鳴戸道郎
世界情報基盤委員会フォーラム(GIIC)アジア共同議長、富士通特命顧問
インターネットなどグローバルネットワークを原動力に、既存の価値観や環境を超えたネットワーク社会が形成されつつある。これが社会の効率化と人類の進歩につながることが期待されている。情報技術(IT)革命は産業革命に匹敵する社会動向として注目されているが、その一方でIT革命が社会に影を落とす側面も忘れてはならない。例えばデジタルデバイド(情報化が生む経済格差)や、プライバシー保護などに関する法律が技術の発展に追いつかないなどの問題がこれだ。
ネット上で音楽の交換サービスを展開する米ナップスターが話題になったように、「ピア・ツー・ピア」のコミュニケーションの増大はだれも止められない。しかし、これに対して著作権法が追いついていないという問題がある。行政などの関係者はこの問題をより真剣に考える必要がある。
昨年の世界情報通信サミット(GIS)では「デジタル・デバイド時代のネット戦略」をテーマに討議したが、ここでの議論は時代を先取りしたものだった。昨年7月の九州・沖縄サミットではITを主要テーマとした「沖縄憲章」が採択され、このなかで国際的なデジタルデバイド解消のための部会設立が決まった。この部会はG8メンバー国の官民関係者や途上国代表らが参加し、今年7月に提言書を報告する計画だ。
今年度のGISは「ユビキタス時代を拓く」をテーマに、ブロードバンドの方向性などが討議される。20世紀が科学技術と物質的豊かさに裏付けられた社会経済とすれば、21世紀は情報を基盤とした豊かさを享受できる経済社会の実現が求められる。
そのためにはいつでもどこでもネットにアクセスできる「ユビキタス時代」の実現が欠かせない。
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