メグ・ウィットマン
イーベイ 社長兼CEO
イーベイは「だれもが商品を持ち寄って競売に参加できるネット上のオークション」という創業者のアイデアを元に発展してきた。混とんとした市場の中でイーベイが生き残り、繁栄しているのには理由がある。
その一つがネットの特性に沿ったアイデアだ。24時間365日、世界中の無限の人たちとつながって品物を売買できる。ネット無しではイーベイの市場の登場は不可能だった。現在、イーベイが実現している2200万人の取引はアナログの世界では存在し得ないものだ。
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次に利益が上がるビジネスモデルがある。イーベイでは事業の草創期からビジネスモデルというものが存在し、利益を上げることを目的に会社を運営してきた。この点がビジネスモデルが無いままに起業し、赤字となってからビジネスモデルを模索する他のドットコム企業と異なる点だ。売上高営業利益率は20%を確保している。
当社のモデルでは顧客の獲得は口コミで友人や親類へと広がっていく。だからこそ宣伝広告費に巨額の費用をかけなくても済むわけだ。また当社の発展はユーザー主導の革新によって支えられている。ユーザーのアイデアや希望は常にフィードバックされ、優れた提案は採用されていく。
イーベイの特徴は市場の拡大とともにさらに巨額の投資が必要な資本集約型の市場ではない点だ。新規のユーザーが市場に加われば自然と既存のユーザーにとっての付加価値は増大する仕組みで、マーケットプレースはますます強固なものとなっていく。
市場が拡張可能であることも成長に寄与している。自動車や家電製品、本や音楽など何でも取引できる。また当社はネットバブルが白熱する中でもROI(投下資本利益率)やコストの回収を重視して経営してきた。その結果、ネット経済全体と比べても大きな成長を遂げている。
当社が目指すのは「世界最大のオンラインコミュニティー」。何100万人の人たちが何100万のカテゴリーの中で接触するもので、「オークション」という言葉は我々のビジネスの定義には入っていない。単なる競売という概念だけでなく、多くの人たちが集まることでマーケットが形成され、人々が出会い、コミュニティーが形成されるのがイーベイの市場だ。我々のミッション(使命)は「どんなものを取引しようとするだれでもを手助けする」というものだ。
現在の登録ユーザー数は2200万人。これがウイルス的に増殖している。2000年第四四半期の取扱高は16億ドルに達した。1年間の取扱高は約65億ドル。これは尋常なことではない。イーベイはたった5年間という短い間に、1500人の社員のみで一つの経済に匹敵する65億ドルの市場を創出した。
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他の企業が50億ドルの経済活動を生み出すのに要した期間と人を比べてみれば、当社の偉業は一目瞭然(りょうぜん)となる。シスコシステムズは12年間と1万人の従業員、マイクロソフトは19年間と1万6000人の従業員、インテルは23年間と2万5000人の従業員を要した。
イーベイの市場の成長は「製品の拡張」と「地理的な拡張」「国際化」の三本の柱で支えられている。当初の出品品目はコレクターの収集品が大半を占めていた。次に高額商品で、これは「イーベイ・プレミア」というカテゴリーを確立している。その後大きな発展を遂げたのが宝石やカメラ、家電製品、パソコン、スポーツ用品などだ。
イーベイはこれらの製品のすべてにおいて、売上高ナンバーワンサイトとなっている。コンピューターではイーベイはバイ・ドット・コムの上を行く。中古車ではオートトレーダーよりも高い売上高を誇る。唯一ナンバーツーなのは書籍や音楽の分野。これはアマゾン・ドット・コムがナンバーワンだ。
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中古車はイーベイの売買の中でも大きな割合を占めている。実はイーベイは中古車ディーラーとしては全米第三位。年14万台を売り上げ、GMなどの自動車メーカーとも友好な関係を保っている。また中小企業同士の取引にもイーベイを利用する事例が急増してきた。
次の戦略が地理的な広がりを求めるもので、全米では不動産や家具などで60の地域版市場を創設した。第三が国際的な拡張だ。2005年には25カ国で3億2500万人のユーザーにサービスを提供するのが目標だ。
今後はダイナミックに価格が動くオークションだけでなく、固定価格市場にも進出する。既にハーフ・ドット・コムという優れたサイトを買収した。またブロードバンド(広帯域)や携帯電話などのインターネットの発展にも対応していくことでより多くの人が優れた経験をでき、いつでもどこでもイーベイに参加できるようになる。イーベイにとって将来は大変明るい。
また将来は自動翻訳機能などを開発し、英語を話す人と日本語を話す人がシームレスな取引をできる環境を創出するなどして「個人が自由に国際間で取引できる」まったく新しい世界へと挑戦していきたい。
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