々理解した上でも,納得できてしまうと感じました。
|
From: 國領 二郎
.Subj: 【10】不安心理 |
本件、研究者というより、自分の周辺のネットビジネスの方々の間に不安心理が高まっているのと、不毛な軍拡競争のような現象が生じているのを何とかしたいと思って勉強をしております。ただ、変に騒ぐとかえって不安心理と軍拡競争をあおるようなところがあって、根来文教大学教授のリーダーシップで作成しているページは抑えたトーンで淡々と情報集積するようなポリシーでおります。
本件の最大の問題は不確実性の高さで、それがビジネスリスクを高めていることにあるように思います。それが、ネットビジネスの進展の阻害要因になっている。そもそもビジネスモデル特許とは何であるかの見解も一致していないように思います。
皆さんが「念のために」出願されて、みんながそれをするために不安心理が高まって益々多くの企業が「念のため」出願をされる...
【4】林浩一 必要なことは、特許制度ありきで考えるのではなく、新しい技術開示のための仕組み作るための知恵を絞ることだと考えます。 (中略) これを機に、ソフトウェアのアイデアの保護について、満たすべき要件を明らかにし解決策を模索するムーブメントを盛り上げることが大切だと思っております。
これがとても大切な視点だと思います。そのためにどんな要件があるかを考えたいです。
|
あなたのご意見をお寄せ下さい
|